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失敗しない「注文住宅」の建て方
【第2回】2019年8月14日公開(2019年8月16日更新)
船渡亮
船渡亮

船渡 亮(株式会社かえるけんちく代表。一級建築士)

年間コンサル数1000件を誇る家づくりコンサルタント。購読数5000人の無料メールマガジン「かえる家づくり\脱/初心者講座」を配信し、「理想の暮らしを家づくりで実現する!」ための知識をわかりやすく紹介している。また、月間15万PVのブログ「かえるけんちく相談所」を運営し、家事動線、収納、断熱気密や構造、夫婦関係など、家づくりや暮らしについて独自の切り口で解説する。

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住宅会社の選び方を解説! ハウスメーカー、工務店、設計事務所のメリット・デメリットは?

イラスト@ざわとみ

家づくりを成功させるのに、最も重要なのは「住宅会社選び」です。今回は、ハウスメーカー、工務店、設計事務所それぞれのメリット・デメリットを中心に、住宅会社の選び方を解説いたします。ただし、同じ「住宅会社」でも、誰が窓口(担当者)になるかによって、施主の満足度は全く変わってきますので、注意が必要です。(株式会社かえるけんちく代表・一級建築士 船渡亮) 

窓口(担当者)によって家づくりの満足度は変わる

 家づくりにとって大事な窓口は、施主が初めに行うある行動によって決まります。その行動とは、住宅展示場での「アンケートへの個人情報の記入」です。

 住宅展示場では、「まずはアンケートをご記入ください」と促されます。そのアンケートを渡した相手、それがあなたの営業担当(窓口)ということになるのです。最初に対応してくれた相手が営業担当になる、というのは業界としては自然なことですが、施主にとっては、経験もスキルも人柄も分からない人が窓口になるのですから、不安ですよね。

 そのため、本来は信頼できる人以外、アンケートを渡さない方が良いのですが、アンケートを渡さないと打ち合わせも始まらないので、信頼できるかどうかもわからない、というジレンマもあります。

 そこで重要になるのが、相見積もりです。相見積もりとは、複数の住宅会社と並行して打ち合わせを行い、間取りや見積もりの提案をしてもらうことです。

 相見積もりは、

・複数の会社から間取り提案をもらえる
・見積もり金額の妥当性が分かる
・さまざまな会社の担当者と話が出来るので家づくりの知識が身につく

といったメリットがありますが、最大の目的は、信頼できる窓口を選ぶことです。

 会社や担当者は良いけど予算が合わない、ということもありますが、いくら安くても信用できない担当者と家は建てられないですよね。そのため必ず、3~5社に提案をもらうようにしてください。そして打ち合わせの中で、その担当者が自分達の家づくりの窓口として相応しいのかを確認し、最適な選択ができるようにしましょう。

住宅会社を絞る3つのポイントとは?

 3~5社を選ぶといっても、日本にはたくさんの住宅会社が存在します。やみくもに探していくと大変なので、以下の3つのポイントをクリアした会社の中から候補を選ぶようにしましょう。これらをクリアできればアヤシイ会社に当たる確率はかなり少なくなります。

住宅建設地から1時間以内の場所に会社があること
 
施工管理や緊急時の対応、アフターメンテナンスも考えると、最低でも車で1時間以内に会社がある方が良いですね。会社から住宅建設地までの時間は、グーグルマップを利用しましょう。

構造見学会を行っている会社を選ぶこと
 
経営状態が悪く業者への支払いが滞っている場合は、現場がストップし、散らかっていますので、「構造見学会」(*1)をやっている余裕がない場合が多いのです。また見学会が出来るということは、現場への自信の表れでもあります。

長期優良住宅制度が利用できる会社であること
 
戸建て住宅で快適で安心な暮らしが送れる最低限のスペックは、耐震等級2~3・断熱等性能等級4です(詳しくは注文住宅、マンション、分譲戸建てのメリット、デメリットを大分析!理想の暮らしを手に入れたい人が選ぶ「注文住宅」を参照)。長期優良住宅制度(*2)の認定をとれる仕様なら、この2つは自動的にクリア出来ます。

構造見学会(*1): 住宅会社が、集客と信頼獲得のために、工事中の現場へ見込み客を案内するイベント。一般に綺麗に整っている現場ほど、住宅会社の管理もしっかり行われているものなので、積極的に参加した方が良い。担当営業の家づくりの知識や経験、対応力を知るために、現場の不明点などはその場で質問をした方が良い。

