不動産売却DM(ダイレクトメール)は怪しい? 信用できる業者の見分け方と賢い売り方のポイントをプロが解説!

2026年10月29日公開(2026年10月29日更新)
梶本幸治:株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長

不動産を所有していると、突然「物件を探しているお客様がいます」「不動産を売却しませんか?」といったDM(ダイレクトメール)が届くことがあります。そのため、「DMをきっかけに売却しても大丈夫なのだろうか」「騙されないだろうか」と不安に思う方も多いでしょう。そこで、DMが届く業界の裏事情と、付き合っていい会社の見分け方、好条件で売却するための実践的な活用術を分かりやすく解説いたします。(解説:梶本幸治 株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長)

不動産売却のDM(ダイレクトメール)が送られてくる経緯とは?

不動産会社からのDM
不動産会社からのDMはどのような経緯で届くのか(出所:PIXTA)

 不動産を所有している人であれば、一度くらい不動産会社から「不動産を売りませんか?」というDM(ダイレクトメール)や手紙が届いた経験をお持ちだと思います。

 そして、そのようなDMを受け取られた際、「どういう経緯で送られてきたのだろう」と不審に思われたことがあるかもしれません。

 今回のコラムでは、不動産会社から送られてくるDMのうち、

  • 「分譲マンション全室の所有者に送られるDM」
  • 「空き地や空き家の所有者に送られるDM」
  • 「相続登記を行った直後に送られるDM」

 がどのような経緯、どのような意図で送られてくるのかをご説明します。そして、これらのDMをきっかけに不動産を売却する際に注意すべきポイントをお伝えしようと思います。

マンション売却のダイレクトメールが全室に送られる理由

 まず、「分譲マンション全室の所有者に送られるDM」に触れます。これは、ある分譲マンション各部屋の所有者に向け、不動産会社から届くものです。

 不動産会社から見るとこのDMは「チラシの代用手法」という意味合いが強く、ほかに手法があるなら、できればやりたくない手法の一つでもあります。

 と申しますのも、ひと昔前まで不動産会社は、エリア内の分譲マンションの集合ポストに対し、雨あられのように「求む売り物件チラシ」を配布していました。しかし昨今は、集合ポストへのチラシポスティングが厳しくなり、タワーマンションや築年数が新しいマンションでは、ほとんどポスティング広告を実施することができなくなったのです。

 そこで、その代用品として考えられたのが「分譲マンション全室の所有者に送られるDM」です。しかし、チラシ配布に比べこの手法は大幅に予算もかかってしまい、不動産会社も「分譲マンション所有者に働きかける手法が他にあれば、できればDM送付をやめたい」というのが本音のところかもしれません。

 裏を返せば、それだけ多額の広告費をかけてでも「そのマンションの売り物件をどうしても確保したい」という強い需要がある証拠でもあります。

空き地や空き家の所有者にDMが送られる方法

 次に、「空き地や空き家の所有者に送られるDM」を取り上げます。不動産会社がこのDMを送付する住所を知る方法は、2パターンがあります。

 一つは「空き地・空き家所有者リスト」を名簿業者から購入する方法。もう一つは「不動産会社のスタッフが街を歩いて空き地・空き家を調べる方法」です。

 ここ1年以内に空き地や空き家となった不動産に対し、「空き地や空き家の所有者に送られるDM」が届いた場合は、不動産会社自身が街を歩いて調べた可能性が高いと思われます。

 空き地や空き家になってから相当年数がたち、今までに何回も不動産会社からDMが届いておられる場合は、名簿業者の「空き地空き家所有者リスト」の中に入ってしまっている可能性が高いでしょう。

相続登記直後のDMはなぜ届く?

