「相続登記の司法書士を紹介します」「販売開始時に弊社でハウスクリーニングをします」など、不動産売却時は"売主向けサービス"が充実した仲介会社を選ぶべき?

【第36回】2019年12月12日公開(2020年6月10日更新)
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長。普段は不動産会社向けの集客&教育のコンサルティングを中心としていますが、ダイヤモンド不動産研究所では売主の側に立った「不動産を売却するときの注意点」シリーズなど、さまざまな読者に向けて解説します!

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売主のためにさまざまな"無料のサービス"を提供する不動産仲介会社が増えています。「相続登記のための司法書士を紹介」「売れなかった場合の買取保証」……などなど。不動産を売却する際には、こうしたサービスが充実している不動産仲介会社に依頼するのが正解なのでしょうか?

売主にとってメリットの大きい
不動産仲介会社の"無料サービス"4選

 一昔前まで不動産仲介会社がお客様に提供する「不動産取引の付随サービス」といえば、不動産購入様向けのものが多く、売主向けのものは少なかったように思います。

 しかし、ここ最近は、不動産価格高騰の影響からか「買主より売主を重視する」傾向が強くなり、売主をサポートするさまざまなサービスが不動産仲介会社によって提供され始めました。

 まずは、売主をサポートする不動産仲介会社の無料のサービスの中から、主だったものを見ていきましょう。

(1)相続登記の司法書士を紹介

 相続発生後、相続登記未了の売主が、登記の専門家である司法書士を紹介してもらえるサービスです。売主が独自に司法書士へ依頼する場合よりも、司法書士報酬が安くなる場合もあります。主に無料で提供されます。(司法書士への報酬や登録免許税は必要です)

 

(2)相続税立て替え

 不動産売却代金を受け取る前に相続税の納税期日が到来する売主に対し、不動産仲介会社の提携金融機関がつなぎ融資のような形で融資を実行するサービスです。売却代金で本融資は返済します。融資に関する手数料や金利が発生します。

 

(3)買取保証

 仲介で売りに出した物件が売れ残った場合、不動産仲介会社の提示した価格で買い取ってもらうことができるサービス。買い替えなどで、資金を確定させる必要のある売主にはうれしいサービスです。主に無料で提供されます。買取の場合は仲介手数料も不要です。

 

(4)法律相談、税務相談

 不動産売却の伴う法律問題や税務問題に関し、不動産仲介会社の顧問弁護士や、顧問税理士に相談できるサービスです。主に無料で提供されます。

相続を理由に不動産の売却を開始する人が増えている

 この中ですと、特に2番目の「相続税の立て替え」(実質はつなぎ融資ですが)などは、助かりますよね。

 昨今、相続を理由に不動産の売却を開始する人が増えており、そのような売主のニーズを取り入れたサービスといえます。(金融機関への手数料や金利は発生します)

 その他のサービスも基本的に無料で提供されているため、売主にとっては助かるものばかりです。

他にも不動産仲介会社が提供する
売主向けのサービスはあるが……

 これら4つの無料のサービス以外にも、いろいろなサービスを不動産仲介会社が提供しています。いくつか見ていきましょう。

(5)ホームステージング

 売却物件の室内に配置する家具や調度品などをホームステージャーが選別し、物件をより魅力的に見せる事により、買主に好印象を持ってもらい、好条件での成約を目指すもの。有料で提供される事が多いサービスです。

 

(6)瑕疵保証

 買主への建物の引き渡し後、シロアリの被害・雨漏り・給排水管の故障・建物構造上の主要な部位の木部の腐食が発見された場合、その修復や駆除が一定の条件下で保証されるサービスです。有料の場合と、無料の場合があります。

 

(7)付帯設備修理

 買主への建物引き渡し後、キッチンやエアコン、お風呂に給湯器といった付帯設備に不具合が発生した場合、一定の条件下で保証されるサービスです。主に無料で提供されますが、ときどき有料のケースも見受けられます。

 

(8)ハウスクリーニング

 販売に際しハウスクリーニングを実施し、買主に好印象を持ってもらい、好条件での制約を目指すもの。無料で提供されることが多いサービスです。

 

(9)建物調査、土地調査

 耐震診断や土壌汚染調査や地盤調査等を実施し、物件の内容・状態を詳しく把握するためのもの。主に有料で提供されるサービスです。

 (6)の「瑕疵保証」や(7)の「付帯設備修理」、(8)の「ハウスクリーニング」などは大手不動産仲介会社を中心として、重視する会社が増えてきました。

 一方で(5)の「ホームステージング」は、個人所有不動産の仲介では「一般的になった」とまではまだ言い難い手法ですが、都心部を中心に少しずつ浸透しつつあるようにも感じます。
【関連記事はこちら】>>マンションを売るのに「ホームステージング」は効果があるのか、編集部員が試した結果は?

