土地売却の相談は誰にすればいい? 税理士や司法書士など売却の流れに沿って解説!

2020年12月28日公開(2022年11月18日更新)
竹内英二:不動産鑑定士・宅地建物取引士

土地の売却では、境界や税金、登記、相続に関することなどで不動産仲介会社以外に相談を要するケースがある。本格的な売却活動に移行する前に、解決しなければならない問題を抱える土地を所有している人は意外に多い。そこで、この記事では「土地売却の相談先」について解説していこう。どのようなときに誰に相談すればいいのか、参考にしてほしい。

土地売却の相談は誰にすればいい?

土地売却の相談
土地売却の相談先は目的によって異なる(出所:PIXTA)

 まずは、土地売却の相談先について目的別に解説していこう。土地売却の主な相談先は以下となる。

1.売却全般の相談なら不動産仲介会社
2.税金のことなら税理士
3.境界や測量のことなら土地家屋調査士
4.登記に関することなら司法書士
5.トラブルが発生していれば弁護士
6.適正価格を知りたいなら不動産鑑定士

 それぞれ解説していこう。

1.売却全般の相談なら不動産仲介会社

 土地売却全般のことは、まず不動産仲介会社に相談しよう。不動産会社に相談するメリットは、相談料が基本的に無料であるという点だ。

 不動産仲介会社が受領する仲介手数料は成功報酬である。つまり、売却に至るまでの見積もりやその他の手続きなど、各種サービスは全て無料で対応してくれるということだ。

 マンションなどの大きな物件であっても、売却が成立して初めて不動産仲介会社への手数料が発生する。不動産仲介会社は、基本的にはあらゆる売却相談に応じてくれる。相談できる内容としては、例えば以下のようなものがある。

【不動産仲介会社に相談できること】

・売却できる価格を知りたい
・早く売りたい
・近所に知られずに売りたい
・買い替えで次に購入する物件も紹介してほしい
・古家を取り壊すべきか相談したい
・リフォームすべきか相談したい
・床の凹み等を修繕すべきか相談したい
・売却すべきか賃貸にすべきか相談したい
・事故物件を売りたい
・買い取りをしてもらいたい
・売却後も今の家に住み続けたい

 不動産仲介会社には、金額のほか、早く売る方法などの売り方についても相談できる。近所に知られずに売りたいといった要望もよくある相談であり、対応可能な場合が多いため、悩みがある場合は臆せず相談してみるのがおすすめだ。

 また、住宅として使用していた古家などの場合、取り壊すべきかもしくは売却前にリフォームすべきか、という相談も多い。

 取り壊しやリフォーム、修繕などについてはお金がかかることなので、不動産仲介会社に相談してから行う方が無駄がない。何事もお金が発生することで判断に迷ったら、不動産仲介会社に相談してから決めることをおすすめする。

 不動産仲介会社は賃貸のプロでもあるため、住宅や店舗として売却すべきか賃貸すべきかの相談にものってくれる。家賃はいくらで貸せるかも回答してくれるし、賃貸後の管理も依頼できる場合が多い。

 さらには、事故物件等の特殊な物件の売却や、売却後も自宅として今の家に住み続けたい、といったニーズにも応えてくれる。

 とにかく土地の売却で相談ごとがある場合は、まずいちばんに不動産仲介会社に行くのがよいだろう。あらかじめ付近で評判の良い不動産会社を調べるなどしておこう。

・各都道府県の宅地建物取引業協会の無料相談窓口もある

 なお、いきなり不動産仲介会社に相談することに抵抗がある人は、各都道府県の宅地建物取引業協会の無料相談窓口を利用するのがおすすめだ。

 宅地建物取引業協会とは、宅地建物取引業者に対して研修等を行う指導的立場の公的な組織である。

 宅地建物取引業協会にある無料相談窓口の相談員は、会員である不動産仲介会社が対応している。しかし、相談員はボランティアで第三者的立場に立って相談を受けるため、無理矢理「囲い込まれる」ような心配もない。「来る者拒まず」で対応してくれるため、安心して相談できる相談先といえる。

 都道府県にもよるが、月1回程度で弁護士の無料相談も企画している宅地建物取引業協会もある。興味のある人は各都道府県の宅地建物取引業協会のホームページを参照してほしい。

・「囲い込み」が心配なら、囲い込みしない不動産仲介会社の利用がおすすめ

 そのほか、ソニーグループの「SRE不動産」といった、囲い込みをしないと明言している不動産会社を利用する手もある。ネットから無料で、売りたい土地の査定をしてくれて、売却までをサポートしてくれるので便利だ。
 

