地方で不動産を売却する時の注意点やポイントを解説！ 田舎では買取業者に売ると損をする!?

今回は「地方で不動産を売却する時の注意点やポイント」について、不動産会社向けの集客・教育コンサルを行っている私、株式会社レコの梶本幸治が解説いたします。地方で所有する不動産の売却を考えている人は、参考にしてください。

地方の不動産価格は下落傾向にある

　前回の記事「都市部（都会）で不動産を売却する時の注意点やポイントを解説！ 都心なら買取業者に売るのもアリ!?」では、次のような点を指摘させていただきました。

　では、地方で所有する不動産を売却する際はどのような点に注意すればいいのでしょうか。都市部と比較しながら、今回の記事でご紹介します。

　まずは、地方の不動産価格動向を見てみましょう。前回の記事では、都市部の例として札幌市を取り上げましたので、今回は、近隣の青森県青森市を見てみましょう。

　なお、本文でご紹介している内容は青森市に言及したものではございません。あくまで地方の不動産市場を知るために青森市を選んだだけですから、その点はお間違いのないようお願いいたします。

 「令和4年青森県地価調査（令和4年7月1日時点）の結果　市町村別、平均価格及び平均変動率」によると、青森市内地価の平均変動率は、令和3年で-0.4%、令和4年で-0.2％と非常に微減ではありますが、下落傾向にあるようです。これは、全国の地方型不動産市場も同じような傾向にあると考えます。

地方で「高く売れるなら売ろう」と考えている人は要注意

　このように不動産価格が下落傾向にある地方でも、都市部と同様に「高く売れるなら売ろう」と考えている人は一定数いらっしゃいます。

　しかし、実際に高く売れる都市部とは異なり、高く売れる場所もあるが、一般的にはなだらかに価格下落の傾向もみられる地方にあっては、「高く売れるなら売ろう」と考えている人は注意が必要です。

　この「地方でも高く売れる」と勘違いしてしまう要因には、昨今の不動産価格を調べる方法として定着しつつある不動産一括査定サイトが出稿している、一部のネット広告にあると考えます。

　不動産一括査定サイトのネット広告を見ていると「〇〇県で一戸建てを売る人が急増」や「〇〇県で不動産が高騰しているって本当？」といったあおり文句が躍っており、これに釣られてしまう不動産所有者も少なくありません。

　実際、筆者がコンサルティングを行っている不動産会社にも「今、不動産がすごく高くなっているとネットで見たので問い合わせしました」とおっしゃるお客様が毎月必ずいらっしゃいます。

　都市部であれば、実際に不動産価格が上がっているので、このようなお客様に対応することも比較的容易です。しかし、不動産価格が横ばい、もしくはやや下落している地方では、この「勘違い」を解消することに、そこそこ労力がかかってしまいます。

地方でも買い換え時の資金計画は念入りに行う

　次に、都市部では「所有不動産は高く売れるが購入物件の価格も上がっているので、買い替え時の資金計画は今まで以上に入念に行う必要がある」と申しましたが、地方ではどうでしょうか。

　これに関しては、地方でも同様に注意が必要です。地方では購入物件の価格がやや下がってはいるものの、所有不動産の価格もやや下がっている可能性がありますので、都市部とは逆の展開ではありますが、同様に資金計画に気をつける必要がございます。

　また、不動産価格が横ばい、もしくはやや下落している地方でも、新築物件の価格が高止まりしているケースが散見されます。これは、建築資材の急騰により販売価格を上げざるを得なくなった新築分譲会社が「価格を下げたくても下げられない」状況に追い込まれている事も原因の一つと考えます。

　したがって、地方で中古物件を売って新築物件を購入する際は、特に注意が必要だと思われます。資金計画を入念に行い、売却活動を行うようにしましょう。

田舎では買取業者に売ると損をする!?

　最後に、不動産買取価格に触れてみたいと思います。 都市部にあってはプロによる不動産買取金額と、一般エンドユーザーに売却する価格の乖離（かいり）が少なくなってきており、プロによる不動産買取も選択肢の一つであることを前回の記事でお伝えしました。

　しかし、地方での不動産買取は都市部と大きく異なる場合があります。先日、筆者が知り合いの不動産会社営業担当者と話をしていると、最近、同社が買い取った物件の話題になりました。

　本件の物件所在地は西日本某所の地方…というよりかなりの田舎で、売主は東京にお住まいの方でした。元々、この西日本某所のご出身である売主ですが、大学進学を契機に上京後は、郷里には帰らず東京暮らしを続けられ、今回、親御さんの死去に伴い実家を相続されたのです。

　相続した実家を売却するために、不動産一括査定サイトに登録し、筆者の知人である前述の不動産会社に売却の相談をされました。

　売主から「東京から度々実家に戻るのは難しいから、一般的な売却方法（仲介）ではなく、貴社で買い取ってもらえたらうれしいのだけど」とのご希望を承り、そのご実家を100万円で買い取ることにしたそうです。

　そして、その100万円で買い取った物件は簡単なリフォームを行った後、販売価格480万円で売りに出されました。

　ここまでご覧いただいた方の中には「100万円で買い取った不動産を480万円で売りに出すなんて…とんだ悪徳不動産会社だ！ 詐欺じゃないのか！」と感じられたかもしれません。

　しかし、この不動産会社は別に悪徳不動産会社ではないのです。都市部であれば価格さえ下げれば買い手は必ず見つかります。駅から遠かろうが、日当たりが悪かろうが、事故物件だろうが、それを考慮した価格設定さえ行えば必ず売れるものなのです。

地方では適正価格でも売れないケースが多い

　しかし、地方（田舎）では上記の理屈が通らない場所があります。つまり、「価格設定は合っているはずなのに全然売れない」という物件がたくさんあるのです。

 「タダでもいらない」不動産がたくさんある田舎において、100万円で不動産を買い取った後、ひょっとしたら480万円で売れるかもしれないけれど、ひょっとしたらずっと売れないかもしれないというリスクを背負って不動産会社は買取を行います。

　このような理由があるため、「100万円で買い取った不動産を480万円で売りに出すなんて…とんだ悪徳不動産会社だ！ 詐欺じゃないのか！」とは言えないのです。

　ですから、早急に売却する必要がなければ、不動産仲介会社に依頼して売却先を探してもらうほうがいいかもしれません。

　以上のように、不動産を売却される時は、物件所在地の不動産市場にあった売却方法を選択し、少しでも有利な条件で売却できるよう、信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。その際、不動産一括査定サイトを利用するのもおすすめです。

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