階段リフォームを検討しているなら、まずは「費用相場」や「一般的な工期」について確認することが大切だ。また、階段リフォームで注意すべきポイントや、事前に確認しておくべきこと、失敗しない業者の選び方について解説する。
階段リフォームの費用相場と工事期間
まずは、階段のリフォームにかかる費用の相場と、工期について確認しよう。
リフォーム内容 | 費用(目安) | 工期(目安) |
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木製手すり | 7万円〜 | 半日〜1日 |
フットライトの取り付け | 1万円〜/箇所 下地補強が必要な場合は+8000円/m |
半日〜1日 |
階段の段板にコルク材を上張り | 7.5万円〜 | 半日〜1日 |
階段をカーペットから無垢材に変更 | 7万円〜 | 1〜2日程度 |
既存階段の撤去と新設(かけ替え) | 50万円〜 | 3〜7日程度 |
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紹介会社数 | 3〜4社 | 最大8社 | 最大5社 | 3〜8社 | 最大3社 | 3〜4社 | 最大8社 | 2社〜 | 最大5社 | 複数社 | 最大9社 | ー |
電話連絡 | あり | なし | あり | あり | あり | あり | あり | あり | なし | あり | なし | なし |
相談窓口 | あり | なし | あり | あり | あり | あり | あり | あり | なし | あり | あり | あり |
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業者の口コミ | あり | あり | あり | なし | なし | なし | なし | なし | あり | あり | あり | あり |
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階段リフォームの基本
階段リフォームに際して、まずは階段リフォームの基本とどのようなリフォームがあるのかを押さえておこう。
ここで階段リフォームをする際に知っておくべき、以下の2つを解説する。
- ①階段の部位の名称と寸法
- ②階段の種類
順番に見ていこう。
①階段の部位の名称と寸法
まずは、階段の部位の名称と寸法を確認しておこう。
階段は、主に以下の3つの部位で構成されており、それぞれ建築基準法で寸法が指定されている。
階段と踊り場の幅 | 75cm以上 |
踏面(ふみづら) | 15cm以上 |
蹴上げ(けあげ) | 23cm以下 |
【参考】e-GOV法令検索「建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)」 |
階段と踊り場の幅は、75cm以上確保する必要がある。さらに階段で足を乗せる段の部分にあたる踏面は15cm以上、段と段の間の立て板にあたる蹴上げは23cm以下と定められている。リフォームに際しては、建築基準法に違反しない形で工事を行うことが大切だ。
②階段の種類
階段といってもさまざまな種類がある。既存の階段がどの階段なのか、どのような特徴があるのかを把握しておこう。
直階段
「直階段」は、上下階を一直線につなぐタイプの階段を指す。広いスペースを必要とせず、比較的安価に設置できるのが直階段のメリットだ。
ただし、直階段は、ほかの種類の階段と比較して、傾斜が急になりやすい傾向がある。途中に踊り場がないため、転落すると一気に下まで転げ落ちる可能性もある点には注意が必要だ。
折り返し階段・回り階段
「折り返し階段」と「回り階段」は、途中で折り返しが入り、上から見るとU字やコの字になっている階段を指す。
途中に踊り場があるので転倒しても下まで一気に転落することがなく、直階段と比較すると安全度は高まる。
折り返しの踊り場部分が平らなのは折り返し階段、踊り場部分も段になっているのは回り階段と呼ばれる。直階段と比べると広い面積を要するのも折り返し階段・回り階段の特徴だ。
かね折れ階段
「かね折れ階段」は途中で90度に折れ曲がり、L字型をしているのが特徴だ。
折り返し階段と同様に、途中に踊り場があるので、下まで一気に転げ落ちる可能性は低く、比較的安全性は高い。
必要とする面積や段数は、直階段よりは多いものの、折り返し階段ほどではないため、価格的にもちょうど中間の位置づけになる。
らせん階段
「らせん階段」は、一本の柱を中心として、らせん状に踏面が設置されている階段を指す。段板と段板の間を縦につなぐ蹴込み板がない、スケルトンタイプになっているものがほとんどだ。
円柱となるスペースしか必要としないので、狭い空間でも設置できるのがらせん階段の特徴だ。デザイン性・インテリア性が高いものの、踏面が三角形となるため足を置ける面積が狭くなり、踏み外す危険性が高くなる点には注意しよう。
カーブ階段
カーブ階段は、下の階から上の階までカーブを描いて移動する構造となった階段だ。やわらかな曲線を描くのが特徴で、優美な空間を演出できる。輸入住宅など洋風の家で見られるが、広いスペースを要することから、費用が高めになる傾向がある。
階段リフォームの種類
階段リフォームは、大きく以下の2種類に分けられる。
- ①安全性を高めるリフォーム
- ②古くなった階段のリフォーム
順番に見ていこう。
①安全性を高めるリフォーム
階段は、転落すると死亡事故につながる可能性がある、危険な箇所だ。
