「チラシ」で、不動産の購入希望者からたくさんの問い合わせを得るための方法とは? 不動産会社向けの集客・教育コンサルを行っている私、株式会社レコの梶本幸治が解説致します。不動産仲介会社の新人営業担当者に向けた当シリーズですが、不動産仲介会社側の視点が垣間見えるので、不動産の購入&売却希望の方も、参考にしてみてください。
-
◆今回の用語解説
-
- 「新聞折込広告」:新聞(日刊紙)へ、チラシを折り込む形で実施する広告。
「情報誌折込広告」:戸別配達される地域の情報誌へ、チラシを折り込む形で実施する広告。
「情報誌掲載広告」:戸別配達される地域の情報誌に、記事として掲載される広告。
「業者ポスティング広告」:ポスティング業者を利用し、各戸にチラシ投函して行う広告。
「自社ポスティング広告」:ポスティングスタッフを自社で整備し、各戸にチラシ投函して行う広告。 - 「直物件」:売主と直接、媒介契約を締結し、販売依頼を受託している物件。
「業物」:他の不動産会社が売主から販売を依頼されている物件。レインズ等の情報交換で資料を入手。
「買い反響」を獲得するための広告媒体といえば、
かつては「新聞折込広告」だった
私が平成8年(1996年)に新卒で不動産業界(某大手住宅メーカー系の不動産仲介会社)に入った頃は、不動産の「買い反響」を獲得するための施策は、新聞折込広告が中心でした。
当時は、毎週「チラシ会議」が開催され、優先して販売すべき「直物件」をチラシに掲載するのはもちろんのこと、「業物」を選別し、売れ筋の業物があれば物件の媒介受託元である不動産業者に連絡を入れ、広告承諾を取得したのち、広告作成に取り掛かりました。
1件1件、掲載物件も丁寧に選別し、満を持して実施した新聞折込広告が多くの問い合わせを獲得したときは、それはうれしかったものです。
実際、新聞折込は問い合わせも多く、2500~3000部に1件程度の問い合わせを獲得できたと記憶しています。(20年以上前の話なので、もしも若干の記憶違いがあればスミマセン)
この「2500~3000部に1件程度の問い合わせ」という反響率は、現在の不動産新人営業マンの方には信じられないほどの高確率でしょう。
今、新築戸建ての分譲現場への問い合わせを獲得するための新聞折込広告は、「まんぶいち」つまり、1万部で1件の問い合わせを獲得できれば御の字、と言うレベルにまで落ち込んでいます。
ひと昔前まで「まんぶいち」と言えば、「駄目なチラシ」を表す言葉でしたが、今では「反響目標」となりつつあります。
不動産売買仲介の新聞折込広告に関しましても、地域差はあるものの5000部~7000部で1件の反響を取れれば充分といったところではないでしょうか。
また、そもそも買い反響を取るチラシの媒体としては新聞折込を全面廃止し、情報誌折込広告、情報誌掲載広告、ポスティング広告を用いている会社も多いでしょう。
なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか?
現在のおすすめ広告媒体は、
「情報誌折込広告」と「自社ポスティング広告」
日本新聞協会の統計「新聞の発行部数と世帯数の推移」によると、1世帯あたりの新聞発行部数は、2008年に1.00部を切る「0.98部」となって以降も下落し続け、2019年には「0.66部」になってしまいました。
つまり、新聞を取っている家庭が激減したことにより、新聞折込広告からの問い合わせが減ったと推測することができます。
魚のいない釣り堀にいくら釣り糸を垂らしても、魚は釣れないのと同じ理屈です。
反響の取れる不動産チラシの作り方を考える前に、まず認識してほしいことは、どれだけ素晴らしいチラシを作成しても、チラシの実施媒体を間違ってしまうと問い合わせは獲得できないということです。
チラシ実施媒体に関して、私のコンサル先の不動産仲介会社様での事例をもとに申し上げますと、「情報誌折込広告」と「自社ポスティング広告」がおすすめです。
情報誌“掲載”広告は地域によっては有効な場所もございますが、情報誌“折込”広告に比べると問い合わせ数において不満が残ります。
ただし、エリア内の小ぶりな収益物件(価格8000万円程度まで)を情報誌掲載広告で販売したケースはときどき聞きますので、収益物件販売には適しているかも知れません。
また、“業者”ポスティング広告よりも“自社”ポスティング広告がおすすめな理由は、業者ポスティング広告はチラシの納品日と配布日が離れているケースが多く、機動的なチラシの配布ができないからです。「本当に配布しているのか?」との疑念が払拭できない場合もありますので、自社でポスティングスタッフを整備された方が良いでしょう。
ポスティングスタッフへ支払う報酬は、これも地域差はあるもののチラシ1部あたり2円50銭~5円程度だと認識しています。
チラシ実施媒体の重要性をご理解頂いたところで、反響の取れる不動産チラシの作り方をご紹介します。
【売主向けの関連記事はこちら】>>広告効果が薄れたといわれる「不動産チラシ」も、キャッチコピー次第で確実な買い手を集められる! 「不動産チラシ10カ条」を不動産コンサルが解説
