家やマンションを売りに出したものの、なかなか買主が見つからない! 対策の一つとして思い浮かぶのが「不動産仲介会社の変更」です。今回は、不動産の売却を任せている不動産仲介会社で売れない場合、仲介業者を変更するタイミングはいつが良いのか。また、不動産仲介会社を乗り換える際のチェックポイントについて、詳しく解説します。
現在は、売主にとって有利な市況だが……

今、都市部を中心に不動産の価格は上昇しており、売主にとっては良い時期を迎えています。
もちろん、都市部の中にも、価格上昇のカーブが緩くなってきている地域はあります。また、郊外では不動産価格が現状維持、もしくは緩やかな下落、といったところも珍しくないため、一概には「売却の好機」とは言い切れない面もございますが、以前の「地価が下落し続けていた時期」のことを考えれば、やはり売主にとって有利な市況であると言えるでしょう。
しかし、売主にとって有利な市況であっても、所有不動産を売りに出したものの、なかなか買い手が見つからずに困っている方もおられるかと思います。
そこで今回の記事では、売却を任せている不動産仲介会社で売れない場合、仲介業者を変更するタイミングはいつが良いのか。また、不動産仲介会社の乗り換えでは何をチェックすれば良いのか、ご紹介したいと思います。
あなたの不動産が売れない、2つの理由
まずは「なぜ不動産が売れないのか」について考えてみましょう。理由は大きく分けて2つございます。
(1)売り出し価格が相場と乖離し、高すぎるために売れない。
(2)不動産仲介会社の販売力が弱い、もしくは担当営業の力量が不足しているために売れない。
(1)の「売り出し価格が相場と乖離し、高すぎるために売れない」状態に陥っているか否かを知るには、売却相談時に不動産仲介会社が提示してきた「不動産価格査定書」を再度確認しましょう。
現在の売り出し価格が査定価格と近い場合は、売り出し価格が高すぎるということはなさそうです。
売り出し価格と査定価格を比べたとき、売り出し価格が高すぎる場合は「売り出し価格が相場と乖離し、高すぎるために売れない」可能性が高そうです。
しかし、ここで注意していただきたいことがございます。
上記のような判断基準は「不動産仲介会社が提示してきた査定価格が妥当」である場合は用いることができますが、不動産仲介会社が作成した査定書には「ウソ」が混じっている場合も多いのです。
その「ウソ」とは、売れもしない高い査定価格です。
売れもしない高い査定価格を提示して売主の歓心を買い、自社に販売を任せてもらおうと画策するわけです。
そのような意図で提示された査定価格と、現在の販売価格を比べたところで何の意味もありません。
(詳しくは筆者連載の第13回「『高い査定価格』の不動産会社は信頼できる? 『本当に売れる価格』かを確認する方法を解説」をご参照ください)
「同じ不動産仲介会社に売却を任せ続けるべきか」を
簡単に判断するには?
現在の売り出し価格が査定価格と近いにもかかわらず、なかなか所有不動産が売れない場合は、査定価格が意図的に高く設定されているか、不動産仲介会社の販売力が弱い、もしくは担当営業の力量が不足していることを疑ってみるべきです。
ただし、不動産の素人である一般の売主に、査定価格が高いのか低いのか、不動産仲介会社の販売力があるのか、無いのかを判断することは難しいでしょう。
そこで、3カ月の媒介期間が終了して更新の時期を迎えた頃に、一括査定サイトを用いるなどの方法で、他の不動産仲介会社の話を聞いてみることをおすすめします。
【関連記事はこちら】>>不動産一括査定サイト&仲介業者25社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう
そして、他の不動産仲介会社が提示してくる査定価格や販売計画を参考に、今、売却を任せている不動産仲介会社との違いを比べてみましょう。
例えば、他の不動産仲介会社が3000万円の査定価格であるのに対し、売却を任せている不動産仲介会社の査定価格が3500万円なら、意図的に査定価格を高くしていた疑いが出てきます。
また、他の不動産仲介会社が「不動産ポータルサイトに掲載します」と提案してきているのに、売却を任せている不動産仲介会社は自社のホームページにしか掲載していないようですと、その販売力に疑問符が付きます。
「なぜ、あなたの会社は、他の不動産仲介会社よりも査定価格が高いの?」
「なぜ、あなたの会社は、私の不動産をポータルサイトに掲載してくれないの?」
これらの疑問を担当営業にぶつけてみて、その回答を聞いてください。
納得のいく回答が得られれば、そのまま売却を依頼し続ければ良いでしょうし、腑に落ちない点があれば媒介契約を更新せず、他の不動産仲介会社に販売を依頼し直してください。
媒介契約を更新してもらえないとなった場合、「一般媒介でもよいからチャンスをください」などと言ってくる営業担当もいますが、もはや信頼関係は損なわれていますので、売主に利益をもたらさない営業担当とはスパッとオサラバし、他の不動産仲介会社に専任媒介で販売を依頼される方が良いと思います。
(なぜ専任媒介が良いかは、筆者連載の第1回「家を売るなら、専任媒介と一般媒介のどちらを選ぶべきか、現場を知るプロが解説! 『速さ重視』は一般媒介、『高値重視』は専任媒介」をご参照ください)
一般の売主でもチェックできる
”売却を任せたくない不動産仲介会社”の特徴
では、最後に「こんな不動産仲介会社には売却を任せておいてはいけないチェックポイント」を箇条書きでご紹介します。
●空き地や空き家に設置した看板やノボリが、汚れていたり、壊れていても修理や取り換えを行わない。
●購読者数の減った「新聞折り込み広告」を販売手法の柱にし、インターネットへの取り組みが弱い。
●インターネットに掲載した「物件写真」が見にくい。または、曇りの日に撮った写真を載せている。
●小刻みな値下げ(例:2980万円→2920万円など)ばかり提案し、営業手法が場当たり的。
大切な資産である不動産の売却を任せるのですから、誠実で且つ販売力のある不動産仲介会社を選んでください。
