不動産の売却相場を自分で調べる方法は? 簡単な調べ方、マンションと一戸建てで異なる計算方法も解説!

2018年8月7日公開(2024年5月22日更新)
ダイヤモンド不動産研究所
監修者 高橋正典:価値住宅株式会社 代表取締役

不動産を売却する際に、相場や売出価格を自分で調べるにはどうすればいいのだろうか。ここでは主に、一戸建ての土地、建物の相場の計算方法や、不動産一括価格査定サイトを活用したマンションの相場の調べ方を解説する。(監修:高橋正典・不動産コンサルタント)

不動産の価格相場を自分で調べる方法

 不動産売却時に行う価格査定だが、不動産仲介会社の提示する査定価格は、価格の相場を正しく反映しているとは限らない。

 なかには、媒介契約を勝ち取るためにわざと高く査定したり、すぐに売上が立つように低く査定したりするところもあるからだ。

 そのため、査定価格が適正かどうかを判断するためには、自分で相場を調べておく必要があるもし相場と査定価格の差が大きければ、不動産仲介会社に理由をたずね、納得のいく説明がなされるかを確認したい。

 不動産の価格相場を自分で調べる方法として、以下がある。

・一戸建て
 公的なデータをもとに自分で計算する、不動産価格データベース
 
・マンション
 不動産ポータルサイト、不動産一括査定サイト、不動産価格データベース

 とはいえ、自分で相場を調べるには、多少の知識がいる。

相場の調べ方は、一戸建てとマンションで異なる

 まず知っておきたいのは、一戸建てとマンションでは、評価基準に違いがある点だ。

【一戸建てとマンションの評価基準の違い】
(1)一戸建ての評価基準=「土地価格」+「築年数に応じた建物価格
(2)マンションの評価基準=「市場価格

 また、評価基準に違いがあるということは、一戸建てとマンションで相場の調べ方が違うということ。それぞれの調べ方について紹介しよう。

一戸建ての相場の調べ方

 一戸建ての相場を自分で調べる方法としては、主に以下がある。

・公的なデータから自分で計算する
・不動産価格データベースで大まかに把握する

 それぞれ解説していこう。

公的なデータから自分で計算する

 公的なデータをもとに一戸建ての相場を調べるには、土地価格と建物価格のそれぞれを調べる必要がる。まずは一戸建ての「土地価格」の調べ方について見ていこう。

一戸建ての「土地価格」は、路線価をもとに計算

 土地価格を算出するための、いわば”単価”は一つではない。いくつか種類がある。

公示地価:一般の土地取引の指標とされる
路線価(相続税路線価):相続税や贈与税の計算のもとになる
固定資産税評価額:固定資産税や不動産取得税の計算に用いられる

 「公示地価」の土地価格に対して、「路線価」はその8割程度、「固定資産税評価額」は7割程度の価格となっている。

◆主な公的地価の特徴
価格の種類 公表元 特徴
公示地価 国土交通省 一般の土地取引における価格の指標となり、適正な地価形成を目的として、毎年1月1日を基準日として、3月下旬頃に公示される
路線価
(相続税路線価)
国税庁 相続税にかかる課税標準額を求めるために、毎年7月1日を基準日として公示される
固定資産税評価額 市町村 市町村等が固定資産税の課税標準額のベースとなる評価額を決めるために、3年に1回、1月1日を基準日として公示される

 前記のとおり、土地取引の指標となるのは「公示地価」だが、地価がつけられているのは、全国の代表的な26,000地点(平成30年)に限られる。

 これに対して「路線価」は全国の市街地をほぼ全域網羅している。こうした事情から、「実勢価格」(=実際に売買される価格の相場)の算出には、「路線価」を用いるのが一般的だ。

 具体的には、次の計算式で求める。

実勢価格=路線価÷80%×110%

 計算式の「路線価÷80%」の部分は、路線価を公示地価に換算するためのもの。また、一般に実勢価格のほうが公示地価よりも1割程度高いため、ここでは110%(※)を掛けた。(※超都心では300%、一部地方では50%という場合もありえる)

 では、路線価そのものはどのように調べればいいのだろうか。下記のようにインターネットの使える環境にあれば、誰でも簡単に調べることができる。

【路線価の調べ方】
(1)国税庁のホームページや、一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」にアクセスする。
(2)売却する物件の住所を含む「路線価図」を探して、対象となる土地の路線価を見つける。
※路線価図は各地の税務署に出向いても調べられる。

