専任媒介と一般媒介、不動産の売買契約ではどちらがおすすめ? 特徴やメリットなどを解説!

【第1回】2018年5月29日公開(2022年7月26日更新)
梶本幸治 株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長

家やマンションなどの不動産を売買する際、不動産仲介会社と媒介契約を結ぶことになります。その際、「専任媒介契約」と「一般媒介契約」のどちらかを選ぶことになりますが、高く売りたい場合、早く売りたい場合で選ぶべき契約方法が異なります。ここでは、「専任媒介」と「一般媒介」の違いや、特徴、メリットなどを解説します。

専任媒介と一般媒介の違いは、依頼できる不動産会社数

 家やマンションなどの不動産を売却する際、不動産会社は自分の会社のみに依頼してもらえる「専任媒介契約」を必ずおすすめしてきます

 しかし、契約形態としては、複数の不動産会社に依頼できる「一般媒介契約」もあります。

 では、「専任媒介契約」と「一般媒介契約」では、どちらが売り主にとって得なのでしょうか。

 所有する不動産を売却する際、不動産会社と「媒介契約」を締結して販売を依頼します。そして、媒介契約には次の3種類があります。

 不動産売却における「3つの媒介契約」とは?
契約方法 専属専任
媒介契約
専任媒介契約 一般媒介契約
複数の不動産会社への仲介依頼 × ×
自ら探した相手との直接契約 ×

 「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」は、依頼できる不動産会社が1社のみとなります。

 一方の「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に売却の依頼が可能です。

不動産会社は、必ず「専任媒介」をおすすめする

 不動産会社サイドは、自分の会社のみに依頼してもらえる専任媒介契約を選んでほしいため、「専任媒介契約こそ最良の売却方法」であるとアピールしてきます。

 不動産営業担当が「専任媒介を選んでもらうための台詞」の主だったものは次の通りです。

「売却の相談窓口は1社にされた方が、取引がスムーズですよ」
「不動産会社同士のネットワークシステム(レインズ)がありますから、当社から他の不動産会社に情報を提供できます。従って、専任媒介だからといって売り主の売却機会損失は発生しません」
「専任媒介の方が弊社としても広告宣伝費を多く使う事ができます」
「一般媒介契約だと、多くの不動産会社から連絡が入るので対応が面倒ですよ」
「専任媒介の方が…、私のやる気が出ます! 安心してお任せ下さい!」

 どの台詞も間違った事は言っていませんが、「売り主が専任媒介を選ぶメリット」とまでは言えませんね。

 1社に任せると取引がスムーズという点は一見もっともらしいですが、別に複数社に売却を依頼したからといって、取引が停滞する訳でもありません。

 また、不動産のネットワークシステム(レインズ)に関しましても、レインズに掲載したからかといって、他社からの問い合わせを無視する不動産会社もあります(いわゆる「物件囲い込み」です)。

【関連記事はこちら】>>不動産を高値で売却したいなら、「囲い込み」「両手取引」に気をつけよう!悪徳不動産業者の「騙しのテクニック」を公開

 それから、専任媒介なら広告宣伝費が多く使えるなんて不動産会社サイドの話ですから、本来は売り主に申し上げる事ではありません。

 最後の「専任媒介の方が…、私のやる気が出ます」という台詞は、不動産営業担当者が専任媒介を取りたい時に使う常套句ですので、くれぐれも「おっ! やる気のある営業担当だなぁ。なんだか好感が持てるよ」などと思わないで下さい。いつでも、どこでも、誰にでも言っている台詞ですから。

一般媒介契約は、競争原理が働くのがメリット

 ここまで読んでくださったあなたは、「やはり、家を売却する時は専任媒介契約ではなく、一般媒介を選ぶべきなのだな!」と思われたでしょう。

 一般媒介を選ばれる売り主のほとんどが、次のようにお考えではないでしょうか。

 「専任媒介で1社に限定してしまうと、的確なアドバイスや情報を得られない可能性があるな。また、1社に限定せず複数社に売却を依頼すれば、各社に競争原理が働く為、私の不動産が高く売れるかもしれない。やはり、専任媒介ではなく、一般媒介契約で売りに出そう」

 確かに一般媒介なら、1社からアドバイスや情報を貰うよりも的確な判断を下せますし、複数の不動産会社が競い合ってくれれば、より良い条件の買い主を見つけてくれそうです。

