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不動産購入を希望するお客様への
「物件案内」時の注意点不動産新人営業マン向け講座④(買付編)

【第46回】2020年5月29日公開(2020年7月15日更新)
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長。普段は不動産会社向けの集客&教育のコンサルティングを中心としていますが、ダイヤモンド不動産研究所では売主の側に立った「不動産を売却するときの注意点」シリーズなど、さまざまな読者に向けて解説します!

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不動産の購入希望者に物件を案内する際に、不動産仲介会社の営業担当が気をつけるべきことは? コロナ禍の不動産業界の取り組みにも少し触れつつ、詳しく解説したいと思います。(不動産会社向けの集客&教育コンサルタント・梶本幸治)

■不動産新人営業マン向け講座■
【買付編】
(1) 不動産買付営業の基本的な考え方
(2) 反響が獲れる「不動産チラシ」の作り方
(3) 反響が獲れる「不動産WEBサイト」の考え方
(4) お客様を案内する際の注意点
(5) 「不動産購入申込書」受領時の注意点

~今後公開予定~
【仕入れ編】
(6) 不動産仕入れ営業の基本的な考え方
(7) 「売り求むチラシ」で仕入れを行う方法
(8) DMで不動産所有者から連絡をもらう方法
(9) 「不動産一括査定サイト」利用時の注意点
(10) 不動産査定訪問時の注意点
(11) 不動産売却希望者の長期追客法

「物件案内」をする際に気をつけること

 以前の記事の中で、「不動産買付営業の基本的な考え方」として次のようにご提案しました。

  • ・不動産買付営業では「購入理由」のヒアリングに全力を尽くす

  •  

  • ・「購入物件像」に関してはお客様から聞くのではなく、ヒアリングした「購入理由」に基づき、営業担当者から提示する

 この考え方について、具体的に解説しましょう。

 購入希望の顧客が、たとえば「名古屋市営地下鉄の池下駅周辺で、中古の分譲マンションを探している」とおっしゃっているとします。しかし「購入理由」のヒアリングにより、あなたが「いや、このお客様の購入理由であれば、星ヶ丘駅近くの中古戸建の方が良いはずだ!」と判断するのであれば、不動産のプロとして「池下駅のマンション」に加え、「星ヶ丘駅の戸建て」もご提案いただきたい、ということですね。

 なぜ、購入理由をヒアリングした上で、顧客の希望条件以外の物件も提案した方がいいのでしょうか? ここで1つ余談ですが、不動産の営業担当者なら、次のような経験をしたことがあると思います。

  •  不動産購入を希望する顧客からご希望条件(物件種別・予算・広さ・最寄駅からの距離など)を聞き、条件通りの物件を何件か案内するも商談まで進展せず、その日は「また、いい物件が出ましたらご連絡します」と伝えて解散。

  •  

  •  その後、希望条件に合う物件が売りに出されたため、大急ぎでお客様に電話したところ、「ごめんなさい。他の物件を買ってしまいました」との返事。

  •  

  •  どんな物件を購入したのか聞いてみたところ、予算も広さも最寄り駅も、聞いていた条件とは全く異なる物件でビックリ。

  •  

  •  お客様との電話を切った後で、「くそ~。お客様にウソをつかれた! 聞いていた条件と全然違うじゃないか!」と不満を漏らしたところで後の祭り……。

 しかし、これはお客様がウソをついていたわけではありません。

 不動産営業担当者のヒアリングが不足していたのです。いや、正確には「ヒアリング不足」というより「ヒアリング対象の間違い」と言った方がいいかも知れません。

 購入希望の顧客への最初のアプローチは、「どんな物件をお探しですか?」と聞くか、「なぜ、不動産を購入しようと思われたのですか?」と聞くかで、その後の営業方針は全く異なってきます。私のコンサル先の不動産営業担当の方には、後者の質問を聞くように伝えています。

「なぜ、不動産(マイホーム)を購入しようと思われたのですか?」
「なぜ、不動産(マイホーム)を購入しようと思われたのですか?」と質問しましょう。(画像:PIXTA)

 ここでお客様から「結婚するんです」との返事があっても、「結婚されるんですか。おめでとうございます。それで、どんな物件をお探しですか」と話を進めてはいけません。

 結婚するから家を買う……それって普通でしょうか?