相続登記直後に送られるDM
相続登記直後のDMは名簿業者から買い取って送っている場合もある(出所:PIXTA)

 最後に「相続登記を行った直後に送られるDM」に触れます。数ある不動産DMの中で、この「相続登記を行った直後に送られるDM」が一番、受け取った際に気味悪く感じるDMではないでしょうか。

 「相続登記を行った直後に送られるDM」の送付先は、法務局備え付けの「不動産登記受付帳」という帳簿を基に調査します。

 ざくっとご説明しますと、この登記受付帳には「今月、この不動産に相続登記が行われました」ということが記載されており、法務局に登記受付帳の行政文書開示請求を行えば誰でも見ることができるのです。

 そして、不動産会社はこの登記受付帳の記載から相続登記のあった不動産をピックアップし、その所有者(相続を受けた方)に対し、「相続された不動産を売却されませんか?」と提案するわけです。

 先ほど、「不動産会社は〜不動産をピックアップし」と申しましたが、実際は少し異なります。これも、前述の空き地・空き家DM同様、不動産会社に対して毎月リストを販売している名簿業者が多数います。不動産会社の多くは名簿業者からリストを購入し、DMを発送しているのです。

 そして、不動産会社が自ら登記受付帳を閲覧してDMを送付している場合と、名簿業者を用いる場合では、若干のタイムラグが発生します。したがって、相続登記が完了して早い時期に2~3社の不動産会社(自ら閲覧組)からDMが来たあと、その10日後くらいには10社近い不動産会社(名簿業者組)からDMが届くことになるのです。

【知っておきたい法改正情報】2026年10月1日以降の登記受付帳について

プライバシー保護の観点から不動産登記規則等の一部が改正され、2026年(令和8年)10月1日以降に受け付けられた登記に関しては、受付帳を開示請求しても「登記の目的(相続など)」と「不動産所在事項(所在地)」が非表示になりました。

これにより相続直後を狙い撃ちした機械的なDMは大幅に減少しますが、過去に取得された名簿リストや現地調査に基づくDMは今後も一定数届くことがあります。

【関連記事】>>不動産を相続すると、なぜ電話やDMが来るの?不動産登記情報で電話番号を調査するのは違法なのかを解説!

 このような不動産会社からのDMは、多くの方にとって「迷惑この上ない邪魔なもの」であると思います。

 ただし、本記事は「不動産会社からのDMをきっかけに不動産を売却する際に注意すべきポイント」を取り上げるものですので、上記のような経緯でDMを送ってきた不動産会社を活用(利用?)して、所有する不動産を売却する方法についてお話しさせていただきます。

不動産会社からのDMをきっかけに売却する際の注意点

 最初にご紹介した「分譲マンション全室の所有者に送られるDM」ですが、これは封入物をチェックしてください。

 どのマンションにでも送ることができるパンフレットのようなものだけが入っている不動産会社は避け、そのマンション限定の書類(例えば、そのマンション内の成約実績を記載したもの)が多く封入されている不動産会社の話を聞かれてはいかがでしょうか。

 次に、空き地・空き家や相続DMに関しましては「お金を出して名簿を買っている不動産会社」ではなく、「自社で街を歩いて調査した上で、DMを送ってきている不動産会社」に依頼されることをおすすめします。

 一般の方から見ればどちらも「うっとうしい不動産屋から来たDM」に違いないのでしょうが、お金を出して名簿を買っている不動産会社は、「DMをバラまいて反響があればラッキー」くらいの感覚です。

DMをきっかけに不動産売却を行う際の注意点
DMをきっかけに良い条件で売却できるケースもある(出所:PIXTA)

 一方、自社で調査した上でDMを送ってきている不動産会社は、少なくともその物件所在地およびその周辺に特別な思い入れがあり、なんとかエリアを開拓したいと考えて活動していることが考えられます。

 したがって、不動産会社から届いたDMをご覧になる時には、一通一通丁寧に作成していそうな不動産会社を選び、何百通と同じようなDMを送付している感じが伝わってくる不動産会社には声をかけないほうがいいと思います。

