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注文住宅で間取りを決める前に知っておきたい!
失敗しない間取りの基本5つのポイント

【第5回】2019年10月17日公開(2021年4月9日更新)
船渡亮:株式会社かえるけんちく 代表・一級建築士

注文住宅で家の間取りを決定する前に、間取りの基礎的な考え方を理解することは大切なことです。敷地の使い方や日当たりの確保、家事導線など基本的なポイントを理解することで、住宅会社に的確に希望を伝えられるようになります。今回はそのために必要な5つポイントを紹介します。(株式会社かえるけんちく代表・一級建築士 船渡亮)

1)敷地の使い方をイメージしよう

 多くの日本人にとって、「間取りを理解する」ことは、それほど難しいことではありません。説明なしでも、間取りを見れば、玄関やLDK、階段の位置は分かります。

 ただ、「間取りを理解する」と「暮らしを理解する」には、根本的な違いがあります。「暮らしを理解する」とは、自分達がこの間取りの家に住んだ時に、どのような暮らしができるのかを理解することです。もし、間取りを見ることで、「暮らしを理解する」ことができれば、住んでからの間取りの後悔は減りますね。

 注文住宅を建築する際、間取りの中でも家の配置計画(敷地のどこに家を建てるか)は、とても重要です。なぜなら、道路から玄関までのアプローチや、駐車場位置、プライバシーの確保といったことは、配置計画が決まらないと検討できないからです。まずは、家と敷地の関係について、以下の5つの視点を意識するようにしましょう。

1.道路から玄関までの高低差

 道路と敷地に高低差がある場合、階段で玄関まで上る(または下る)必要があります。道路との高低差は、高齢になった場合を心配する方は多いですが、実は子育て世代にとっても大変です。子どもが小さければ、毎日、子どもやベビーカーを持って階段を上らなければなりません。晴れていれば良いですが、雨の日は滑る危険もあります。傘をさしつつ、赤ちゃんを抱っこして、濡れた階段を上ることを想像すると、ゾッとしますよね。

 雨対策としては、屋根をつけたり、1階の庇を延ばすことで、階段部分に雨がかからないようにすることはできます。またゆったりとした階段にしたり、滑りにくい素材を使うことで滑るリスクを減らせます。

2.駐車のしやすさ

 駐車計画で見落としがちなのが、前面道路の幅員です。自動車を駐車するには、駐車スペースに2.5m×5m、車路部分に5mの幅が必要になります。駐車スペースは敷地内に確保できますが、車路部分は通常、道路を利用することが多いのです。

▲車路に5mの幅がある場合の駐車場

 道路幅員が5m以上ある場合は問題ありませんが、4m道路の場合は道路だけでは車路幅を確保するのが難しくなります。そのため駐車スペースに、1mの余裕を持たせた方が駐車しやすくなります。

▲車路に4mの幅がある場合の駐車場 

 ただ自動車の大きさや、運転の技術によっても、必要な寸法は変わってきます。軽自動車しか乗らない、または運転技術が高いなら、駐車スペースは小さくても良いかもしれません。逆に車通勤や前面道路の交通量が多い場合は、駐車ストレスは減らしたいですよね。

 そのため、駐車計画に余裕がない場合は、実際に計画地で駐車してみて、寸法を確認してください。

3.玄関から駐車場までの距離 

 玄関と駐車場が近いのは、何かと便利です。荷物を運ぶ距離が短くなりますし、雨の日に子どもを保育園に送迎するストレスも減ります。駐車場についた後、忘れ物に気づいたので家に戻る、といったことも楽ですね。車を利用する頻度が多い場合には、駐車場は玄関の近くに計画するようにしましょう。

4.駐輪場を確保する

 敷地計画で忘れがちなのが、駐輪場です。大人が自転車を使わなくても、子どもがいる家庭なら駐輪場は必要になります。玄関に近く駐輪しやすい場所が理想です。

 駐輪場に必要な大きさは、1台0.6m×2.0mです。自転車ラックの場合は、1.2m×2.0mで3台駐輪できる商品もあります。通販で安価に購入できますので、自転車が多い場合は利用しても良いですね。

5.庭と道路、隣地の窓の位置を意識する

 自宅の庭で家庭菜園をしたい、お茶をしたい、BBQをしたい場合には、前面道路の通行人や隣人の視線が気にならないようにする必要があります。そのため間取り図には、道路、隣地建物と窓の位置を記入してもらい、視線を遮ることができる計画なのかどうかを確認します。敷地が更地になっている場合は、現地で見え方を確認するのが確実です。

 なお、自宅でBBQをする場合には、煙で迷惑をかけないように注意しましょう。敷地が狭い場合は、無煙のBBQコンロを使うのがお勧めです。

2)日当たりを確認しよう

 「日当たりを良くしたい」というのは、注文住宅を建てる時に多い要望です。太陽の動きは、100年先であっても簡単に調べられるので、どのように光が入るかは、家を建てる前に分かります。きちんと間取り計画すれば、近隣状況が大きく変わらない限り、ずっと太陽の恩恵を受け続けることができるわけです。まさに、「太陽は裏切らない」ですね!

