家の住み替えは「売り先行」がオススメ!
「買い先行」で「買い替え特約」を付けたくても、
認めてくれるのは「売れ残り」ばかりなので注意!

【第6回】2018年8月5日公開(2020年6月10日更新)
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。株式会社レコ 取締役・コンサルティング本部長。普段は不動産会社向けの集客&教育のコンサルティングを中心としていますが、ダイヤモンド不動産研究所では売主の側に立った「不動産を売却するときの注意点」シリーズなど、さまざまな読者に向けて解説します!

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家の住み替えで、いま住んでいる不動産の売却が進まないときに購入を白紙撤回できる「買い替え特約」を付ける人が多いのですが、これには大きな問題があります。買い替え特約を認めてくれるような物件は、不人気の「売れ残り物件」であることが多いからです。結局、自分の物件を売ってから新しい家を買う「売り先行」の方が、いい物件に出会える確率が高いのです。

住み替えは、買い先行になりがちだが…

 家やマンションを買い替え、住み替えする際は通常、次に住む家を探してから、現在の不動産を売却します。そのため、どうしても「買い先行」になりがちです。しかし、それだと「希望の物件が見つかり次第、大急ぎで自宅を売却しなければならない」事態となり、売却金額は安値になりがちです。買い取り保証をしてくれる不動産会社もありますが、相場の7~9割が関の山でしょう。

 もし、購入資金が調達できず、購入契約を守れない場合はキャンセルとなりますが、そうすると「手付け金」は返ってきません。手付け金は、不動産価格の1割ぐらいが相場なのでかなりの痛手です。

 また、「手付が返ってこない」程度ならまだマシな方で通常、上記の様なケースでは「売り主に対して約束していたお金が工面出来なかった」場合と同様に扱われる事が多く、「違約」となる可能性がございます。

 違約となれば、不動産価格の2割程度の違約金を支払う必要も生じます。

 そのため、キャンセルしても手付けが返ってきて、違約にもならないよう、買い先行の「買い替え特約」をつける人が非常に多いのです。一般的に下記のような特約となります。

 「物件購入の契約は結ぶけど(売り主に対し手付金は支払うけれど)、一定の期間内に現在の自宅が売却出来なければ白紙解約にします(支払っている手付金は返して貰います)」

【関連記事はこちら】
>> 住宅ローン特約で、不動産の売買契約を白紙にできなかったら、どうする? ローン特約のトラブルを回避する5カ条を紹介!

買い先行だと、不動産売却を急ぐ必要あり

 一般的に言われている買い先行のメリット・デメリットは以下の通りです。

【買い先行のメリット】
・仮住まいの必要がない。
・希望する物件をじっくり探す事ができる。

【買い先行のデメリット】
・購入の予算が確定しない。
・売り急ぐ事となり、高値での売却を狙えない。
・そもそも売主が「購入申込」自体を受け付けない場合がある。

 上記の通り、買い先行の買い替え特約は、「自分の気にいる物件をじっくり探す事が出来るけれど、売り急ぐ必要が生じる事もある買い替え手法」と認知されている場合が多いようです。

 しかし、買い先行の買い替えで最も注意すべきは、デメリットの最後に挙げさせて頂いた「そもそも売主が購入申込自体を受け付けない場合がある」であると私は考えています。

 「購入申込自体を売り主が受け入れない」とはどういう事か、ここで解説させて頂きます。

魅力的な物件は、買い替え特約に応じない

 買い先行の買い替えでは「現在の自宅売却資金を購入代金に充当する予定だが、未だ売却が済んでいない為、購入資金が確定していない」状態で契約する事です。万が一、自宅が売却出来ない場合は購入資金が捻出できず、「買いたくてもお金がない状況」になります。

 その為、冒頭でもご紹介した通り「物件購入の契約は結ぶけど、一定の期間内に現在の自宅が売却出来なければ白紙解約にします」という買い替え特約を付して契約する事になります。

 買い主側からすると、手付金を入れて物件を押さえた(売買契約)後、購入資金に充当するはずだった自宅が売れなかったとしても、手付金が返ってくる事になり、非常に安心ですよね。

 しかし、売り主側から見ると如何でしょう?

