じぶん銀行住宅ローンの公式サイト
不動産売却の注意点
【第22回】2019年4月11日公開(2019年4月16日更新)
梶本幸治
梶本幸治

梶本幸治(かじもと・こうじ)氏:不動産売買の業界の裏の裏まで知りつくした不動産業専門コンサルタント。普段は売却を中心とする不動産梅者のコンサルティングを中心としていますが、こダイヤモンド不動産研究所では、売主の立場に立って、「不動産を売却するときの注意点」を解説します!

»バックナンバー一覧
バックナンバー

「周りの家や、親戚に知られずに物件を売りたい?」は可能なのか? それって事実上の買い取りになっちゃうのか?

近所の人や親戚の人に知られずに不動産を売却したいと希望される売主は結構います。理論的に可能な方法はありますが、完ぺきを求めるなら、買取しかありません。あなたの要望を不動産会社によく説明して、ベストな方法を選んでください。

絶対に知られたくないのなら“買い取りが一番”

 家を売る時、周囲に知られずに売りたいと希望される売主は、一定数いらっしゃいます。

 「離婚」「リストラ」「倒産」等のネガティブな理由で売却される場合は当然だと思いますが、ネガティブな売却理由では無くとも、「何故売るの?」「どこに行くの?」「安く売りに出して相場を下げないでね」と言われる事が煩わしく、出来れば近所の人や親戚に知られず売却したいと希望される売主がいらっしゃいます。

 このような場合、不動産会社による買い取りを選択する事が一般的ですが、不動産会社の買い取りとなると市場価格より安く売らなければならない為、売主とすれば“痛し痒し”といったところでしょうか。

 「周りの家や、親戚に知られずに物件を売りたい、は可能なのか?」
「それって事実上の買い取りになっちゃうのか?」
という質問にお答えしましょう。

買取でなくても、知られない方法は2つ

 買い取りを利用せず、周りの家や、親戚に知られずに物件を売る事は、理論的には可能です。では、「理論的には可能」な売却手順をご説明します。
その方法は、具体的には2パターンあります。

パターン1、専任媒介で契約

1.「専属専任媒介契約」若しくは、「専任媒介契約」で1社の不動産会社に
 販売を依頼。
2.不動産会社が自社に登録済みの購入希望顧客へ紹介。
3.不動産会社が「ネット・チラシ・近隣紹介厳禁」の但し書き付きで
 レインズ登録。
 ※専属専任・専任媒介契約の場合、不動産会社はレインズ(指定流通機構)
 への登録義務有り。
4.依頼した不動産会社の顧客若しくは、レインズを見た不動産会社からの
 紹介顧客で成約。

パターン2、一般媒介で契約

1.複数の不動産会社に一般媒介契約で販売を依頼。
(情報の拡散を防止する為、レインズへの登録無しで依頼)
2.各媒介受託不動産会社が自社に登録済みの購入希望顧客へ紹介。
3.各媒介受託不動産会社が紹介した購入希望顧客の内、
 物件を気に入られた方と成約。

 上記のパターン1、パターン2の様な方法を取れば、「理論上」は買い取りを利用せず、周りの家や、親戚に知られずに物件を売る事が可能になります。

専任媒介では全く情報が漏れない保証はない

 しかし、先程から煩いくらい「理論的には、理論的には」と申し上げている事には理由がございまして、上記の様な方法を採用しても「全く情報が漏れない」保証はないのです。

 では、どのような形で情報が漏れるのか、そのリスクを具体的に紹介致します。

 専属専任媒介契約若しくは、専任媒介契約で依頼した場合の情報漏洩リスクとしては、レインズを介して情報を得た不動産会社(売主から直接販売の依頼を受けていない不動産会社)の行動を把握しきれない事が上げられます。

 「ネット・チラシ・近隣紹介厳禁」という条件の下、他の不動産会社に情報を公開しているにもかかわらず、恣意的若しくは過失により物件情報を公開してしまう事は「分かりやすいリスク」として想定出来ますが、それだけではありません。

 そして、レインズを介して情報を得た不動産会社から物件紹介を受けた一般顧客が、資料を片手に物件をジロジロ見に行くことにより、「あのお家って、売りに出ているのかも知れないね」とご近所で噂が立つかもしれません。

一般媒介でも複数社に頼むとリスク増大

 次に一般媒介契約で依頼した場合の情報漏洩リスクを考えてみましょう。

 一般媒介で販売を受けた不動産会社には専属専任媒介契約若しくは、専任媒介契約と異なり、「レインズへの登録義務」がございません。従って、売主の所有不動産を販売するのは「一般媒介契約を締結した不動産会社のみ」となります。

