戸建て住宅の価格査定で、不動産のプロも使う
「戸建住宅価格査定マニュアル」を徹底解説!
中古の一軒家を高く売るためのヒントを学ぼう!

2020年8月5日公開(2020年8月5日更新)
福崎剛

福崎剛(ふくさき・ごう)氏:東京大学大学院卒、都市工学専攻。日本ペンクラブ会員。マンション管理問題から、景観保全のまちづくり、資産価値の高い住宅選びなど、都市計画的な視点でわかりやすく解説。『マンションは偏差値で選べ!』(河出書房新社)、『本当にいいマンションの選び方』(住宅新報社)など、著書多数。

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戸建て住宅(建物)の中古価格はどのように査定するのだろうか。信頼できる査定方法の1つに、「戸建住宅価格査定マニュアル」(公益財団法人 不動産流通推進センター作成)を利用する方法がある。本来「戸建住宅価格査定マニュアル」は不動産仲介会社(宅地建物取引業者)が利用するものだが、戸建ての売却を検討中の売主もその考え方を知ることで、査定金額に影響を与える条件の理解や、信用できる不動産仲介会社(宅地建物取引業者)か否かの見極めにも役立つだろう。詳しく解説するので、ぜひ参考にしてほしい。(フリージャーナリスト:福﨑剛)

「価格査定」は、不動産仲介会社の法律上の業務

 不動産仲介会社(宅地建物取引業者)が不動産売買の媒介契約を締結する際、媒介価格について意見を述べるときは「その根拠を明示しなければならない」と義務づけられている(「宅地建物取引業法」第34条の2の規定)。つまり、価格査定は、納得できる根拠や理由に基づいた適正な市場価値を反映して算出していないといけないのである。

 この記事では、不動産の中でも「戸建住宅(建物)」の価格査定について解説していきたい。

 建物は30年足らずで資産価値が0円になると言われる戸建住宅。建物が古くなればなるほど、土地の価値しかないとも言われ、古すぎる建物は取り壊し費用がかかるため、査定価格はさらに下がると言われる。査定する不動産仲介会社によっても査定価格が大きく異なるとすれば、査定の依頼先にも迷うだろう。

「価格査定マニュアル」は、国交省のお墨付き

 では不動産仲介会社は、何を根拠にして査定価格を提示するのだろうか。信頼性がある査定方法の1つに、1981年(昭和56年)に作成された公益財団法人 不動産流通推進センター(旧:不動産流通近代化センター)の「価格査定マニュアル」に則った方法がある。

 「価格査定マニュアル」とは、建設省(現:国土交通省)委託調査「価格査定マニュアル策定委員会研究報告書」を元に策定されたもの。消費者に納得性の高い根拠を明示するための合理的手法として、宅地建物取引業者向けに作成された価格査定マニュアルだ。

 つまり、国交省“お墨付き”の信頼性の高い、査定方法といえる。

 ちなみに、価格査定マニュアルでは、不動産を以下のような方法で査定する。

・ 中古マンションや土地の価格査定……「比較方式」

 

・ 戸建住宅の価格査定……土地は「比較方式」、建物は「原価方式」

 土地は中古マンションと同じで、対象不動産と類似の不動産が実際に取引された価格をもとにして、対象不動産の価格を求める「比較方式」で評価する。これが価格査定で使われるポピュラーな方法である。

 一方、建物は「原価方式」で評価する。原価方式とは、対象の不動産と同様のものを現在建てた場合に、いくらかかるのかを調べるやり方で、築年数で老朽化による減価修正を行って価格を算出するやり方だ。

 戸建住宅の査定では、土地の部分と建物の部分の価格を合算して算出することになる。

・土地の部分の価格は、「住宅地価格査定マニュアル」により算出

 

・建物の部分の価格は、「戸建住宅価格査定マニュアル」により算出

 ここでは、建物の部分の価格について説明する。土地の部分の価格については、以下の記事で取り上げているため省略する。
【住宅地の査定に関する記事はこちら】>>土地(住宅地)の価格査定でプロも信頼する査定方法、「住宅地価格査定マニュアル」を徹底解説!

