素人でも失敗しない「DIYペイント術」入門編
道具は? 塗料は? コスト削減を実現しよう!
ペイント先生 原島信一氏 第2回

2020年6月15日公開(2021年1月29日更新)
ザイ投資戦略メルマガ編集部

非常に傷んでいる古い物件を自分でリフォームして高収益物件に。憧れではあるものの、失敗しそうで手を出せない人も多いのでは? そこで、「ペイント先生」こと、原島信一さんに、第1回「家のリフォーム・コスト削減テクニック」に続き、第2回は「素人でも失敗しないDIY塗装のコツ」を聞いた。

原島信一さん(ペイント先生) 株式会社ウォールデザインハラシマ代表(記事の最後にプロフィールあり) 
原島信一さん(ペイント先生) 株式会社ウォールデザインハラシマ代表(記事の最後にプロフィールあり) 

[参考記事]
●塗装のプロが教える家のリフォーム「コスト削減」テクニック。よい業者さんの選び方、好かれる方とは?
ペイント先生 原島信一氏 第1回

●調理師、不動産営業を経て塗装店を継いだ経緯からあの有名人との接点、ドローン見積まで意外な素顔を公開
ペイント先生 原島信一氏 第3回

DIYペイント術の基本は材料選びから

――非常に傷んでいる古い物件を買って、DIYをするのが流行っています。素人がペンキ塗りをする際のコツを教えてください。

まずは材料選びからですね。室内の塗り替えであれば、ニッペホームプロダクツの「STYLE」というペンキは、ローラー模様やハケ目が目立たず、ムラになりにくいので、初めての人でも塗りやすいと思います。水性ペンキですが、部屋の壁や壁紙、家具といった室内だけでなく、屋外のガーデニング材など様々な用途に使えます。ペンキは何回か塗らないとならないイメージがあるかと思いますが、これは1回塗りでもきれいに仕上がりますよ。2回塗りならさらに仕上がりよしです。


――ホームセンターにいくと水性・油性を含めたくさんの種類があって迷ってしまいます。どう使い分けをすればいいんでしょうか。

水性ペンキの長所は「匂いが少ないこと」です。油性ペンキは乾燥する際に有機溶剤が蒸発しますが、水性は乾燥する際に水分だけが蒸発する。このため匂いがほとんど発生しないんです。換気が大変ですから、室内なら水性がいいですよ。特にクロスに油性を塗るとふやけちゃったりする事もありますから、気を付けてくださいね。

対して、油性ペンキのいいところは、「耐久性」です。直射日光が当たるところ、屋根や外壁といった屋外で使用します。DIYで外壁や屋根まで自分で塗る人は少ないと思いますので、水性ペンキを購入すればいいと思います。ちなみに、先ほどの「STYLE」は、ホームセンターで購入するよりも、メーカーからオンラインでメンバー登録し購入したほうが安くなると思いますよ。

――第1回で教わった「中間マージンを省く」戦略ですね(笑)。刷毛(はけ)はどんなものがいいでしょうか。

水性ペンキにはナイロンの刷毛が使いやすいと思います。水性ペンキは使用した刷毛も水洗いで落ちますので、やはり手軽で経済的です。ローラーは一気に塗れる利点がありますが、扱いが難しいので、まずは刷毛で塗装に慣れてからにするといいですよ。あっ、上手くいかない事? も経験する事もよいですね。

ナイロンの刷毛は水性・油性、両方のペンキに使用可能。豚毛(動物の毛)は特に油性に向く。水性のペンキによっては根本が固まってしまって再利用できない事もあるので要注意
ナイロンの刷毛は水性・油性、両方のペンキに使用可能。豚毛(動物の毛)は特に油性に向く。水性のペンキによっては根本が固まってしまって再利用できない事もあるので要注意


――個人的にはものすごい不器用なので、刷毛でも不安です(笑)。

刷毛でも難しいという人は、先ほど紹介したSTYLEシリーズに「モルモル」という手で塗る塗料もあります。漆喰の壁みたいな仕上がりになるんですよ。クロスの上から塗ってもいいし、外壁も塗れます(シリコン樹脂塗料なので)。ネコの爪とぎ跡を隠すのにも重宝します。お子様でも簡単に塗れますので、ぜひ試してみてください。プロがきっちり規則的に塗るより、味が出ていいと思いますよ。匂いも気になりません。

 

壁紙代わりにペイントも。クロス張りより早くて安い!


