不動産・住宅業界への転職をお考えの方に対し、今回は「不動産会社に転職するなら、大手不動産仲介会社と地元業者どちらの会社が良いのか?」について、不動産会社向けの集客・教育コンサルを行っている私、株式会社レコの梶本幸治が解説致します。(不動産会社向けの集客&教育コンサルタント・梶本幸治)
不動産会社の数はコンビニの倍以上!
不動産会社に転職するなら、テレビCMで名前を聞いたことのあるような大手不動産仲介会社か、地元の不動産会社か、どちらが良いのでしょうか。
まずは、大手か地元かのお話をする前に、不動産屋さん(宅地建物取引業者)が全国にどのくらいの数があるのかを見てみましょう。
令和2年10月16日に国土交通省の不動産・建設経済局不動産業課がとりまとめた「令和元年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果」によると、令和2年3月末(令和元年度末)時点での宅地建物取引業者数は、国土交通大臣免許が2,603業者で、都道府県知事免許が123,035業者、全体では125,638業者とのことです。
ちなみに、(一社)日本フランチャイズチェーン協会が公表している「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」によると、2020年12月度のコンビニエンスストアの店舗数は全国で55,924店舗ですから、不動産屋さんはコンビニよりも倍以上多いことになります。
転勤したくない人は、地元不動産会社がおすすめ
少し話が脱線したのでもとに戻しますが、国土交通大臣免許というのは、2つ以上の都道府県にまたがって事務所を設置する場合に必要な宅建(宅地建物取引士)免許であり、都道府県知事免許というのは、1つの都道府県内に事務所を設置する時に必要な宅建免許です。
テレビCMで名前を聞いた事のあるような大手不動産仲介会社の多くは、全国展開しておられますので国土交通大臣免許になります。一方、地元の不動産会社は1つの都道府県にのみ店舗のある場合が多く、その場合は都道府県知事免許となります。
つまり、転職に際して地元を離れたくない方は「都道府県知事免許」の不動産会社を選ばれたほうがよいでしょう。大手不動産仲介会社でも、引っ越しを伴うような異動は比較的少ないですが、上のポジションに行くには遠方への転勤(関西から関東への異動など)が通過儀礼になっている会社も多いので注意が必要です。
不動産業界で独立を考えているなら?
では、「勤務地はどこでもいいよ」とおっしゃる方は、大手不動産仲介会社と地元不動産会社のどちらがよいのでしょうか?
不動産業界に飛び込んで来られる方の中には、将来的な独立も視野に入れて転職活動を行っておられる方が、ある一定数いらっしゃるのですが、そのような方には「地元不動産会社」をおすすめします。
「えっ! 大手不動産仲介会社のほうが教育制度も充実していて早く成長出来そうだし、案件数も多いだろうから経験も多く積めそうだけどなぁ。それに独立後も、有名な大手出身のほうが信頼してもらえそうだし。なんで地元業者を勧めるの?」と疑問に思われたかもしれませんね。
ご指摘の通り、以前の大手不動産仲介会社なら、独立志望の方にもおすすめできました。しかし、今の大手不動産仲介会社は正直あまりおすすめできなくなってしまいました。
地域密着型とは言えなくなった、大手不動産仲介会社
以前の大手不動産仲介会社は駅前に路面店を構え、地域密着型の営業スタイルをとっている会社がほとんどでした。地域に溶け込み、いかにして地域内で浸透していくかが営業戦略の重要な柱だったのです。
しかし最近では、駅前路面店数店を合併させ、大きなターミナル駅の近くに大規模なオフィス(空中店舗)を作り、そこから各地に営業へ向かうスタイルが増えてきました。
そのため、以前のような手間暇かけた地域戦略は影を潜め、豊富な資金力に物を言わせた大ざっぱ(…というと語弊があるかも知れませんが)な営業戦略がメインになりつつあります。
例えば、不動産所有者様から売却依頼を獲得する営業シーンでご説明しましょう。以前であれば、地域にチラシ配布のためにポスティングスタッフを配置したり、エリア内の空き地や空き家を営業担当者自らが調査したり、エリア内の既契約顧客から紹介をいただいたりしながら集客していました。
そして、お問い合わせを下さった不動産所有者様に対しても、地域密着ならではのエリア情報に基づいた査定価格の提示や、販売戦略の提案を行ったものです。しかし、今は「不動産一括査定サイト」という、ネット査定が集客の主流になりました。
