女性が単身で住宅を購入する場合、どういう物件を選んだらいいのでしょうか? 内装・外装のおしゃれさや、値引きの提案につられてしまって、後々、トラブルを抱えてしまう人も少なくありません。自分に合った物件の選び方、また、結婚や出産などで手放す事になった場合を考えて「資産価値が高い物件」を探すポイントを解説していきます。(ライター・井島加恵、監修・FPフローリスト)
単身女性の住宅購入、物件選びに失敗してトラブルを抱える人も
住宅を購入する際、物件のどこを見て購入を決断しますか? このとき、物件選びに失敗してしまうと、後々痛い目に遭うケースもあります。
不動産購入に詳しい、株式会社FPフローリストのファイナンシャルプランナー(以下、FP)の木村美紀子氏によると、「実は、マンションの購入後に、金銭面や精神面でのトラブルを抱えて、FPに相談に来る女性は多い」と言います。
女性が一人で住宅を購入する場合、陥りがちな失敗は住まいのイメージが先行してしまうこと。
「ひとめぼれして購入したマンションは、周辺の環境も良くて、部屋もきれいでおしゃれ。だけど、数年経つと給排水管からの水漏れや、窓のサッシのガタつきが目立ち始めました」と、とある女性は言います。しかし、この物件を簡単に手放すこともできないとのこと。「住宅ローンの残債もあるし、売却したくても買い手がいない。この物件に住み続けるしかありません……」
物件選びに大きく失敗してしまうと、この例のように、身動きが取れなくなってしまいます。
同じく、不動産業での勤務経験もあるFPフローリストのFP・飯田敏氏によると「女性のお客様はイメージを重視していました。好まれるのは、何よりも明るくてきれいな物件です」と、不動産営業担当者だったころを振り返ります。
特に、新築マンションのモデルルームはインテリアのセンスも良く、心ひかれるものですが、理想の暮らしをイメージして作られているので、当然のことです。また、最近ではきれいに整備されたリノベーション物件も注目されていますが、「きれいな物件」でも、実際に良いマンションかどうかは分かりません。
また、不動産会社から「この部屋は500万円値引きできます。お得ですよ!」と提案されて、飛びついてしまった……という人もいます。
“値引き”にはかなり注意が必要です。値引きするということは、値引きしないと売れない物件である可能性がありますから、そんな物件は自分が売却しようと思ったときも、人気が無く、強気で売れなくなってしまいます。
重視すべきは「資産価値が高い」物件
FPの木村氏は、「女性はライフプランが変わる可能性があるので、売りやすい・貸しやすいという、<資産価値>を重視して物件を選ばないと、身動きが取れなくなってしまいます」と話します。
「資産価値が高い物件を選べ」というのは以前から言われていますが、女性ならなおさら、そうした目線が必要だということです。では、“売れる物件、貸せる物件”、“人気が落ちない物件” とは、具体的にはどんな物件なのでしょうか。
①立地がいい(所在地、駅徒歩)
不動産は、一にも二にも立地がすべてと言っても過言ではありません。東京23区の場合は、もちろん都心に近いこと。山手線沿線の内側の方が、外側よりも資産価値が高くなります。そして、最寄り駅からの所要時間。理想は徒歩5分以内ですが、一般的には徒歩10分とも。ただし、実際歩いてみるとわかりますが、10分歩くのは意外と遠いと感じる人も多いです。
②2階以上(できれば4階以上)
ただし、駅近だと住環境が悪いこともあります。物件によっては、日当たりが期待できないこともあるので、4階以上が望ましいでしょう。1階は、一般的に、あまり人気がありません。
③物件の方角
方角は、南、東、西、北の順番で価格が下がっていきます。方角も階数と同様に、通常、北向きの物件は好まれません。やはり南や東向きの物件が理想です。ただし、向きに関係なく、住環境によって眺望や日当たりは変わるので、建物ごとに判断するのがいいでしょう。
④築年数(築浅重視)
今後、売却する可能性があるという女性には、できるだけ築浅のマンションをおすすめします。築10年のマンションを購入した場合、10年後はまだ築20年。売却するのにもそれほど困らなさそうです。これが築25年で10年後が築35年となると、売却のときの不安がぬぐえません。
自分はこれでいいと思っている、という基準は、資産価値とは関係がありません。「わたしは北向きでも問題ない」と思っていても、一般的には人気がありませんから、いざという時に借り手・買い手が付きにくくなってしまいます。
ただし、懸念事項があっても、買い手が付くことはあります。株式会社東宝ハウス町田の営業担当者・三浦亨二氏によると、「人が嫌だという部分を気にしない人にとっては、良い物件に変わるんです。例えば、目の前に高速道路があると嫌がる方が多いですが、実はそこには高い建物が建つ可能性もなく、日当たりは確保されますし、眺望が開けます。優先度が違う場合があるんですよね」
このような話もありますので、いろんなケースがあり得るということも、頭に入れておきましょう。
また、コロナウイルスの感染拡大によって、マンションの資産価値が下がるのでは? という話もありますが、コロナ禍で経済がストップしていた反動もあり、マンションの売れ行きは、堅調に推移しています。
【関連記事】>>2020年10月マンション市況、価格、売れ行きは? 〜ウィズコロナのマンション市況 やっぱり強かった中心地物件〜
「コロナ禍前と後で、住まい探しの条件に大きな変化はないように思います。しいて言えば、“会社まで近い”ことより、“在宅で仕事ができるスペースがあるか”どうかは、優先順位が上がりました。ただ、独身女性が購入する物件については、そこまで影響はないのではないでしょうか」(三浦氏)
自分にとって「理想の物件」の条件とは?
