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不動産売却の注意点
【第10回】2018年10月1日公開(2018年10月22日更新)
梶本幸治
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。普段は売却を中心とする不動産梅者のコンサルティングを中心としていますが、こダイヤモンド不動産研究所では、売主の立場に立って、「不動産を売却するときの注意点」を解説します!

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大阪府で不動産を売る際、エリアごとの注意点は?
大阪市内はチラシ、北摂はネット広告が有効で、
河内・泉州は売却が長期化など、特徴の把握が大切

今回は私のオフイスがある大阪府に特化し、「大阪で不動産を売る際のエリアごとの注意点」というテーマでお話しをさせて頂こうと思います。通常なら公的機関やシンクタンクの発表した数字を基に記事を書くべきなのでしょうが、そのような記事は世の中にたくさんございますので、この記事の中では私が大阪府下の不動産会社と接して感じる「肌感覚のお話」をさせて頂きます。

 大阪の不動産市場を語る上で、インバウンドの方々に触れない訳には行きません。

 大阪には今、世界各地から多くの旅行客が訪れるようになり、心斎橋や難波など「ミナミ」と呼ばれる地域では、日本人よりも外国人の方が多いように感じます。実際、ミナミのたこ焼き屋さんでは、お客さんの国籍に応じて、日本語・韓国語・中国語。英語を使い分ける店員さんに出会った事があります。

 少し前までは、大阪の不動産会社経営者の中にも「外国人が多すぎて大阪の良さが失われているのは嘆かわしい。外国人はマナーも悪く歓迎できない」などと言っている人もいましたが、今では「インバウンドさまさまだよ。ウチの会社も本格的に民泊事業などを考えようかな」と、くるっと手の平を返している状況です。

 実際、地価公示価格を見てもミナミの中心である宗右衛門町は、平成29年の価格が「1290万円/㎡」だったのに対し、平成30年価格は「1580万円/㎡」と、変動率22.5%の上昇となっていました(標準値番号:大阪中央5-2)。

 大阪の不動産市場は外国人の方々によって活況を呈しておりますが、逆に考えると、なんらかの事情で外国人が大阪に見切りをつけてしまったら、考えるだけでも恐ろしい価格暴落が待っているかも知れません。

大阪府といっても、エリアによって顧客特性が違う

 大阪を取り巻く大きなお話はこれくらいにして、実際に大阪で不動産を売る際の注意点をご紹介して参ります。ただし、私の個人的見解によるものですので、その点ご承知ください。

 大阪と一口に申しましても、大阪市内の他に、河内と呼ばれる八尾市、松原市、羽曳野市、富田林市、河内長野市等のエリアや、北摂と呼ばれる吹田市、豊中市、高槻市、箕面市等のエリア、泉州と呼ばれる岸和田市、泉大津市、泉佐野市、泉南市、阪南市等、各エリアによってその不動産マーケットも大きく異なり、「売る際の注意点」も異なります。

出所:CraftMAP

大阪市内は、タワーマンションの売り時に注意

 まずは大阪市内を取り上げます。

 大阪市内へは他のエリアからも多くの人が移り住んできますが、大阪市内で生まれ育った方は、その地域の近くで不動産を購入する傾向が高いように感じます、つまり、買い主を見つける際は「同一学校区内へのチラシ広告」を実施することにより、買い主を見つけられる可能性が他の地域よりも高いことになります。

 実際、私も不動産営業時代、大阪市阿倍野区を担当していたことがありますが、近隣100軒にチラシを配布しただけで成約に至ったことが何度もございました。

 注意して頂きたい点としては、大阪市内の土地や一戸建ては汚水の配管が道路面と反対の裏側に設置されているケースが多く、このような場合買い主は将来的に、前面道路本管からの引き込み直しが必要になる場合があり、売買価格を若干安くせざるを得ないこともございます。これは、汲み取り時代に「汲み取り口」が道路面の反対側にあったことの名残ですが、不動産売却に際しては営業担当者とよく打ち合わせを行ってください。

 大阪市内にはタワーマンションも多く建っており、今はかなりの高値で売買され、中古のタワーマンションの多くが分譲価格を上回る値段で成約になっています。しかし、これら「タワーマンション人気」は、値上がり期待の投資家や、日本で不動産を所有したい外国人、相続税対策で購入する資産家が支えており、実需だけで価格が高騰しているわけではございません。

 このうち、「相続税対策」に関しては中古タワーマンション購入による節税対策が、国税不服審判所で否認されるケースも出てくるなど、今後は相当厳しくなるものと思われ、外国人や投資家の購入熱も最盛期の勢いは失われつつあるように感じます。

 タワーマンションの売却をお考えの方は、その「売り時」を見誤らないようにお気を付けください。

【関連記事はこちら】
>> 「タワマン節税」は相続税対策としてまだ使える!? 売却と購入のタイミングに注意して活用を!