長期優良住宅制度(*2) 長く住める質の良い家のストックを増やすことを目的に作られた制度。耐震性や断熱性の他、劣化対策や配管設備の更新のしやすさなどの基準をクリアした建物だけが認定を受けることが出来る。住宅ローン減税控除額の優遇や登録免許税、不動産取得税、固定資産税が軽減される。2009年に施行され、2019年3月に認定実績が100万戸を突破した。

住宅会社は、ハウスメーカー・工務店・設計事務所の3つ

 住宅会社には、ハウスメーカー、工務店、設計事務所という3つの業態があります。以前は、この3つは明確に分かれていましたが、現在の定義は曖昧です。

 ハウスメーカーとは、「工場生産した規格部材を使い、安定した品質のプレハブ住宅を供給する会社」というのが元々の定義で、独自の住宅商品をもっている8社会と呼ばれる組織に属する会社(積水ハウス、セキスイハイム、大和ハウス工業、ヘーベルハウス、パナソニックホームズ、ミサワホーム、住友林業、三井ホーム)を指すのが一般的です。

 ただ最近は、プレカットにより構造材を工場でカットすることが一般化していますし、工務店もハウスメーカーと同じような資材を使えます。またフランチャイズ(*3)に参加すれば、企画化された住宅商品を扱うことが出来ます。設計事務所でも、土地探しから資金計画、引渡しまでをトータルサポートし、全国展開している「フリーダムアーキテクツデザイン」のような会社もあります。

 この傾向は、工務店や設計事務所が、ハウスメーカーの良い部分を取り入れている結果といえますから、施主にとっては、選択肢が増えますし、良い傾向と言えます。ですから、住宅会社の候補を選ぶ場合には、「大手ハウスメーカーじゃなきゃ嫌だ」「やっぱり工務店でしょ」と絞るのではなく、最初は視野を広げてみると良いですね。

フランチャイズ(*3)
 工務店が加盟店(フランチャイジー)となって、本部(フランチャイザー)に加盟金や月額ロイヤリティーを支払うことで、住宅商品やノウハウの提供を受け、資材も安価に調達できるシステム。アイフルホーム、ユニバーサルホーム、桧家住宅などが有名。

ハウスメーカーのメリット・デメリット

ハウスメーカーの窓口のイメージはかっちり

 家づくりの本では、ハウスメーカーはあまり良く書かれない傾向にあります。理由は、多くの住宅本は工務店や建築業者が集客のために自費出版しており、その仮想敵として大手ハウスメーカーを設定しているからです。ただ、家づくりコンサルタントとして、間取り診断をする時に安心出来るのは、大手ハウスメーカーのプランです。なぜなら、「これ、構造的にヒドイよね……」という根本的な問題があるプランが少ないからです。

 大手ハウスメーカーに頼めば安心、ということはないですが、情報に透明性があり、安心感はあるといえます。それでは、まずハウスメーカーのメリットから紹介しましょう。

ハウスメーカーのメリット

・耐震性の高い間取りをつくることができる
 大手ハウスメーカーが採用しているプレハブ工法は、戦後の深刻な住宅不足を解消するため、高品質な規格住宅を大量生産するという目的で誕生しました。
 大量生産のために、仕様や工法の規格化や、作業の効率化、品質の確保がされてきました。また、間取りにも独自のルールがあることが多く、特にセキスイハイムなどが採用しているユニット工法は、間取りの制限が多い反面ルールで作った間取りは一定以上の耐震性が担保されており、施工精度も高いので安心感があります

・情報量が多い
 大手ハウスメーカーは、情報量が多いのが魅力です。
 ホームページやカタログなどハウスメーカー側からの情報以外にも、SNSやブログなどで施主側からの情報もたくさんあります。また、大地震での被害や建築基準法などの法令違反があった場合にニュースで報道されるというのは、チェック機能が働いている、ともいえます。良い部分も悪い部分も知った上で、会社を選ぶことができるのは、安心感があります。

・一定のスペックやアフターメンテナンスが保証されている
 
一定規模の住宅会社には、断熱等性能等級4が義務付けられていますので、最低限の断熱性能が確保されていると言えます。また耐震等級3や、制振装置を標準装備している会社もあります。
 また賃貸アパート部門も強い積水ハウスやダイワハウス、ヘーベルハウスなどの鉄骨系ハウスメーカーは、火災や経年劣化に強い独自の外壁材や、防音性能の高い床や排水管などを戸建てでも採用しており、一般的には工務店や設計事務所よりもスペックは高いといえます。