資産価値が高い物件かどうかも大切ですが、「自分にとって価値のある物件か」という視点も忘れてはいけません。そこで、自分の理想や好み、優先条件などを知るためにも、以下のポイントをもとにして、物件選びをしてみましょう。
①好きな街であること(住みたいと思えること)
ある不動産会社が行った「購入物件と前住所との距離の調査」※によると、ほぼ半数の人が、前の物件から3km以内に新しい家を購入していたことが分かりました。(※株式会社インテリックス「マンション購入者の購入物件と前住居との距離調査」2014年/n=200)
また、子どもの頃や学生時代に住んでいた街に、家を購入する人も多く、たいていの人は、自分に縁もゆかりもない場所は選びません。物件のハード面ばかりに目がいきがちですが、結局は、自分自身がその街で楽しく暮らせるかどうかも大切です。
②通勤ストレスがないこと
会社勤務の場合、通勤ストレスがないエリアかどうかもポイント。通勤時間や乗り換え回数、電車の混み具合なども含めて、無理なく通勤できる範囲で選ぶようにしましょう。勤務先が首都圏の場合は、予算と照らし合わせながら、少しずつ郊外に広げ、自分の許容範囲はどこまでかを考えていきます。
「人気なのは、都心ダイレクトアクセス圏内です。東京駅や新宿駅に一本で行ける中央・総武線沿線の(中野区・杉並区・世田谷区)は、住環境も良く希望される人も多いエリアになります」(FP・木村氏)
当たり前のことのように思いますが、予算が少なかったりすると、少し無理をしてしまうポイントでもあるので注意しましょう。
③物件の設備や、ハード面での条件
「ペット可」「風通しが良い」「日当たりが良い」など、物件において優先度が高い条件をいくつか洗い出しておきましょう。
希望が多いのは、「宅配ボックスあり」、「ゴミ捨て24時間OK」、「大きめのバスタブ」、「浴室乾燥機能」など。浴室乾燥機能に関しては、後付けができないので、必要だと思う場合は忘れずにチェックをしておきましょう。
また、「収納スペース」も気にする人が多い箇所。広さだけでなく、扉の開閉の向きなど実際に使った場合をイメージしながら考えるといいでしょう。また、靴の数が多いという人は、下駄箱のサイズも余裕があるとベスト。最近では、「シューズインクローゼット」がある物件も増えています。
また、女性が忘れてはいけないのがセキュリティー面の設備です。なるべく「オートロック」や、外から玄関への出入りが見えないようになっている「内廊下」の物件であれば安心が増します。
また、意外と見落としがちなのは、マンションの総戸数。マンションには、管理費の使い方やさまざまな物事を決める、理事会というものがあります。理事会の理事は、基本的に輪番制で担当します。「総戸数が少ないマンションだと、頻繁に理事を担当しなくてはなりません。それが嫌だという人もいましたね。そういう人は、規模の大きいマンションじゃないと厳しいですよね」(FP・飯田氏)
独身女性におすすめの間取りは1LDK!
