満足できる注文住宅を建てるためには、住宅展示場で実際の注文住宅を見学するのがもっとも効率的な方法だが、コロナ禍で長時間住宅展示場にいることに抵抗がある人も多いだろう。そこでコロナ禍ならではの住宅展示場見学のコツとチェックポイントを解説する。(住宅・不動産ライター、宅地建物取引士 椎名前太)
・まずはモデルハウスのオンライン見学を利用するという方法もある
・最終的には現物を見学しなければ決断できない
・住宅展示場見学のコツは事前準備の徹底
・住宅展示場見学時の持ち物リスト
・住宅展示場見学時のチェックポイント
・見学後は必ずまとめを
まずはモデルハウスのオンライン見学を利用するという方法もある
最近はコロナウイルス感染症の拡大に伴い、大手をはじめ多くのハウスメーカーがオンラインの展示場見学会を行っている。
そのやり方はハウスメーカーによって異なるが、代表的な例としては、スマートフォンやパソコン画面を通じて、最寄りの展示場の営業担当者が現地からモデルハウスを案内してくれるというものだ。その際、対面と同じように土地探しや資金計画といった細かい相談もできる。
さらに手軽な方法として、一部のモデルハウスを360度自由に角度を変えてチェックできる動画を見学する方法もある。営業担当者に気兼ねすることなく、いつでも、どこにいても見学できるのは魅力だ。
このようなオンラインの見学会は、関東圏で総合住宅展示場を展開する「HOUSING STAGE」など、住宅展示場が主体となって行っているケースもある。
その場合も各ハウスメーカーの営業担当者が現地からモデルハウス内を案内してくれる。一度の予約作業で複数のハウスメーカーのモデルハウスが見学できるので効率的だ。
オンライン見学会を利用したい場合は、「ハウスメーカー名 オンライン」「住宅展示場 オンライン」といったワードで検索すれば、簡単に窓口が見つかる。
最終的には現物を見学しなければ決断できない
上記のようにわざわざ住宅展示場まで足を運ばなくても、オンライン上でモデルハウスを見学することは可能だ。
とはいえ、すべてのハウスメーカーや住宅展示場がこのサービスを提供しているわけではない。
それに内外装の質感や木の香り、間取りの距離感など五感に訴える魅力を理解するには、やはり現物を見なければならないと思う人も多いはずだ。
それゆえオンライン見学会は、実際に住宅展示場で見学する住宅会社を絞り込むための一つのツールとして活用すればいいだろう。
住宅展示場見学のコツは事前準備の徹底
やみくもに住宅展示場へ行ってしまうと、ただ「すてきな家がたくさんあった!」と感じるだけで特に得るものがなく一日が終わってしまう可能性が高い。
そのため、見学に行く前の事前準備が必須だ。特に昨今はコロナ対策のために滞在時間を短くしたいので、効率よく回るために以下のような準備をしておこう。
①カタログで基礎知識を学ぶ
住宅展示場で「なにを見るか」「なにを聞くか」といった目的を明確にするには、住宅に対するある程度の基礎知識が必要だ。
基礎知識を学ぶツールとしてはオンライン見学会も有効だが、これだけだと時間が限られているなどで不十分になってしまうこともある。
そこで、各ハウスメーカーのカタログを活用するのがおすすめだ。住宅のカタログは、各メーカーのアピールポイントが分かりやすく解説されているので、横並びで比較検討がしやすい。
また、実例集や技術解説などニーズごとに分かれているので、効率よく情報収集ができる。
カタログを入手する方法としては、LIFULL HOME'Sなどの不動産ポータルサイトを利用すれば、一度の作業で複数のハウスメーカーのカタログを請求できるので便利だ。
なお、「カタログを請求すると営業担当からしつこく電話がかかってくるのではないか」と心配する人もいるだろう。その対処法としては、カタログ請求時の備考欄などに「連絡はメールでお願いします」といったことを書いておけばいい。
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②住宅展示場で確認したいことをリストアップする
オンライン見学会やカタログで基礎知識を学んでいくと、実際に見たい部分や直接営業担当者に聞きたいことが出てくるはずだ。それらをどんどんメモしてリストアップしておこう。
③1日に見学するモデルハウスを3~4棟に絞り込む
住宅展示場で確認したいことをリストアップできたら、実際に見学するモデルハウスを決めよう。この際に注意したいのは、1日で回るモデルハウスの数を欲張らないこと。
モデルハウス内をじっくり見学し、営業担当者へ質問もすれば1棟当たり1~2時間はすぐにたってしまう。それなのに「今日中に5棟見るぞ!」と意気込んでしまうと、気持ちが焦ってしっかり営業担当者の説明を聞けないことになりかねない。
1日で回れるモデルハウスの数は3~4棟が限界だろう。
④モデルハウスの見学予約をする
コロナ禍になってからのモデルハウス見学は、予約後に行くケースが主流になっている。
見学予約には「見学までの待ち時間がない」「事前に質問事項の回答を用意してもらえる」「一日の計画が立てやすい」といったメリットがある。
予約は、各ハウスメーカーや住宅展示場のホームページから可能だ。
【関連記事はこちら】>>注文住宅を建てるハウスメーカー・工務店、28社のおすすめポイントや特徴を解説!