「戸建住宅価格査定マニュアル」の査定プロセス

 具体的な査定の流れを見ていこう。

 まずは建物の状況の確認だ。屋根や外観を確認するとともに、必要に応じて建物内部にある、建具や床、壁、天井、設備などに使用している建築材料やその状況を調査する。併せて、リフォームや維持管理の状態、住宅性能などを示す資料の有無、住宅の付加価値と考えられる設備の状況をチェックする。

 その結果を、不動産仲介会社はインターネット上にある専用の「WEB査定システム」(以下、「システム」)を利用し、項目に沿って情報を入力していくだけで、対象物件の価格を査定することができる。各項目は、査定プロセス順に大きく5つの項目「①基本情報」「②建物のグレード」「③部位別のリフォーム。維持管理状態」「④その他の付加価値項目等」「⑤目視による物件の現況評価」で構成されている。

 残念ながら一般ユーザーはシステムを利用できないが、各項目がどのような状態だと査定額がアップするのか、この記事を参考にしてみてほしい。

 では項目ごとに、具体的な査定ポイントについて説明しよう。

【戸建住宅(建物)の査定プロセス①】
「基本情報」の設定

 査定プロセス①と②では、簡便な査定の計算式に必要な数値を算出していく。「再調達価格」とは、同じような建物を建てる際にかかる建築費のことだ。

簡便な査定の計算式

 システム上では、まず「査定建物の所在都道府県」と「建物の構造(工法)」を指定すると、「標準建築費」(以下、「標準単価」)が自動で表示される。

標準単価の全国平均
木造 18万円
鉄骨造 27万円
鉄筋コンクリート造 29万円
出典:住宅着工統計「構造別の1㎡あたりの工事費予定額(万円)一戸建ての持ち家のケース

 しかし、標準単価は住戸規模によって変わる。そこで、建物の総延床面積によって、標準単価の修正率=規模修正率が設定されている。

総延床面積 75㎡未満 75㎡以上~135㎡未満 135㎡以上
規模修正率 1.05 1.00 0.95

 また、査定対象の建物の築年月と査定年月日を入力すると、経過年数が自動で算出される。

 さらに新耐震基準の適合性を確認する。対象の基準は3つに分けられ、それぞれ補正率が異なっている。

対象の基準 補正率
「新耐震基準(2000年の建築基準法および同施行令改正後)に適合」
・登記簿上の建築日付が2001年1月1日以降の建物
・登記簿上の建築日付が2000年12月31日以前の建物だが、建築確認通知書の日付で改正後の新耐震基準適合が確認できる場合
・登記簿上の建築日付が2000年12月31日以前(1981年12月31日以前を含む)の建物だが、耐震診断などを行い、査定時点で改正後の新耐震基準に適合すると判断された場合
1.00
「新耐震基準(1981年の建築基準法および同施行令改正後)に適合」
・登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降、2000年12月31日以前の建物
・登記簿上の建築日付が1981年12月31日以前の建物だが、建築確認通知書の日付で改正前の新耐震基準適合が確認できる場合
0.95
「新耐震基準に適合せず」 0.90

【戸建住宅(建物)の査定プロセス②】
建物のグレードの設定

 次は「建物のグレード」を評価して、先ほどの計算式にあった「品等格差率」を算出する。品等格差率とは、建築材料のグレード(品等)に応じて、建築費を修正するための比率だ。

 「基礎・躯体」のグレードについては、5ランクで評価している。

  • ・AAAランク:長期優良住宅相当(耐用年数100年)
  • ・AAランク:劣化対策等級3相当(耐用年数75年)
  • ・Aランク:劣化対策等級2相当(耐用年数50年)
  • ・Bランク:昭和60年以降に旧公庫融資を受けている(耐用年数40年)
  • ・Cランク:上記以外(耐用年数30年)
  •  
部位 品等格差率
AAAランク AAランク Aランク Bランク Cランク
 基礎・躯体 1.07 1.07 1.00 0.97 0.97

 では、AAAランクとAAランクの違いはなんだろうか。それぞれのランクの基準がある。

 AAAランクに関しては、次の3つが基準となり、いずれかに該当していることだ。

・長期優良住宅の適合書や認定通知書等が確認できる。
・フラット50の融資を受けている
・フラット35S(金利Aプラン)の融資を受けており、「耐久性・可変性」基準で長期優良住宅に該当することが確認できる。