反響が獲れる「不動産チラシ」の作り方
不動産業界で実際に作成されているチラシの大部分は、「お客様の問い合わせを引き出す」チラシではなく、「単に物件情報のみを発信し、気になった方からの問い合わせを待つ」チラシがほとんどだと思います。
所在地、価格、間取りや地形、物件概要を記載し、余白には「★駅徒歩7分」「★東南角地」「★建築条件なし」等のコメントを記載する……ただそれだけ。
これでは、単に物件情報のみを発信しているに過ぎません。
紙媒体による広告は、お客様から見ると受動的な広告です。受動的な広告である以上、「やる気のない方をやる気にさせる」工夫が必要なのです。
そのため、10,000部の広告を実施する場合は3人のお客様(ターゲット)にだけに響く広告を作るよう心掛けてください。9,997人に無視されても、3人だけは「問い合わせをせずにはいられない」ように。それが実現できれば、3,333部に1件の問い合わせを獲得でき、そのチラシは「合格ライン越え」となるわけです。
具体的な方法として、チラシ作成時には「その物件を買ってくださるお客様のターゲット像(ペルソナ)」を考えていただくように、コンサル先の不動産仲介会社に提案しています。たとえば……
-
「この物件を買って下さる方は、どんな家族構成だろう?」
「ご主人様・奥様・お子様の年齢は?」
「どんな車に乗っておられるのだろう?」
「どんな趣味だろう?」
「どんなお仕事だろう?」
このように「その物件を買ってくださるお客様のターゲット像」を細かく設定し、チラシの紙面はそのターゲットのみ「刺さる」内容となるように心掛けましょう。
不動産新人営業マンの方に、参考にしてもらえますとうれしいです。
【関連記事はこちら】>>″不動産業界への転職″はおすすめ? 未経験での転職で「成功する人」「失敗する人」
【買付編】
(1) 不動産買付営業の基本的な考え方
(2) 反響が獲れる「不動産チラシ」の作り方
(3) 反響が獲れる「不動産WEBサイト」の考え方
(4) お客様を案内する際の注意点
(5) 「不動産購入申込書」受領時の注意点
【仕入れ編】
(6) 不動産仕入れ営業の基本的な考え方
~今後公開予定~
(7) 「売り求むチラシ」で仕入れを行う方法
(8) DMで不動産所有者から連絡をもらう方法
(9) 「不動産一括査定サイト」利用時の注意点
(10) 不動産査定訪問時の注意点
(11) 不動産売却希望者の長期追客法
不動産業界を含む「転職エージェント」サービスはこちら! |
◆宅建Jobエージェント(不動産業界「未経験」でも対応可能) | |
求人数 | 非公開求人を含む1000件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 2019年 |
運営会社 | 株式会社ヘイフィールド |
【ポイント】不動産業界に特化した転職支援サービスを展開。業界未経験でも相談可能 | |
|
◆リアルエステートworks(不動産業界「経験者」のみ対応) | |
求人数 | 1000件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 2019年 |
運営会社 | 株式会社BEYOND BORDERS |
【ポイント】不動産業界経験者に対応。不動産業界に特化した転職支援サービスを展開。専任のキャリアコンサルタントが企業とのマッチングを支援 | |
|
◆dodaエージェントサービス | |
求人数 | 非公開求人を含む10万件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 1997年(株式会社インテリジェンス) |
運営会社 | パーソルキャリア株式会社 |
【ポイント】「正社員」での就業を前提とした転職支援サービスを展開 | |
|
◆リクルートエージェント | |
求人数 |
非公開求人数:268,817件 ※2023年3月30日時点 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 1977年(株式会社日本リクルートセンター) |
運営会社 | 株式会社リクルート |
【ポイント】歴史は長く、転職支援実績は累計45万名以上(2018年3月期)※同社調べ | |
|
◆マイナビジョブ20's | |
求人数 | 20代対象の厳選求人1000件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 2011年(株式会社マイナビ) |
運営会社 | 株式会社マイナビワークス |
【ポイント】第二新卒者・20代若手社会人を必要とする求人のみに特化 | |
|
・不動産屋さんの「給料」「年収」は?
・深夜にメールが来たけど「残業」多いの?
・「お休み」は少ない? 土日祝日も仕事?
・担当者が急に辞めた…「離職率」は高い?
・「定年」まで働く人は多い?
・仕事ができる人が持っている「資格」は?