リノベ業社が提出してきた見積書は、項目が細かく分かれていて正確ですが、素人にはとてもわかりにくいもの。複数の会社が出してきたリノベ費用の詳細をどうやって確認し、比較したらいいのでしょうか? 今回は、顧客目線での見積書の見方・比べ方について紹介します。【ちきりん著:『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』(ダイヤモンド社)から転載】
正確だけどわかりにくい、リノベ業者の見積書
今回は、リノベの費用の支払いや見積書について簡単に説明しておきます。まずは費用ですが、みんなが気になるのは「お風呂を新しくしたらいくらかかるんだろう?」とか「床を無垢材にしたら、どれくらい高くなるの?」といった点ですよね。
ですがリノベ会社からもらえる見積書を見ても、それらの答えは見つけられません。なぜなら費用明細の分類項目が、一般人が考える費用区分とは大きく異なるからです。
図表1の左側はリノベ会社からもらえる見積書の項目(例)です。項目名は会社によっても異なりますが、多くは「木工事」「造作工事」「左官工事」「電気工事」といった工事の種類別に集計されています。しかしこの見積書は、素人にはほとんど意味がわかりません。
図表1:リノベ会社の見積書 vs 客の頭の中
たとえば私には「木工事が100万円です」と言われても、それが高いのか安いのか、判断がつきません。他社と比べようとしても、それぞれの項目の定義が異なっています。今回は4社から見積書を受け取りましたが、「木工事」として示された額はそれぞれ、198万円、163万円、120万円、0円(木工事という項目がない)です。
198万円の会社と120万円の会社の「木工事」の定義が同じだとは思えないし、他社では100万円を超える木工事という項目が存在しない見積書さえ存在するなんてびっくりです(もちろんほかの名称で計上されています)。
各社の見積もりが比較できないだけでなく、こういった分類では「リノベプランのどこをどう変えればコストがいくら減るのか(増えるのか)」もわかりません。「あと100万円安くしたい」と思っても、なにを変えればいいのか、自分では判断できないのです。
リノベの費用は、顧客目線だと3つに分けられる
そこでこの章では、リノベ会社目線の費用明細を、顧客目線の明細に組みかえてみました。ただし「顧客目線のリノベ明細」は、厳密にいえば正確ではありません。ここで示す「顧客目線の費用見積もり」はあくまで「だいたいこんな感じ」という数字です。「わかりやすいけどあまり正確ではない」ではなく、「正確ではないが、一般の人にはこのほうがわかりやすそう」と思えたので再集計してみたものだとお考えください。
私にとってわかりやすいのは、リノベ費用を「基本工事」「設備・内装」「管理・税金」の3つに分けて考えることでした(図表2)。
図表2:顧客目線でのリノベ費用分類
基本工事は「壊す費用」と「住居の基本構造・基本性能を作り上げる費用」に分かれます。これらはスケルトン・リノベには必ずかかる費用で、緩やかに面積に比例します(厳密に面積に比例するわけではなく、リノベ面積が狭いほど割高になります)。
2番目の設備・内装費用は、システムキッチンやユニットバス、洗面台やトイレといった「住宅設備を購入して据えつける費用」と、「内装や収納を作る費用」です。ここは顧客の予算と選択によって大きく変わります。
最後の管理・税金費用の大半は、「リノベ会社の経費+利益となる設計・管理費」と「消費税」です。これらは工事費用総額に一定のパーセントをかけて算定されるので、基本工事費や設備・内装費用が変われば、同じ比率で増減します。
それぞれの額の目安を示すため、我が家のリノベ費用を再集計した結果が図表3です。ここでは総額を700万円に抑えた「ベースプラン」と、さまざまなリクエストを出した総額1200万円の「こだわりプラン」(実際のケース)を比較しています。
図表3:2つのプランの内訳比較
最大の違いは設備・内装費用で、こだわりプランはベースプランの3倍以上です。管理費や消費税もあわせて増加し、100万円近いアップ。100万円のキッチンと200万円のキッチンの差は、100万円の差では収まらないということです。
また、ベースプランでは基本工事にコストの多くがさかれ、設備・内装にかかる費用は162万円と総額の4分の1以下にすぎません。だからこれよりさらに安くしたいと考えるなら、設備をランクダウンするより、基本工事費を下げられないかと検討するほうが合理的です。たとえば、天井も壁も躯体あらわしのままにして作らないとか、間取りを変更せずインフラも交換しないといった選択肢です。
リノベの費用はホントに「いくらにでもできる」というのが率直な感想です。だから第4回で書いたように「いくらかかりますか?」と聞くのではなく、「自分(たち)は今回のリノベにいくら払ってもよいと考えているのか」をまず考えることが重要なのです。
※書籍巻末の”資料編”にはより詳細な項目と費用を載せておきましたので、具体的な検討を始めた方はぜひそちらもご覧ください。
間取りが決まり、住宅設備や床材、壁紙を選び、照明やコンセントの位置まで含めた詳細設計が終わればいよいよ契約締結、そして、着工(工事開始)です。一般的なスケジュールは図表4になりますが、この中で鍵となるのが「契約日」です。
図表4:リノベの一般的なスケジュール
契約とは工事請負契約のことで、契約書には設計図はもちろん、使用する資材や設備の品番が書かれた仕様書がすべて添付されています。
契約がすめばリノベ会社は資材の発注を始め、客はリノベ代金の半分以上を払うことになります。なのでリノベの内容相談はこの日までに納得するまでおこない、契約を結んだらあとは「計画通りに進める」のが基本です。
リノベ費用を払うタイミングは?