さて、これまでの内容をチェックリストにまとめたので、確認しておきましょう。
- <物件選びのポイント>
- ・好きな街であること(住みたいと思えること)
- ・最寄り駅の利便性が高い
- ・駅から徒歩10分以内(可能であれば、徒歩5分以内)
- ・2階以上(なるべく4階以上)
- ・南向き(または東向き)
- ・風通しの良さ
- ・築浅20年以内
- ・40戸数以上
- ・セキュリティーの充実(オートロック、内廊下)
では、最後にチェックするのは「間取り」です。
予算が足りない場合は、1Kやワンルームなどの狭いマンションを選んでしまいがちですが、万が一、自分が住まなくなった場合に、売りにくくなってしまいます。これらの狭い部屋は、住み心地も良くないですし、寝室とリビングが同じ空間になる部屋は、一般的にあまり好まれていません。
なので、単身女性が物件を買うなら、「1LDK」をおすすめします。寝室1つに、リビングダイニングとキッチンという間取りで、広さは40㎡~が主流です。
物件を買った後に、結婚や出産などでライフプランが変わったとしても、新婚であればそこに住むこともできますし、出産を機に引っ越したとしても、老後にまた住むこともできます。そのため、はじめはワンルームや1DK(リビングなし)で物件を探していた人も、内見をするうちに1LDKを希望するケースも多いとのこと。
1LDKにおける、リビング・ダイニングの配置は、タテ型またはヨコ型の2パターン。それぞれに特徴がありますから、好みのタイプを選びましょう。
・タテ型…キッチン、ダイニング、リビングが窓に向かって縦に並んでいて、リビングの隣に部屋がある間取り。キッチンのほうまで光がしっかり入らないというデメリットもありますが、両方の部屋がベランダに面しているのは気持ちがいい。
・ヨコ型…リビングとダイニングがベランダに面しているタイプ。寝室となる部屋より、一日で最も多く時間を過ごすリビングやダイニングの明るさを重視したい人におすすめ。
都心の場合は、3000万~4000万円台の物件が多いですが、最近は住宅ローンの金利が非常に低いので、年収400万~500万円台であれば、十分に検討が可能です。なかには、2LDKを購入するという女性もいるそうです。今後結婚し、子どもが生まれたときも暮らせることを想定した物件選びも賢いですね。
【関連記事】>>独身女性が買うべきマンションは「1LDK」 中目黒などの好立地マンションなら、値下がりしにくく、資産価値も高い!
中古マンションを選ぶときの注意点は?
最近は、リノベーション目的で物件を探す人も増えています。実は、私も中古マンションを購入してリノベーションしようと思っていた一人。インテリア雑誌やリノベーション会社の施工プランなどを見て、「すてき~♪」なんて盛り上がっていました。
しかし、マンション本体の構造や耐震は問題ないのか、リノベーションに適した物件なのかなど、素人では判断できかねることも多いのが現実。
リノベーション費用も合わせて住宅ローンを借りることができるのか、解決していかなければならない問題が山積みです。
避けては通れない「築年数問題」
中古マンションで気になるのが「築年数」。築古であるほど物件価格は安くなりますが、物件の耐久性が問題になってきます。
築年数を考える上で、まず頭に入れておきたいのが「耐震基準」です。
1981年(昭和56年)6月、建築基準法が改正され、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないという建物基準が義務付けられました。それ以前の建物を「旧耐震」、それ以降の建物を「新耐震」と呼びますが、新耐震基準に適合している建物の方が、耐震性が高いと言われています。
なお、旧耐震基準の建物は、震度5以上の地震についての耐震性能が明記されていません。そのため、どれぐらいの耐震性があるのかは、専門家に耐震性の調査・診断をしてもらう必要があります。そこで新耐震基準に準ずる耐震性をもった物件であれば、「耐震基準適合証明書」を取得することができます。
もし、築古の物件でも「耐震基準適合証明書」が取得できていれば、選択肢に入れてもいいでしょう。市場には、築45年でも「耐震基準適合証明書」を取得したマンションが存在していますから、築年数が経過している物件でも、証明書があるかどうかは注目すべきです。
また、FPの飯田氏によると「1988~1990年(昭和63年~平成2年)前後の物件は狙い目」だと言います。1990年(平成2年)はバブルのピーク。そのため、資材にお金がかけられていたり、ぜいたくに造られていることが多いとのこと。バブルのはじけた1993~1998年(平成5~10年)築は要注意ですが、1999年(平成10年)は、10年保証ができたため水準が上がっています」。
2020年4月の法改正で、中古住宅購入の安全性が増している
1999年、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、「10年保証」という制度がつくられました。住宅の引き渡し後10年間、売り主に「瑕疵担保責任」を負うことを義務付ける制度です。
この制度は、購入した中古住宅に何らかの欠陥が見つかった場合、購入から10年間は売り主が補修責任を負うというものでした。
それが、2020年4月に民法が改正され、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」として考えられるようになりました。
これによって、買主が契約と不適合な箇所を見つけた場合、今までは契約解除や損害賠償請求だけだったのですが、補修修理などを要求できる「追完請求」のほか、代金減額請求、催告解除、無催告解除などを請求できるようになったのです。
売り主にとっては責任が重くなりましたが、買い手にとっては、中古マンションを買う際の安全性が高まったとも言えます。
【関連記事】>>瑕疵担保責任に代わる「契約不適合責任」とは? 不動産の売主&買主が注意すべき点を詳しく解説!