ハウスメーカーのデメリット

間取りの自由度が低い
 間取りの面では工務店の提案に比べて自由度が低いと感じるかもしれません。制限が多いと良い間取りが出来ない、ということはありませんが、請負契約してから間取りを変更しようとすると、思い通りにならず不満に思うかもしれません。そのため、間取りにこだわりたい場合には、「契約してからも自由に間取り変更できますよ」という営業の口車に乗らず、ある程度間取りを固めてから契約する方が良いでしょう。

・メンテナンス費用は割高なこともある
 アフターメンテナンスは、専任スタッフが行う場合が多いので、問題があった場合には迅速に対応してくれます。ただ一般にメンテナンス費用は割高になるので、給湯器交換など一般のリフォーム会社で対応できる工事は、相見積もりで決めた方が良い場合もあります。

ハウスメーカーの決め手は、スペックの高さと営業への信頼

 株式会社かえるけんちくによる施主100人へのアンケートによると、ハウスメーカーでの契約の決め手は、「スペックが良い(71%)」、「営業・設計担当者が信頼できる(68%)」の2つです。工務店や設計事務所に比べて、「営業・設計担当者が信頼できる」の割合が高いのが特徴です。

 家づくりの満足度も、7割以上が、大変満足、満足と回答しており、不満は1割程度です。満足度が高く不満が少ないのは、窓口となる営業が教育されていることもありますが、施主が多くの情報に触れることが出来るので、どのような会社かを十分知った上で契約できているからといえます。

 これは、「満足」の割合に比べて、「大変満足」が少ないことからもわかります。当初、予想していた通りの家づくりが出来たけれども、それを超えるものではなかった、ということかもしれません。家づくりで失敗だけはしたくない、という気持ちが強い方には、ハウスメーカーが向いているかもしれません。

工務店のメリット、デメリット

工務店の窓口は社長の場合もある

 工務店の窓口になるのは、「営業」、「社長」または「設計担当者」です。これは、工務店の規模や経営スタイルによります。少人数のためハウスメーカーのように分業化されておらず、営業や設計が監督の仕事をしたり、監督が職人的な仕事をしたりと、1人で2役、3役とこなします。

 大手ハウスメーカーのように、営業を大量雇用して成績がでなければ解雇というわけではないので、素人のような人が営業担当になる可能性は少ないといえます。ただ、営業マニュアルがない分、ハウスメーカーのように営業にスマートさはないかもしれませんね。

 また、工務店、と一言でいっても、さまざまな個性をもつ工務店が存在しています。

・不動産屋から受ける仕事がメイン
・営業力が強い
・デザイン性が強い
・免震や制震をアピール
・自然素材をふんだんに使う
・高気密高断熱が得意
・フランチャイズに加盟

 規模や技術力、アピールポイントや提案力もさまざまです。打ち合わせの方法も、営業が全て行う場合もありますし、外注の設計事務所が行う場合、社員の設計士が行う場合、監督が行う場合などがあります。そのため、「工務店だから」という固定概念は捨てて、個別にその実力をみていく必要があるのです。

 では、工務店のメリット、デメリットを紹介していきましょう。

工務店のメリット

・価格を抑えられる
 モデルハウスの維持費や広告費、人件費など、大手のハウスメーカーは、家を建てる原価以外の部分でお金がかかります。そのため粗利率は、30~40%と言われます。小規模な工務店の粗利率は、20~30%程度ですから、その分、工務店の方が安く家を建てられます。

工務店のデメリット

・提案やサポートが少なめ
 価格が安いということは、人件費にかける費用が少ないということです。それは、ひとりの顧客にかけられる時間は限られているということを意味します。その分、提案やサポートも少なくなりがちです。 
 つまり、人件費が安くなった分、住宅会社のサポートは薄くなるので、施主自身が家づくりを勉強し、積極的に参加する必要がある、ということです。自ら動いて、家づくりに参加することを楽しめる方には向いているといえます。

工務店は会社による格差が大きい

 施主100人アンケートによる工務店を選んだ決め手は、「スペックが良い」が半数でした。その次が、「会社が信頼できる」で3割です。ハウスメーカーよりも会社のカラーが強く出ることから、営業担当よりも会社の信頼度が重要なのかもしれません。

 満足度は大変満足、満足が54%と、全体ではハウスメーカーよりも減っていますが、「大変満足」の割合は増えています。逆に、大変不満、不満が18%になっているのは気になりますね。