 室内にどのように太陽光が入るかは、季節ごとの太陽高度や方位によって、どの窓からどのように光が入るかを、近隣の建物の影の影響も含めて検討する必要があります。とても専門的な話になってしまうので、ここでは、間取り図から簡単に分かる目安をお伝えします。

 まず、「日当たりが良い家」を、冬至(12/22頃)の南中時刻(12時頃)にリビングに太陽光が入る家と定義します。冬至は、一年で最も昼が短い日で、太陽の高さも低くて、太陽光が室内に入りにくいです。冬至に太陽光がリビングに入るのであれば、一年中、日当たりが良いといえます。

 上図の敷地の場合、南側の敷地から6mは離せば、冬至の昼の12時に、1階のリビングに太陽光が入ることがわかります。6m以上あれば、より太陽光が入りやすくなり、短くなると入りにくくなります。

 上図のように隣地から4mしか距離がない場合は、冬至12時に1階にはほとんど光が入りません。これを改善するには、

・南側の敷地を広くとる
・リビングを2階にする
・吹き抜けをつくる

 といった方法が考えられます。また、日当たりは南側建物の位置や高さによって違いますので、住宅会社に正確な近隣の配置図や断面図を作成してもらって、日当たりを検討すると良いですね。

3)家具や家電を配置してみよう

 ミニマリスト以外の多くの方は、自宅に家具や家電を置きます。テレビ、ダイニングテーブル、ソファ、ベッド、仏壇、子どもの勉強机、たんす、ピアノ。これらの家具や家電の置き場所は、新居に住んでからではなく、たたき台の間取りができた段階で位置を決めるようにします。この時点で大きな問題がある場合は、変更を検討しましょう。

 間取りの検討段階で、家具や家電を書き込むメリットは3つあります。

・暮らし方がイメージしやすい

画像PIXTA
出典:PIXTA

 家具をおくことは、家のどこで何をするのかを決めることでもあります。テレビを配置すれば、どの位置からテレビが見ることができるかがわかりますし、ダイニングテーブルを配置すれば、配膳動線が分かります。間取りだけだと、ぼんやりとしかわからない暮らしが、家具を配置することでイメージしやすくなります。

・部屋の大きさを理解できる

 家具を配置すると、部屋の大きさを理解できるようになります。現在、6帖のLDKで食事をしている方が、20帖のLDKの空間をイメージするのは難しいですが、家具を配置すると、家具から壁までの距離も分かるので、理解しやすくなります。

・間取りの問題点が分かる

 同じ面積のLDKでも、家具配置のしやすい間取りとそうでない間取りがあります。特にリビング階段(リビング内に階段を設けるレイアウト)を採用した場合は、LDKが階段までの通路になるため、ソファやダイニングテーブルを配置すると動線が悪くなる、といったことはよくあります。家具が書いてあれば、問題点がわかりますので、早い段階で間取りを見直すことができます。

 家具配置は、住宅会社に家具の大きさを伝えれば、図面に記載してくれます。そのような対応ができない中小の工務店の場合は、自分で書きこむようにしましょう。

4)間取り図の家で暮らすことをイメージしてみよう

 家具を配置した間取り図ができたら、その間取りで暮らしてみます。これは私が提唱する間取りのシミュレーション方法で、起床してから就寝するまでの家族の動きを間取り上で想像してみることを意味します。この方法を「間取りで暮らす」と私は呼んでいます。

 間取りや暮らし方によって、さまざまな動きが考えられますが、とりあえず以下の4つシーンでの動線を想像してみましょう。

1.起床~通学・出勤動線

 起床してから、通学、出勤するまでの動線です。

<動線例>

起床→朝食準備→朝食→片付け→歯磨き→自分や子どもの準備→通学・出勤

 ポイントは、子どもの準備をリビングと同じフロアで済ませることです。特に小学校の低学年までは、着替えや準備に親のサポートが必要です。リビングとは違う階にクローゼットや洗面所がある場合は、親が大変なのでなるべく同じ階ですむように工夫しましょう。

2.帰宅動線

 帰宅してから、リビングに入るまでの動線です。

<動線例>

駐車場→玄関→靴を脱ぐ→コートをかける→手洗いうがいをする→リビングに入る

 ポイントは、シューズクロークです。最近、メインの玄関を綺麗に保つため、シューズクロークを内玄関として採用するのが流行っていますが、リビングへの動線を考えると遠回りになり、広さもアパートの玄関並み、という間取りが多いです。内玄関は靴を脱ぎっぱなしが前提ですから、足の踏み場もなく靴を脱がなければならなくなるのが想像できます。