共用部の管理状況や、修繕の履歴・積立金額などをチェック!
専有部は、リノベーションでいくらでも見た目をきれいにできます。しかし、共用部はごまかしようがありません。同じ築年数のマンションでも、建物の状態や敷地内の様子、外観などは、修繕や管理によって大きく変わります。給排水管や外壁など、共有部の修繕がどのように行われていたか、修繕履歴も教えてもらいましょう。
また、ゴミ捨て場が清潔に保たれているかどうか、外壁に気になるヒビなどはないかなどは、見ておくといいでしょう。
また、あわせて確認しておきたいのが修繕積立金と管理費用。合計で約2万円が一般的ですが、総戸数が少ないと、修繕積立費や管理費が高くなる傾向があります。しかし、都心には大規模は少なく、中・小規模が主流のため、最低でも40戸ほどあるマンションが理想です。さらに、修繕積立金総額も確認しておきましょう。
逆に、修繕積立金が安すぎるマンションも注意が必要。購入時点は問題がなさそうに見えても、5年後、10年後など、どこかで値上げせざるを得なくなります。
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>>ライフルホームズで詳細確認 | 価格 | 4,900万円~14,000万円 |
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完成時期 | 2023年9月 | |
交通 | 東京メトロ銀座線「田原町」駅 徒歩4分、つくばエクスプレス「浅草」駅 徒歩3分、東京メトロ銀座線「浅草」駅 徒歩6分 | |
所在地 | 東京都台東区浅草一丁目62番地2他(地番) | |
間取り | 1R~2LD・K+S | |
専有面積 | 28.52㎡~67.14㎡ | |
物件の特徴 | 総戸数 | 113戸 |
| 施工 | 西武建設株式会社 |
売主 | 住友不動産株式会社 | |
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完成時期 | 2024年6月 | |
交通 | JR常磐線「北千住」駅 ・東京メトロ千代田線「北千住」駅・東京メトロ日比谷線「北千住」駅・東武スカイツリーライン・TX線「北千住」駅 徒歩15分、京成本線「京成関屋」駅 徒歩3分、東武伊勢崎線「牛田」駅 徒歩3分 | |
所在地 | 東京都足立区千住曙町37-19、他(地番)、東京都足立区千住曙町9番6号(住居表示) | |
間取り | 1LDK・2LDK | |
専有面積 | 33.00㎡・46.70㎡ | |
物件の特徴 | 総戸数 | 50戸 |
| 施工 | 株式会社ナカムラ |
売主 | 一建設株式会社 | |
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リビオ亀有ステーションプレミア(物件詳細はこちら) | ||
>>ライフルホームズで詳細確認 | 価格 | 4,750万円~9,090万円 |
完成時期 | 2026年2月 | |
交通 | JR常磐線「亀有」駅 徒歩3分 ※南口 | |
所在地 | 東京都葛飾区亀有三丁目90-7、91-6、91-7(地番) | |
間取り | 1LDK~3LDK | |
専有面積 | 35.34㎡~65.43㎡ | |
物件の特徴 | 総戸数 | 42戸 |
施工 | 株式会社川村工営 | |
売主 | 日鉄興和不動産株式会社 | |
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イノバス菊川(物件詳細はこちら) | ||
>>ライフルホームズで詳細確認 | 価格 | 4,588万円~8,288万円 |
完成時期 | 2026年1月 | |
交通 | 都営新宿線「菊川」駅 徒歩3分 | |
所在地 | 東京都墨田区菊川三丁目16番46 他(地番) | |
間取り | 1LDK~2LDK | |
専有面積 | 33.08㎡~54.50㎡ | |
物件の特徴 | 総戸数 | 33戸 |
| 施工 | 株式会社福子工務店 |
売主 | 株式会社オープンハウス・ディベロップメント | |
ザ・グローベル久が原(物件詳細はこちら) | ||
>>ライフルホームズで詳細確認 | 価格 | 4,200万円~4,530万円 |
完成時期 | 2025年7月 | |
交通 | 東急池上線「久が原」駅 徒歩4分、東急多摩川線「鵜の木」駅 徒歩14分 | |
所在地 | 東京都大田区久が原3丁目1033番10外 | |
間取り | 1LDK+WIC・1LDK+WIC+SIC | |
専有面積 | 30.16㎡~32.39㎡ | |
物件の特徴 | 総戸数 | 30戸 |
| 施工 | 株式会社吉原組 |
売主 | 株式会社グローベルス | |