【関連記事はこちら】>>不動産がなかなか売れないとき、不動産会社を変える時期、最適な方法は? 契約解除のリスクとペナルティも確認を
【注目の記事はこちら】 【査定】相場を知るのに便利な、一括査定サイト&業者"25社"を比較 【業者選び】売却のプロが教える、「不動産会社の選び方・7カ条」 【査定】不動産一括査定サイトのメリット・デメリットを紹介 【業界動向】大手不動産会社は両手取引が蔓延!? 「両手比率」を試算! 【ノウハウ】知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」 |
<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!
不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。
そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を一度入力すれば、複数社から査定してもらうことができる。査定額を比較できるので、不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。
「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。
なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。
以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。
【注目の記事はこちら】 【業者選び】売却のプロが教える、「不動産会社の選び方・7カ条」 【査定】相場を知るのに便利な、一括査定サイト&業者"主要25社"を比較 【査定】不動産一括査定サイトのメリット・デメリットを紹介 【業界動向】大手不動産会社は両手取引が蔓延!? 「両手比率」を試算! 【ノウハウ】知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」 |
■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら! |
◆SUUMO(スーモ)売却査定(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地 | |
掲載する不動産会社数 | 約2000店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2009年 | |
運営会社 | 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 不動産サイトとして圧倒的な知名度を誇るSUUMO(スーモ)による、無料の一括査定サービス。主要大手不動産会社から、地元に強い不動産会社まで参加しており、査定額を比較できる。 | ||
◆HOME4U(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 1500社 | ![]() |
サービス開始 | 2001年 | |
運営会社 | NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。提携会社数は競合サイトと比較するとトップではないが、厳選されている。 | ||
◆イエウール(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1600社以上 | ![]() |
サービス開始 | 2014年 | |
運営会社 | Speee | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。 | ||
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件 | |
掲載する不動産会社数 | 2399社 | ![]() |
サービス開始 | 2008年 | |
運営会社 | LIFULL(東証一部) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。 | ||
◆イエイ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1700社 | ![]() |
サービス開始 | 2007年 | |
運営会社 | セカイエ | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。 | ||
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション | |
掲載する不動産会社数 | 900社超、2500店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2011年 | |
運営会社 | マンションリサーチ | |
紹介会社数 | 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社) | |
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定は3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取り扱い物件がマンションしかない点。 | ||
◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 9社 | ![]() |
サービス開始 | 2015年 | |
運営会社 | ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大9社 | |
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。 | ||