注文住宅の購入時、最も大切なのことの一つに「住宅営業担当者との相性」がある。相性といっても、人間同士の相性もあるので一概には言えないが、少なくともダメな営業担当者に当たるのだけは避けたい。せっかくのマイホーム取得で失敗しないためにも、営業担当者の見極め方、そして互角に交渉できるようになるためのコツをいくつか紹介する。(住宅コンサルタント・森雅樹)
注文住宅の購入では、営業担当者の力量や人柄を見抜く力が重要になる
慢性的な人手不足に加え、ChatGPTなる黒船来襲で「人間が要らない」時代を迎えようとしているが、住宅、特に注文住宅購入の際に営業担当者を介さずに買う人が果たしているだろうか。答えは「NO」だ。
営業担当者を置かない住宅会社や設計士がそのまま営業を兼ねるケースもあるが、いずれにしても人間が介在して顧客との折衝を行う。特に注文住宅の場合は完成品がないので、交渉相手となる営業担当者を信頼して話を進めなくてはならない。
住宅会社選びで重要なのは「営業担当者との相性」
住宅会社が、家の引き渡し後にお客さんに行うアンケートに、「あなたが当社を選んだのはなぜですか?」という項目が必ずあるのだが、驚くなかれ、私が知る限りほとんどの人が「営業担当者への信頼から」と答えるのだ。
実際、住宅情報サイトが行ったアンケートでも、家を建てる会社を最終的に選んだ決め手として一番多かった回答は「担当者との相性」となっていて、4割以上の人がこの点を重視している。
家を建てる会社を選ぶ決め手になったこと (複数回答可) |
回答者の割合 | |
---|---|---|
担当者との相性 |
41.4% |
|
住宅性能(高気密・高断熱、省エネなど) |
39.7% |
|
希望の間取り・デザインをかなえる設計 |
31.9% |
|
提案内容と見積価格のバランス |
29.9% |
|
アフターサービス・保証 |
27.1% |
|
建築工法・構造(木造軸組工法、2×4工法、RC造など) |
23.9% |
|
柔軟な対応 |
22.9% |
|
価格の安さ |
19.1% |
|
過去の建築事例 |
18.9% |
|
口コミ・評判 |
17.5% |
|
この事実を見ても、注文住宅の建築にあたって営業担当者との相性が、いかに大事であるか容易に想像できる。信頼できる営業担当者とはどんな人なのか、その逆、ダメな営業担当と見抜くには、どこをチェックしたらいいのか……。
念願のマイホーム取得で絶対失敗しないためにも、営業担当者との交渉は非常に重要なのだ。
営業担当者に見くびられないように!
ここで注意しておくべきことは、担当者はロボットではなく、あくまでも人間だということ。対立するのは得策ではないが、「このお客さんはなかなか鋭いな」「手を抜くと大変なことになりそうだ」という緊張感を多少なりとも持たせるべきなのである。
「もう一ひねりしたプランもできそうだけど、おそらく客から注文は出ないだろうからこれで提案しよう」……これが営業の心理だ。
だから客であるあなたは、ポーズでも構わないので「私は穴があくほどプランを見るわよ!」というオーラを全身から出すのだ。
強烈な“ナメるな光線”を全身で浴びた営業担当者は、きっとこう身構えるだろう。「このお客に手を抜いたプランを出したら、反撃をくらいそうだ」
敷地調査で営業担当者のレベルが分かる
あなたが注文住宅の建築を予定していて、すでに土地を所有していると仮定しよう。そして、住宅会社にそのことを伝えれば、必ず彼らはこのように誘ってくるはずだ。
「お持ちの土地を調査させてもらえないでしょうか?」
業界用語では敷地調査というが、客が土地を持っている場合は必ずこのようにアプローチをしてくる。気になった会社があるなら、この申し出を受けておこう。営業担当者があなたに敷地調査を迫る理由は、大きく分けると次の2つだろう。
1. アポイントを取れば商談を進行させられる
敷地調査の約束を取り付ければ、土地を調べた結果をまとめて報告する時間を取らなくてはならない。つまり、あなたともう一度会う機会を創出できるわけだ。
これは営業にとって極めて大きな成果になるので、どんな営業であっても敷地調査のアポイントを取り付けられれば、心の中で「よっしゃ!」とテンションが上がる。
また、明確な建築意思がなければ、敷地調査を業者にお願いすることもないので、お客さんの意思確認にもなる。
2. 調査しないと設計ができない
敷地調査には営業的な意味合いもあるが、本来はこちらの理由が正当なものである。契約に至っていざ家を建てるとなると、正確な土地の寸法はもちろんのこと、法的な問題や近隣の建物との位置関係なども把握していなければ設計は基本的にできないからだ。
この2つの理由から、敷地調査のアポイントを営業担当者は取ろうと努力することになる。
