「完全予約制 不動産売却個別相談会」とは?
メリットや注意点、信頼できる相談会の見極め方を解説

【第30回】2019年9月2日公開(2020年6月10日更新)
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長。普段は不動産会社向けの集客&教育のコンサルティングを中心としていますが、ダイヤモンド不動産研究所では売主の側に立った「不動産を売却するときの注意点」シリーズなど、さまざまな読者に向けて解説します!

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「完全予約制 不動産売却個別相談会」と書かれたポスターを、街の不動産仲介会社の店舗前で見かけたことはありませんか? 今回のコラムでは、そうした「完全予約制」で「個別」の相談会や勉強会、セミナーの、メリットや注意点から、信頼できる不動産仲介会社の相談会の探し方まで、解説したいと思います。

不動産仲介会社のポスターなどで見かける
「完全予約制」で「個別」の相談会や勉強会、セミナー

 駅前を歩いていると、不動産仲介会社の店舗がたくさんありますね。

 そして、不動産仲介会社の店舗前には、物件情報がペタペタと貼られていることが多く、何となく目が行きがちです。あっ! 最近では「ペタペタと貼られている」のではなく、デジタルサイネージなどを用いて、格好良く物件情報を見せている不動産仲介会社も増えてきました。

 今回のコラムで取り上げるのは、そのような物件情報板ではなく、物件情報板の隣に貼られている案内文(ポスター)について解説したいと思います。

 注意深く見ないと気付かないのですが、多くの不動産仲介会社の店先には「完全予約制 不動産売却個別相談会(会場:弊社契約室)」の案内文が貼られています。

完全予約制 不動産個別相談会
写真を拡大 案内文の例

 「不動産売却個別相談会」と書かれていない場合は、次のようなケースが多いです。

  • ・完全予約制 不動産個別税金相談会
  • ・完全予約制 個別不動産購入セミナー
  • ・完全予約制 個別不動産法律相談会
  • ・完全予約制 FPによるお金の個別勉強会

 共通するのは「完全予約」で「個別」であること。

 講師は不動産仲介会社の社員である宅地建物取引士やファイナンシャルプランーの他、不動産仲介会社と付き合いのある税理士や司法書士などが務めます。

 不動産の売却方法や購入方法、それに関する法律や税金のお話というと何だか難しそうですので、完全予約制でないとしっかりと相談できないように感じますね。また、不動産の相談は非常にデリケートな内容になりがちですから、個別相談はありがたい気がします。

【関連記事はこちら】>>「不動産売却の方法」を総まとめ! 不動産を高値で売るための査定方法、費用、手続きの流れ、注意点を徹底解説

 不動産仲介会社サイドも、お客様のそのような事情に配慮し「完全予約制」で「個別」の相談会や勉強会、セミナーを開催しているのでしょうか?

 「完全予約制」で「個別」の相談会や勉強会、セミナーを開催している不動産会社の多くが、お客様の事情に配慮し誠実に対応していると思います。

 しかし、残念ながら違った意図で「完全予約制」「個別」の相談会を開催している不動産仲介会社もあるのです。

中には注意すべき
「完全予約制 不動産売却個別相談会」も

 違った意図とは「雑(ざつ)な撒き餌」として相談会を利用しようという意図です。

 「雑な撒き餌」の意味を解説します。

 不動産仲介会社が売却や購入、法律や税金の相談会を開催する場合、不動産を売りたい方、買いたい方を集客したいという意図があります。

 商売ですから当たり前です。

 これらの相談会、勉強会、セミナーは基本的に無料で実施されます。「無料の相談会なら、一度相談してみようか」という方を集客し、そこから商売のタネを見つけていくわけです。

 従って、少し嫌な表現を使うようですが、「完全予約制」で「個別」の相談会や勉強会、セミナーを開催する事は、不動産仲介会社にとって集客のための「撒き餌」のような意味があるのです。