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【関連記事はこちら】>>大手不動産仲介は「囲い込み」が蔓延?! 住友不動産販売の「両手比率」は52.26%! 不動産売却時は「両手比率」が高い会社に注意を

2.税金のことなら税理士

 税金のことなら税理士が適切な相談相手となる。例えば土地を売却することで多額の税金が生じてしまう場合、節税策について相談する必要がある。

 税理士の連絡先を知らない場合には、不動産仲介会社に税理士を紹介してもらえる。ほとんどの場合、税金の問題は売却後の確定申告で生じる。そのため、税金の相談をするタイミングでは既に、不動産仲介会社との関係性が構築されている場合も多い。

 不動産仲介会社は資産税に強い税理士をよく知っているため、税理士を探す際は不動産仲介会社に紹介してもらうのが手順として適切といえるだろう。

税理士に支払う費用の相場

 土地売却の確定申告を税理士に依頼する際にかかる費用は、売却する人の所得の種類、記帳代行の有無、申告の種類によって異なる。例えば、会社員として給料をもらっている人の場合は確定申告が容易なため、税理士報酬は3万円程度。個人事業主やフリーランスなど、確定申告が複雑になる場合は、税理報酬は5万〜10万円程度となる。

 また、売却益の金額によって税理士報酬は異なり、費用相場は以下のとおりだ。

・1000万円未満 5~6万円
・1000万〜3000万円 9~12万円
・3000万〜5000万円 12~15万円
・5000万〜8000万円 15~24万円
・8000万〜1億円 18~30万円

【関連記事はこちら】>>土地売却で税金はいくらかかる? 計算シミュレーションと節税できる特別控除を解説

3.境界や測量のことなら土地家屋調査士

土地の測量なら土地家屋調査士に相談
測量を行う土地家屋調査士(出所:PIXTA)

 境界や測量のことなら土地家屋調査士が相談相手となる。土地家屋調査士は通常、測量会社で雇われている。

 そのため、測量会社をピックアップして連絡をとれば、自然と土地家屋調査士に相談できる。

 境界が未確定の土地を売る場合、土地の境界が全て確定されてから売却活動に入ることが望ましい。なぜなら、境界が未確定の土地を好んで買おうとする人は少ないからである。そのため、確定測量図があることを購入の条件とする買い手も多い。

 確定測量図とは、道路や隣地の全ての境界が確定している状態で発行される測量図のこと。土地を高く売るには確定測量図はほぼ必須である。

 もし売却する土地の確定測量図が無い場合は、まず土地家屋調査士に境界確定と測量図作成の相談をするのがよいだろう。

確定測量に必要な費用の相場

 確定測量に必要な費用は、隣地が官有地の場合で、60万~80万円。民有地の場合は35万~45万円となる。内訳としては、事前調査、測量業務、書類作成の費用が含まれる。

【関連記事はこちら】>>土地の売却時に起こる「境界問題」とは? 隣家との間に塀があっても、油断は禁物!

4.登記に関することなら司法書士

 登記に関することなら司法書士に相談するのがおすすめだ。

 売り主に名義変更がされていない物件を持っている場合、司法書士への相談が必要となる。

 例えば、2代前の相続から未登記のままの土地を売る場合は、とりあえず司法書士に相談をした方がよいだろう。

 通常であれば、相続の際に名義変更がされているはずなので、司法書士への相談は不要だ。しかし、もし引き渡し時に司法書士が必要な場合は、黙っていても不動産仲介会社がしっかり手配してくれることになっている。

司法書士に支払う費用の相場

 土地売却では、売却する人と購入する人で、司法書士費用がそれぞれ異なる。売却する人が支払う費用としては、司法書士報酬と登録免許税にかかる実費が必要となる。

 登録免許税には、抵当権抹消登記(抵当権が設定されている場合)の司法書士報酬が1万〜3万円。所有権移転登記が必要な場合の司法書士報酬が3万〜11万円。登録免許税は土地1筆に対して1000円程度かかる。

 登録免許税にかかる実費としては、事前調査に必要な登記簿謄本の取得費用や登記完了後の登記簿謄本の取得費用のほか、金融機関に出張する必要がある場合にはその報酬や交通費などの実費が必要だ。

 なお、司法書士報酬は売却する地域によって差があるということも覚えておこう。

【関連記事はこちら】>>親の実家の土地を名義変更したいが、相続人の行方がわからない! 相続登記の現状や今後を解説

5.トラブルが発生していれば弁護士

 土地の売却で法的なトラブルが発生している場合は、弁護士が相談相手となる。

 例えば、離婚における財産分与でもめているケースや、相続における遺産分割でもめているケースなどが該当する。

 もめている場合、不動産仲介会社では対応できないため、まずは弁護士に相談し、「売ることが解決策である」となった段階で売却へ移行するのがよいだろう。

【関連記事はこちら】>>「権利未登記」「違法建築」「境界未確定」など"不動産の売却"でよくあるトラブルの解決法とは?

