コロナ禍の2021年はマンションの売り時か? ベストな売り時は「築20年」まで

【第60回】2021年7月21日公開(2021年7月21日更新)
千日太郎

コロナバブルで住宅価格が高騰しており、中古マンション市場は「空前の売り時」と言われています。調べてみると築年数が浅いほど売却益が出るという結果となりましたが、果たして築何年くらいの物件が大きな利益を上げているのでしょうか。(住宅ローン・不動産ブロガー、千日太郎)

買った値段より高く売っている人が増加傾向にある

 こんにちは。ブロガーの千日太郎です。前回はコロナバブルが住宅価格に波及することで、地価は下がっても住宅価格は上昇を続けている現象とその対策について解説しました。今回はその中古マンションの売り時を考えてみます。

 従来、新築マンションを買ったら、その瞬間に中古になるため価値が1割から2割ほど下がるという法則がまことしやかに言われていましたが、ここ数年は必ずしもそうとは言えない状態が続いています。

調査年度別売却差額の発生状況

新築マンションの平均購入額・平均売却額の年別データ
※不動産流通経営協会による、不動産流通業に関する消費者動向調査(2020年度)から「調査年度別売却差額の発生状況」を一部修正。


 不動産流通経営協会の調査において「売却差額」とは自己所有住宅の売却時の価格から購入時の価格を差し引いた額を言います。つまり上のグラフの「マイナスの売却差額発生」とは買った値段よりも安く売れたことを意味します。

 2014年度には住宅を売却した人のうち、マイナスの売却差額が発生した人は85.2%でしたので、ほとんどの人は買った値段よりも安く売っているのですが、2020年度にマイナスの売却差額が発生した人は51.4%にまで減っているのです。つまり最近は買った値段よりも高く売れている人が半分くらいになってきていることを意味します。

 こうなっている理由は、前回の記事で解説したように中古マンションの価格が上昇し続けているためです。新築当時の価格と、現在の中古マンションの売却価格が拮抗し始めているということですね。

築年数が古くなるとマイナスの売却差額になる傾向

 しかし、「半分はマイナスの売却差額」なのですから、もうかっているマンションばかりではありません。どのようなマンションがマイナスとなっているのでしょうか。売却時の築年数別の売却差額の発生データを確認してみました。

中古住宅の築年数別「売却差額」

2019年、2020年の売却住宅の売却時築年数別、売却差額の発生状況
※不動産流通経営協会の不動産流通業に関する消費者動向調査<第25回(2020年度)>調査結果報告書(概要版)から「売却住宅の売却時築年数別、売却差額の発生状況」をグラフにしました。

 築年数5年以内でプラスの売却差額となった住宅は65.4%となっていますが、築年数が古くなるに従いその割合は減っていき、築25年超のプラスの売却差額発生は28%にまで減っています。やはり、古い物件ほど、売却差額がマイナスになりやすいと思われますね。

 また2019年度から2020年度にかけてプラスの売却差額発生が増えている築年数は15年超20年以内です。2019年度のプラスの売却差額発生は25.9%でしたが2020年度には49.9%に伸びています。

 これは、中古マンションの価格が上昇する中で、「築浅の物件にはなかなか手が出せず」という購入層が増えているのが原因でしょう。「今までは、築15年超20年以内くらいの物件なんて見向きもしなかったけど、これだけ価格が上昇しているのなら、そのくらい築年数が古いものでも手を出すしかないか」という層が増えているのでしょう。

売却するなら築25年までに売却すべし

 別のデータでも売り時を見てみましょう。

 新築マンションの平均価格の推移(不動産経済研究所調べ)と、そのときに建築されたマンションが現在いくらで売却されているか(中古マンションの築年数別平均価格、東日本レインズ調べ)を比較してみました。平均価格でも築20年までは、中古マンションが新築時の価格以上の高値で売買されていることが分かります。

新築時マンション価格推移と、そのマンションの現在価格

グラフ:マンション価格の推移(新築時と現在価格)
※新築マンション価格は不動産経済研究所 ≪全国マンション市場動向≫-2020 年のまとめ- の首都圏マンションから、中古マンションは東日本レインズ 首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2021年01~03月】の首都圏中古マンション価格より編集した。

 築25年〜30年の物件は、1990年代バブル経済崩壊の価格下落期に建設されました。新築時の価格も大きく下落していますが、そのマンションの現在の価格(中古マンション価格)も、築25年を超えたところから特に大きく下落しています。結果として、購入したときの価格に対して現在(2020年度)の売却価格が大きく下回っているのです。