 大変満足な方の意見としては、下記のようなものがありました。

 「要望、提案、意見交換、心配事などの相談が他の人を仲介せず、家作り全般に知識がある専門家と直接やりとりできて、満足いく家づくりになった」

 また、大変不満な方の意見は、「施工がキチンとされていない」「平面図の内容を勝手に変えて施工する」「現場監督が全く機能していない」などがありました。

 このように、会社による差が極端に大きくなってしまうのが工務店です。大変不満な方の場合、監督個人の素質の問題も大きいですが、施工方法のマニュアル化や現場管理の方法が会社として決まっていないのも原因です。

 また、間取りは施主自身で考えることも出来ますが、施工は工務店次第なので、監督がどのように現場を管理しているのかを確認する必要がありますね。

設計事務所のメリット・デメリット

設計事務所の窓口は”先生"と呼ばれることも

 現在、設計事務所を利用する人は全体の3%と少数派です。設計事務所の窓口は、事務所の規模によって、事務所の代表者(先生と呼ばれている人)か、設計担当者になります。ちなみに、設計事務所の所員は、大学出たての若造でも、建築業者からは「先生」と呼ばれます。

 設計事務所は、名前の通り、設計だけを行う事務所で施主とは設計契約を結ぶ、という流れになります。

 設計料は、工事費の8~15%程度です。2000万円の工事費なら、160万円~300万円です。工務店も設計料はとりますが、せいぜい、4、5%です。その倍以上の設計料を支払う価値はあるのかと問われれば、これは施主の価値観によりますし、設計事務所との相性や実力にもよります。

 ただ、工務店の粗利率が20%程度であるなら、そこに設計料の10%を上乗せしても30%になりますから、これはハウスメーカーと同じ基準と言えます。このように考えますと、価格だけで考えるなら、設計事務所は高いとは言えません。

 では、設計事務所のメリット、デメリットについて説明しましょう。

設計事務所のメリット

・雑誌に載るような写真映えのする家ができる
 設計事務所といえば、デザイン重視
です。モダン、洋風、和風など、その事務所のカラーを強く出しています。そして、雑誌に載っている素敵な住宅を設計した事務所に、設計をお願いすることも出来ます。実際、彼らは、雑誌やHPをメインの集客に使っています。

 雑誌やHPで集客する、というビジネスの構造上、写真映えが重要視されます。多少住み心地が悪くても、映えが良ければOK的な設計事務所は多いですね。これは、大学の建築教育が住み心地よりも、コンセプトやデザイン性を重視した教育を行っている弊害です。

 もちろん、住環境や構造も両立して、設計を行う事務所もあるのですが、残念ながら少数です。どのような考え方で設計をしているかは、HPやブログ、代表のSNSなどで公開している場合もありますので、チェックしてみると良いでしょう。

設計事務所のデメリット

・総予算がわかりにくい
 設計と工事が分離されているので、工務店は自由に選ぶことが出来ます。通常は、その設計事務所と付き合いがある工務店2、3社から相見積もりをとって決めます。
 施主の知り合いの工務店に頼みたいという方もいらっしゃいますが、事務所独自の納め方(ディテール)もありますので、事務所が信頼している工務店の方が無難です。
 工務店から出てくる見積もりは、大概、設計契約時の概算見積もりよりもかなりオーバーしていますので、そこから見積もり調整をします。設計と工事が分かれているのは、透明性があって良いのですが、すぐに総予算がわからない、調整に時間がかかるのが難点です。
 また、工務店の場合は、安く仕入れられる商品がありますが、設計事務所の場合は、どれが割安な商品かわかりません。とくにこだわりがない部分でも、やたら高いものが入っているなんてことがあります。仕様については、工務店からの意見を聞きながら、安く仕入れられる代替案を出してもらうと良いでしょう。

・工務店以上に、レベル差や個性が強い
 設計事務所は、住宅中心の事務所や、マンションや公共事業中心、店舗中心など得意分野が分かれます。それぞれに必要とするスキルや知識が違うのです。HPを確認して、住宅を多く設計している事務所なのかを確認した方が良いですね。
 またデザインを重視するため、断熱性を軽視する設計事務所も、工務店以上に多いのです。有名建築家ほど、この傾向が強いので要注意です。
 ただ「R+house」のように、高気密高断熱で耐震性の高い工法を標準仕様とした上で、建築家と家づくりできるシステムを採用している会社も登場しているので、以前よりも設計事務所に頼む敷居は低くなっているといえるでしょう。

 住宅会社の解説はここまでです。次回は、家づくりの流れを紹介しましょう。

                              イラスト©ざわとみ

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