6.適正価格を知りたいなら不動産鑑定士

 売却する不動産の適正価格を知りたいなら、不動産鑑定士が相談相手となる。

 ただし、売却価格の査定は、不動産仲介会社が無料で行ってくれるため、通常の売却なら不動産鑑定士に相談する必要はない

 不動産鑑定士に相談するケースとしては、例えば法人で親会社から子会社へ土地を売却する場合など、特殊な当事者間で取引するようなケースだ。

 親会社から子会社へ土地を売却する場合、わざと損を出して売却すれば、親会社で脱税ができてしまう。特殊な当事者間での取引は、脱税行為が生じる恐れを避けるため、不動産鑑定士による鑑定評価書が必要なのだ。

 よって、通常の売却であれば、価格については不動産仲介会社に相談すればよいだろう。

不動産鑑定士に支払う費用の相場

 土地売却で不動産鑑定士に支払う費用は、土地のみの場合で20万〜30万円。土地と建物の場合は25万円以上が相場となる。

土地売却の流れごとに、相談先を見てみよう

 ここでは、土地売却の流れごとに相談先を見てみよう。土地の売却では、主に下図のように①測量から⑨の確定申告までの流れとなる。

①測量
 土地の売り主には境界明示の義務があるため、境界が確定していない土地は、境界を確定するための測量が必要である。境界の測量の相談先は、土地家屋調査士が在籍する測量会社となる。

②土地の査定
 土地の売却の際、適正な売り出し価格を決定するために査定を行うのが一般的。売却価格の査定の相談は、不動産仲介会社が無料で対応してくれる

 その他の方法として、一括査定サイトを使うと、一度の依頼で最大10社までの査定価格を受け取れるため、査定依頼の手間が大幅に省けるため便利である。

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③媒介契約の締結
 仲介を依頼する不動産仲介会社が決まれば、媒介契約を締結していく。媒介契約とは、実際に土地を売却してもらう不動産仲介会社との間で結ぶ仲介の契約のことを指す。
【関連記事はこちら】>>家を売るときの契約方法は、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」でメリットが大きいのはどれ?

④販売活動の開始
 不動産仲介会社に土地の売却を依頼すれば、すぐにでも販売活動が開始される。土地の標準的な販売期間は、概ね3カ月程度である。

⑤契約条件の交渉
 一般的に土地の購入希望者が見つかった場合、引き渡しの条件など、細かい契約条件の交渉が行われる。土地の売却では、確定測量図を用意することが引き渡しの条件とされることが多い。確定測量図の相談先は、土地家屋調査士となる。

⑥売買契約の締結
 買い主が決まると売買契約が締結される。売買契約から土地の引き渡しまでは、およそ1〜2カ月程度の期間を空けることが一般的となっている。通常、売買契約時点で買い主から手付金を受領する場合がほとんどである。

⑦境界の明示
 売り主は、買い主に対して境界を明示する義務がある。境界明示は、引き渡しの直前に行われることが一般的だ。境界の明示をするためには、境界確定測量を行う必要がある。相談先は先に述べた通り、土地家屋調査士だ。

⑧引き渡し(残金決済)
 買い主より、手付金を除いた残金が引き渡される。売り主は、登記に必要な書類などを買い主へ引き渡すことで、土地売却が完了する。

⑨確定申告
 土地売却で確定申告が必要となる人は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う。確定申告が必要な人は、「税金が発生する人」または「節税のための特例を利用する人」である。確定申告や税金の相談は、税理士にしよう。

まとめ

 以上、土地売却の相談について解説してきた。土地売却の相談先は、全般的には不動産仲介会社になるが、専門的な分野であれば税理士や土地家屋調査士、司法書士といった士業に相談が必要となることもある。

 土地売却についてのさまざまな悩みに関しては、不動産仲介会社が相談にのってくれる場合が非常に多い。一度、不動産仲介会社に相談してみて、解決が難しそうであれば、専門家に相談してみるのが良いだろう。

 各専門家も、不動産仲介会社が紹介してくれる場合が多いため、とりあえず土地の売却に関してはまず不動産仲介会社に相談するのがいちばんだ。

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