 AAランクの基準は、次の2つの基準が目安になる。

・フラット35S(金利プランB)の融資を受けており、「耐久性・可変性」基準で劣化対策等級3に該当することが確認できる。

・住宅性能評価書で劣化対策等級3に該当することが確認できる。

 Aランクの基準は、

・フラット35S(金利プランA)(金利プランB)の融資を受けており、「耐久性・可変性」意外の基準に該当することが確認できる。

・フラット35の融資を受けている。

・住宅性能評価書で劣化対策等級2に該当することが確認できる。

・旧住宅金融公庫の融資を受け、高耐久性住宅に該当することが確認できる。

 Bランクの基準は、

・昭和60年以降に旧住宅金融公庫融資を受けている。

 Cランクの基準は、AAA・AA・A・Bランクのいずれにも該当しない場合、となっている。

 また、外部仕上げ・内部仕上げ・設備についても建築材料を確認して、グレード(品等)の区分を3つの等級で評価する。

  • ・A仕様:最も高額な材料
  • ・B仕様:標準的な材料
  • ・C仕様:普及品などの材料
  •  
部位 品等格差率
A仕様 B仕様 C仕様
外部仕上げ 屋根材 1.50 1.00 0.70
外壁材 1.20 1.00 0.80
外部建具 1.20 1.00 0.80
内部仕上げ 内部建具 1.20 1.00 0.80
内装仕上げ 1.20 1.00 0.80
設備 台所 1.40 1.00 0.80
浴室・洗面・トイレ 1.40 1.00 0.80
給排水・給湯設備 1.20 1.00 0.80
照明器具・電気設備 1.20 1.00 0.80

 たとえば、「屋根材」は、瓦等の等級を判定して、該当するものを指定すればいいし、材料が複数の組み合わせである場合は、使用割合(面積)の大部分を占める材料を屋根の建築材料とするという具合だ。

三州瓦
「いぶし瓦(上質)」は、愛知県の三州瓦や兵庫県の淡路瓦などが該当する。(画像:PIXTA)

 具体的な屋根材で、A級は「いぶし瓦(上質)」や「高級S型洋瓦」で、B級は「いぶし瓦(地瓦)」や「釉薬瓦(陶器瓦)」がこれに該当する。

 同様に、外部建具や内部建具、内装仕上げ、設備についても使用材の等級を判定し、該当するものを指定することになる。浴室でいえば、その広さもグレード判定の目安になる。(A級は浴室の広さが1.25坪以上、B級は1坪以上、C級は1坪未満)

【戸建住宅(建物)の査定プロセス③】
部位別のリフォーム・維持管理状態の設定

 ここまでの段階(査定プロセス①②)で簡便な査定は行えるが、以降の査定プロセスによって、より適正な査定価格が算出できるようになる。

 査定プロセス③では、部位別の耐用年数とリフォーム状況等を把握することで、部位別現価率を設定する。

 ここでいう現価率とは、建築後の経過年数に比例して減少した建物価格が、新築価格に対して査定時点でどの程度現存しているかを示す比率になる。

 簡単に説明すれば、リフォームを施すことで、耐用年数が変わるということだ。まずは「基礎・躯体」について見ていこう。

 建物の劣化状況を、可能な限り査定価格に反映することが適切だとされているため、査定時における既存住宅売買瑕疵保険の適合検査や建物状況調査の実施の有無、当該検査の結果によって耐用年数や査定結果が変わる。このような資料、情報開示があるかどうかで評点に差がつくのである。

平成30年
3月31日まで
・既存住宅売買瑕疵保険の適合検査
・任意のインスペクション(建築士などの有資格者が実施したもの)
平成30年
4月1日以降

・過去1年以内に実施した既存住宅売買瑕疵保険の適合基準

・過去1年以内に実施した建物状況調査(既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が実施したもの)
・有効期間内の既存住宅売買瑕疵保険または新築住宅瑕疵保険(転売特約付きに限る)の付保