リノベ会社にお金を払うタイミングは会社によって異なるので、初回の相談時に確認しておきましょう。だいたい4回くらいに分けて払うのが一般的なようです。
申込金支払いは「今後は他社とは比べず、リノベは御社にお願いします」という意思表明で、これ以降に(なんの理由であれ)リノベを中止すると、申込金は戻ってきません。
私は申し込み前に工事請負契約のひな形をもらっておきました。契約締結は詳細設計が終わってからですが、そんなタイミング(工事が始まる10日ほど前)で初めて契約書を見て、「こんな契約は結べません」などとは言えません。契約内容を確認したい人は、先にもらっておきましょう。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会のサイトからはリフォームの標準契約書もダウンロードできるので、気になる項目があれば比較しておけばよいでしょう。
また、設計事務所に依頼する場合は設計契約と工事請負契約を別々に(前者は設計事務所と、後者は施工会社と)結ぶことになります。設計料と工事費も別々に支払うので、いつどれくらいの支払いが発生するのか、事前に確認が必要です。
リフォーム瑕疵(かし)保険ってなに?
欠陥工事やリノベ会社の倒産に備える保険で、この保険に入ると工事中や工事後に第三者検査員(建築士)による現場検査がおこなわれます。保険に入るのは(施主ではなく)リノベ事業者で、事前登録が必要です。
リノベ関連の書籍には「この保険に入れば安心!」と書いてあるものもあれば、「微妙な保険なのでお勧めしない」と書いてあるものもあり、混乱します。私が見積もりを依頼した4つのリノベ会社はすべて登録業者でしたが、保険の加入状況を見てみたところ、3社はゼロ、1社は昨年に1件、過去累計でも3件のみとあまり活用されていないようです。
以下はあくまで私の個人的な判断ですが、依頼することにしたリノベ会社について、「アフターサービスがしっかりしている」「当面、倒産しないだろう」と思えるなら必ずしも必要な保険ではないのでしょう。というか、そもそも「そんなことが不安な会社に数百万円ものリノベ工事は頼めない」と考える人(私)には、この保険に入る意義はありません。
ただいずれにせよリノベ会社が提供しているアフターサービス(保証)の内容や期間については契約前に詳しく説明してもらい、書類でも確認しておきましょう。
まとめ「リノベ見積書を読み解くポイント」
・リノベ会社からもらえる見積書は工事種類別で素人には馴染みのない言葉も多く、なにをどう変えれば安くなるのかわかりません。それらを顧客目線で再集計すると、大きく分けて「基本工事」「設備・内装」「管理・税金」の3つの費用に分かれます。
・設備のグレードや資材の質にこだわれば、設備・内装費はいくらでも高くなり(でき)ます。一方、一定以上のコスト減を図ろうとすれば、設備・内装費だけでなく基本工事費を抑える工夫も必要となります。
・工事の請負契約を結ぶのは詳細設計が終わったあとです。契約書の内容詳細を確認したい場合は、申込日より前にひな形をもらっておきましょう。
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紹介会社数 | 3〜4社 | 最大8社 | 最大5社 | 3〜8社 | 最大3社 | 3〜4社 | 最大8社 | 2社〜 | 最大5社 | 複数社 | 最大9社 | ー |
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住所 | 東京都千代田区 |
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登録業者数 | 約1200社 |
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運営会社 | 株式会社ホームプロ(リクルートの100%子会社・資本金3億円) |
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登録業者数 | 約1500社 |
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資料請求 | 無料 |
運営会社 | 株式会社じげん(資本金25億5200万円) |
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リフォーム比較プロ(リフォーム一括見積もりサイト) | |
登録業者数 | 500社以上 |
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資料請求 | 無料 |
運営会社 | 株式会社サフタ(資本金990万円) |
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設立 | 2013年 |
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