「不動産投資営業」の仕事はきつい？　年収1000万円も夢ではないが、転職は慎重に

「不動産投資営業」は、ガンガン売って、ガンガン稼ぐ仕事です。では、その仕事はどんな内容なのか？　不動産・住宅業界への転職をお考えの方に対し、今回は、不動産業界で語り継がれる都市伝説を交えながら解説したいと思います。（不動産会社向けの集客＆教育コンサルタント・梶本幸治）

不動産投資営業とは？

　不動産投資営業といっても、投資用新築マンション販売、アパート経営（土地有効活用）営業、収益一棟営業、中古投資物件を対象とした売買仲介営業など、多岐に渡ります。

　このコラムでは、投資用新築マンション販売、アパート経営（土地有効活用）営業といった、自社商品を取り扱う「不動産投資営業」に触れてみます。

　自社商品を取り扱う「不動産投資営業」は、何といっても年収の高さが魅力です。とにかくガンガン売って、ガンガン稼ぐ仕事です。

　収益一棟営業、中古投資物件を対象とした売買仲介営業の場合は、売り物件自体も自分で集めてくる営業（仕入れ営業）も重要な仕事の一つです。一方、投資用新築マンション販売、アパート経営（土地有効活用）営業は、売る商品（売り物件・企画商品）は会社が用意してくれるので、あとはガンガン売るだけです。
【関連記事はこちら】＞＞｢不動産売買仲介の営業｣に向いているのはどんな人？
志望動機から自分の適性を見極めよう

　このコラムを書くにあたり、求人サイトを覗いてみましたが、次のような年収例が記載されていました（具体的な掲載会社が特定されないよう一部修正しています）。

■投資用新築マンション販売
2200万円／入社5年目（月給＋賞与＋歩合＋手当）
■アパート経営（土地有効活用）
1900万円／入社3年目（月給+歩合給）

　すごい年収ですね。まさにガンガン売って、ガンガン稼ぐ仕事です。

　しかし、これら不動産投資営業は、仕事がきついとされる不動産・住宅業界の中でも特に厳しい世界で、適性の無い方であれば1カ月も続かないと思います。いや、1週間ももたないかもしれません。

不動産投資営業の世界は厳しい!?

　どのくらい厳しい世界かをご理解いただくために、少し昔話をしたいと思います。昔話と言うよりは、不動産業界で語り継がれる都市伝説と言ったほうが適切かもしれません。軽い気持ちでご覧ください。

　まずは、投資用新築マンション販売営業現場の昔話を。

　投資用新築マンションの営業担当者は電話営業先のリストを渡されたあと、机の上に椅子を上げ、そこに電話機を据えます。その後、営業の現場責任者が、各営業担当者に受話器を握らせ、握った状態で手と受話器をテープでぐるぐる巻きに固定します。各営業担当者は立ったまま、手と受話器をぐるぐる巻きにされて、リストに記載された電話番号へかたっぱしから電話をかけていき、会社で決められた商談件数のアポイントを達成するまで、その姿勢のままひたすら電話をかけ続けたそうです。

　もう1つ、投資用新築マンション販売営業現場の昔話を。

　投資マンションの有力販売先はお医者さんです。若手で世間の事をあまり知らないお医者さんに、自社のマンションを買って貰おうと思ったある営業担当者は、総合病院の前で待ち伏せし、若手のお医者さんの帰宅時にその後をつけたそうです。そしてお医者さんのご自宅を突き止めて、ご自宅へアポ無し訪問を決行。なんと見事にマンションを買っていただいた…そうです。

　次に、アパート経営（土地有効活用）営業の昔話をご紹介しましょう。

　アパート経営（土地有効活用）営業（不動産業界では縮めて「有活＜ゆうかつ＞営業」と呼ぶこともあります）では、郊外の地主さんにアパートを建ててもらう事が重要な仕事の1つです。郊外の地主さんは農業も営んでおられる事が多いので、有活営業の担当者はスーツを着て田園地帯へ営業に向かいます。

　そこで、農作業を行っている地主さんに「精が出ますね。私の実家も農家なんで少し手伝いますよ」などと声をかけ、スーツ姿のまま手伝うのです。もちろん、実家が農家というのは嘘。地主さんが「背広が汚れちゃうよ」と気遣ってくれても、「大丈夫、大丈夫。洗濯したらすみますから」と笑顔で答え、農作業のお手伝いを続けます。

　こんな方法で地主さんの懐に飛び込み、アパートを建ててもらう猛者もいる（らしい）んですから驚きですね。まあ、1件成約出来れば、スーツなんて何十着も買えるくらいの歩合給をもらえるわけですし、スーツのまま農作業を手伝う作戦も試してみる価値ありだった訳です。

　これらの営業手法はあくまで「昔話」として、もしくは「都市伝説」として聞いていただきたいとは思いますが、こんな話がまことしやかにささやかれること自体が、投資用新築マンション販売、アパート経営（土地有効活用）営業の厳しさと面白さを物語っています。

　念のため申し上げておきますが、さすがに最近では、ここまで厳しい営業をされている会社はないと思います（多分…）。

1000万円プレーヤーも夢ではない

　私が懇意にさせて頂いている不動産会社の社長さんにも、投資用新築マンション販売、アパート経営（土地有効活用）営業ご出身の方が何人かいらっしゃいますが、おしゃべりと笑顔は超一流。

　若いころから電話営業や飛び込み営業で鍛えられた話術は素晴らしく、お医者さんや地主さんなど富裕層の方々を落としてきた笑顔も絶品です。

　たまに目の奥が鈍く光る瞬間があるので、ちょっと恐ろしいですが（笑）。

　不動産業界への転職を検討中のあなたが、「何が何でも稼ぎたい」とお考えなら、投資用新築マンション販売、アパート経営（土地有効活用）営業の世界へ飛び込んでみられてはいかがですか？

　交渉力と根性に自信がある人なら、1000万円プレーヤーも決して夢ではないでしょう。ただし、何度も申し上げますが、適性のない人には非常に厳しい世界ですから、転職はくれぐれも慎重に。
【関連記事はこちら】>>″不動産業界への転職″はおすすめ？　未経験での転職で｢成功する人｣｢失敗する人｣