※検査は査定時点ですべて完了していることが条件

 既存住宅売買瑕疵保険の適合検査や建物状況調査の実施による、基礎・躯体の劣化状況判定の目安は、次のようになる。

 Aランクに関しては、次の3つが基準となり、いずれかに該当していることだ。

・過去1年以内に実施した建物状況調査結果報告書で未調査部位がなく、各部位の検査項目がすべて「劣化事象なし」と確認できる

・過去1年以内に実施した既存住宅売買瑕疵保険の適合検査に合格している(保険申込事前検査判定書で合格の旨を確認)
・保険期間内で有効な既存住宅売買瑕疵保険や新築住宅瑕疵保険(転売特約付きに限る)の保険付保証明書がある

 Bランクは、次のいずれかに該当する場合となる。

・建物状況調査結果報告書に、何らかの劣化事象の指摘がある

・既存住宅売買瑕疵保険の適合検査に不合格(保険申込事前検査判定書で不合格の旨を確認)

 Aランクの場合、基礎・躯体の耐用年限時の現価率は50%(耐用年数は2倍)となり、査定価格は上昇。Bランクの場合、Aランクと同等の耐用年数で求めた査定価格から、劣化事象の解消に必要な補修費用相当分を減額する。

 一方、上記のように査定時に既存住宅売買瑕疵保険の適合検査や建物状況調査の実施をしていない場合は、基礎・躯体の点検・補修状況の評点を行うことになる。その場合の評点の目安は、次のようになる。

基礎・躯体の点検・補修状況 評点
「点検・補修あり」
工務店など専門業者による基礎・躯体の点検補修が確認可能
1.05
「点検・補修あり」
居住者による日常の清掃や点検、簡単な補修※が行われている(※雨どいがつまらないための清掃、傷んだ外装材や漏水を生じている配管の補修が長期的に放置されることなく行われている、など)
1.00
「点検・補修なし」
特に点検・補修を行った形跡が見られない
0.90

 また、基礎・躯体以外の部位別耐用年数の算出は、たとえば外部仕上げに関しては、査定プロセス(2)の「建物のグレード(品等)」と同じ3つの仕様に応じて行う。

A仕様:最も高額な材料

B仕様:標準的な材料

C仕様:普及品などの材料

 なお、屋根材と外壁材については、周期ごとに点検・部分補修を行っている場合は最長の耐用年数とするなど、状況に応じて評価することになる。

A:点検周期内に「全面取替工事」を実施⇒耐用年数は、最終取替工事より最長を適用

B:点検周期内に「点検・部分補修」を実施⇒耐用年数は、当初建築時より最長を適用

C:点検周期内に「補修」等を実施せず⇒耐用年数は、当初建築時より最短を適用
D:築浅の建物で経過年数がまだ点検周期に達していない場合⇒耐用年数は、当初建築時より最長を適用

【戸建住宅(建物)の査定プロセス④】
その他の付加価値項目(加点率)の設定

 各種資料や図書を確認し、対象建物が一定の住宅性能を有すると判断できた場合、さらに付加価値があると認められるような設備の導入が確認できれば、各項目の加点率を反映することで、割増評価を行うことになる。

 確認すべき資料としては、「建物状況調査結果報告書」や「住宅履歴情報」「安心R住宅調査報告書」などがある。

 このほか、情報開示等に関する評価では、

  • ・過去1年以内に実施した既存住宅売買瑕疵保険事前検査に適合
  • ・建物状況調査結果報告書あり
  • ・白アリ検査に合格(保証の付いたもの)
  • ・有効期間内の既存住宅売買瑕疵保険や新築住宅瑕疵保険(転売特約付きに限る)の付保証明書あり
  • ・専門業者による住宅全体の点検、補修あり

の各情報が確認できる場合は、各項目についての相応の加点評価をすることになる。

太陽光発電
太陽光発電も「付加価値設備」の対象設備(画像:PIXTA)

 さらに、付加価値設備に関しても評価されるが、その対象設備としては、次のようなものがあげられる。

  • ・浴室設備(ミストサウナ・ジェットバス等)
  • ・給湯設備(エコジョーズ・エコキュート・エネファーム等)
  • ・発電設備(太陽光発電・蓄電池・HEMS等
  • ・防犯設備(カードキー・生体認証等)
  • ・その他(床暖房・二重サッシ・全館空調等)