 しかし、複数の不動産会社に依頼するという事は、多くの不動産営業担当が入れ代わり立ち代わり物件を訪れる事になります。スーツ姿の営業担当が何人も出入りすれば「あのお家って、売りに出ているのかも知れないね」と噂になる可能性は否定できません。不動産の営業マンは、大体きちっとしたスーツを着ている人が多いので、分かりやすいですよね。

 又、一般媒介契約であっても、不動産会社から物件紹介を受けた一般顧客が、資料を片手に物件をジロジロ見る事により、売りに出している事が知られてしまうリスクは専属専任媒介契約若しくは、専任媒介契約の時と同様に発生します。

 専属専任媒介契約若しくは、専任媒介契約の場合は、販売に責任を持っている不動産会社は1社ですから、情報の漏洩が発覚した場合、売主としてその不動産会社を責める事は出来ますが、一般媒介で複数社に依頼していた場合、どの不動産会社から情報が漏えいしたのか判然としないケースが多く、責任の所在が分かりにくくなる可能性が高いでしょう。これも大きなリスクです。

 つまり理論的には「買い取りを利用せず、周りの家や、親戚に知られずに物件を売る事」は可能なのですが、不動産会社側の故意的な情報漏洩や、不動産会社も予期していなかったヒューマンエラー等により、売却活動の事実が明らかになる危険性が常に伴います。

オークションを利用する手もある

 では、「絶対情報漏洩しない、買い取り以外の不動産売却法」は無いのでしょうか?

 私は「そんな方法は無い」と思います。

 売主が「売りに出ている事が漏洩する事は絶対に困る。何が何でも秘密裏に売却を完了したい」とお考えなら、多少金額が安くなっても不動産会社による買い取りを選択される事をお勧めします。

 どうしても、「不動産会社による買い取りは了承するが、出来るだけ高値で売却したい」場合は、専属専任媒介契約若しくは、専任媒介契約で1社に対し販売を依頼し、その会社に「オークション(民間競売)」を実施して貰っても良いでしょう。

 媒介契約を締結した不動産会社が窓口になり、複数の買い取り不動産会社に声をかけて貰う事により参加者を限定したクローズドなオークションを開催し、最高値を出した不動産会社に売却すれば良いのです。この場合は、窓口になる不動産会社へは仲介手数料を支払う必要が出て参りますので、「売れる金額」と「支払う手数料」を天秤にかけ、しっかりご検討下さい。

 尚、オークションに参加する不動産会社には秘密保持誓約書(CA)を差し入れて貰う事をお忘れなく。

 しかし、「秘密保持誓約書?オークション?いやいやそんな難しい話じゃなくて、周りに知れずに売れたらいいなぁくらいの気持ちであって、絶対に漏洩されたら困るとでは思ってないよ」とお考えの売主は、この記事の中でご紹介したリスクをご認識の上で、不動産会社に「出来るだけ知られずに売却してね」と依頼されては如何でしょうか?

 その際、出来るだけ高値で売却したい時は「専属専任・専任媒介契約」で依頼され、出来るだけ早く売却したい時は「一般媒介契約」をお勧めしています。その理由に関しては、私の記事「家を売るなら、専任媒介と一般媒介のどちらを選ぶべきか、現場を知るプロが解説! 「速さ重視」は一般媒介、「高値重視」は専任媒介」をご参照下さい。

まとめ 買取でなくてもいい人はたくさんいる

 「周りの家や、親戚に知られずに物件を売りたい」といってもその理由は売主によって様々です。
「絶対に知られたくない」ということであれば買取業者に頼むのが一番です。
「出来れば知られたくない」、「知られても困らないけど、知られないにこしたことはない」ということであれば、専任媒介や一般売価での売却もアリです。
あなたのご希望によってベストな売却方法を選択して下さい。

【関連記事はこちら】
>> 不動産を売りたいけど、周りには知られずに売却することは本当に可能なのか?

【注目の記事はこちら】
【査定相場を知るのに便利な、一括査定サイト"主要12社"を比較
【業者選び売却のプロが教える、「不動産会社の選び方・7カ条」
【査定不動産一括査定サイトのメリット・デメリットを紹介
【業界動向大手不動産会社は両手取引が蔓延!? 「両手比率」を試算!
【ノウハウ知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」

<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

■相場を知るのに、便利な「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 1300社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U公式サイトはこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール公式サイトはこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S公式サイトはこちら
◆リビンマッチ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫
掲載する不動産会社数 1400社 不動産一括査定サイト「スマイスター」の公式サイトはこちら
サービス開始 2006年
運営会社 リビン・テクノロジーズ
紹介会社数 最大6社(売却6社、賃貸、買取)
【ポイント】強みは、掲載している不動産仲介会社数が多く、マンション、戸建て、土地以外の工場、倉庫、農地も取り扱いがある点。弱点は、運営会社が広告代理店で上場していないこと。
スマイスター公式サイトはこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ公式サイトはこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ公式サイトはこちら
TOP