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不動産売却の注意点
【第1回】2018年5月29日公開(2019年6月27日更新)
梶本幸治
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。普段は売却を中心とする不動産梅者のコンサルティングを中心としていますが、こダイヤモンド不動産研究所では、売主の立場に立って、「不動産を売却するときの注意点」を解説します!

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家を売るなら、専任媒介と一般媒介の
どちらを選ぶべきか、現場を知るプロが解説! 
「速さ重視」は一般媒介、「高値重視」は専任媒介

家やマンションなどの不動産を高く、早く売却するためには、営業マンとどう付き合い、どんな戦略で販売すればいいのでしょうか。不動産売買の営業マンとして長年活躍し、現在は不動産専門の集客・営業コンサルタントである梶本幸治氏が、売り主の立場に立って、「不動産を売却するときの注意点」を解説します。第1回は、「専任媒介」と「一般媒介」のどちらを選択すべきかを取り上げます。

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専任媒介と一般媒介の違いは、依頼できる不動産会社数

 家やマンションなどの不動産を売却する際、不動産会社は自分の会社のみに依頼してもらえる「専任媒介契約」を必ずお勧めします。しかし、契約形態としては、複数の不動産会社に依頼できる「一般媒介契約」もあります。連載第1回目は「専任媒介契約」と「一般媒介契約」では、どちらが売り主にとって得なのかを解説しましょう。

 所有不動産を売却する際、不動産会社と「媒介契約」を締結して販売を依頼します。そして、媒介契約には次の3種類があります。

 不動産売却における「3つの媒介契約」とは?
契約方法 専属専任
媒介契約
専任媒介契約 一般媒介契約
複数の不動産会社への仲介依頼 × ×
自ら探した相手との直接契約 ×

 「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」は、依頼できる不動産会社が1社のみとなります。一方の「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に売却の依頼が可能です。

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不動産会社は、必ず「専任媒介」を勧める

 不動産会社サイドは、自分の会社のみに依頼して貰える専任媒介契約を選んでほしいため、「専任媒介契約こそ最良の売却方法」であるとアピールしてきます。

 不動産営業担当が「専任媒介を選んでもらうための台詞」の主だったものは次の通りです。

「売却の相談窓口は1社にされた方が、取引がスムーズですよ」
「不動産会社同士のネットワークシステム(レインズ)がありますから、当社から他の不動産会社に情報を提供できます。従って、専任媒介だからといって売り主の売却機会損失は発生しません」
「専任媒介の方が弊社としても広告宣伝費を多く使う事ができます」
「一般媒介契約だと、多くの不動産会社から連絡が入るので対応が面倒ですよ」
「専任媒介の方が…、私のやる気が出ます! 安心してお任せ下さい!」

 どの台詞も間違った事は言っていませんが、「売り主が専任媒介を選ぶメリット」とまでは言えませんね。

 1社に任せると取引がスムーズって点は一見もっともらしいですが、別に複数社に売却を依頼したからといって、取引が停滞する訳でもありません。

 また、不動産のネットワークシステム(レインズ)に関しましても、レインズに掲載したからかといって、他社からの問い合わせを無視する不動産会社もあります(いわゆる「物件囲い込み」です)。

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不動産を高値で売却したいなら、「囲い込み」「両手取引」に気をつけよう!悪徳不動産業者の「騙しのテクニック」を公開

 それから、専任媒介なら広告宣伝費が多く使える事なんて不動産会社サイドの話ですから、本来は売り主に申し上げる事ではありません。

 最後の「専任媒介の方が…、私のやる気が出ます」って台詞は、不動産営業担当者が専任媒介を取りたい時に使う常套句ですので、くれぐれも「おっ! やる気のある営業担当だなぁ。なんだか好感が持てるよ」などと思わないで下さい。いつでも、どこでも、誰にでも言っている台詞ですから。

一般媒介は、競争原理が働くのがメリット

 ここまで読んで下さったあなたは、「やはり、家を売却する時は専任媒介契約ではなく、一般媒介を選ぶべきなのだな!」と思われたでしょう。

 一般媒介を選ばれる売り主のほとんどが、次のようにお考えではないでしょうか。

 「専任媒介で1社に限定してしまうと、的確なアドバイスや情報を得られない可能性があるな。また、1社に限定せず複数社に売却を依頼すれば、各社に競争原理が働く為、私の不動産が高く売れるかもしれない。やはり、専任媒介ではなく、一般媒介契約で売りに出そう」

 確かに一般媒介なら、1社からアドバイスや情報を貰うよりも的確な判断を下せますし、複数の不動産会社が競い合ってくれれば、より良い条件の買い主を見つけてくれそうです。

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一般媒介で高値で売り出すと、相手にされない可能性も

 しかし、現実の不動産売却の現場では上記の通りにいかないケースもあるのです。

 一般媒介を選ばれる多くの売り主が「不動産会社同士の競争」に期待します。では、不動産会社同士の競争とは、どのような状況で発生すると思いますか。それは、販売の依頼を受けた物件が「売りやすい不動産」である時に限ります。

 つまり「こんな良い不動産、うかうかしていたら他社に売られてしまう。その前に一生懸命販売活動を行って是非、当社で買い主を見つけよう」という気持ちになった時、一般媒介の不動産会社同士で競争が起きるのです。

