耐震・耐久性を追求しつつコストダウンを図る
建物建築費が2300万円と、こちらも値頃感の強い価格だが、やっぱり中村さんの工夫の成果である。不動産投資仲間に紹介された建築士と工務店に依頼。「道路付けの悪い土地にも慣れている業者さんだと、工期も短いし、コストを抑制できます」
そのうえで、地盤や基礎などにはキチンとお金をかけて耐久性を重視した。また、独立の住宅検査会社を入れて、設計図・仕様書どおりに建てられているかをチェック。もちろん、設備・内装も入居者が満足できるよう高水準を堅持した。
古家の解体費用は建築士を通じて相見積もりを取り、ここでもコストダウンを図った。「耐震・耐久性や快適さは追求するけれど、ムダなコストはかけない。メリハリをつけることが大切では」と中村さんは強調する。
初期費用も含めた総投資額は7300万円となったが、1500万円は自己資金を準備した。「土地価格が下落傾向にある今、フルローンではリスクが大きすぎる。できるだけ借入は圧縮したほうがいい」と堅実だ。
結果として、毎月の実質的な返済は8万円に。サラリーマンがゆとりを持って返せる水準になった。繰上げ返済もしていく考えだ。「賃貸部分の家賃設定は高めですが、質のいい入居者さんに恵まれます」。だから、経営の安定性も高い。
ウマイ話にはワケがある。ワケあり地を活用した頭脳的なマイホーム獲得術。よいお手本になりそうだ。
*ダイヤモンド・ザイ2012年2月号から転載(取材・文/米田真理子、撮影=和田佳久)