 (2)について補足すると、下図のような地図が表示されるので、売却対象となる土地に面して表示されている数字(ここでは350D)をチェックする。この数字が、1㎡あたりの土地の路線価(単位は千円)、このケースでは35万円となる。

路線価図

 路線価が判明したら、前出の実勢価格の計算式「路線価÷80%×110%」にあてはめ、その結果に土地面積を掛ければ、土地の広さに応じた価格相場を知ることができる。

 「算出結果の裏を取りたい場合は、国土交通省の『不動産情報ライブラリ』にアクセスして、過去の類似物件の取引価格を調べてみるといいでしょう。不動産取引の結果がすべて掲載されているわけではありませんが、目安としては十分です」(不動産コンサルタントで、価値住宅代表の高橋正典氏)

 ただし、同じ路線価でも、土地の形が三角形やL字型になっているなど、不整形地の場合、多少評価が下がる。逆に角地であれば、評価は上がる。

 このように土地の個別的要因によっても、評価は違ってくる。そのため、不動産仲介会社の査定を軽視するわけではなく、前記したようにその根拠を確認することが大切だ。その際の基準となるのが、売主自身が調べた実勢価格にもとづく相場観となる。

 なお、土地を売却する際の相場の調べ方は、以下の記事を参考にしてほしい。

【関連記事】>>土地の売却相場の調べ方とは? 「実際の価格」と「相場」にズレが生じる原因も解説!

一戸建ての「建物価格」は、再調達価格と築年数がポイント

 一方、戸建ての「建物価格」については、「再調達価格」をベースに算出する。

 「再調達価格」とは、売却予定の建物を、同じ規模や仕様で新築した場合にかかる費用のことだ。計算式は以下のようになる。

再調達価格=建物の構造別の1㎡あたりの基準単価×延床面積

 「建物の構造別の1㎡あたりの基準単価」は、不動産仲介会社や銀行によってまちまちだが、下記の表のとおり、木造住宅であれば15万円前後としているところが多い。

 また、再調達価格は新築(再築)を前提としているため、現在の建物価格に換算する場合は、経年劣化した分を割り引いて考える必要がある。

 建物の構造によって、「価値がゼロになる年数」=「法定耐用年数」は決まっていて、まとめると次のようになる。

建物の構造 1㎡あたりの
基準単価の目安
法定耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC) 20万円/㎡ 47年
重量鉄骨造 18万円/㎡ 34年
木造 15万円/㎡ 22年
軽量鉄骨造 15万円/㎡ 19年or27年 ※鉄骨の厚みによる

 具体例で見てみよう。築15年、再調達価格2000万円の木造住宅の場合、すでに15年分の価値は消費したものと考える。つまり、「22年-15年=7年」ぶんの価値だけ残っているものとして、下記の計算式で現在の建物価格を割り出す。

建物価格=再調達価格×[(耐用年数-経過年数)÷耐用年数]

 前記の例に沿えば、建物価格は以下のようになる。

2000万円×{(22年-15年)÷22年}=約636万円

 ただし、この価格には、建物の個別的要因は考慮されていない。現実の内外装の傷み具合や設備の様子、瑕疵保険への加入の有無などによって、価格は上下することになる。

不動産価格データベース

 ダイヤモンド不動産研究所が作成した「不動産価格データベース」では、一戸建ての価格相場や推移だけでなく、将来価格予想まで知ることが可能。全国主要12都府県の約10万地点(都府県、市町村、町丁、駅)をカバーしているので、すぐに一戸建ての相場を調べたいという人におすすめだ。

一戸建て価格推移、今後の価格を見る >>

マンションの価格相場の調べ方

 次にマンションの価格相場を見てみよう。こちらは冒頭で触れたように、「市場価格」によって決まってくる。以下が、マンションの価格相場の主な調べ方だ。

・不動産ポータルサイト
・不動産一括査定サイト
・不動産価格データベースで大まかに把握する

不動産ポータルサイト

 もっとも身近な情報源は、「スーモ(SUUMO)」や「ライフルホームズ(LIFULL HOME’S)」などの大手不動産検索ポータルサイトだ。近隣エリアの類似物件を検索して、その一つひとつをチェックしていく

不動産一括査定サイト

 また、「不動産一括査定サイト」も相場を調べるのに役立つ。後述するように、本来は自分の氏名等を登録し、不動産仲介会社選びに利用するものだが、情報源として活用できるサイトもある。

