売却不動産の「囲い込み」が疑われる3つのパターンとは? 売主ができる対策も解説!

2020年4月17日公開(2023年9月6日更新)
田中輝一:株式会社正直な家 代表取締役

「囲い込み」は違法である上に、売却期間の長期化や高値売却の機会損失など、売主に不利益をもたらすこともあるので、不動産売却時には注意したいポイントです。ここでは、コンプライアンスが厳しい時代に、法律違反を避けながら囲い込む「最新の手口」と、売主ができる対策について解説します。(株式会社 正直な家代表取締役 田中輝一)

家を売る際に注意すべき「囲い込み」の最新の手口

 不動産売却時の「囲い込み」営業は、10年ほど前までは問題になることは少なく、ほとんどの不動産業者が行っていました。当時の囲い込みは、たとえば以下のような手口でした。

  • ・購入申込書が他社から一番手で送付されて来ても『自社の購入客が優先なので二番手になる可能性があります』と平気で言っていた。


  • ・レインズに掲載してある物件でも、自社への問い合わせが多い場合は、『他社のお客様への案内は2週間後から』などと答えていた。

 当時から、囲い込み行為は問題視されていましたが、売主側の仲介業者(特に大手不動産業者)の力が強く、見直されることはありませんでした。

 しかしその後、コンプライアンスに対する社会の目が厳しくなり、不動産取引が透明化してきたことで、大手を振って囲い込みをすることができなくなってきました。

 その分、最近ではより巧妙に囲い込みが行われています。あの手この手を使い、宅建業法に触れないように……。

 売主の売却理由にもよりますが、最近多いのは、

  • ・自社に直接問い合わせが来たら、媒介契約を結ぶ前に不動産買取業者に一斉に査定させて、「買取価格」で売却相談に乗る

という囲い込みの手口です。

 通常、売主から売却希望の問い合わせが来てから、売主と媒介契約を結ぶまでには「1~2週間」の時間的猶予があるのです。

 その期間を利用し、売主から預かった物件を買取業者に査定させて、金額を出していく。

物件の「囲い込み」の手口

 買取業者による買取価格は、一般に売り出した場合の相場より少し安いものの、早期売却を希望する売主は、その価格で飲んでしまう……。

 こうした手口を使って、自社で囲い込みをするケースは多いように感じます。

 どこの不動産業者が囲い込みを行っているのかは、表立って公表されることは少ないため、売主が知ることはなかなか難しいのです。

 では、自分の不動産を守るために売主は何ができるのでしょうか?

「囲い込み」の疑いが高い3つのパターン

 ここからは、不動産仲介会社専用のデータベース(指定流通機構)である「レインズ(REINS)」をもとに、所有不動産を売りに出している売主が囲い込みをされないように自衛するための方法を解説します。

 囲い込みを防ぐためには、自分の物件がレインズにどう登録されているかを確認しましょう。レインズへの登録情報を閲覧するには、売却を依頼した不動産仲介会社からレインズの「登録証明書」をもらう必要があります。

 レインズを確認した結果、以下の3パターンのいずれかに当てはまる場合は、「囲い込みされている疑い」アリです。

(1)図面がまだできていない

 いちばん気を付けて見ないといけないのが『図面(チラシ)が登録されているか』どうか。

 各不動産仲介業者は、この販売図面をもとに自社のお客様に物件を紹介していきます。そして、買主にとって特に気になるのが、お部屋の間取り図なのです。

 あなたの物件の間取り図がいつになっても登録されない場合は、囲い込みをされている確率がとても高くなってきます。

 一般のお客様が見る機会は少ないと思いますが、レインズではこのように物件情報が載っています。

  不動産仲介会社が買主に物件を紹介する際は、右端にある『図面』のボタンをクリックして取得後に、お客様に案内するのが一般的な流れです。

 しかし、レインズに物件の登録がしてあっても図面の登録がないと、他社の方では買主を成約まで持っていくことは難しく、そのため囲い込まれる可能性が高くなってしまいます。

(2)「売主都合で一時紹介停止中」

 もともと囲い込みをしていても、なかなか発覚はしませんでした。しかし、社会問題化したこともあり、2016年1月にレインズの物件情報項目に『取引状況』欄が追加されました。