――壁紙を自分で塗れたら、リフォーム代の大幅な節減になりそうです。

あまり知られていませんが、最近、うちにもクロス壁紙をペンキで塗ってほしいという注文がよく来るようになりました。クロスを張り替えるより安いし早いんです。うちでは100平米未満は5.5万円(税込み)で請けています(交通費、諸経費別途)。50平米の部屋を2部屋でも同じ値段です。正確にはペンキではなくクロス用のカラーリング材で塗るので、1時間で乾く。急ぎのリフォームでも大丈夫です。タバコのヤニも匂いもきれいに取れますよ。さらに抗菌効果もありがたいところです。


――外壁はどうでしょう。さすがに外壁はプロに頼む人が多いかと思いますが、ウレタンとかシリコンとかペンキの種類がいろいろあって迷ってしまいます。

ウレタン、シリコン、フッ素の順に耐久性が上がります。値段もその順に上がりますが(笑)。うちの平均価格でいうと、屋根は別で外壁30坪でウレタン50万円、シリコン65万円、フッ素75万円といったところです。「とにかく色付けして売っちゃいたい!」なんて時にはウレタンでいいかなと思いますが、一般的にはある程度耐久性があるシリコン以上をお勧めします。足場を組むだけでもお金が結構かかる3~4階建て以上の鉄骨アパートなど、大規模物件の場合は特に耐久性があったほうがよいですよね。フッ素なら次の塗り替えまで約15年はもちますから。

あと、最近人気なのが「ラジカル制御型塗料」です。シリコンとフッ素の中間くらいの価格で、耐久性はフッ素並み。おすすめですよ。


――「10年したら塗り替えを」とよく言われますが、ペンキの種類でも違ってくるんですね。

はい。10年はシリコンの目安で、ウレタンだったらもう少し早く、8年くらいで検討したほうがいいですね。チョーキング(壁を触って、手に白い粉がつくこと)があったら塗り替え時というのも目安のひとつです。ただ、チョーキングが起きると、下地から塗り直さなくてはならず、かえって費用がかかりますから、チョーキングが起きる前に塗装を頼んだほうが賢明です。


――ひび割れはどうでしょう?

昔から「外壁のひび割れがあるから、急いで塗り替えないと危険です!」と訪問営業をして高額請求をするという典型的な手口があります(笑)。モルタルが素材の外壁は3ミリ以下のひび割れは問題ありません。それ以上の幅ですと、構造的に問題が起きるケースもありますので、専門家に見ていただくことをおすすめします。サイディング壁の場合は、壁と壁のつなぎ目、窓枠部分などのシーリングにひび割れがあると、雨水が入って外壁材の腐食につながりますから、シーリングの修理をするのと同時に外壁の塗り替えを検討するのもいいかなと思います。一緒に作業をしたほうが経済的ですからね。

塗装は奥が深い、という原島さん。まずは机など失敗しても目立ちにくいものから試してみるとよいとのこと
塗装は奥が深い、という原島さん。まずは机など失敗しても目立ちにくいものから試してみるとよいとのこと


――次回は、「プロから見た、買ってはいけない物件」をお話しいただきます。


第3回は「多くのJリーガーからも信頼を受けるペイント先生の誕生秘話&買ってはいけない物件」

(取材・文/タカチホ 撮影/和田佳久)

原島信一さん(ペイント先生)プロフィール
高校卒業後、日本そば・手打ちうどんの店に就職。その後、実家が経営する原島塗装店(現ウォールデザインハラシマ)に入社するも方針が合わず退職。不動産会社で賃貸営業に従事していたところ、父親の交通事故がきっかけで実家の塗装店に再就職。2015年より代表に就任。全国の塗装業者が集まる「日本塗装交流会」も主宰。

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