 ここでは、マンションの情報に特化している「マンションナビ」のサイトを例に見ていこう。

 マンションナビでは、一般のオンライン査定サイトと同様に、個人情報を入力して無料査定を依頼できるのはもちろんのこと、マンション名を入力するだけで「売却予想価格」「賃貸に出した場合の賃料や利回り」「当該物件の過去の売却実績(年度別の件数と価格帯)」といった情報が表示されるようになっている。

 さらにメールアドレスを入力して、無料メンバーに登録すると(査定の依頼は不要)、「当該物件の売却・賃貸事例」「近隣マンション(総戸数±30%の範囲内、築年数5年以内、半径1キロ以内)の売却事例」も閲覧できるほか、住戸の専有面積や階数、部屋の向きなど、条件が違った場合の価格の動きも調べられるようになっている。

 また、マンションナビの別ページでは、都内に限定されるが、各鉄道沿線の駅ごとに「間取り別」「面積別」の1㎡あたりの単価も閲覧できるようになっている。直接の競合物件となりやすい、最寄り駅前後1駅の価格相場を知るうえで役立つだろう。

【関連記事】>>マンションナビの評判や信頼性は? 実際に一括査定した結果から検証! 売却だけでなく賃貸を考えている人にもおすすめ

◆マンションナビ
特徴

マンションの売却に特化
900社以上の不動産会社と提携

対応物件 マンション
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
運営会社 マンションリサーチ
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 ただし、こうしたサイトで扱う物件情報には限りがあり、また表示される価格は、実際に取引された「成約価格」ではなく、「売出価格」がベースになっていることが多い。

 成約価格を知りたければ、不動産仲介会社に価格査定を依頼し、査定価格とは別に、「レインズ(REINS)」のデータを調べてもらえば間違いないだろう。

不動産価格データベース

 ダイヤモンド不動産研究所が作成した「不動産価格データベース」では、中古マンションの価格相場や推移だけでなく、将来価格予想まで知ることが可能だ。

 全国主要12都府県の約10万地点(都府県、市町村、町丁、駅)をカバーしているので、すぐにマンションの相場を調べたいという人におすすめ。

 大まかな相場が分かったら、先に紹介した不動産一括査定サイトを使ってより詳細の価格を調べるとよいだろう。

中古マンション価格推移、今後の価格を見る >>

物件チラシも相場を把握する貴重な情報源

 情報量では、インターネットに敵わないが、新聞の折り込みチラシ等も大切な情報源の一つだ。売出価格はもちろんのこと、キャッチコピーなどから競合物件がどんな点を”ウリ”にしているかも掴むことができる。

 また、日頃からチラシをこまめにストックしておき、1㎡あたりの単価を割り出しておけば、ここ数カ月間の価格の動きも、おぼろげながら見えてくるだろう。

 注意したいのは、「あなたと同じマンションの部屋が○○○万円で売れました!」などと謳ったポスティングチラシ。価格相場とかけ離れた”騙し”のケースが少なくないからだ。

 いずれにせよ、一戸建てにしてもマンションにしても、家の売却は持っている情報の質や量の違いで、結果に大きな差が出る。

 不動産仲介会社からすれば、「人のいい売主」よりも「口うるさい売主」に力を入れるのが現実だ。戦略の違いで、売却価格が数百万円単位で変わってくることを肝に銘じておこう。

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>>SREリアルティの詳細記事はこちら
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運営会社 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証プライム子会社)
>>SUUMO(スーモ)の詳細記事はこちら
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対応物件 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫
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運営会社 リビン・テクノロジーズ(東証グロース上場企業)

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運営会社 大手不動産会社6社(東急不動産、住友不動産販売、三井のリハウス、三菱地所の住まいリレー、野村の仲介+、小田急不動産)
>>すまいvalueの詳細記事はこちら
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運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証プライム子会社)
>>HOME4Uの詳細記事はこちら
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対応物件 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・マンション・ビル、投資マンション、区分所有ビル(1室)、店舗、工場、倉庫、農地、再建築不可物件、借地権、底地権
紹介会社数 最大6社(売買2社、買取2社、リースバック2社)
運営会社 サムライ・アドウェイズ(上場子会社)
>>いえカツLIFEの詳細記事はこちら
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対応物件 マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート
紹介会社数 最大15社
運営会社 SREホールディングス株式会社(東証プライム上場企業)
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・対応可能な不動産の種類が多い

対応物件 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
紹介会社数 最大6社
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運営会社 LIFULL(東証プライム)
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