厚生労働省の人口動態統計(平成29年)によると、家庭内で階段・ステップからの転落やその上での転倒により死亡した人は480人にも及び、その約8割が65歳以上の高齢者だ。階段からの転落事故を防ぐには、以下の4つのリフォームが基本となる。
- a. 手すりの設置
- b. フットライトの取り付け
- c. すべりにくい床材への変更
- d. 階段の段数変更(かけ替え)
順番に説明しよう。
a. 手すりの設置
現在、建築基準法では「階段には手すりを設けなければならない」と明確に義務づけている。
しかし、階段への手すりの設置が義務づけられたのは2000年以降であるため、それ以前の住宅では階段に手すりがないケースもある。
そのような場合は、安全性を高めるために手すりを取りつけることが大切だ。
b. フットライトの取り付け
階段には窓がないことが多く、昼間でも薄暗い場合が少なくない。そのような場合は、フットライトの取り付けリフォームが有効だ。
人感センサーで点灯するタイプであれば、スイッチを探して操作する必要がなく、自動で消灯するため電気代も抑えられる。
c. すべりにくい床材への変更
階段の踏面をすべりにくい床材へ変更するのも、安全対策としてはおすすめのリフォームだ。また、設置時はすべり止め効果があったものの、長年使用してきたため表面がツルツルになってしまったようなケースもあるだろう。
階段の構造自体に問題がなければ、表面にコルク材を上貼りするようなリフォームだと、コストを抑えて安全を確保できるので検討しよう。
d. 階段の段数変更(かけ替え)
既存の階段の勾配が急だったり、段数が少なく1段の高さが高かったりする場合には、段数を増やして段差を小さくするリフォームを行うと安全性を高められる。
既存の階段が直線階段であるなら、途中に踊り場がある折り返し階段や回り階段、かね折れ階段にリフォームすることを検討しよう。
ただし、段数の変更リフォームは、既存階段を解体して新しくかけ替える必要がある。直線階段から折り返し階段などへのかけ替えは、スペースの問題もあるだろう。また、かけ替えは、比較的高額になる点には注意しよう。
②古くなった階段のリフォーム
古くなった階段のリフォームは、以下のような内容が考えられる。
- ・床材の交換
- ・階段のかけ替え
順番に見ていこう。
床材の交換
階段が経年劣化により古くなったため、外観を回復させたい場合には、踏面に使用されている床材を交換するリフォームを実施しよう。
踏面に使用する床材は、安全性を考慮して滑りにくい素材を選ぶことが大切だ。基本的には合板よりも無垢材が滑りにくい。リフォームの予算を抑えるのであれば、張り替えではなく上貼りしてもよいだろう。
階段のかけ替え
階段の上り下りをする際にきしむ、フワフワするなど、構造に問題があると考えられる場合はかけ替えリフォームが必要だ。既存の階段と同じ種類にかけ替えるのが簡単だが、状況によっては別タイプの階段に変更できる場合もある。
ただし、階段のかけ替えリフォームは費用が高く、さらに種類を変更するとなると、より高額になるケースがほとんどだ。かけ替えに関しては、リフォーム業者とよく相談してベストな方法を考えることをおすすめする。
なお、階段のかけ替えは家の構造や規模によっては、建築基準法の定めにより、確認申請手続きが必要
建築基準法によると、4号建築物(木造2階建てかつ500㎡以下)以外の物件については、建築物の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上について行う過半の修繕、 模様替えについて、確認申請手続きが必要。つまり、木造3階建て、鉄骨2階建てなどなら、確認申請手続きが必要になる。
階段リフォーム工事費用を予算内に抑えるためのポイント
階段リフォームの工事費用をできるだけ抑えたい場合には、以下の2点を押さえておこう。
- ①階段の位置や種類はできるだけ変えない
- ②介護保険を活用する
順番に解説しよう。
①階段の位置や種類はできるだけ変えない
階段リフォームでは、できるだけ既存の階段を活かすのが費用を抑える基本だ。階段の位置や種類を変更するとかけ替えが必要になるため工事が大がかりになり、リフォーム費用も高額になる。ただし、安全性を考慮して急勾配を解消したいような場合には、かけ替えを選択する必要があるだろう。
また、既存の階段の構造自体に問題がないようなら、踏面や蹴上げに新しい仕上げ材を上張りすれば、簡単に外観をリフォームできる。美観目的だけであるなら、既存の階段をそのまま活用する方向で考えよう。
②介護保険を活用する
家族に介護保険の要支援者や要介護者がいる場合には、介護保険を活用してのリフォームを検討しよう。
介護保険が適用されると、支給限度基準額20万円のうち、9割(18万円)を上限として補助を受けられる。
介護保険の対象となるバリアフリーリフォームの種類は、以下のとおりだ。
- ・手すりの取り付け
- ・段差の解消
- ・滑りの防止や移動の円滑化などのための床や通路面の材料の変更
- ・引き戸などへの扉の取り替え
- ・洋式便器などへの便器の取り替え
- ・その他、上に挙げた住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
階段リフォームに関しては、手すりの取り付けや滑りにくい床材への変更などが補助の対象になる。まずはケアマネジャーなどに相談しよう。
階段リフォームの検討から施工完了までの流れ
階段のリフォームを検討してから施工完了までの流れを、5つのステップで解説する。
ステップ① 階段リフォームの内容を相談・検討する
階段リフォームの相談先は、介護保険を利用するかしないかによって異なる。
