不動産買取の注意点やデメリットは? 仲介とどちらがおすすめか判断ポイントも解説!

2024年4月25日公開(2024年4月25日更新)
ダイヤモンド不動産研究所
監修者 高橋正典:価値住宅株式会社 代表取締役

不動産の「買取」とは、不動産会社や買取専門業者が買主となって物件を直接買い取ること。買取によって早期に売却できるなど多数のメリットがある。一方でデメリットや注意点もあるため、不動産を買取で売却する際には、よく確認しておくことが重要だ。(監修:高橋正典・不動産コンサルタント)

不動産の買取には2つの種類がある

 不動産を売却するには、「仲介」と「買取」の2つの方法がある。「仲介」は不動産仲介会社と媒介契約を結び、個人の買主を探してもらうもの。

 「買取」は不動産会社や買取専門業者が買主となって、物件を直接買い取るものだ。平たくいえば、売る相手が個人なのか不動産会社なのかという違いとなる。

 さらに、買取には通常の「即時買取」「買取保証」の2種類がある。

<買取の2つの方法>

即時買取 不動産会社に即時に買い取りしてもらうこと。通常、買取といえばこのことを指す
>>メリット「早期現金化」「他人に知られない」など
>>デメリット「仲介より安い」「対応する会社が少ない」

買取保証 不動産仲介会社に売却を依頼し、一定の期間内に買い手が見つからなかった場合、事前に約束した価格で不動産仲介会社が買い取ること
>>メリット「仲介と買取のいいとこ取り」
>>注意点「売却活動に本気で取り組まない会社もある」

不動産買取(即時買取)の5つのメリット

 即時買取のメリットは以下の5つが挙げられる。

・最大のメリットは早期現金化できること
・他人に知られることなく売却できる
・売主の瑕疵担保責任が免除される
・原則、仲介手数料が無料になる
・売るためにリフォームをする必要がない 

最大のメリットは早期現金化できること

 不動産買取は、早ければ数日~1週間程度で現金化できるのが最大のメリットとなっている。

 仲介の場合、サイトやチラシへの掲載による集客や内覧を経て、売買契約に至るまでに、平均で2~3カ月程度かかる。その間、いつ、いくらで売れるかわからないため、買い替えなどの予定も立てにくい。

 一方で、買取は仲介より売却価格が下がるものの、金額や日付を確定しやすいという利点もある。

他人に知られることなく売却できる

 不動産を仲介で売る場合、レインズや各種ポータルサイトに掲載するなど、広告活動が重要になる。一方、買取においては直接、不動産会社に売却するため、広告宣伝を行う必要がない

 また、価格の査定を行うための訪問査定の際にも、社名が入っていない車を利用するなどの配慮がされることが多い。

 したがって不動産の買取は、近所の人など他人に知られることなく売却したいという人におすすめの方法といえる。

【関連記事】>>不動産を身内や近所にバレずに売る方法とは? 売却価格の安い買取業者よりレインズがおすすめだが、注意点がある!

売主の瑕疵担保責任が免除される

 瑕疵担保責任とは、「売却後の一定期間内に水漏れなどの隠れた欠陥が見つかった場合、売主に責任を負う義務がある」というものだが、これは個人間売買におけるルール。つまり、買主が不動産会社となる買取では、瑕疵に対する責任を負う必要がないということだ。

原則、仲介手数料が無料になる

 仲介手数料は原則無料になるのもメリットだ。ただし例外もある点に注意しよう。

 例えば、ある不動産仲介会社と媒介契約を結んでいて、その仲介で別の不動産会社や買取業者に買取をしてもらう場合は、仲介手数料を取られることもある。

 また、専属専任媒介契約を結んでいる場合は、売主の独断で、別の不動産会社などに買取依頼できないことも覚えておこう。

売るためにリフォームをする必要がない

 不動産会社は自分たちでリフォームを行うことを前提としているため、部屋の状態が買取価格に与える影響は小さい。

 見方を変えれば、「築35~40年の古いマンション」「火災などの事故物件」「汚れている、壊れているなど、室内の状態が著しくひどい部屋」などは、買取を検討してみてもいいだろう。

 つまり、そのままの状態では買い手がつきにくく、売るためには費用と手間を掛ける必要のある物件は、買取が向いているというわけだ。

【関連記事】>>築50年のマンションは売れない? 売却のコツや注意点などを解説!

不動産買取のデメリットは2つ

 不動産買取の主なデメリットは以下の2つがある。

・仲介で売却できる金額より、20〜30%安くなることがある
・買取に対応する不動産会社が少ない

仲介で売却できる金額より、20〜30%安くなることがある

 仲介と買取では、不動産会社の利益の上げ方も異なる。仲介が「売買価格×3%+6万円」を上限とした「仲介手数料」で稼ぐのに対し、買取は物件の購入後にリフォームなどを行って付加価値を上げ、「転売価格-買取価格」で稼ぐ。仲介手数料と違って、転売利益は赤字になるリスクも秘めている

 そのため、買取価格は仲介による売却価格より、20~30%程度安くなるのが相場だ。市場(仲介)において3000万円で売れる物件であれば、買取価格の相場は2100万円~2500万円程度ということだ。

