「都心で注文住宅を建てたい。でも土地が高過ぎて買えない……」。そんな悩みを解決する手段の一つが狭小住宅だ。一見すると住宅なんて建てられないような狭い土地でも、設計次第で快適な家を建てることができる。そこで、狭い家ゆえの注意点と狭くても快適な住まいにするノウハウを紹介しよう。(住宅・不動産ライター、宅地建物取引士 椎名前太)
快適な狭小住宅を建てるための5つのノウハウ
狭小住宅に明確な定義はないが、一般的には15坪(約50㎡)程度の狭い土地に建てられる3階建て住宅を指すことが多いようだ。
広い敷地を確保しにくい東京23区内を中心に数多く存在している。15坪の土地に家が建てられるなんて信じられない、という人もいるかもしれないが、3階建てであれば延べ床面積24坪(約80㎡)程度の建物になるので、一般的な都心のファミリーマンションよりも広くなるはず。
さらに、狭小住宅でも設計次第で快適な家にすることが可能だ。そのノウハウとして主に以下の5つがある。
快適な狭小住宅を建てるための5つのノウハウ
- ① デッドスペースを活用した収納スペース
- ② 子どもの勉強スペースをリビングや廊下に取る
- ③ トップライト(天窓)を設ける
- ④ スキップフロアを設ける
- ⑤ 屋上を庭代わりに利用する
① デッドスペースを活用した収納スペース
狭小住宅では、どうしても収納スペースが不足しがちだ。しかし、工夫次第で収納スペースとなる空間は意外に多い。
例えば、キッチンカウンターの下や1階の階段下、屋根裏などを収納スペースとして活用することが可能だ。
② 子どもの勉強スペースをリビングや廊下に取る
狭小住宅の場合、スペースの都合で3LDKになることが多い。それでは、子どもが2人だと人数分の子ども部屋を確保できないこともあるだろう。
その場合、子ども全員で1つの部屋で寝て、勉強は広めの廊下やリビングで行うという方法が有効だ。
この勉強スペースは、子どもが使わない時間はテレワークや家事スペースなど、生活環境に合わせてさまざまな利用方法が考えられる。
③ トップライト(天窓)を設ける
隣家との距離がどうしても近くなる狭小住宅では、満足な採光を得るのは難しい。そこでトップライト(天窓)の採用を検討したい。
太陽光を遮るものがない屋根にトップライトを設置することで、室内は格段に明るくなる。また、通常の窓のように隣地からの視線を気にする必要もない。
④ スキップフロアを設ける
スキップフロアとは、階と階の間に設ける中2階、中3階といったスペースだ。
スキップフロアを設けることで、狭い建築面積でも空間をより効率的に活用できる。
また、空間に変化が生まれるので実際よりも広く感じられるというメリットもある。
⑤ 屋上を庭代わりに利用する
一戸建てを建てるなら、「庭で家庭菜園を楽しみたい」というニーズもあるだろう。しかし、狭小住宅で庭を確保するのは非常に困難だ。
そのような場合は、屋上への設置を検討したい。日当たりのいい屋上は、プランターによる家庭菜園にうってつけ。また、屋上は隣近所からの視線も気にならないので、のびのびとバーベキューを楽しむこともできる。
狭小住宅を建てる際の4つの注意点
上記のようなノウハウで狭小住宅の満足度を上げることができるが、狭小住宅の建築を検討する際は、最低限、以下のようなことに注意したい。
狭小住宅を建てる際の4つの注意点
- ① 用途地域によって建築できる床面積が異なる
- ② 道路斜線制限・北側斜線制限で高さに制限あり
- ③ 駐車スペースは車幅だけでは不十分
- ④ 狭いだけに使い勝手が悪くなりがち
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① 用途地域によって建築できる床面積が異なる
用途地域とは、計画的に市街地を利用するために用途に応じて13地域に分けられたエリアのことだ。この制限のおかげで、例えば「閑静な住宅地の真ん中に商業ビルを建てる」といったことができなくなっている。
それぞれの用途地域には、建ぺい率と容積率が定められている。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの水平投影面積)の割合のこと。容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことだ。
下図のように、30坪(約100㎡)の土地に対して、建ぺい率40%、容積率80%という制限がある場合、建てられる住宅の延べ床面積は24坪(約80㎡)となる。
例えば15坪の土地に対して建ぺい率50%、容積率100%という制限があれば、建築面積7.5坪(約25㎡)で延べ床面積15坪(約50㎡)までの家しか建てられないことになる。ファミリー向けの建物としては現実的ではないだろう。
一方で用途地域によっては、建ぺい率80%、容積率300%といったエリアもある。これなら15坪の土地でも建築面積12坪(約40㎡)で、延べ床面積45坪(約149㎡)までの家が建てられることになる。
② 道路斜線制限・北側斜線制限で高さに制限あり