住宅展示場見学時の持ち物リスト
住宅展示場へ見学に行く際は、以下の物を持参すると便利だ。
・筆記用具とメモ帳(スマホのメモ帳アプリでも可)
見学時に気に入った部分や営業担当者の説明で参考になったことなどをメモする
・デジタルカメラ(スマホのカメラでも可)
デザインや間取りなど気に入った部分は何でも撮影しておく。この際、営業担当者に了解を得ることも忘れないようにする
・巻き尺
間取りの距離感やお気に入りの家具を置くスペースの確認などのためにサイズを測っておきたい
・方位磁石(スマホのアプリでも可)
窓の大きさに対する日当たりの確認などのために利用する
なお、各モデルハウスでは、入場時にアンケート用紙の記入を求められる。その際に電話番号を記入すると、しつこく営業されてしまうと考えるかもしれない。しかし、こちらも備考欄などに「連絡はメールでお願いします」といったことを書いておけば問題ないはずだ。
住宅展示場見学時の5つのチェックポイント
それでは、住宅展示場見学時のチェックポイントを解説しよう。
①リストアップしていたことを確認
事前にリストアップしていた「見たいこと」「聞きたいこと」などを確認していく。その際の感想や回答は忘れないように必ずメモしておこう。
②平均坪単価
ほとんどのモデルハウスは、そのハウスメーカーのフラッグシップモデルだ。つまり、フルオプションの豪華版。なのでモデルハウスの坪単価ではなく、そのハウスメーカーの平均坪単価を聞きたい。
③オプション
大体のモデルハウスは、床材、建具、システムキッチンなど多くの部材・設備が高グレードなオプション品となっている。そのため、どの部分がオプション品で、標準仕様にするとどのような製品になるのかを確認したい。
④営業担当者のレベル
営業担当者の実力は家の満足度にも影響する。また、ハウスメーカーと工事請負契約を交わすと、営業担当者とは半年から1年前後付き合うことになる。それゆえ、契約前に営業担当者のレベルを吟味したい。
チェック項目は、「こちらの話に対してメモを取っているか」「報・連・相を徹底しているか」「説明が分かりやすいか」などだ。また、長期間の付き合いになるので、人間的な相性も軽視してはいけない。
⑤30年間のメンテナンスコスト・ランニングコスト(モデルケース)
住宅の場合、たとえ建築費が数百万円高くなっても、年間の光熱費が数十万円安くなれば10年前後で元が取れる、といったことがあり得る。
また、住宅のメンテナンスコスト・ランニングコストは、大小はあるがハウスメーカーによって差がある。そこで目安として30年間のメンテナンスコスト・ランニングコスト(モデルケース)を確認したい。
見学後は各モデルハウスの情報をまとめよう
モデルハウスを、上記のようなチェックポイントを確認しながら1日3棟も回ると、多くの人はかなり疲れるはずだ。
しかし、帰宅後も手を抜いてはいけない。当日見聞きしたことを忘れないように、画像とメモした内容をスクラップブックやパソコンなどでまとめて、後から複数のハウスメーカーを横並びで比較検討できるようにしておこう。
【関連記事はこちら】>>失敗しないハウスメーカーの選び方を解説! 平均価格より1000万円以上高い大手を選ぶメリットとは!?
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