買取に対応する不動産会社が少ない

 不動産の買取を行うにはある程度の資金力が必要になるため、対応できるのは必然的に大手不動産会社が多くなる。

 ただし、大手不動産会社の場合、個人の売主からの「直接買取」については受け付けていないところが多い。というのも、大手は、不動産仲介会社経由で売主を紹介されることが多いからだ。

 大手からすれば、1回きりの付き合いで終わる個人の売主よりも、たくさん売主を紹介してもらえる不動産仲介会社との関係を大切にするのは当然のこと。そのため、不動産仲介会社の営業を妨害しないように、個人の売主からの直接買取は控えているのだ。

 一方、地場の中小の不動産会社の中にも、買取を中心に営業しているところはある。しかし、エリア限定だったり、地元の地主に密着しており、自社サイトなどで取り扱いをオープンにしている会社は少ないため、探しにくい。

 このように、買取に対応する不動産会社が少ないというのがデメリットと言える。

買取保証のメリットとは

 買取保証とは、売主と不動産仲介会社の間で通常の媒介契約を結び、一定期間内(通常3~6カ月程度)に売却が成立しなければ、不動産仲介会社が事前に取り決めた価格(査定価格の60~90%程度)での買取を約束するも買取方法。「仲介+即時買取」と考えていい。

 買取保証は、最悪の場合でも「いつまでに」「いくら」現金化できるのかを確定できるのがメリットといえる。

 そのため、売却代金を新たな物件の頭金に予定している人などは、安心感を得られる。また、金融機関によっては物件の売却前に、住み替え先の不動産に対するつなぎ融資に応じてくれるところもある。
※つなぎ融資とは、売却予想額の70~80%(上限)を借りて購入資金に充当し、売却後に返済するもの。つまり、売却前に新居を手に入れることが可能になるということ

 買取保証について、不動産コンサルタントで、価値住宅代表の高橋正典氏は以下のように話す。

 「買取保証に応じる仲介会社は増えています。仲介を依頼するときに『買取保証は付けられますか?』とストレートにたずねてみるといいでしょう」

不動産の「買取保証」では、安心の裏に潜む騙しに注意!

 高橋氏によれば、買取保証が付いていることで、売却活動に本気で取り組まない不動産仲介会社もあるという。転売利益が仲介手数料を上回りそうなら、売却を成功させないほうが稼げるからだ。

 実際、売却活動中に購入希望者がいたにもかかわらず、売主に伝えずに保証期間が終わるのを待つという悪質なケースも起きているので注意したい。

 また、買取をするのが不動産仲介会社ではなく、買取・転売を行う別の不動産会社が絡んでくるケースもある

 例えば、不動産仲介会社のA社は、Bさんの売出物件への問い合わせを1カ月ほど門前払いにした後、「価格を下げれば、不動産会社C社が買い取りたいと言っている」と言葉巧みに誘導。結果的にA社は、「BさんがC社に売却」した際に6%の仲介手数料を、さらに「C社が転売に成功」した際に、インセンティブ代わりに6%の仲介手数料を受け取る、という寸法だ。

 たとえば、Bさんが4000万円で売却して、C社が4500万円で転売した場合、「4000万円×6%+4500万円×6%=510万円」の利益を、A社は得ることになる。

 両手取引を2回も行える業者にとっておいしい取引であり、業界用語では「往復びんた」とも呼ばれている。

【関連記事】>>大手不動産仲介会社は、「両手取引」が蔓延?! 不動産売却時は、「両手比率」が高い会社に注意を

仲介か買取どちらがおすすめ? 売却する際の判断ポイント

 ここまで、不動産の買取について解説してきた。冒頭で触れたように、不動産を売却する際は、主に「仲介」と「買取」の2つの方法がある。

 ここで、仲介か買取の判断ポイントを確認しよう。

仲介がおすすめな人
・できるだけ高く売却したい人
・売却を急いでいない人
・購入希望者の内覧に抵抗がない人
・欠陥などがあった場合の修繕費用などの支出に余裕がある人
・築年数が浅い。または物件に魅力がある

買取がおすすめな人
・買取価格が「仲介」(相場)より安くてもかまわない
・仲介手数料を支払う余裕がない
・短期間、もしくは、ある期日までに確実に売却したい
・瑕疵担保責任を負いたくない
・築年数が古く、個人の買主がつきにくい

買取も仲介も、信頼できる不動産会社を探すことが大事

 結局のところ、買取でも仲介でも、信頼できる不動産会社を探すことが何よりも大切になる。

 まずは不動産一括査定サイトで数社に査定を依頼して、実際に顔を合わせて話を聞いてみることだ。安心して任せられる業者であるかどうか、じっくりと見極めたい。

 また、売り出し中に仲介会社が「買取を考えましょう」と提案してきたら、売るための手は尽くしたのか、その前にこれ以上できることはないかを確認しよう。

 買取は大幅な値下げをして物件を売るのと同じこと。あくまで最終手段であると心得たい。

【関連記事】>>不動産の買取業者は一括査定サイトで探すのがおすすめ! 大手3社の特徴や選び方を解説

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