などは、加点評価となる。

【戸建住宅(建物)の査定プロセス⑤】
目視による物件の現況評価の設定

 最後は、外観や外構、内装・設備についての目視調査による評価だ。

  • 「外観」 屋根や外壁の状態
  • 「外構」 門・塀の程度、植栽の手入れの状態
  • 「内装、設備」 壁紙、床、建具、水回り設備の汚れ等

 上の3つをチェックし、「良好(1.05)」「やや良好(1.02)」「普通(1.00)」「やや劣る(0.95)」「劣る(0.90)」の5段階で評価する。


 ここまで見てきた項目の評価に抜けがないか、しっかり確認すれば、あとはシステムで計算して建物の査定価格を算出できる。

 建物部分の査定価格が計算できれば、土地査定価格と合算して、戸建住宅の査定価格として提示できるのだ。
【住宅地の査定に関する記事はこちら】>>土地(住宅地)の価格査定でプロも信頼する査定方法、「住宅地価格査定マニュアル」を徹底解説!

簡便な査定の計算例

 では、築25年の戸建住宅を例に、簡便な査定をしてみよう。

築25年の戸建住宅を例に、簡便な査定をしてみよう

 各数値は査定プロセス①にて解説したものだ。査定標準単価は、システムで都道府県と建物の構造(工法)を選択した際に、22万5800円/㎡と自動で表示されたこととする。

 上の式にて「再調達単価」を求めたら、今度は「建物全体の現価率」を計算する。

部位別価格構成比を反映した、部位別現価率の計算例
部位 部位別
価格構成比
耐用年数
Cランク・B仕様
残存年数
築25年
部位別現価率
※下限値考慮
価格構成比を
考慮した
部位別現価率
基礎・躯体 39.9% 30年 5年 16.67% 6.65%
屋根材(防水下地含む) 5.2% 20年 0年 5.00% 0.26%
外壁材(防水下地含む) 8.4% 20年 0年 5.00% 0.42%
外部建具 10.8% 30年 5年 16.67% 1.80%
内部建具 3.0% 30年 5年 16.67% 0.51%
内装仕上げ 11.9% 20年 0年 1.00% 0.12%
台所 2.9% 20年 0年 1.00% 0.03%
浴室・洗面・トイレ 6.8% 20年 0年 1.00% 0.07%
給排水・給湯設備 6.5% 25年 0年 1.00% 0.07%
照明器具・電気設備 4.5% 25年 0年 1.00% 0.04%
◆合計 100% 建物全体の現価率⇒ 9.96%

 表の部位別原価率を合計した「建物全体の現価率」を用いて、「建物査定価格」を算出する。

再調達単価×建物全体の原価率×総延床面積=建物査定価格

 簡便査定では、戸建住宅の建物部分は211万円となる。また、「現在単価」は2.11万円/㎡となる。

建物の現在単価の計算式

部位別のリフォーム・維持管理状態を加味する

 今度は、上の建物について、

・屋根の点検、部分補修を実施し、耐用年数に最長の30年を適用
・台所、洗面所、トイレ、給湯設備の取替工事を2009年2月に実施

していた場合はどうなるだろうか。こうしたリフォーム補修をしていることを加味すると、査定価格は変わってくる。

部位別価格構成比を反映した、部位別現価率の計算例(リフォームしていた場合)
部位 部位別
価格構成比
耐用年数
Cランク・B仕様
残存年数
築25年
部位別現価率
※下限値考慮
価格構成比を
考慮した
部位別現価率
基礎・躯体 39.9% 30年 5年 16.67% 6.65%
屋根材(防水下地含む) 5.2% 30年 5年 16.67% 0.87%
外壁材(防水下地含む) 8.4% 20年 0年 5.00% 0.42%
外部建具 10.8% 30年 5年 16.67% 1.80%
内部建具 3.0% 30年 5年 16.67% 0.51%
内装仕上げ 11.9% 20年 0年 1.00% 0.12%
台所 2.9% 20年 11年 55.00% 1.60%
浴室・洗面・トイレ 6.8% 20年 11年 55.00% 3.77%
給排水・給湯設備 6.5% 25年 16年 64.00% 4.24%
照明器具・電気設備 4.5% 25年 0年 1.00% 0.04%
◆合計 100% 建物全体の現価率⇒ 20.01%

