高値売却のために、どの不動産仲介会社を選ぶべきか? 業者を見極めるポイント10項目を公開!
書籍『確実に儲けを生み出す不動産売却の教科書』

【第3回】2025年4月9日公開(2025年4月11日更新)
風戸裕樹:PropertyAccess.co CEO & Founder

円安によって不動産もインバウンドのニーズが急増している。海外の富裕層を相手にすれば、相場の3割増しで売れることも珍しくない。不動産売却のプロが、都心のマンション所有者に向けて高値で売却する方法を伝授する。第3回は、売却活動のファーストステップである不動産仲介会社の選び方について解説する。【Property Access株式会社代表取締役 風戸裕樹 著:書籍『確実に儲けを生み出す不動産売却の教科書』(新流舎)から転載】<前回の記事はこちら

不動産売却の教科書
海外富裕層を相手に高値で売却する方法を書いた『確実に儲けを生み出す不動産売却の教科書』著:風戸裕樹(新流舎)

物件の売却価格を決める

 物件を高値で売るにはどうしたらいいのか。今回から、実際の売却活動について解説していく。

不動産売却の教科書:高値で売るために、不動産会社を見極める
ポータルサイトに出ている競合物件をリサーチ(出所:PIXTA)

 売りたい物件がタワーマンションだとすると、常時10〜20件の物件が売りに出ており、売却する場に掲載される。不動産会社のホームページやポータルサイト(SUUMO、HOME’S)に掲載されている同じマンションや近隣の物件が競合になる。

 また、不動産はスーパーのマーケットに並ぶ食品のようにディスカウント販売のようなことは認められていない。唯一無二のものなので新築でも中古でも二重価格は禁止されている。

 自分の所有する物件の相場を把握したら、2〜3社の不動産会社に査定依頼を出そう。ここで、いちばん高い査定価格をつけてくれた不動産会社に売却を依頼したくなってしまうが、ひとつ注意が必要だ。

 査定価格と成約価格は異なる。過去の成約価格は宅建士(宅地建物取引士)だけが閲覧できるシステム「レインズ(Real Estate Information Network System)」でしか知ることができない。

 実際に売出価格を決めると、買付申込が入った時点で「1億5000万円のところ、買主の予算が1億3000万円しかない」といった指値交渉(買主が売主に対して値引きの打診をすること)が始まる。

 売出価格そのままに満額で売れることは不動産取引全体の2割程度だ。指値交渉は、挨拶代わりのように必ず発生する。20パーセント以上の値引きを交渉するのはマナー違反で、都市の物件なら5〜10パーセントの範囲に収まる。それを踏まえたうえで妥協できる売出価格を決めておこう。

 先述したとおり、日本の商慣習的に売出価格よりも高く売れることはないため、売出価格を決めた時点でそこが上限となってしまう。指値が入っても自分が納得できる最低の価格で売れるかを見極めて値決めすることが重要だ。

どの不動産会社に査定依頼すべきか

 それでは、どの会社に査定依頼をすればいいのか?

 よく家が近い、開発したデベロッパーの関連会社で仲介業者を選んでしまいがちだ。しかし、知り合いだから高く売れるわけではないし、有名な会社が高く売れるとも限らない。なかには「ネットや広告に強いんです」とアピールする会社もあるが、これは完全に売却を任せてもらうための宣伝文句である。

大手不動産仲介会社の場合

 大手は顧客リストが多く、物件の契約書や重要事項説明書が丁寧につくられているので、売却後のリスクを最小限に抑えるようなことが、基本的にはおこなわれている。たとえば、契約不適合責任といって、入居後2〜3カ月は契約書上にない不測の事態に対して売主は責任を負わなければならない。その保険を無料で付帯する制度を設けているところもある。

 また、居住している状態ではなく、すでに引っ越しを決めて売却活動を開始するときは、「ホームステイジング」といって家具を無料で配置して、モデルルームのようにしてくれる。ただ、これらはいずれも高く売れる要素ではない。

 大手のセールスポイントは多種多様のようで、本質的にはどこも大差はない。「当社のホームページは他社と比べてこれだけの訪問者数があります」とホームページでの強さを推してきたり、「これだけの顧客数があるので、過去にこれだけの成約をしています」と取引実績を強調してきたり、退去済みであれば「ホームステイジングでこういう差別化をしています」とアピールしてくるだろう。

 お祝い金の支給やキャンセルの手数料無料キャンペーンなど、さまざまな施策が日々繰り広げられている。

 タワーマンションならデベロッパーの関連会社が存在する。野村不動産なら野村不動産ソリューションズ、三井不動産なら三井不動産リアルティなどだ。

 ただ、開発業務と仲介業務はまったくの別事業なので、関連会社だから他社よりもその物件に詳しいという理由にはならない。

 そもそも大手はジョブローテーションがあるため、「年間、このエリアを担当しているので、あらゆる物件の取引実績や相場を熟知しています」なんてスタッフは、まずいない。関連会社の人間だから知識が多いとは限らないのだ。