 築25年超から価格が大きく下落する理由としては、住宅ローン控除の適用要件が考えられます。住宅ローン控除を受けられる建物の要件の一つに築年数があり、耐火建造物である中古マンションの場合の適用要件は築25年までとなっているのです。そのため、所有する中古マンションをいずれ売却するつもりなのであれば築25年までに売却することで、より有利になるのですね。

 ちなみにわたし自身の例では4000万円で購入した西宮市の新築マンションを2018年、築10年目に4100万円で売却しました。首都圏の知人は2800万円で購入した築5年のマンションを2019年、築15年目に3400万円で売却しました。さらに23区内であれば1000万円単位のプラスとなっている人がゴロゴロしているようです。

マイナスの売却差額でも十分に住めてローンを完済していれば問題なし

 現在はバブル期並みに新築マンションの価格が高い時期ですから、このタイミングで新築マンションを買い、その後価格が下がっていく(正常化していく)としたら、25年後にマイナスの売却差額となる可能性があります。

 しかし、マンションは経年劣化によってある程度価値は下がるのが普通なので、マイナスの売却差額となること自体は問題ないと考えています。

 例えば1991年の平均価格5900万円で新築マンションを買った人が、2020年の中古マンションの平均価格2185万円で売った場合、マイナス3715万円の売却差額となります。しかし、購入から30年の時点で住宅ローンの残債がゼロ円になっているならば、売却することで2185万円のお金になるということです(実際には3%程度の仲介手数料等の費用がかかります)。住宅ローンを完済していれば売る必要もありません。家賃なしで住み続けることができます。

プラスの売却差額が発生すると譲渡益に多額の税金がかかる

 また、プラスの売却差額が発生する場合は良いことばかりではありません。自宅不動産の譲渡益に対しては税金がかかるのですよ。

 税金の対象となる『譲渡益』は下記の計算式で導き出されます。

譲渡益=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

 上記計算式の取得費は、購入代金に改良費用を足して、減価償却費を引くことで計算されます。減価償却費は使用や経年劣化による価値の減少を見積もり計算したものです。そのため、税金計算の対象になる譲渡益は、減価償却費の分だけ実際の売却差額よりも大きくなります。こうして計算された譲渡益に20%~40%くらいの税率が課せられますので、譲渡益に対する税金が数百万円となる人も多いです。

 ただし、マイホームの譲渡益には「不動産譲渡益の3000万円特別控除」というものがあり、譲渡益3000万円までは税金の対象にしないという特例があります。これを使えばかなりの部分の譲渡益の税金は免除されます。しかし、住み替えの場合は、「3000万円の特別控除」と「住宅ローン控除」は基本的には同時に使えないと考えてください。

 新しく家を購入した年とその前2年間、その後3年間の6年間に古いマイホームを売却して、その譲渡益に3000万円の特別控除を使うと、住宅ローン控除が受けられなくなるという縛りがあるのです。

「不動産譲渡益特別控除」と「住宅ローン控除」の併用禁止期間

2年前   NG
1年前   NG
転居の年 NG
1年後   NG
2年後   NG
3年後   NG

 自宅を売却した譲渡益に対する税金を免除したうえで、新たに購入する家で住宅ローン控除をも受けさせるとなると、あまりにも優遇しすぎになるため、一定の歯止めをかけているのです。

 もし、「不動産譲渡益特別控除」と「住宅ローン控除」をどうしても併用したいというのであれば、古いマイホームはすぐに売却して、当面は賃貸暮らしをして、4年目以降に改めてマイホームを購入するという流れになります。しかし、家族のいる人がそんなに計画的に住まいを替えるのは簡単ではないでしょう。4年後にマイホームを購入しようとしたら、今以上に価格が高騰していないとは言い切れません。
【関連記事はこちら】>>不動産売却にかかる税金の節税方法を解説! 特別控除は自宅、賃貸、相続した空き家などで異なる

大きく売却益が出やすいのは、築20年まで

 以上のように、中古マンションの売り時は、築25年までと言えそうです。その内、大きく売却益が出やすいのは、築20年までです。

 なお、マンションを売却した場合、その後に「マイホームを購入する」のか「賃貸する」のかは、なかなか悩ましいところです。正直、現在が「売り時」「買い時」であるかは、今後の相場次第なので、なんとも言えません。いずれにしても、気をつけたいのは家賃にしても、住宅ローンの返済にしても、家計から見て余裕を持って支払える額に収まっているかということなのです。

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