コロナ禍の資産バブルで中古マンションは空前の売り手市場に! 
過熱相場でもなくならない、売主軽視の違法行為に注意を

2021年5月21日公開(2021年5月20日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

長引くコロナ禍で、首都圏の中古住宅売買市場が過熱している。中古マンションや中古戸建ての売買仲介会社では、「とにかく売り物件がない」という会話がされており、かつてないほどの異常事態に見舞われている。ゆえに、違法な「囲い込み」などが蔓延する懸念も指摘されている。

売買が活況する中古マンション市場

中古マンションの在庫が減少している(出所:PIXTA)

 中古不動産市場が大変な活況となっている。中古マンション価格は値上がりし、在庫が底をつきそうな勢いだ。

 中古不動産の業者間物件ネットワークである、東日本不動産流通機構が4月12日に発表した、「2021年3月の不動産流通市場動向」によると、首都圏の中古マンション成約(売買成立)件数は4,228件で、前年同月比で+16.1%の増加となった。

 一方で、中古マンションの在庫数は減り続けている。2021年3月の首都圏の中古マンション在庫数は34,701件。前年の同月比で▲24.9%と、大幅減になった。2019年12月から16カ月連続で前年の在庫数を下回っており、2021年2月に比べても、▲4.5%も減少している。

 「これまでなら、売り出してから成約するまで3カ月はかかっていたマンションが、1カ月で売れていく」(都内不動産会社)といい、物件の枯渇が続いている。

中古マンション価格はコロナ禍でも上がり続けている

 つられるように物件価格も上昇中だ。中古マンションの成約㎡単価は59.02万円/㎡と前年同月比で9.2%も上昇している。前年同月を上回るのは11カ月連続となり、コロナ禍が続く間であるのに、不動産価格は約10%も上昇した

 この状況に、長年、不動産市場を見てきた関係者も驚いている。「15年ほど前に売り出された当時、1億円だった新宿区内のマンションが、今年に入ってから1億9000万円で売りに出されていた。さすがに強気過ぎると思っていたら、しばらくして1億7000万円で成約したと聞いて驚いた。私自身はせいぜい1億2000万円くらいだと思っていたから、相場がバグった状態。予想できない市場になっている」

 別の不動産会社経営者は、「あまりに高値で売れていくので、自分が住んでいるマンションを相場よりだいぶ高く売りに出した(笑)。もし、本当に売れてしまったら、次に買える物件は無いかもしれないけど、それならしばらく賃貸に住めばいいやというくらいの気持ち」というから、不動産業界の人々さえも浮き足立つほど相場は熱狂している。

 中古マンションだけでなく、中古戸建て住宅市場も同様の枯渇状態で、先述した東日本不動産流通機構の発表では、3月の首都圏の中古戸建て住宅の成約件数は1,629件で、前年に比べ+25.8%と大幅に増加している。

 一方で新規登録件数は、4,462件で前年に比べ ▲26.3%の大幅減。前年の同じ月を下回るのは、13カ月連続。同時に在庫数は15,586 件で、前年に比べ ▲31.0%の大幅減となっている。

 こうした過熱市場の原因はいうまでもなく、世界的な金融緩和による資産バブルだ。暗号通貨や高級時計のロレックスなど現物資産と同様に、住宅市場にも大量のマネーが注がれて、価格が高騰している。 投資家が前のめりになる一方で、生活者レベルではコロナ禍での住み替えに不安があり、売り控える人が多いという声もある。需要と供給のバランスはしばらく「狂ったまま」になりそうだ。

過熱市場を背景に、違法な手数料を要求してくる不動産仲介会社も

 完全な売り手市場のなかで、売れる物件を持つ不動産仲介会社の立場は強くなっている。

 ダイヤモンド不動産研究所でも何度か問題視してきた「囲い込み」(売り物件を市場に出さず、自社で買い手を見つけて仲介手数料を稼ぐ手法)が横行しているのかと思いきや、何カ月も囲い込む前に物件が売れていくので、悪質な囲い込みをする前に物件が売れてしまうという状況だという。
【関連記事はこちら】>>大手不動産仲介は「囲い込み」が蔓延?! 不動産売却時は「両手比率」が高い会社に注意を

違法行為を行う不動産仲介会社も(出所:PIXTA)

 それとは別に、過熱市場を背景に、小ずるく手数料をせびってくる銀行系の不動産仲介会社も出てきたという。

 「マンションを探しているお客様の依頼で、ある物件に買いの申し込みを入れたところ、当社のお客様が購入した場合に受け取る仲介手数料3%のうち、1%をバックしてくれるなら紹介すると言ってきた」という。

 つまり、自社で決めて両手仲介(手数料6%)したいが、このケースでは実際には買い手が見つかっていないので、せめて自社の手数料3%+客付け不動産会社からのバックリベート(賄賂)1%で、合計4%分の手数料を確保したいということなのだ。

 一部の不動産仲介会社ではよく行っている方法だが、もちろんこれは違法だ。 通常、銀行系の不動産仲介会社はコンプライアンス重視のため、違法な囲い込みやバックリベートを求めることはなかったが、過熱する市場の中でバックリベートを取れると見たためか、こんなせこい取引を持ちかけてくるようになったという。

違法行為を行う不動産会社を避ける術を知っておく

 不動産を売買する個人にとっては関係のない話のように聞こえるが、こんな違法行為がまかり通る業者では、「もっと高く売りたい」「もっと安く売るよう交渉してほしい」という個人の要望など聞くはずもない。結局、こうした違法な取引をしている不動産仲介会社を使うと、売買する個人は損することになる。

 草食系と言われる、銀行系の不動産仲介会社までもが、小ずるくキックバックをせびる超過熱市場。住宅所有者にとっては、空前の売り場と言えるかもしれないが、業者選びを間違えば、本来はもっと高値で売れたはずなのにその機会を逸するなど、損をするかもしれない。違法な囲い込みやバックリベートをこっそり取っている不動産仲介会社には気をつけたほうがいい。

 そのためにも、物件情報がきちんと業者間ネットワーク「レインズ」に正しく登録されているか確認したり、複数の不動産会社に売却を依頼できる「一般媒介」を利用するようにしたいところだ。

【関連記事はこちら】>>不動産が売れないのは、不動産会社が問題? 「レインズに登録」「詳細な報告があるか」など、販売活動をチェックする4つのポイントを紹介

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