不動産取引における仲介手数料は、本当に高いのか? 手数料の値引きがリスクになる理由を解説!

2025年1月6日公開(2025年1月16日更新)
高田一洋:一心エステート株式会社代表取締役CEO

不動産売買時に支払う仲介手数料が高いと思われる方もいるでしょう。仲介手数料は、取引される物件価格によって支払いも大きくなるため、負担に感じる方も少なくなく、値引きを希望されるケースもあります。仲介手数料の値引きは可能なのでしょうか。また、値引くことのリスクについても解説します。(一心エステート株式会社代表取締役:高田一洋)

不動産仲介手数料の基礎知識

不動産売買の仲介手数料は高いのか?
仲介手数料は高い?(出所:PIXTA)

 不動産売買取引において、不動産会社に支払う仲介手数料は、取引価格が400万円以上の物件であれば、代金の3%+6万円(税別)を上限としており、ほとんどの不動産会社が上限いっぱいの手数料を請求します。

 2024年、X(旧Twitter)で、仲介手数料についてのポストが話題になりました。

 5,000万円の物件の売買を手伝っただけで、150万円以上の仲介手数料を支払わなければならない…。確かに私個人の感想をいえば、正直「高い」と感じます。ネットショッピングや荷物の配送など、あらゆる手数料が無料になっている昨今、不動産取引に未だに手数料が発生するのは、疑問に思うかもしれません。

 不動産取引の現場で度々話題になる仲介手数料について、その考え方や値引きについて紹介する前に、まずは仲介手数料の基本的な情報を押さえておきましょう。

不動産売買における仲介手数料

 先述したとおり、不動産売買における仲介手数料は、物件価格が400万円以上の場合は、3%+6万円(消費税別)を上限とするよう宅建業法で定められています。

 例えば、3,000万円の物件であれば、最大で96万円(3,000万円×3%+6万円)となります(※2024年7月1日より、「低廉な空家等の媒介特例」が施行され、800万円以下の物件は「30万円+税」が上限になりました)。

 これは、売主・買主それぞれが不動産会社に支払う報酬で、売主と買主に別々の不動産会社が介在した取引を「片手仲介」、売主と買主を同じ不動産会社が仲介して契約した取引を「両手仲介」と言います。

【関連記事】>>800万円以下の物件の仲介手数料上限が引き上げ! それでも空き家流通が促進されない理由とは

【関連記事】>>不動産売買の「仲介手数料」計算シミュレーション! 早見表や税理士による注意点も解説

賃貸における仲介手数料

 賃貸物件の取引でも、法律で仲介手数料の上限が定められており(居住用不動産の場合)「賃料の1カ月分」(消費税別)となっています。

 ただし、賃貸に関しては、貸主・借主双方から受け取ることのできる合計の上限が「賃料の1カ月分」となっており、それぞれから1カ月分ではありません。その割合も、宅建業法(第46第4項)には承諾を得ている場合を除いて、貸主・借主で半々にするという旨の記載がありますが、実際には借主に1カ月分の仲介手数料を支払うことが慣行になっています。

(注※)賃貸においても「低廉な空家等の媒介特例」が適用されており、長期的に空き家状態の物件などについては、「1カ月分の賃料×2」(消費税別)が上限となりました。

不動産の仲介手数料は値引きできるのか?

不動産売買取引時の仲介手数料は値引きできる?
仲介手数料を値引きするとどうなる?(出所:PIXTA)

 特に売買における仲介手数料は、取引される物件価格によって支払いも大きくなるため、負担に感じる方も多く、なかには値引きを希望される人もいらっしゃいます。

 仲介手数料の値引きは可能なのでしょうか。また、値引くことでのリスクについても考えてみましょう。

仲介手数料の値引きは可能?

 結論から言えば、仲介手数料の値引きは可能です。あくまでも私の主観ですが、会社のスタンスによって値引きの有無があるように感じます。

 ある程度までの値引きを許容している会社や、どれだけ高額な物件でも、仲介手数料を定額にしているところもあります。その一方で、一切の値引きに応じない会社も存在します。

 近年では、不動産ポータルサイトの普及により、消費者が物件情報を直接入手できるようになったことで、仲介業務の一部が効率化されています。業務効率化によるコスト削減分を手数料の値引きという形で還元する不動産会社が増えてきました。

 さらに、IT活用やDX化によって、契約書作成や重要事項説明などの業務も効率化が進んでおり、これも手数料の柔軟な設定を可能にしている要因のひとつでしょう。

 また、月末や四半期末など、不動産会社が成約を急ぐ可能性が高い時期や、地域密着型の中小不動産会社の方がある程度の値引きをしてもらえる可能性は高いでしょう。

 購入・借りる物件が築古の中古物件や、販売期間・募集期間が3カ月以上経過している物件では、不動産会社側も柔軟な対応をしてくれるかもしれません。立地条件に課題がある物件や、大規模修繕が必要な物件なども同様です(そもそもそういった物件は、物件価格も安いため、手数料が大きな負担になる可能性も低いのですが)。