 「結婚するから家を買う人」と「結婚するから賃貸を探す人」なら、いきなり家を買う人よりも、賃貸を探す人の方が人数は多いでしょう。

 ここはもう一歩踏み込んで、「結婚されるにあたって賃貸を探される方も多いですが、なぜ、このタイミングでマイホームを購入しようと思われたのですか?」とヒアリングしたいところです。

 このように「なぜですか?」「なぜですか?」「なぜですか?」と聞き進めていくと、顧客の「真の購入理由」に行き当たる可能性が高まります。

 そして、この「真の購入理由」を踏まえた上で、前述のように「いや、このお客様の購入理由であれば池下駅周辺の譲マンションよりも、星ヶ丘駅近くの中古戸建の方が良いはずだ!」とあなたが判断すれば、不動産のプロとして堂々とご提案してほしいのです。

 「くそ~。お客様にウソをつかれた! 聞いていた条件と全然違うじゃないか!」と愚痴ることの多い営業担当者は、この「真の購入理由」が把握できていないと私は考えています。

 お客様は「不動産の素人」です。どんな物件がどんな価格でどんな条件で売りに出ているのか、深くはご存知ではありません。

 つまり、「どんな物件をお探しですか?」と質問されても、インターネットで検索した程度の知識しかお持ちではないのです。

 今後、AIなどが不動産業界にも導入されてくると、「どんな物件をお探しですか?」と質問して聞いた希望条件に対する提案しかできない営業担当は、残念ながら淘汰されてしまうかもしれません。

 お客様を案内する際には事前のヒアリングに力を入れ、「プロにしかできない提案力」でお客様にご満足いただける物件を紹介してください。

コロナ以前と以後で、「物件案内」は変わるのか

 しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響により「物件案内」の方法も様変わりしつつあります。

 「今のところ、そんなに影響は受けていないよ」とおっしゃるエリアもありますが、そのような地域でも、次の秋冬での再流行の可能性まで見据えれば、コロナ以前と全く同じ方法での案内は難しくなるかもしれません。

 そんな中で、LINE(ライン)のビデオ通話を使った「LINE案内」や、YouTubeに物件の室内動画を多く掲載して、その動画を顧客に見てもらう「YouTube内覧」を取り入れている不動産業者も出てきています。

 不動産業界は今まで「IT導入の遅れた業界」と言われてきました。

 私自身も「ITの導入が遅れてて何の問題があるんだ。別にいいじゃないか」という気持ちが心のどこかにありましたが、今回のコロナの影響を受け、認識を新たにした次第です。

 不動産の仕事は「face to face」が大切であり、「会ってナンボ」の世界です。face to faceの良さは理解できますし、不動産の商談を進める上では大切なことですが、「face to face至上主義」までいくと、いかがなものかと思います。

 テクノロジーで代替できるところは代替していく発想が、我々、不動産業界にも必要でしょう。

 しかし、不動産業界に最新のテクノロジーを提供してくれるはずの不動産テック企業側にも、問題は多いように思います。

 あえてひどい表現を使わせていただくと、「不動産の素人が単なる思いつきで作った、ワケの分からない横文字サービス」が多すぎるのです。

 もちろん、不動産テック企業の中には不動産業を調査し、マーケットに必要とされるサービスを提供している会社もたくさんいますが、そうではない会社も多すぎるのです。

 不動産会社側からも、エンドユーザー側からも、ニーズがあるとは思えないサービスを開発し、「旧態依然とした不動産業界を、我々が開発したこのサービスで変える」と言っている(ように聞こえる)、自己陶酔型の不動産テック企業がいらっしゃいます。

 アフターコロナをこのような状況で乗り越えていけるのでしょうか?

 IT嫌いの不動産会社も、思い込みの激しい不動産テック企業も、それぞれの殻を破り、お互いに手を携えて、エンドユーザーの皆様に喜んでもらえるサービスを提供したいですよね。

 コンサルタントのくせに具体的な提案が皆無で、精神論的な事を言い過ぎて汗顔の至りです。

 しかし、「禍福はあざなえる縄の如し」とも申します。コロナ禍を契機にみんなで知恵を出し合って、不動産業界が良い方向に変わっていけることを心より願います。
【関連記事はこちら】>>″不動産業界への転職″はおすすめ? 未経験での転職で「成功する人」「失敗する人」

■不動産新人営業マン向け講座■
【買付編】
(1) 不動産買付営業の基本的な考え方
(2) 反響が獲れる「不動産チラシ」の作り方
(3) 反響が獲れる「不動産WEBサイト」の考え方
(4) お客様を案内する際の注意点
(5) 「不動産購入申込書」受領時の注意点

~今後公開予定~
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(6) 不動産仕入れ営業の基本的な考え方
(7) 「売り求むチラシ」で仕入れを行う方法
(8) DMで不動産所有者から連絡をもらう方法
(9) 「不動産一括査定サイト」利用時の注意点
(10) 不動産査定訪問時の注意点
(11) 不動産売却希望者の長期追客法
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