売却を依頼した不動産仲介会社で売れない!
「業者変更すべきか」を簡単に判断する方法

【第25回】2019年5月14日公開(2020年6月10日更新)
梶本幸治:株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長

家やマンションを売りに出したものの、なかなか買主が見つからない! 対策の一つとして思い浮かぶのが「不動産仲介会社の変更」です。今回は、不動産の売却を任せている不動産仲介会社で売れない場合、仲介業者を変更するタイミングはいつが良いのか。また、不動産仲介会社を乗り換える際のチェックポイントについて、詳しく解説します。

現在は、売主にとって有利な市況だが……

不動産の売却業者を変更したい

 今、都市部を中心に不動産の価格は上昇しており、売主にとっては良い時期を迎えています。

 もちろん、都市部の中にも、価格上昇のカーブが緩くなってきている地域はあります。また、郊外では不動産価格が現状維持、もしくは緩やかな下落、といったところも珍しくないため、一概には「売却の好機」とは言い切れない面もございますが、以前の「地価が下落し続けていた時期」のことを考えれば、やはり売主にとって有利な市況であると言えるでしょう。

 しかし、売主にとって有利な市況であっても、所有不動産を売りに出したものの、なかなか買い手が見つからずに困っている方もおられるかと思います。

 そこで今回の記事では、売却を任せている不動産仲介会社で売れない場合、仲介業者を変更するタイミングはいつが良いのか。また、不動産仲介会社の乗り換えでは何をチェックすれば良いのか、ご紹介したいと思います。

あなたの不動産が売れない、2つの理由

 まずは「なぜ不動産が売れないのか」について考えてみましょう。理由は大きく分けて2つございます。

【所有不動産が売れない理由】

(1)売り出し価格が相場と乖離し、高すぎるために売れない。
(2)不動産仲介会社の販売力が弱い、もしくは担当営業の力量が不足しているために売れない。

 (1)の「売り出し価格が相場と乖離し、高すぎるために売れない」状態に陥っているか否かを知るには、売却相談時に不動産仲介会社が提示してきた「不動産価格査定書」を再度確認しましょう。

 現在の売り出し価格が査定価格と近い場合は、売り出し価格が高すぎるということはなさそうです。

 売り出し価格と査定価格を比べたとき、売り出し価格が高すぎる場合は「売り出し価格が相場と乖離し、高すぎるために売れない」可能性が高そうです。

 しかし、ここで注意していただきたいことがございます。

 上記のような判断基準は「不動産仲介会社が提示してきた査定価格が妥当」である場合は用いることができますが、不動産仲介会社が作成した査定書には「ウソ」が混じっている場合も多いのです。

 その「ウソ」とは、売れもしない高い査定価格です。

 売れもしない高い査定価格を提示して売主の歓心を買い、自社に販売を任せてもらおうと画策するわけです。

 そのような意図で提示された査定価格と、現在の販売価格を比べたところで何の意味もありません。
(詳しくは筆者連載の第13回「『高い査定価格』の不動産会社は信頼できる? 『本当に売れる価格』かを確認する方法を解説」をご参照ください)

「同じ不動産仲介会社に売却を任せ続けるべきか」を
簡単に判断するには?

 現在の売り出し価格が査定価格と近いにもかかわらず、なかなか所有不動産が売れない場合は、査定価格が意図的に高く設定されているか、不動産仲介会社の販売力が弱い、もしくは担当営業の力量が不足していることを疑ってみるべきです。

 ただし、不動産の素人である一般の売主に、査定価格が高いのか低いのか、不動産仲介会社の販売力があるのか、無いのかを判断することは難しいでしょう。

 そこで、3カ月の媒介期間が終了して更新の時期を迎えた頃に、一括査定サイトを用いるなどの方法で、他の不動産仲介会社の話を聞いてみることをおすすめします。

【関連記事はこちら】>>不動産一括査定サイト&仲介業者25社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう

 そして、他の不動産仲介会社が提示してくる査定価格や販売計画を参考に、今、売却を任せている不動産仲介会社との違いを比べてみましょう。

 例えば、他の不動産仲介会社が3000万円の査定価格であるのに対し、売却を任せている不動産仲介会社の査定価格が3500万円なら、意図的に査定価格を高くしていた疑いが出てきます。

 また、他の不動産仲介会社が「不動産ポータルサイトに掲載します」と提案してきているのに、売却を任せている不動産仲介会社は自社のホームページにしか掲載していないようですと、その販売力に疑問符が付きます。

 「なぜ、あなたの会社は、他の不動産仲介会社よりも査定価格が高いの?」
「なぜ、あなたの会社は、私の不動産をポータルサイトに掲載してくれないの?」

 これらの疑問を担当営業にぶつけてみて、その回答を聞いてください。

 納得のいく回答が得られれば、そのまま売却を依頼し続ければ良いでしょうし、腑に落ちない点があれば媒介契約を更新せず、他の不動産仲介会社に販売を依頼し直してください。

 媒介契約を更新してもらえないとなった場合、「一般媒介でもよいからチャンスをください」などと言ってくる営業担当もいますが、もはや信頼関係は損なわれていますので、売主に利益をもたらさない営業担当とはスパッとオサラバし、他の不動産仲介会社に専任媒介で販売を依頼される方が良いと思います。
(なぜ専任媒介が良いかは、筆者連載の第1回「家を売るなら、専任媒介と一般媒介のどちらを選ぶべきか、現場を知るプロが解説! 『速さ重視』は一般媒介、『高値重視』は専任媒介」をご参照ください)

一般の売主でもチェックできる
”売却を任せたくない不動産仲介会社”の特徴

 では、最後に「こんな不動産仲介会社には売却を任せておいてはいけないチェックポイント」を箇条書きでご紹介します。

●宅建業法で定められた「業務処理状況の報告」がいつも同じ内容で、報告の意味をなしていない。

●空き地や空き家に設置した看板やノボリが、汚れていたり、壊れていても修理や取り換えを行わない。

●購読者数の減った「新聞折り込み広告」を販売手法の柱にし、インターネットへの取り組みが弱い。

●インターネットに掲載した「物件写真」が見にくい。または、曇りの日に撮った写真を載せている。

●小刻みな値下げ(例:2980万円→2920万円など)ばかり提案し、営業手法が場当たり的。

 大切な資産である不動産の売却を任せるのですから、誠実で且つ販売力のある不動産仲介会社を選んでください。

【関連記事はこちら】>>不動産がなかなか売れないとき、不動産会社を変える時期、最適な方法は? 契約解除のリスクとペナルティも確認を

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