 ここまで、仲介手数料の値引きについて紹介してきたのですが、当社では原則仲介手数料の値引きを行っていません(笑)。これには、きちんとした理由があるからです。

仲介手数料の値引き交渉のリスクと注意点

 仲介手数料の値引き交渉には、いくつかのリスクや注意すべき点が存在します。主要なリスクと注意点について解説していきます。

優先順位が下がるリスク

 過度な値引き交渉は、不動産会社側の対応優先順位を下げてしまう可能性があります。特に人気物件の購入や賃貸契約の場合、他の候補者よりも後回しにされてしまいます。

 需要の高い物件は、当然ながら競争率が高まります。そういったなかで、不動産会社への報酬である仲介手数料の値引きを持ち出された場合、たとえ値引きがなされなくても「面倒な顧客」として優先順位が下げられてしまう可能性があるため注意が必要です。

広告宣伝費が削られるリスク

 売主が仲介手数料の値引きを交渉したことにより、不動産会社が物件の広告宣伝費を削減する可能性もあります。 

 前項の優先順位が下がることと似ていますが、仲介手数料はその物件を販売するための広告宣伝費の原資にもなります。値引くことで販売活動の範囲や質に影響を与える可能性があるのです。

 広告宣伝活動がどれだけできるかは、売却期間や売却価格に大きく影響します。そのため、手数料はそのままで、充実した販促活動を行ってもらうことが、結果的に大きなプラスになるといったケースも少なくありません。

「囲い込み」の被害に遭うリスク

 不動産売却時、売主が支払う仲介手数料が値引きになるケースで最もリスクだと考えられるのが、この「囲い込み」です。

 不動産売却における「囲い込み」とは、自社で買い手を見つけ、売却も購入も自社でのみ成約させようとする行為です。他社から紹介される購入検討者に対しては物件を紹介せず、買主も自社で見つけ、先述した売主・買主両方から仲介手数料を得る「両手仲介」を得ようとする営業手法です。

 売主からすれば、本来であればもっと早期に高く売却できたかもしれませんが、不動産会社の意向により機会損失してしまうのです。

 そういった会社では、しばしば仲介手数料の大幅な値引きが、売却依頼を受けるエサとして扱われることがあります(場合によっては仲介手数料無料を謳う会社もあります)。

 不動産売却を依頼する媒介契約の内容によっては、契約期間中は他の不動産会社に売却を依頼することができず、売主は身動きが取れない状況に追い込まれてしまいます。

 結果として、手数料の値引きによって得られるはずだった数十万円の節約が、売却価格の大幅な目減りという形で、数百万円規模の損失につながることも珍しくありません。

【関連記事】>>大手不動産仲介は「囲い込み」が蔓延?! 住友や三井などは40%以上! 売却時は両手比率が高い会社に注意を

不動産取引における仲介手数料は高いのか?

 ここまで不動産取引における仲介手数料について紹介してきましたが、改めて冒頭に紹介したXの投稿に戻ってみましょう。仲介手数料は本当に高いものなのでしょうか。

 少し目線が変わりますが、私自身、不動産会社を経営する上で、常に意識しているのは「経営コスト」です。1件の売却の契約(仲介手数料)を獲得するまでのコストをシミュレーションしてみます。

 不動産会社は売主や買主と出会うために、不動産ポータルサイトをはじめとした媒体に広告を出稿します。実際に当社の数字で見れば、1件の商談を獲得するために約15万円ほどの広告費がかかり、そこから成約確率が20~30%であるため、50万~75万円ほどの集客コストがかかります。

 さらに、その反響に対応する営業担当者の雇用には、最低でも月に約45万円ほどの経費がかかります。そこから企業運営するための利益の確保などのコストを考慮すると、5,000万円の物件で156万円の仲介手数料というのは、決して法外な金額ではありません。

 とはいっても、こういった事情はあくまでも不動産会社の都合です。消費者にとってはこれらのコスト構造が見えにくく、理解してくれというのも無理のある話です(不動産広告の表記を、仲介手数料を含めた総額表示を導入するなど、より透明性の高い価格提示方法に変更すべきだとは思います)。

 不動産会社・良い担当者(エージェント)との関係は、一度で終わるものではなく、住み替えやローン変更、転勤時の管理や相続発生など、さまざまな局面で長期的・継続的なサポートが必要になります。仲介手数料は、そういった長期的なサービス提供の基盤となるものと考えてみてはいかがでしょうか。

 むしろ、そういった長いお付き合いがしたいと感じる担当者や不動産会社であるかを念頭に置いて、売買を依頼する不動産会社を探してみることも重要なポイントであるといえます。

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