道路斜線制限とは、道路の採光や通風を確保するために建物の高さを制限するものだ。建物を建てる際は、敷地の前面道路から敷地に向かって一定のルール(住宅の場合は1:1.25)で斜線を引き、その斜線からはみ出さないようにしなければならない。
また、北側斜線制限とは、隣地の採光を確保するために建物の高さを制限するものだ。隣地から敷地に向かって一定のルール(1:1.25)で斜線を引き、その斜線内に収めるように建物を建てなければならない。
狭小住宅を検討する際は、特に敷地に余裕がないので両制限とも気をつけたい。
③ 駐車スペースは車幅だけでは不十分
たとえぎりぎりマイカーが駐車できるスペースを確保できたとしても、「ミニバンのバックドアが開けられない」「前面道路が狭すぎて駐車場に入れられない」といったことが考えられる。
駐車スペースに関しては、実際に使用する場面をリアルに想像して決めたい。
④ 狭いだけに使い勝手が悪くなりがち
狭小住宅でありがちなのが、「必要なものはすべて設置したのに住み心地が悪い…」というケース。
その原因の多くは、「玄関土間が狭すぎてしゃがんで靴が履けない」「キッチンが狭すぎて人がすれ違えない」など各スペースが狭すぎることだ。設計力の違いが出るのは、この部分である。
狭小住宅のメリット・デメリット
狭小住宅のメリット・デメリットには次のようなことが考えられる。
メリット
狭小住宅のメリットは以下の2点だ。
・比較的安価に建てることができる
仮に坪単価200万円の土地があった場合、15坪なら3000万円、30坪なら6000万円になる。ここに2000万円の家を建てれば、それぞれの合計額は5000万円と8000万円だ。
5000万円なら一般的なサラリーマンでも視野に入るはずだが、8000万円では厳しいのではないだろうか。土地の狭さを活用した狭小住宅なら、比較的安価にマイホームが手に入れられるだろう。
・固定資産税や都市計画税が安くなる
毎年納める固定資産税や都市計画税の額は、土地の広さによって決まる。それゆえ、狭小住宅なら納税額も比較的低く抑えることができる。
【関連記事はこちら】>>家の固定資産税の計算方法と、最新の軽減措置は? 忘れずしっかり申告を
デメリット
一方、デメリットとしては次の2点がある。
・建築費が割高になる
ある程度狭い家でもシステムキッチンやシステムバス、トイレなどの住宅設備は、一般的な製品を使用することになる。また、狭小地のほとんどは入り組んだ街中にある。
そのような場合、部材や設備を乗せたトラックが現場の近くまで入っていけないので、職人が担いで運び込むことになる。その費用(小運搬費)は別途料金だ。このようなことから狭小住宅の建築費(坪単価)は、割高になることが多い。
・住宅会社によって住みにくい家になる可能性がある
狭小住宅は、その狭さゆえに設計力の差が極端に出る。具体的には家族全員の生活動線をしっかり反映した間取りにしないと、狭くて融通が利かない分、住みにくい家になってしまうのだ。
狭小住宅に強い住宅会社の見分け方
快適な狭小住宅を建てるノウハウは、冒頭で紹介した以外にも数えきれないほどある。しかしそのようなノウハウは、どの住宅会社でも持っているわけではない。
それどころか大手ハウスメーカーの場合は、部材が規格化されているので、その規格に当てはまらない狭小地には建てられないこともある。
狭小住宅に強い住宅会社を見分けるには、次のような方法が有効だろう。
狭小住宅に強い住宅会社の見分け方
- ① 狭小住宅が得意なことを一番のアピールポイントとしている
② 狭小住宅ならではの質問をしてみる
③ 小運搬費を比較する
① 狭小住宅が得意なことを一番のアピールポイントとしている
ほとんどの住宅会社が「狭小住宅も建てられます」と言うはずだ。しかし、それでは物足りない。
探したいのは、ホームページや広告などで狭小住宅の年間着工棟数や独自のノウハウなどを紹介し、狭小住宅が得意なことを一番のアピールポイントとしている住宅会社だ。
② 狭小住宅ならではの質問をしてみる
担当者に土地の図面を見せて「この土地に3LDKの家を建て、全長4mの車が入る駐車場を確保することはできますか?」といった狭小住宅ならではの質問をしてみる。
これに対して納得できる回答がなければ、狭小住宅に慣れているとは言えないので、ほかの住宅会社を探したほうがいいだろう。
③ 小運搬費を比較する
狭小住宅に慣れている住宅会社は、「この部材とあの部材は一緒に運べる」「この部材は2往復すれば運べる」といった小運搬に関するノウハウも豊富だ。そのため慣れていない会社と比べて小運搬費が安くなる傾向がある。相見積もりを取る際は、合計額だけではなく小運搬費もよく比較しよう。
以上のように狭小住宅は、安価に建てられるという大きな魅力がある一方で、自分自身がある程度勉強しなければ「単純に狭くて住みにくい家」になる可能性もある。
本記事を参考に、後悔のない家づくりをしてほしい。
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