 では、「売りやすい不動産」とは何かと申しますと、駅から近い不動産でもなく、日当たりが良い不動産でもなく、築年数の新しい不動産でもありません。

 「売りやすい不動産」とは「価格が適切な不動産」若しくは、「相場より価格が安い不動産」を指すのです。「この価格でこの不動産なら売れる」と思える不動産が「売りやすい不動産」なのです。

 ここで先程お話しした「一般媒介を選ばれる売り主の心理状態」を思い出して下さい。「各社に競争原理が働く為、私の不動産が高く売れるかも知れない」とありましたよね。

 一般媒介を選ばれる売り主は「高めで売りに出したい」と希望するケースが多く、高値成約を実現する為に複数の不動産会社に依頼します。

 しかし、不動産会社サイドからみれば「割高な不動産=売れない不動産」ですから、どこも積極的に販売活動を行いません。その結果、売り主が期待された不動産会社同士の競争は発生せず、誰からも相手にされていない状況が出来上がってしまうのです。

 そして、売れない状況が続いたとしても、一般媒介の不動産会社は、「自分が嫌われ役を演じて価格の引き下げを提案しても、他の一般媒介の不動産会社に売られたのではたまらない」と牽制しあう事により、どの不動産会社も「この価格は高いですよ、もう少し販売価格を下げましょう」というアドバイスさえしてくれません。

 結果的に、一般媒介締結時に売り主が期待された「的確な情報やアドバイス」は貰えず、「不動産会社同士の競争」も発生せず、売り主は裸の王様状態のまま放置される事となってしまいます。そうです、この点が一般媒介の欠点です。

 つまり、一般媒介契約は「不動産を相場より高く売りたい時」には選択すべきではなく、「高値でなくていいから、早く売りたい人向け」の売却方法といえるでしょう。

 適切な価格であれば、不動産会社同士の競争が発生し、早期の成約が見込めます。特に東京の一部など、大都市圏では一般媒介契約が威力を発揮し、競争が働くことが多いのです。これこそ、「一般媒介契約の正しい使い方」なのです。

高く売りたい時こそ「専任媒介」

 では、家を少しでも高く売りたい時はどうすれば良いでしょうか。

 時間をかけてもいいから、高く売りたい時こそ「専任媒介契約」の出番です。専任媒介で販売を依頼された不動産会社は、売り主の期待に応える為に努力してくれるでしょうし、時には「価格を下げないと売れ残りますよ」と苦言を呈してくれるでしょう。 

 「高く売る」場合は、販売期間が長期に渡る事もありますので、売り主と不動産会社が信頼関係を保ち、二人三脚で販売計画を進めて行くべきです。もちろん、囲い込みするような不動産会社は論外ですが、時間をかけても高値で売りたいときは、専任媒介の方が適しています。

 なお、販売価格自体が極端に安い不動産も、専任媒介で売るべきでしょう。不動産売却の仲介手数料は、3%+6万円+消費税(400万円以上の場合)と上限が決まっているので、物件価格が1,000万円の場合、手数料は約39万円しかなく、一般媒介では誰も真面目に売ってくれなくなります。競争がない地方など、マーケットが小さい地域でも専任媒介を選ばざるを得ないでしょう。

~本日の結論~
自分の事情に合った媒介契約を選ぶべき

 それでは最後に「専任媒介契約と一般媒介契約ってどちらを選ぶべきなのか?」に関する、私の意見をまとめます。

・相場並み又は相場よりも安くなってもいいから、早く売りたい人は「一般媒介契約」を!
・時間がかかってもいいから、相場より高く売りたい方は「専任媒介契約」を!

 あなたのご希望やご事情に合わせ、最適な媒介契約を選択して下さい。

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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 900社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U無料査定はこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール無料査定はこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S無料査定はこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ無料査定はこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ無料査定はこちら
◆HowMaスマート不動産売却(一般媒介での一括査定)
対応物件の種類 マンション、戸建て(東京23区)
掲載する不動産会社数 10社(一般媒介) HowMaスマート不動産売却の公式サイトはこちら
サービス開始 2015年
運営会社 コラビット
紹介会社数 最大6社
【ポイント】不動産会社探しを支援してくれるサービスで、不動産を売却する際に、不動産会社と会わずに契約が可能。不動産会社との契約は一般媒介なので、不動産会社による違法な「囲い込み」も心配ない。
HowMaスマート不動産売却無料査定はこちら
◆いえカツLIFE(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・一棟マンション、投資マンション(1R・1K)、一棟ビル、区分所有ビル(1室)、店舗・工場・倉庫、農地、再建築不可物件、借地権、底地権、その他(共有持分についても査定・売却対象)
営業エリア 東京、千葉、神奈川、埼玉 いえカツLIFEの公式サイトはこちら
サービス開始 2012年
運営会社 株式会社 サムライ・アドウェイズ
(東京マザーズ上場「アドウェイズ」の子会社)
紹介会社数 最大6社(売買2社、買取2社、リースバック2社)
【ポイント】 再建築不可物件、借地権、底地権といった「訳あり物件」の査定にも対応している。共有持ち分でも相談に乗ってくれる査定サイトは少ないので、相談してみよう
いえカツLIFE無料査定はこちら
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