 あなたの不動産を売却するにあたっては、このような売主をサポートするさまざまなサービスが整った不動産仲介会社を選びましょう!

 では、またの機会に! さようなら!

 ……と申し上げたいところですが、話はそんな簡単ではないのです。

売主をサポートするサービスが充実しているから
"良い不動産仲介会社"……とは言い切れない

 これらサービスは確かにうれしいかも知れません。しかし、売主にとっていちばん「うれしいこと」とは何でしょう。

 それは「所有不動産が高く売れること」ではないでしょうか。

 (5)~(9)の内、「ホームステージング」「瑕疵保証」「付帯設備修理」、そして「ハウスクリーニング」などは売主のためのサービスというよりは、買主へのサービスを厚くし、結果として売主の利益につながることを目指したサービスです。

 つまり、そのようなサービスを利用することにより「高く売ること」が目的なのです。

 しかし、たとえば「ホームステージング」は多くの不動産仲介会社で有料のサービスとなっています。また、「瑕疵保証」や「付帯設備修理」も有料の場合と無料の場合が混在し、適用される物件も限られています。

「ハウスクリーニング」は無料の場合が多いですが、そもそもハウスクリーニングは不動産仲介会社に依頼しなくても低予算で実施することが可能です。

 残りの「建物調査、土地調査」も、主に有料で提供されるサービスです。

 "サービス"とはいっても、タダのものばかりではないのです。有料のこれら取り組みを実施しても、所有不動産が高く売れなければ意味がありません。

 つまり、売却を依頼する不動産仲介会社を決める際には、売主をサポートするさまざまなサービスばかりに目を奪われることなく、あくまでその不動産仲介会社が本当に「高く売ってくれそうか否か」を見極めようとする姿勢が大切です。

 見極めるためには、

  • ・チラシは配布してくれるのか? 新聞折込ではなく、ポスティングで配布してくれるのか?

    ・購入希望者を探すため、複数のポータルサイトを利用しているか否か?

    ・インターネットに掲載した物件ページの写真は綺麗か? 説明文は適切か?

    ・担当の営業マンは信用出来そうか? スーツにシワは無いか? 靴は綺麗か? 宅建士の有資格者か?

    ・その不動産仲介会社は何年くらい営業しているのか? 事務所の雰囲気はどうか?

 などなど、その不動産仲介会社の販売力は確かなのか、営業マンは信用できるのかを厳しくチェックしてください。
【関連記事はこちら】>>家を売るなら、こんな不動産営業マンは避けるべき! 「他社の悪口を言う」「担当エリアが広すぎ」など、“ヤバい営業”を見抜く、「5つのポイント」とは?

 不動産仲介会社の小手先のサービスに惑わされてはいけません。もっと大切なことがたくさんあります。

 あなたがご所有の不動産を、高く売却してくれる不動産仲介会社に出会えることを祈っています。

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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を一度すれば、複数社から査定してもらうことができる。査定額を比較できるので、不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

SUUMO(スーモ)売却査定
リクルートのSUUMO(スーモ)でも、無料で一括査定ができる

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

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【ノウハウ知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」
■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆SUUMO(スーモ)売却査定(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地
掲載する不動産会社数 約2000店舗 不動産一括査定サイト「SUUMO(スーモ)売却査定」の公式サイトはこちら
サービス開始 2009年
運営会社 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 不動産サイトとして圧倒的な知名度を誇るSUUMO(スーモ)による、無料の一括査定サービス。主要大手不動産会社から、地元に強い不動産会社まで参加しており、査定額を比較できる。
SUUMO(スーモ)売却査定はこちら
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 1500社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点提携会社数は競合サイトと比較するとトップではないが、厳選されている。
HOME4U無料査定はこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1600社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール無料査定はこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1789社(2019年12月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S無料査定はこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ無料査定はこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ無料査定はこちら
◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所
掲載する不動産会社数 9社 おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」の公式サイトはこちら
サービス開始 2015年
運営会社 ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社)
紹介会社数 最大9社
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。
おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」はこちら
 
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