 繰り返しになりますが商売である以上、「撒き餌」としての相談会を開催すること自体は何も非難されることではないですよね。

 お客様のご相談に対し真摯に向き合うためには、「完全予約制」で、かつ「個別」でなければ対応が難しいことも理解できます。

 しかし、この「完全予約制」で、かつ「個別」というところに目をつけ、先ほど申し上げました通り「雑な撒き餌」として相談会を利用する不動産仲介会社も存在するのです。

 「完全予約制」で、かつ「個別」と言うことは不動産仲介会社サイドからすると、お客様の予約が入るまでは何の準備もしなくていいということにもなります。会場も不動産仲介会社の契約室などを利用すれば事前の準備は全く不要です。

 つまり、実際には相談会や勉強会、セミナーの準備など全く行わず、店先に張り出した「完全予約制 不動産売却個別相談会」の案内文を見て、「まともな相談会」だと勘違いしたお客様が引っかかれば、それから準備を始めるわけです。まさに「雑な撒き餌」です。

 不動産売却や不動産購入の相談会であれば、社員が対応しますので準備は簡単ですが、法律や税金の相談会は司法書士や税理士といった士業の先生方にお願いすることになります。

 この場合でも司法書士と不動産会社の力関係で申し上げると、仕事を依頼している不動産仲介会社の方が司法書士よりも上の立場になることが多く、また、税理士も顧問税理士に相談員を依頼することが多いため、税理士の先生としてもなかなか断りにくくなってしまいます

 つまり、店先に張り出した「完全予約制 個別不動産法律相談会」の案内文を見て、「法律の相談をしたい」お客様が引っかかれば、付き合いのある司法書士に連絡し、

 「せんせ~、来週の土曜日に相談会の案内ポスターを見た客が来るのですけど、ちょっと話を聞いてやって貰えませんか。それから当たり前のことですけど、不動産を売却した方がいいって結論で締めてくださいよ

と依頼する訳です。

信頼できる相談会かどうかを
見極める方法は

 では、こんないい加減な相談会ではなく、ちゃんとした不動産仲介会社を見極めるにはどうすれば良いのでしょうか。

 「完全予約制」で、かつ「個別」、会場は不動産仲介会社の店舗……という相談会の善し悪しを見極めることは正直、至難の業ですが……せめて店舗前の案内文(ポスター)を度々取り換え、絶えず新しい相談会を打ち出しているような不動産仲介会社は、取りあえず合格点だと思います。

 しかし、ずっと同じ案内文(ポスター)を貼り続けているような不動産仲介会社は駄目ですね。問い合わせても「いいカモが来た」と思われるだけでしょうから、ほかの不動産仲介会社を当たりましょう。

 なお、最近では公的な施設(市民会館や市民ホールなど)で相談会を実施する不動産仲介会社も増えてきています。公的施設で相談会をしている会社は信用でできるとまでは申せませんが、しっかりと準備を整えて相談会を実施している訳ですから、自社の店舗を会場にしているような不動産仲介会社よりは「やる気」があると評価してもいいでしょう

 不動産仲介会社の「カモ」になるような事は避け、まともな不動産仲介会社にご相談なさって下さい。
【関連記事はこちら】>>不動産売却時の注意点を業界のプロに聞いた! 「レインズに登録しない」「図面を載せない」など不動産仲介会社の悪質な「囲い込みテク」に注意を

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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を一度すれば、複数社から査定してもらうことができる。査定額を比較できるので、不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

SUUMO(スーモ)売却査定
リクルートのSUUMO(スーモ)でも、無料で一括査定ができる

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

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■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆SUUMO(スーモ)売却査定(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地
掲載する不動産会社数 約2000店舗 不動産一括査定サイト「SUUMO(スーモ)売却査定」の公式サイトはこちら
サービス開始 2009年
運営会社 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 不動産サイトとして圧倒的な知名度を誇るSUUMO(スーモ)による、無料の一括査定サービス。主要大手不動産会社から、地元に強い不動産会社まで参加しており、査定額を比較できる。
SUUMO(スーモ)売却査定はこちら
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 1500社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点提携会社数は競合サイトと比較するとトップではないが、厳選されている。
HOME4U無料査定はこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1600社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール無料査定はこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1789社(2019年12月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S無料査定はこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
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◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ無料査定はこちら
◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所
掲載する不動産会社数 9社 おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」の公式サイトはこちら
サービス開始 2015年
運営会社 ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社)
紹介会社数 最大9社
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。
おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」はこちら
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