 これは物件の販売状況を明らかにする仕組みで、下記の3つのステータスがレインズに記載されるようになっています。

レインズの「取引状況」のチェック方法は?
ステータス 内容
公開中 客付業者(買主側の業者)から案内などが受けられる状態のときに設定
書面による購入申込みあり 客付業者などから書面による購入申し込みを受けた状態のときに設定(他の人から購入申し込みができない状態)
売主都合で一時紹介停止中 売主の事情により一時的に物件を紹介できないときに設定

 この中の「売主都合で一時紹介停止中」が、一部の不動産業者で囲い込みに悪用されている場合があります。

 一般的には、媒介契約を結び、レインズへの登録が済んだ後、売主に「登録証明書」を発行します。しかし、相続などで売主が遠方にいる場合に、売主に登録証明書を渡さない業者がいるのです。

 この状況では、レインズの取引状況のステータスを「売主都合で一時紹介停止中」とすることができ、その間に自社で買主をみつけてしまうのです。物件情報を公開していれば、もっと高い金額で購入してくれる買主と出会えたかもしれません。

 (1)の図面と(2)の取引状況は、売主もレインズの「登録証明書」で確認することができます。登録証明書で確認する箇所は以下の通りです。

  •  ・『取引状況』が「公開中」になっているか
     ・『図面』が「有」になっているか

 

 この2点を確認しておけば、囲い込みをされている可能性はほとんどないと言っていいと思います。登録証明書にこのように記載してあれば、不動産業者が見るレインズ上でも、その通りに表示されているからです。

 なお、売主は、所有不動産のレインズでの登録内容を、インターネット上でも確認することができます。

 上の画像の最下部に記載されている「登録内容確認URL」のWEBサイトにて、「確認用ID」「パスワード」を入力すればOKです。(※注・上の画像のID、パスワードは見本のためダミーです)

(3)物件登録前に申し込みが入っている

 最後にもう一つ、囲い込みを示すポイントを紹介しましょう。

 レインズに物件が登録されるよりも前に、購入の申し込みが行われている——。そんなケースの分かりやすい証拠が、下の画面です。

 こちらは、レインズの業者向けの画面です。レインズに物件が登録された日付を表す『登録年月日』よりも、申し込みの期日の方が4日も早くなっていますね。

 残念ながら、この画面は先ほどのID・パスワードでログインしても売主は閲覧することができません不動産仲介会社にお願いして、業者向けの管理画面を見せてもらえるのであれば、確認してみましょう。

 「たまたま店舗に来た人に情報を流したところ、先行して申し込みが入った」
などというグレーなケースもなくはないですが、囲い込みの可能性が高い物件の例だと言えるでしょう。(大手不動産業者でたまに見かけます……)

 なお宅建業法では、専任媒介契約は契約後7日以内のレインズ登録を義務化しています(専属専任媒介契約は契約後5日以内)。

 そのため、上記の画面のように、1月10日にレインズに登録しているケースは、媒介契約したのが1月4日〜10日(専任媒介のケース)であれば、法律を守っているということになります。

【関連記事】>>レインズの閲覧や登録方法とは?  不動産売却で損をしないために活用方法を知っておこう!

まとめ~売主として、何ができるのか?

 先述のように、レインズ登録後、『登録証明書』を売主に渡すことなく、売主の所有不動産を販売している業者がいます。

 また、登録証明書が手元に届いても、見方が分からず、そのまま放置している売主も多くいるかもしれません。

 登録証明書をもらっていない売主は不動産業者に送付するようにしっかりと伝え、ここまで解説した登録証明書などのチェックポイントを確認してみましょう。

 媒介契約を不動産業者と結んだ後は、実際にどのように売り出されているのか、何も疑問を持たず、確認をしない売主は多いと思います。

 かつてと比べれば、囲い込みをしている不動産業者が少なくなっているのも事実ですが、ご自身の物件ですから、一度くらいは自分で確認してみることをおすすめします。

【関連記事】>>大手不動産仲介会社は、「両手取引」が蔓延?! 不動産売却時は、「両手比率」が高い会社に注意を

 

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