敷地調査の報告内容で、営業担当者のスキルが分かる
ここまではどんな住宅会社でもほぼ同じ工程をたどるのだが、問題は敷地調査のやり方と報告内容だ。
皆さんが失敗しないためには、敷地調査内容を総合的に精査して、ダメ営業担当、すなわちダメな住宅会社をいかに早く切り捨てるかにある。
レベルの低い営業担当者の特徴を箇条書きにしてみる。大きなポイントを挙げるとこの3つだろうか。
・敷地調査報告書が紙切れ一枚
・現地に行かなくても法務局に行けばわかるような内容しかない
・周りにどんな建物が立っているか把握していない
敷地調査のアポイントをとるときは「敷地をしっかり綿密に調査することが失敗しない家づくりの第一歩です」と力説するものの、アポイントを取ることだけが目的の営業担当者は、 肝心の敷地調査をおざなりにしてしまうのである。
だから現地には行くものの、極論を言えば土地のタテヨコの長さを測って一丁上がりだ。報告書にする内容がないので、土地の形状を紙に書いて長さを記入して終わりということになる。
ただ、さすがにこれでは内容が薄すぎるので、もう少し肉付けはするものの、一見して中身がないことは一般の皆さんでも簡単に見抜けるだろう。
それとは逆に、優秀な営業担当者はどんな報告をするのだろうか。
・土地のタテヨコだけではなく高低差を測った上、前面道路なども含めてさまざまな写真を撮ってくる
・近隣に立っている建物の位置関係に加えて、窓の位置も正確に押さえる
・前面道路の幅員や交通量を踏まえ、駐車場をどこに作ったらいいかまで考えて調査をしてくれる
ここではあえて3点に絞ったが、実際にはこれに付随してさまざまな細かいポイントが出てくるだろう。この3点がなかったらダメだとまでは言わないが、逆にここを押さえた報告をしてくれれば、その営業は細かいところまで見る洞察力があると一定の判断ができるだろう。
お金の話でも、営業担当者の力量を見抜ける
一般的には資金計画と言われるが、営業担当者が建物価格やあなたの年収なども加味した上で手持ちの端末をたたくと、 毎月の返済金額などがたちどころに提示されることになる。
これは機械を使うので営業担当によって差が出ることはほぼないと思われるが、注目してほしいのはこれ以外のお金の話である。
では、具体的にどんな質問をしたらいいのか紹介しよう。
1.住宅ローン減税について
「住宅ローン減税について詳しく教えてください」
この質問は鉄板ネタだ。制度の詳細が変わるたびに、ニュースでも必ず取り上げられる住宅ローンの話である。つまり、それだけ関心度が高く、重要なお金の話である証拠なので、営業担当者はこれにスラスラと答えられてしかるべきだ。
ところが実際の営業現場を観察すると、若手を中心にかなりあいまいな返答をする営業担当者が多いのに私は驚愕(きょうがく)している。
ハウスメーカーでも設計事務所でも構わない。もしくは一人親方である大工さんに建築を任せるケースでも、 この質問は必ずしてみよう。多少の勘違いやド忘れには目をつぶるとしても、明らかによく知らない場合は話を聞けばすぐ分かる。
私であれば住宅会社を変更するか営業担当者を代えてほしい、とその上司に掛け合うだろう。そのぐらい重要な問題であると認識してほしい。
2. 不動産にまつわる税金について
戸建てを取得すると、不動産取得税や登記に関するさまざまな税金が降りかかることになる。取得時だけではなく、固定資産税は毎年必ずやってくる頭の痛い税金の一つだ。
住宅ローンの金利や毎月の支払い額に目が行きがちだが、これらの税金も重要なポイントであることを忘れないようにしよう。だからこそ営業担当者に確認してほしいのだ。
家を買うとき、買った後にはどんな税金を払うことになりますか?
特に不動産取得税や固定資産税など、メジャーな税金については即答してほしいものだ。
ただ、新卒・中途を問わず、入社1年未満のキャリアの浅い営業担当者には、若干の猶予期間を与えてほしい。「申し訳ありません。入社したてでまだ知識が浅くよく分からないです。これに関しては上司に確認して後ほどメールでお知らせします」
このような返答があれば、ひとまず及第点だろう。住宅営業は実に広範な知識が要求されるので、1年未満のキャリアの浅い営業には、客側としても温かい目を持つ必要性はあると思う。
しかし、注意してほしいのは、このようなシチュエーションで知ったかぶりをしてウソをつく営業担当者だ。このように感じたら、営業担当者のチェンジを要求しよう。
3. 補助金の知識について
客側の要求のレベルがどんどん高くなり、営業担当者受難の時代かもしれないが、家を求める側としては本来受けられるべき補助金を知らないまま家づくりを進めることだけは絶対に避けたいだろう。
だからまずは、このように聞いてほしい。
今回の家づくりで何らかの補助金はありませんか?