売り主側は、

「手付金を受けとった以上、その買い主の自宅が売却出来るまで、他の買い主を探す事が基本的に出来ない。さらに待った末に結局、買い主の自宅が売却出来なければ、受け取った手付金も返還しなければならない」

という、非常に不安定な状況に置かれます。

 従って、この買い先行の「買い替え特約」は、「例え不安定な状況に置かれたとしても、他に買い主候補が現れる可能性が低いため、多少のリスクは背負ってでも契約を締結したい」という売り主が相手の場合に選択して貰いやすい手法なのです。

 逆に申し上げると、「売り出したばかりの新規物件で、今から本格的に販売活動を開始する物件」、もしくは、「価格や立地等が魅力的で、多くの買い主候補から検討して貰える物件」の売り主は、リスクを冒してまで買い先行の「買い替え特約」を付した売買契約には応じてくれない事になります。

「買い替え特約OK」という売り物件に注意

 このような状況を考えると、買い先行のメリットで挙げた「希望する物件をじっくり探す事ができる」の実現性に疑問符が付きます。

 買い先行の買い替え特約に応じて貰える物件は、魅力的な物件、相場と比べてお買い得な物件とは呼べないことが多いのです。

 ここまではご理解頂けましたか?

 このような事情を勘案すると、物件検討時に不動会社側から「買い先行の買い替え特約OKですよ。待ちますよ」と積極的に提案してくるような場合、その物件は素敵な物件だと思いますか。

 違いますよね。このような物件は「売れ残り物件」若しくは「売れ残りそうな物件」だと言えるでしょう。

「買い替え特約OK」と言ってくれる人は少ない

 そして、不動産の営業担当は、売れ残り物件であっても、そもそも「買い先行の買い替え特約OKですよ。待ちますよ」とは言いません。

 「多くのお問い合わせを頂いていて人気の物件なのですが、あなたがそこまで気に入っておられるなら、ご自宅の売却が完了するまで待つ事もやぶさかではございません。但し、今すぐ契約して頂いた場合に限りますけどね。なにせ、人気物件ですからね」

 などと、恩着せがましく説明しつつ、早期の決断を迫って来る事でしょう。

 勿論、不動産会社の中には「こんなに気に入って下さっているなら、何とかして差し上げたい」と、本当に善意で対応してくれるところも沢山ございますが、中には恩着せがましく説明しつつ、早期の決断を迫って来る会社もございます。

 売れ残っているからといって「悪い物件・駄目な物件」とは言えず、その物件があなたの理想に近ければ何も問題ないのですが、このような裏事情を知った上で購入物件を検討されるに越したことはございません。

住み替えは、不動産売却を先にすべき

 更に根本的なアドバイスをさせて頂くなら、ご自宅を売却し次の不動産を購入される場合、可能であれば「売り先行(自宅売却契約を先行させてから、買い替え先を探す手法)」をお勧めします。

 仮住まい等の面倒が発生する事もございますが、「希望する物件をじっくり探したい」と希望されるのであれば、先ずは売却活動を先行させ購入資金を確定させた後、本腰を入れて購入物件を探しましょう。

 このように売却を先行させた場合は時間もたっぷりありますから、売却開始時に相場よりも高めの販売価格(売り出し上限価格・チャレンジ価格)でスタートする事も可能であり、思いのほか高く売れた場合は、当初の予定よりもハイグレードな物件を購入出来るかも知れません。

 自宅を売却し、買い替えを希望される場合は、「何故、買い替えしたいのか」について、あなたのご事情やご希望を不動産営業担当に伝え、どの手法が最善策なのか提案を受けましょう。
【関連記事はこちら】>> 「住み替え」の流れとノウハウを紹介! 「不動産売却」と「買い替え」のどちらを先にすればいいのかを徹底解説

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 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を一度すれば、複数社から査定してもらうことができる。査定額を比較できるので、不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

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 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

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サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
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サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
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対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1789社(2019年12月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
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対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
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◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
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サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
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【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
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◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所
掲載する不動産会社数 9社 おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」の公式サイトはこちら
サービス開始 2015年
運営会社 ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社)
紹介会社数 最大9社
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。
おうちダイレクトの一括査定依頼サービス「プロフェッショナル売却」はこちら
 
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