介護保険を利用して、手すりの取り付けなどを行う場合には、相談先はケアマネジャーだ。そうでない場合には、リフォーム業者に直接相談するといいだろう。
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ステップ② 見積もりを取る
リフォーム内容が固まったら、リフォームの依頼を検討している業者から見積もりを取ろう。疑問点や不明点は、納得いくまで説明してもらうことが大切だ。
なお、おおよその仕様が決まったら、一度に複数社に見積もり依頼ができる「一括見積もりサイト」を利用するのも、手間が省けるのでおすすめだ。
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ステップ③ リフォーム業者と契約する
見積もり金額に納得したら、リフォーム業者と契約を締結しよう。
なお、介護保険を利用して階段リフォームを行う場合は、「契約・着工前」に申請する必要がある。原則として事後申請は認められない点には注意しよう。
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ステップ④ 施工・完成
契約した内容どおりにリフォームされているか、よく確認しよう。
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ステップ⑤ 支払い・補助金の受け取り
工事に不備がないことを確認したら、リフォーム業者にリフォーム代金を支払おう。
なお、介護保険を利用する場合も、いったん業者に対して全額の支払いが必要だ。工事後に申請通りにリフォームが行われたか、基準を満たしているかなどが確認されたあとに、補助金の受け取りとなる。
階段リフォームで注意するポイント
階段リフォームで失敗しないためには、事前に以下の2点を確認しておこう。
- ①安全性を最優先にする
- ②階段リフォーム中の過ごし方をシミュレーションしておく
順番に説明しよう。
①安全性を最優先にする
紹介してきたとおり、階段に関しては安全性を最優先にリフォーム計画を考える必要がある。
床材の張り替えに合わせてフットライトを設置するなど、できるだけ安全性が高まるようなリフォーム計画を立てよう。見た目だけを優先し、滑りやすい床材や握るのには細すぎる、あるいは太すぎる手すりを選ばないことが大切だ。
②階段リフォーム中の過ごし方をシミュレーションしておく
階段のリフォーム中は、上階への行き来ができなくなるため、その間の過ごし方を考えておこう。
半日から1日で終わるリフォームであれば問題ない場合がほとんどだ。しかし、かけ替えとなると3日から1週間程度かかるため、下の階だけで過ごせるように準備しておかなければならない。家族の人数や部屋数によっては、リフォーム中は短期賃貸マンションなどでの仮住まいを検討する必要もあるだろう。
失敗しない階段リフォーム業者の選び方
階段のリフォームを依頼する業者選びで失敗しないためには、以下の3点に注意しよう。
- ①家を建てた業者に依頼する
- ②近くにあるリフォーム業者に依頼する
- ③一括見積もりは安さだけで選ばない
順番に見てみよう。
①家を建てた業者に依頼する
階段リフォームは、まずは家を建てた業者に依頼することをおすすめしたい。
特に、階段を新しくかけ替える、階段の種類を変更するような大がかりなリフォームであれば、家の構造を熟知した家を建てた業者なら安心して任せられる。
②近くにあるリフォーム業者に依頼する
階段リフォームは、家を建てた業者ではなく、自分で探したリフォーム業者に依頼することも可能だ。踏面の張り替えや上張りなどのちょっとしたリフォームであれば、内装リフォームを行っている業者であればどこでも対応してもらえる。
その場合は、住宅の近くにあるリフォーム業者を選ぶことをおすすめしたい。
住宅は建築してから何十年も住むものであるため、定期的にメンテナンスが必要だ。ライフスタイルや家族構成の変化により、たびたびリフォームが必要になる。その都度リフォーム業者を探すのは大変だ。
近くにあるリフォーム業者であれば、ちょっとしたトラブルでも気軽に見に来てもらえる。階段リフォーム工事を機に、ホームドクターとなってもらえるような業者を選定しよう。
ただし、リフォーム業者のなかには、マンションリフォームを中心に行っているところも多い。ホームページなどをチェックして、戸建て住宅のリフォーム事例が多く掲載されている業者を選ぶようにしよう。
③一括見積もりは安さだけで選ばない
リフォーム業者を選ぶときには、ぜひ、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行おう。リフォーム工事には「定価」がないため、1社の見積もりだけではその価格が適正か判断できない。そのため、複数社に同じ内容で見積もりを取り、比較することが大切だ。
なお、複数のリフォーム業者から見積もりを取る際には「一括見積もりサイト」が便利だ。一括見積もりサイトとは、住宅のある場所や希望するリフォームの内容を入力すると、対応できる複数の業者をピックアップしてくれる。一から業者を探したり、何度も同じ内容を入力する手間と時間を省くことができる。
見積もりを取ったなかから選ぶときには、価格だけで判断せずに、やり取りするなかで感じた業者の印象を大切にしよう。いくら見積もり金額が安くても、担当者の態度が悪かったり、回答までに時間がかかったりするリフォーム業者は、良い仕事は期待できない。
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