補助金制度は毎年のように更新される、最新の知識が求められる質問なのだ。
<ZEH(ゼッチ)絡みの補助金は特に注意>
ZEHとは ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、まだ一般には浸透していないものの2030年からの義務化が決定しているので、これから急激にその認知度を上げることは確実だ。
となると、住宅営業担当者としてこのZEHを説明できる能力がなければ話にならないのに加え、これに付随するさまざまな手厚い補助金の話もしてほしい。
ZEH仕様の住宅を建築する率が今後急激に高まるのに伴い、あなたが補助金を得られるチャンスも確実に増大するのである。だからこそ、補助金の話をここでしっかり確認してほしいのだ。
ここで曖昧なことを言っているような営業担当者では、話にならない。
【関連記事】>>最新のZEH補助金制度を徹底解説!
<ZEH以外の補助金も該当しないか、しっかり確認>
補助金の一例としてZEHを挙げたが、このほかにもさまざまな細かい補助金をもらえるかもしれない。普段からアンテナを張り巡らせている営業担当者であれば、 補助金についても必ずキャッチしている。
優秀で信頼できる営業担当者を見つけるための、一つの指標になるだろう。
注文住宅の営業担当とのやり取り時は、こんなことにも注意を払おう!
他にも、営業担当者と交渉するためのポイントは無数にあるが、まずは敷地調査とお金に的を絞って紹介した。ただ当然のことながら、これ以外の急所も忘れてはならない。
自社の特徴を、論理立てて答えられるか
展示場を持っている住宅会社を検討するならば、そこを必ず見学することになるだろう。案内をしてくれる営業担当者を横目で見ながら、やはりその力量を測るアクションは欠かせない。その一つをお教えしよう。
御社の利点と欠点を教えてください
これを試して欲しい。利点とはその会社の特性やアピールポイントになるはずだが、しかし意外や意外、この質問に言葉を詰まらせる営業担当者が半数は間違いなくいる。
「うーん…そうですねえ……うちは非常にバランスの良い会社でして、設計力もありますし、とにかくお客さんのご要望に何でもね、答えられるというのが売り……ですかね」
このような曖昧模糊(もこ)とした返答が実に多い。自社の特徴をしっかり捉えていればもう少しまともな返事ができるはずだ。このような営業担当はやめておこう。この反対の欠点も同じくだ。
「他社と比べて価格は若干高めだと思います。その理由は……」
「構造上、梁(はり)を飛ばせる最大のスパンが決まっているのですが、弊社よりスパンの長いメーカーさんは他にもあります。 強いて欠点と言えばこれが該当するかもしれません」
2つの返答事例を書いたが、何かしらの説明ができている。こんな回答が返ってくれば問題ないと思う。他社より値段が高いことは確かに欠点だろう。しかし、それにはしっかりとした理由があり、それだけ客にとって快適な住宅を提供できるわけだから、この答えには納得できるものがある。
梁(はり)の問題もそうだ。他社と比べるとスパンが短いかもしれないが、「よほど特殊なご要望がなければ、それほど長いスパンは必要ないと思います」と言う説明があれば、その梁は我が家にとって不要だということになり問題はない。
それよりも、誠実かつ論理的に答えられているかどうかがポイントだ。
自宅訪問時の態度に問題はないか、家具の寸法を尋ねるか
注文住宅の会社が営業するとき、あなたの自宅を訪ねてくる機会がある。あちらから提案してこないのであれば、ぜひあなたから「自宅で相談したい」と誘い出そう。
なぜそんなことをするのか? 自宅での折衝だと、営業担当者をじっくり観察できるからだ。見るのは礼儀作法やマナーといった基本的なことではない。過去のお客さんや他人を見下すような態度を取っていないか、また、あなたの話を遮って一方的にまくしたてていないか、といったことだ。こんな営業担当者はすぐに断るべきだ。
また、自宅に来てもらった際に、家具の寸法をチェックするかどうかも確認しよう。
注文住宅の設計をする中で、重要なことの1つが家具の配置である。通常、設計図には家具は書き込まれていない。図面で見ると十分な広さがあると感じた部屋でも、いざ家具を入れて住み始めると狭くて通りにくいとか、コンセントが隠れてしまったということがある。
優秀な営業担当であれば、頭の中にお客さんのライフサイクルや実生活をイメージしながら話をするものなので、当然家具を配置した状態での生活を想定している。そのため、自宅で折衝する際には、必ず「この食器棚は持って行きますか?」などと聞くはずだ。
まとめ
注文住宅購入の際には、営業担当者もしくは営業と名がつかなくても工務店の経営者などが、あなたと具体的に折衝をすることになる。中には素晴らしい営業担当者もいれば、契約歩合給だけが目当ての質の悪い担当者もいるだろう。
玉石混淆の中から良質な担当者を見分けなくてはいけないのだが、ちょっとした質問や工夫でそのリスクを若干でも回避できるのならば、チャレンジしない手はないだろう。
今回は無数にある戦略の中から数例だけをピックアップして提示したが、これだけのことを実行するだけでも、必ずあなたの役に立つと断言したい。
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