 玄関を綺麗に保つために、「家族全員」がシューズクロークを使い続けることができれば良いですが、「面倒なこと」「不快なこと」は長続きしません。「全員が無理なく暮らせるか」という視点は、シューズクロークに限らず重要なので、「間取りで暮らす」場合には、意識してください。

3.料理・配膳動線

 購入した食材を収納し、料理・配膳・片付けまでの動線です。

<動線例>

収納:玄関→キッチン→冷蔵庫等に収納
料理:食材をとる→シンクで洗う→ワークトップで下ごしらえ→コンロで炒める→配膳
片づけ:食器を片付ける→シンクで下洗いする→食洗機をかける→ゴミを捨てる

 料理・配膳動線は、動きが複雑なので、間取り上で想像するのは難しいかもしれません。できればキッチンのショールームで同じような配置のキッチンを探し、実際に動いてみるのが良いですね。この時のポイントは、キッチンだけを見るのではなく、冷蔵庫やカップボード、パントリーの位置もイメージすること。住宅会社からたたき台の間取りが提案されたら、配置が似ているキッチンを探して、シミュレーションしてみましょう。

4.洗濯動線

 文字通り、洗濯の動線です。

<動線例>

洗濯機を回す→干す→取り込む→畳む→収納する

 洗濯動線で見落されがちなのが、「取り込む→畳む→収納する」の過程です。特に共働きで小さいお子さんがいる場合、帰宅して洗濯を取り込んだら、子どもをお風呂に入れたり、食事を準備して空腹を満たしてあげなければなりません。

 落ち着いたら、やっと洗濯物を畳み収納することになりますが、それまでリビングから放置された洗濯物が見えてしまうのは、気持ち良くないですね。そのため、放置していても気にならない位置に洗濯物の一時置き場を用意すると良いです。

 一時置き場は、ランドリールームのように洗濯専用の部屋でも良いですが、廊下の一部やリビングに隣接する和室でも構いません。なるべく生活に支障がない位置が良いですね。

5)収納の量と場所を今の住まいと比較してみよう

 たたき台の間取りができたら、収納量が足りるかどうかを現在の住まいと比較してみます。以下の5つの項目について、確認しましょう。

1.洋服
 今の住まいで利用しているパイプハンガーの長さを測り、その長さが確保されているかを確認します。一般的に、成人で1.8m程度のクローゼット長さが必要といわれていますが、洋服の量は人それぞれなので、現状から考えるのが良いでしょう。

 子どももいつかは成人するので1.8mのクローゼットがあれば理想ですが、90cm程度でも問題ありません。

2.布団
 布団を床に敷いて寝る場合は、布団を収納するための押し入れを忘れないようにしましょう。布団には、0.9m幅の押し入れが必要です。またウォークインクローゼットの中に布団をしまう計画をしている方がいますが、毎日、しまうことを考えると寝床の近くに押し入れがあった方が良いですね。現在も布団で寝ているなら、どの程度のスペースが必要なのかを確認しておきましょう。

3.靴
 現状の靴を数えて、新居に必要な靴の数を設定しましょう。子どもは、成人した場合を考え、大人と同じ程度で良いと思います。既製品の下駄箱の場合、商品ごとに収納量の目安が示されているので、カタログで確認するようにしましょう。

4.キッチン
 現状のキッチンやカップボード、調理家電の大きさを測った上で、キッチンのショールームにいくと、大きさが実感しやすいと思います。特に調理家電は、カップボードのカウンターに置いて使うので、巻き尺を使って置くことができるかを確認しましょう。

5.日用品
 トイレットペーパー、生理用品、洗剤、柔軟剤、シャンプー、リンスなどのストック品は、現状の住まいでどこに置いてあるかを確認した上で、提案間取りではどこにおくと便利かを検討しましょう。

6.季節家電や大きなモノ
 所有している季節家電や、ゴルフバックやスーツケースなどの大きめのモノは、仕舞われている収納の大きさを測り、その大きさの収納があるかを確認します。現在、収納場所がなく、床に置かれている場合は、それらの大きさを測り、置ける場所を検討します。

暮らしを理解したら改善要望を伝えよう

 1)から5)までのポイントを確認すると、この間取りでどのような暮らしができるのかを理解できるようになります。その上で問題だと思う部分は、メモをしておき、優先順位で並べ替え、住宅会社に改善要望として伝え、次の打ち合わせで改善提案してもらいます。

 問題解決のための間取り検討は、施主自ら考えても良いですが、まずは住宅会社から提案を待ちましょう。その対応によって、住宅会社の営業や設計者が信頼できるのか、提案力があるのかが分かるようになります。

 次回は、「見積もりの依頼方法」について解説します。

イラスト©ざわとみ

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