北摂エリアは、ネット広告が重要

 次に高級住宅地として知られる北摂(ほくせつ)エリアを見てみましょう。

 北摂エリア域は「人気エリア」のため、大阪市内同様、他のエリアからも多くの人が移り住んできます。しかし、大阪市内と異なりニュータウンが多い北摂エリアは、「地元の住人が地元で買う」よりも「関西各地から購入者がやってくる」傾向にあるように感じます。

 したがって、不動産を売却する際は、チラシに加えてインターネットでの販売戦略が重要になります。

 実際、私が懇意にしている北摂の不動産会社も、新たなネット広告手法が出てくるたびにその内容を精査し、インターネットによる買い主集客に活用しています。また、不動産ポータルサイトに物件を掲載する際も、掲載写真やキャッチコピー等に工夫を凝らすなどの努力を続けています。

 北摂エリアは買い主の年収も高い傾向にあり、買い主の住宅ローン否決による「ローン白紙解約」も他の地域に比べると少ないため、買いたい人が見つかりさえすれば、スムーズに取引が進みます。

 あなたが北摂での不動産を売却したいとお考えなら、ネットに強い不動産会社を選ばれるといいでしょう。

【関連記事はこちら】
>> 家やマンションの売却時に、「ネット」と「チラシ」のどちらを重視して広告すれば、スムーズに売却できるのか?

河内・泉州エリアは、期間が長期化しやすい

 次に、河内エリア・泉州エリアを見て行きます。

 これらのエリアは、大阪市内や北摂エリアに比べ買い主の年収が低いケースが多く、「せっかく買い主が見つかったのに、住宅ローンが組めずに解約になる」ことに注意が必要です。

 私の知り合いである河内地区の不動産会社では、ある物件に対して購入申込書を差し入れた方が5組いらっしゃいましたが、その内4組はローンが否決される結果となりました。

 このように、買い主は見つかったが取引が最後まで進まないケースが多いことから、売却期間が長期に渡る場合が多く、不動産会社との連絡や打ち合わせを密にする必要が出てきます。

 したがって、河内エリア・泉州エリアでの不動産売却に際しては、複数の不動産会社に依頼する「一般媒介」ではなく、1社限定で売却を依頼する「専任媒介契約」をおすすめいたします。

 そして、泉州エリアの南部では他の問題も浮上して参りました。

 2018年9月に上陸した台風21号によって、泉州エリアの南部は甚大な被害が生じ、いまだに復旧のメドすらたっていない住戸がたくさんございます。全国のニュースなどでは関西国際空港のことばかりが取り上げられていますが、同地域の住民方々はまだまだ、不安で不便な日々を過ごしておられます。

 そして今後、これら被害住戸の改修を断念し、売却しようとする方が増加すると思われるため、「中古不動産の供給過多」となる恐れがあります。

 泉州エリアの南部は台風以前から、大阪府下の他エリアよりも不動産価格が低かったのですが、今後更なる地価下落にご注意頂きたいと思います。売却をお考えの方は、売却期間が長くなる仲介よりも、不動産会社に即金で買い取って貰うことも一考の余地ありです。価格は仲介よりも安くなってしまいますが、もしも本当に「供給過多」の状況になれば、仲介でも高値の成約が難しくなるかもしれませんので。

地域が少し変わるだけでも売り方は異なる

 ご覧頂いたように「大阪府」といっても、各エリアで不動産マーケットは大きく異なります。

 これは大阪に限ったことではなく、どの都道府県でも地域が少し変わるだけで「不動産の売り方とその注意点」は大きく異なるのです。

 あなたが不動産を売却される際は、その地域に精通した「地域密着型」の不動産会社から適切なアドバイスを受けられますようおすすめいたします。

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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

■相場を知るのに、便利な「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 1300社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U無料査定はこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール無料査定はこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S無料査定はこちら
◆リビンマッチ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫
掲載する不動産会社数 1400社 不動産一括査定サイト「スマイスター」の公式サイトはこちら
サービス開始 2006年
運営会社 リビン・テクノロジーズ
紹介会社数 最大6社(売却6社、賃貸、買取)
【ポイント】強みは、掲載している不動産仲介会社数が多く、マンション、戸建て、土地以外の工場、倉庫、農地も取り扱いがある点。弱点は、運営会社が広告代理店で上場していないこと。
スマイスター無料査定はこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ無料査定はこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ無料査定はこちら
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