独立するなら、地域戦略が学べる地元不動産会社がおすすめ
「不動産一括査定サイト」からお問い合わせ下さった不動産所有者様にはスグに「買い取り提案」を行う大手不動産仲介会社が多くなっています。そのほうがもうかるからです。不動産所有者様がその買い取り提案に難色を示されると、その後はお客様に連絡しなくなるといった、雑な営業担当も散見されるようになってしまいました。
「定年まで、大手不動産仲介会社にサラリーマンとして勤務したい」と希望されている方でしたら、何の問題もございませんが、いつか独立したいとお考えの方でしたら「不動産業者としての地域戦略」が学べないことは致命的です。大手の看板があればこそできる戦略しか知らないようでは、独立など夢のまた夢になってしまうでしょう。
それならば、地域で頑張っておられる地元の不動産会社で修業をさせてもらったほうが、将来の役に立つと思いますよ。あっ! 独立される際はあくまでも「円満」に独立されることを、老婆心ながらおすすめします。
大手不動産仲介会社と地元不動産会社のどちらにも長所短所があり、なかなか決められないかもしれません。そんな時は、あなたご自身の転職理由を再度見つめ直していただき、あなたの人生設計においてよりベストな転職先を選んでください。
【関連記事はこちら】>>″不動産業界への転職″はおすすめ? 未経験での転職で「成功する人」「失敗する人」
- 「不動産業界への転職」記事一覧
-
- ・「不動産売買仲介の営業」に向いている人は?
- ・「新築住宅の営業」に向いている人は?
- ・「不動産買取再販の営業」に向いている人は?
- ・「不動産投資の営業」に向いている人は?
- ・転職するなら、大手と地場どちらがおすすめ?
- ・転職で成功しやすいのは、話上手? 聞き上手?
- (以下、順次公開)
- ・転職に宅建の資格は必要?
- ・転職して成功している人の前職は?
- ・今、不動産業界で求められている人材とは?
- ・不動産業界に転職する人は独立志向が強い?
- ・不動産業界の休日や労働時間の現実
- ・不動産営業の楽しみ、やりがいはズバリ何?
不動産業界を含む「転職エージェント」サービスはこちら! |
◆宅建Jobエージェント(不動産業界「未経験」でも対応可能) | |
求人数 | 非公開求人を含む1000件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 2019年 |
運営会社 | 株式会社ヘイフィールド |
【ポイント】不動産業界に特化した転職支援サービスを展開。業界未経験でも相談可能 | |
|
◆リアルエステートworks(不動産業界「経験者」のみ対応) | |
求人数 | 1000件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 2019年 |
運営会社 | 株式会社BEYOND BORDERS |
【ポイント】不動産業界経験者に対応。不動産業界に特化した転職支援サービスを展開。専任のキャリアコンサルタントが企業とのマッチングを支援 | |
|
◆dodaエージェントサービス | |
求人数 | 非公開求人を含む10万件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 1997年(株式会社インテリジェンス) |
運営会社 | パーソルキャリア株式会社 |
【ポイント】「正社員」での就業を前提とした転職支援サービスを展開 | |
|
◆リクルートエージェント | |
求人数 |
非公開求人数:268,817件 ※2023年3月30日時点 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 1977年(株式会社日本リクルートセンター) |
運営会社 | 株式会社リクルート |
【ポイント】歴史は長く、転職支援実績は累計45万名以上(2018年3月期)※同社調べ | |
|
◆マイナビジョブ20's | |
求人数 | 20代対象の厳選求人1000件以上 |
---|---|
費用 | 無料 |
サービス開始 | 2011年(株式会社マイナビ) |
運営会社 | 株式会社マイナビワークス |
【ポイント】第二新卒者・20代若手社会人を必要とする求人のみに特化 | |
|
・不動産屋さんの「給料」「年収」は?
・深夜にメールが来たけど「残業」多いの?
・「お休み」は少ない? 土日祝日も仕事?
・担当者が急に辞めた…「離職率」は高い?
・「定年」まで働く人は多い?
・仕事ができる人が持っている「資格」は?