地元の不動産会社の場合

物件を売るときにどの不動産会社を選べばいいのか。地元の不動産会社はいいのか
近所の不動産会社は相談のしやすさがメリット(出所:PIXTA)

 そのほかによくあるのは、相談のしやすさから知り合いや近所の不動産会社に依頼するケースだ。メリットは、親身に相談に乗ってくれること、何かあったらすぐに駆けつけてくれるフットワークの軽さだ。

 ただ、売買は買い手がいくら出すかで決まるので、親身になってくれる知り合いだからといって高く売ってくれる理由にはならない。

 確かめるべきは、仲介業者が持っている顧客リストのなかに、そのエリアで物件を欲しがっていて、高値でも買いたいと思っている人がどれだけいるかだ。

 ネットや広告に強い会社、あるいは仲介手数料無料と謳う会社もある。新築のマンションではないので、基本的にはポータルサイト、大手の不動産ホームページに掲載するのが、いちばん見られるインターネット・マーケティング施策だ。

 その物件単体のウェブページをつくって広告を出しても効果に乏しい。ウェブ広告の出し方に長けているよりも、どこのポータルサイトやホームページに載せることができるかのほうが大切だ。

 もしネットに強いと言われたら、ポータルサイトと比較してどのくらいアクセス数の増加が見込めるのかをしっかり確かめる必要がある。

 また、「仲介手数料無料でやります」と言われたら、会う価値すらない。仲介手数料は、1億円の物件なら3%+6万円で306万円が仲介業者の懐に入るわけだ。

 これを無料にするということは、仲介業者は買主から手数料を絶対に取らなければ利益が出ない。そうなると買主を囲い込みせざるを得ないので、自社の顧客リストにしかアプローチされず、他社のホームページに掲載されることはなくなる。

 極端に狭い間口のなかでは高値で売れる確率は非常に低くなる。目の前の300万円が安くなるよりも、顧客へのリーチ数を広げることでそれ以上に高く売れる可能性のほうが遥かに高い。

 これらを踏まえて、おすすめするのは、大手を1社絡めて3社ほどに査定依頼を出すことだ。残り2社は自分の好きな会社で構わない。すると、仲介業者から「査定のために訪問したい」という申し出を受けることになる。

不動産仲介会社を見極めるポイント10選

  不動産仲介会社を選ぶにあたっては、ほかにも見極めるポイントがいくつかある。以下のチェックリストで10個挙げた。不動産会社とやり取りするにあたって参考にしてほしい。

  不動産仲介会社を見極めるチェックリスト
近隣の物件事例を豊富に提供し、査定価格の根拠を示してくれるか
過去の取引価格を参考に、安易な価格の下方修正を提示していないか
最高値で買う根拠を示さずに、ただ「この物件を買いたいお客さんがいます」と繰り返していないか
他社にも積極的に情報開示をして、売却活動を広げようとしているか
他社が広告しやすいよう、レインズに「広告可」で登録するつもりか
過去に「〇〇の方がお客様のマンションをお探しです」といったオトリとも思える広告をチラシやポスティングで配布していなかったか
仲介手数料について安易な値引き提案がないか(両手取引のみを目指している可能性がある)
根拠なく明らかに高い査定額を提示していないか (絶対に売れない価格でも専任契約を勝ち取り、のちのち値下げ提案をする営業手法の可能性アリ)
海外のエージェントネットワークにアクセスしているか
自社で外国人顧客を獲得する努力をしているか

 筆者は、海外富裕層との取引を重視しているので、「海外のエージェントネットワークにアクセスしているか」「自社で外国人顧客を獲得する努力をしているか」というポイントも含めている。相場より高い価格で売りたいなら、海外の買主と取引実績があるかどうかもチェックすべき点だ。

 次回は「営業担当者」を見極めるポイントについて解説したい。売却を任せられるか、物件が高く売れるかは、会社の実力もそうだが、担当者の力量に大きく左右される。

確実に儲けを生み出す不動産売却の教科書
(風戸裕樹 著・新流舎)

 
不動産売却の教科書

海外との取引に強い不動産会社を経営する著者が、都心マンションを相場より3割増しで売る方法を解説する!各国の富裕層の特徴や売却活動のポイントを詳述。実際の売却事例も紹介している。

また、売却で得た資金をどのように運用すると、大きくお金を増やせるのか。富裕層の資産運用を知る著者ならではの戦略を伝授!

40年に一度の不動産売却チャンスを活かして、富裕層の仲間入りを果たそう。

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掲載企業一覧を掲載、各社のアピールポイントも閲覧可能
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・対応可能な不動産の種類が多い

対応物件 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
紹介会社数 最大6社
運営会社 Speee
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