「不動産買取再販の営業」とは、どんなお仕事なのか。不動産・住宅業界への転職をお考えの方に向けて解説したいと思います。(不動産会社向けの集客&教育コンサルタント・梶本幸治)
不動産買取再販ビジネスとは?
「不動産買取再販の営業」というお仕事をご存知でしょうか?
不動産業界のことをあまりご存知ではない方でも「売買仲介営業」や「新築住宅営業」といえば、何となくイメージが湧くかも知れませんが、「不動産買取再販の営業」というお仕事はあまり聞かれたことがないかもしれませんね。
ではまず、不動産買取再販とは、どのような事業なのかについてお話しましょう。
不動産買取再販業とは簡単に申し上げますと、不動産会社が自社で物件を買い取り、買い取った物件を加工(リフォームやリノベーション、コンバージョンなど。土地であればライフラインを引くなどして完全宅地化)し、加工に要した費用や利益を価格に乗せて販売する事業です。
再販時の利益率目標を10%~15%程度に設定している不動産会社が多いように感じますが、これも地域差や各不動産会社の考え方にも違いがあるので一概には言えません。
例えば3000万円の物件で、再販売時の利益率を15%に設定するなら粗利は450万円となり、不動産会社としては充分な利益を得ることができます。
しかし、500万円の物件で15%の利益率なら75万円となり、買取時に銀行から借り入れするなどのリスクを取った割には利益が少ないことになってしまいます(まぁ、75万円でも充分な儲けのようにも感じますが・・・)。
さらに価格が500万円程度の物件が多く流通しているエリアと言えば、どちらからと言うと郊外になりますので、不動産会社としては売れ残りリスクも考える必要が出てきます。
したがって、再販時の利益率は都心部では低く、郊外では高い傾向にあると私は感じています。
「不動産買取再販の営業」が、物件情報を入手する方法
不動産買取再販事業の概要は掴めていただけましたか?
このように10%~15%程度の利益を出せる物件を見つけてきて買い取る仕事が、不動産買取再販の営業のお仕事なのです。
それでは、そのような物件の情報はどこから入手するのでしょうか?
物件情報の入手ルートは基本的に2通りあります。
一つは不動産仲介会社から物件情報を入手するルート。
もう一つは不動産所有者から直接買い取るルートです。
不動産仲介会社から物件情報を入手する場合は、まず仲介会社への飛び込み営業からスタートするケースが多いです。
「弊社で買い取らせて頂ける物件はございませんか?」と言って飛び込むわけですが、ほとんどの場合、けんもほろろに追い返されるか、いちばん若い駆け出しの営業担当に応対されるといった結果に終わるケースが多く、なかなか案件化しません。
それでも根気強く不動産仲介会社を回り続けると、「この物件いくらで買い取れるか、ちょっと金額出してみてよ」と言ってくれる方が現れます。
そのような方の依頼に迅速に回答し、買取金額もそこそこの金額を提示できれば、それをご縁にポツリポツリと買い取り金額を照会されるようになり、実際に何件か取り引きするうちに「不動産買取再販の営業の仕入れルート」が1本完成するのです。
このような仕入れルート、不動産業者ネットワークを広く持っている不動産買取再販の営業担当者は、バタバタと慌ただしく営業活動をしなくても仕入れ案件が舞い込んで来るため、業績は安定し、お給料も増え、その地域の不動産業界内で顔役にもなれるのです。
不動産所有者から直接買い取る方法が、優先されないワケ
次に、不動産所有者から直接買い取るルートにも触れてみましょう。
不動産所有者から直接買い取る場合は、不動産仲介会社に仲介手数料を支払う必要がなく、また、不動産所有者との交渉も直接できるため、買取案件におけるイニシアチブを発揮することが可能です。
しかし、不動産所有者から直接買い取る場合は、「不動産所有者からの売却相談(売り顧客の集客)」を自社で実施する必要が生じます。
その場合、売り顧客の集客手法としては、
・不動産一括査定サイトの利用
・不動産所有者への売り求むダイレクトメール(空き地空き家調査による所有者へのDMや、登記受付帳の行政文書開示請求による相続DM等)
・売り求むチラシの配布
・売却相談会の開催
など多岐に渡りますが、どれもこれも根気のいる集客施策であり、そう簡単に結果の出るものではありません。
したがって、不動産買取再販を本業とする不動産会社は、不動産仲介会社から物件情報を入手するルートの充実を最優先に考え、不動産所有者から直接買い取るルートは無理のない範囲内でのみ実施するケースが多いように感じます。
「不動産買取再販の営業」に転職された後は、不動産仲介会社への飛び込み営業を会社から指示されると思いますが、「何だ、飛び込みなんてやっていられるか」と思いながら行う場合と、「一日も早く自分独自の不動産業界ネットワークを作ってやるぞ」と思いながら行う場合では、結果が全く異なるでしょう。
ぜひ広いネットワークを構築し、業績を安定させてお給料を増やし、その地域の不動産業界内で顔役の営業担当者になってくださいね。
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