一般媒介契約で高値で売り出すと、相手にされない可能性も

 しかし、現実の不動産売却の現場では上記の通りにいかないケースもあるのです。

 一般媒介を選ばれる多くの売り主が「不動産会社同士の競争」に期待します。では、不動産会社同士の競争とは、どのような状況で発生すると思いますか。それは、販売の依頼を受けた物件が「売りやすい不動産」である時に限ります。

 つまり「こんな良い不動産、うかうかしていたら他社に売られてしまう。その前に一生懸命販売活動を行って是非、当社で買い主を見つけよう」という気持ちになった時、一般媒介の不動産会社同士で競争が起きるのです。

 では、「売りやすい不動産」とは何かと申しますと、駅から近い不動産でもなく、日当たりが良い不動産でもなく、築年数の新しい不動産でもありません。

 「売りやすい不動産」とは「価格が適切な不動産」もしくは、「相場より価格が安い不動産」を指すのです。「この価格でこの不動産なら売れる」と思える不動産が「売りやすい不動産」なのです。

 ここで先程お話しした「一般媒介を選ばれる売り主の心理状態」を思い出してください。「各社に競争原理が働く為、私の不動産が高く売れるかも知れない」とありましたよね。

 一般媒介を選ばれる売り主は「高めで売りに出したい」と希望するケースが多く、高値成約を実現する為に複数の不動産会社に依頼します。

 しかし、不動産会社サイドからみれば「割高な不動産=売れない不動産」ですから、どこも積極的に販売活動を行いません。その結果、売り主が期待された不動産会社同士の競争は発生せず、誰からも相手にされていない状況が出来上がってしまうのです。

 そして、売れない状況が続いたとしても、一般媒介の不動産会社は、「自分が嫌われ役を演じて価格の引き下げを提案しても、他の一般媒介の不動産会社に売られたのではたまらない」と牽制しあう事により、どの不動産会社も「この価格は高いですよ、もう少し販売価格を下げましょう」というアドバイスさえしてくれません。

 結果的に、一般媒介締結時に売り主が期待された「的確な情報やアドバイス」はもらえず、「不動産会社同士の競争」も発生せず、売り主は裸の王様状態のまま放置される事となってしまいます。そうです、この点が一般媒介の欠点です。

 つまり、一般媒介契約は「不動産を相場より高く売りたい時」には選択すべきではなく、「高値でなくていいから、早く売りたい人向け」の売却方法といえるでしょう。

 適切な価格であれば、不動産会社同士の競争が発生し、早期の成約が見込めます。特に東京の一部など、大都市圏では一般媒介契約が威力を発揮し、競争が働くことが多いのです。これこそ、「一般媒介契約の正しい使い方」なのです。

高く売りたい時こそ「専任媒介契約」

 では、家を少しでも高く売りたい時はどうすれば良いでしょうか。

 時間をかけてもいいから、高く売りたい時こそ「専任媒介契約」の出番です。専任媒介で販売を依頼された不動産会社は、売り主の期待に応える為に努力してくれるでしょうし、時には「価格を下げないと売れ残りますよ」と苦言を呈してくれるでしょう。 

 「高く売る」場合は、販売期間が長期に渡る事もありますので、売り主と不動産会社が信頼関係を保ち、二人三脚で販売計画を進めて行くべきです。もちろん、囲い込みするような不動産会社は論外ですが、時間をかけても高値で売りたいときは、専任媒介の方が適しています。

 なお、販売価格自体が極端に安い不動産も、専任媒介で売るべきでしょう。不動産売却の仲介手数料は、3%+6万円+消費税(400万円以上の場合)と上限が決まっているので、物件価格が1,000万円の場合、手数料は約39万円しかなく、一般媒介では誰も真面目に売ってくれなくなります。競争がない地方など、マーケットが小さい地域でも専任媒介を選ばざるを得ないでしょう。

まとめ 自分の事情に合った媒介契約を選ぶべき

 それでは最後に「専任媒介契約と一般媒介契約ってどちらを選ぶべきなのか?」に関する、私の意見をまとめます。

・相場並み又は相場よりも安くなってもいいから、早く売りたい人は「一般媒介契約」を!
・時間がかかってもいいから、相場より高く売りたい方は「専任媒介契約」を!

 あなたのご希望やご事情に合わせ、最適な媒介契約を選択して下さい。

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