「居住中に家を売却」VS「空き家にしてから売却」、
得するのはどっち?

【第34回】2019年11月1日公開(2020年6月10日更新)
梶本幸治

「居住中に家を売却する場合」と「空き家にしてから売却する場合」のどちらがお得なのかという問題は、住み替え(買い替え)のための売却の場合は特に気になりますよね。今回は、お得なのはどちらかについて考えてみたいと思います。

今の家を売却しなくても、
次の家を購入できる資金力がある場合は?

家は居住中に売却するのと、空き家になってから売却するのと、どっちがお得?

 「居住中に家を売却する場合」と「空き家にしてから売却する場合」のどちらがお得なのか――。

 もちろん、売却益を、住み替え先の住宅購入費用に充当しなければ資金計画が成り立たない場合は、今の家をある一定期間までに売却する必要があります(買い替え特約)。

 その場合は、売主が売却計画のイニシアチブを取ることは難しいかもしれませんが、そうではなく、「売却」と「購入」を資金面でも分離して考えられる場合については「居住中に家の売却を開始」しようか、それとも「住み替えが完了し、空き家にしてから売却を開始」しようか悩みますね。

 先に私の考えを申し上げますと、

 居住中で売却する場合と、空き家にしてから売却する場合。どちらがお得なのかは何とも言えない……です。

 こんないい加減な回答では怒られそうですので、もう少し丁寧にお話しさせていただくと、次のようになります。

 居住中に家を売却する場合と、空き家にしてから売却する場合。どちらがお得とは何とも言えないが、空き家にするまで売却をスタートしないのはもったいない……となります。

 それではなぜ、空き家にするまで売却をスタートしないのはもったいないのか、その点について考えていきましょう。

今の家を空き家にする前に
売却活動を始めたほうがいい理由

 まずは、居住中に売却をスタートすることのメリットとでデメリットに考えてみましょう。

【居住中に不動産売却を開始することのメリット】

(1)売却期間を長めに設定できるため「チャレンジ価格」での売り出しが可能。

(2)家具等を置いたまま内覧してもらえるので、買主が生活をイメージしやすい。

 

【居住中に不動産売却を開始することのデメリット】

(1)他人(買主)に自分の住まいを見られてしまう。

(2)買主の都合に合わせて在宅する必要がある。

(3)隣近所に、自宅を売却すること(引っ越しすること)が知られてしまう。

 細かく分けるともっとあるのでしょうが、大きく分けたメリット・デメリットは上記のようなものだと思います。

 居住中に不動産売却を開始することの最大のメリットは、売却期間が長く設定できること、すなわち、売却のチャンスが増えることだと思っています。

 もう一つのメリット「家具等を置いたまま内覧してもらえるので、買主が生活をイメージしやすい」の方は、室内が整理整頓されており、掃除も行き届いていればそのような効果も期待できるでしょうが、このような状態を維持することは売主にとっても大変でしょうから、「あえて言えばメリット」といった程度であると考えます。
【関連記事はこちら】>>不動産売却時の「内覧・内見」までに売主がすべき対策、注意点を解説! "掃除や片付け"で、100万円単位の売却価格アップも

 では、最大のメリットである売却期間を長く設定できることに関し、もう少し掘り下げて考えてみます。

 「今の住まいが売れたお金なんか全くアテにしていないから、売却までに何年かかっても気にしないし、なんなら売れなくても困らない」というようなお金持ちは別として、住み替え完了後(引っ越し後)は、できる限り早く前の家を売却し、売却資金を手にしたいというのが人情でしょう。

 一般的に、住み替え完了後はせめて半年以内くらいには売却したいとお考えの方が多いのではないでしょうか。

 そうなると、空き家にしてから売却する場合は販売期間がどうしても短くなります。

 その点、居住中に不動産売却を開始すれば、売却期間が長く設定できるため、売却に向けたさまざまな作戦を試す余裕も生まれます。

居住中に売却を開始すれば、
高値で売れる可能性も

 また、「空き家にしてからが真の勝負」と考えれば、居住中の販売期間は思い切った高値(チャレンジ価格)で売りに出してみることも面白いでしょう。

 「こんな高値で売れたらラッキー」くらいの価格で売りに出せば、内見の申込数は少ないでしょうから、デメリット(2)で挙げた「買主の都合に合わせて在宅する必要がある」ということも少ないかもしれません。もちろん、内見希望者が少ないことはあまり喜べることではありませんが、高値で売りに出している以上、その点は仕方がないといえます。

 ただし、デメリット(3)「隣近所に、自宅を売却すること(引っ越しすること)が知られてしまう」については諦めてください。
【関連記事はこちら】>>不動産を売りたいけど、周りには知られずに売却することは本当に可能なのか?

 なぜなら、高値売却にチャレンジするわけですから、販売を担当する不動産仲介会社に「広告宣伝等、売り方に関しては口を挟みません」と伝え、広告宣伝に全力を尽くしてくれるよう依頼する必要があるからです。

 「高値で売却したいけど近所に知られるのは嫌だから、チラシにもネットにも載せないで! この辺で不動産を探している人がいたら、内々に紹介するような形で販売してほしい」と言う売主がたまにいますが、こんな虫のいい話はありません。
【関連記事はこちら】>>広告効果が薄れたといわれる「不動産チラシ」も、キャッチコピー次第で確実な買い手を集められる! 「不動産チラシ10カ条」を不動産コンサルが解説

 なお、このような高値で売りに出し、その価格で気に入ってくれる買主が現れ、引っ越し先に移る前に、今のお住まいを引き渡して欲しいと希望された場合は、仮住まい(一時的に賃貸に移る)を選択した場合と、この買主の希望を拒否した場合の、金銭的な損得を考えて次の行動を考えてください。

 以上、今回のコラムは「どちらがお得なのか?」という観点で書かせていただきましたので、居住中の販売開始をおすすめしましたが、不動産売却は「高く売れればそれで良い」だけとは限りません。

 あなたがご自宅の売却に際し「何を尊重されるのか」、売却を担当する不動産仲介会社とよく話し合い、気分良く売却を進められるようにしてくださいね。

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