 さきほどの表と比べると、上の表では「価格構成比を考慮した部位別現価率」が変化していることがお分かりだろうか。たとえばリフォームをした屋根材は、さきほどの表の0.26%から0.87%へと変化している。屋根材の「価格構成比を考慮した部位別原価率」は、以下のように計算したものだ。

価格構成比を考慮した部位別現価率(屋根材)

 同様に、台所の場合の計算方法は、次のようになる。

部位別構成比を考慮した部位別現価率(台所)

 これらを合計した「建物全体の現価率」は、20.01%となった。つまり、屋根の点検補修やリフォーム等を反映した建物全体の現価率を用いた「現在単価」は次のようになる。

屋根の点検補修やリフォーム等を反映した建物全体の現価率を用いた現在価格は次のようになる。

 この現在単価を元に、建物の査定をすると、次のように算出できる。(ここでは、「加点率」=1.05、「補正率」=1.00として計算する。)

現在単価を元に、建物の査定

 加点率・補正率を踏まえた建物価格は441万円となり、簡便査定の際の211万円と比較すると230万円も違いがある。詳細な情報に基づいて査定しなければ、建物の評価は分からないといえそうだ。

 なお、この事例で土地価格査定の方は3026万円だったとすると、建物価格と土地価格を合算したものが戸建住宅の査定価格となる。

 441万円(建物)+3026万円(土地)=3467万円(建物+土地)

 しかし、実際の売却ではマーケットを考慮する必要があり、単純に査定金額を算出しただけでは、その価格で売れるのかどうか分かりにくい。

 そのため「流通性比率」を乗じることがある。これは、市場で売れやすい物件にあたるか、売れにくいのかを判断する指標にもなる。システムの初期設定では、1.00の流通性比率になっているが、今回は流通性比率を1.04として計算してみると、次のようになる。

「流通性比率」を乗じる

 この流通性比率の数値に対する根拠は、「価格」「物件の需給状況」「地域の特性」「日照・通風等」「間取りや仕様」「その他」の項目の加点・減点を考慮するとされるが、判断は難しい。

 ここでは仮に流通比率=1.04で計算したが、この値が1.1になると査定物件価格はさらに高くなり、3814万円まで上がる。流通比率が1.00のときと比べると、査定価格が単純に約350万円高くなる。

 そのため、不動産仲介会社の中には、できるだけ高く売却したい売主の気持ちに沿うように高く査定しようと、この流通性比率を根拠もないのに高めの数値にする場合がある。

 もし、査定表で流通性比率が設定してあれば、根拠を尋ねてもいいだろう。

まとめ~査定書を精査すると、不動産仲介会社の営業姿勢が分かる

 以上が、「戸建住宅価格査定マニュアル」の査定方法だ。

 価格査定マニュアルの考え方を理解できれば、各不動産仲介会社が作成した「査定書」が誠実に作られているかどうかが分かるようになるだろう。

 まず、「戸建住宅価格査定マニュアル」に準じた、精度の高い査定方法を使っていることが最も重要なポイントとなる。システムを利用している場合は、戸建住宅価格査定マニュアルに従って入力すれば、どの不動産仲介会社でも各項目に対してほぼ同じ評価がなされるはずで、査定結果に数百万円もの差がつくことはない。また、査定価格を大きく変えやすい「流通性比率」は要注意だ。

 なお、査定書は、各社各様のスタイルで作っており、1社の査定書だけを見ても、それがきちんと作られているかどうか、相場に最も近い査定価格なのかどうかは、なかなか見抜けない。複数の不動産会社に査定を依頼して、複数の査定書を見比べることで、査定精度の高さや、その不動産仲介会社、営業担当者の真面目さが見えてくるだろう。

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【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
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◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1789社(2019年12月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
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◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
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◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
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◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所
掲載する不動産会社数 9社 おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」の公式サイトはこちら
サービス開始 2015年
運営会社 ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社)
紹介会社数 最大9社
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。
おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」はこちら
 
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