 「DMなんて送ってくる不動産会社に売却依頼なんて絶対しない!」とお考えの方も多数いらっしゃるとは思います。しかし、そのような不動産会社とも付き合い方によっては、所有される不動産が良い条件で売れるケースがあることも事実です。

不動産売却で損をしないために

熱心そうなDM会社であっても、「その1社だけに相談して即決してしまう」ことには注意が必要です。他社と比較していないことが相手に伝わると、相場より控えめな価格を提示されたり、条件面で不利になってしまったりするおそれがあるためです。

DM会社の提示額が本当に好条件かどうかを確かめるために、まずは一括査定などを利用して「客観的な売却相場」を手に入れておくことをおすすめします。「メール連絡希望」と指定すれば、営業電話に悩まされる心配もありません。

適正相場を調べる
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DMを送ってきた不動産会社を上手に活用して好条件で売却を進める3ステップ

 良さそうな不動産会社が見つかったら、ただ相手のペースに乗るのではなく、こちらが主導権を握って上手に「利用」することが好条件売却のポイントです。具体的には以下の3ステップで進めてみてください。

ステップ1:DMの提案内容・査定額を聞く

 まずは選別したDM会社に連絡を取り、机上査定や売却プランを提案してもらいます。「このマンション(エリア)で探している顧客が本当にいるのか」「いくらで売却できる見込みがあるのか」を率直に聞いてみましょう。

ステップ2:一括査定で「相場のセカンドオピニオン」を用意する

 ここが最も重要なポイントです。DM会社がどんなに魅力的な価格を提示してくれたとしても、その価格が市場相場から見て妥当なのかどうかは、他の不動産会社の査定と比較しなければ判断がつきません。

 事前に「不動産一括査定サイト」などを利用し、大手や地元有力企業2〜3社から客観的な査定額を取り寄せておきます。これがあなた自身の「ブレない物差し」になります。

※電話連絡を避けたいときのポイント

一括査定の申し込み時、備考欄に「売却相場の確認中のため、お電話ではなくメールで査定書を送付してください」と記入しておけば、電話対応の手間なく机上査定額をメールで比較できます。

ステップ3:DM会社と他社を比較し、最も良い条件を選ぶ

 相場を把握した上で、DM会社の担当者にこう伝えてみてください。

 「他社からも査定を取り寄せて比較検討しています。御社が提案してくれた条件が一番納得できれば、ぜひ御社にお願いしたいと考えています」

 このように伝えることで、DM会社は「他社に取られたくない」と本気になり、囲い込みなどを防ぎながら、より熱心に好条件での売却活動へ動いてくれるようになります。

不動産売却の適正相場を知る!おすすめ一括査定サイト主要6社

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まとめ:不動産売却DMは付き合い方次第で良い条件を引き出せる

 ここまで、不動産会社からDMが届く経緯と、DMをきっかけに売却する際の注意点についてお話ししてきました。

 「DMなんて送ってくる不動産会社に売却依頼なんて絶対しない!」とお考えの方も多数いらっしゃるとは思います。しかし、不動産会社からすれば、DMは多額の広告費を投じてでも「売り物件を獲得したい」「自社の顧客に物件を紹介したい」という真剣な営業活動の一環でもあります。

 名簿を買ってバラまいている会社を避け、熱心に活動している会社を正しく見極めることができれば、相場以上の好条件で売却できるケースがあることも事実です。

 DM会社に相談する際は、相手の言い値だけに頼らず、事前に一括査定などで客観的な相場価格を頭に入れておきましょう。こちらが主導権を握って上手に付き合うことで、納得のいく不動産売却を進めていただければ幸いです。

【関連記事】
>>不動産を相続すると、なぜ電話やDMが来るの?不動産登記情報で電話番号を調査するのは違法なのかを解説!

>>不動産売却のチラシ(求む不動産)、DMが自宅の郵便受けに入っていたけど、信じても大丈夫? 「このエリアで、家を買いたいお客様がいます!」

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