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リノベーション成功のカギは、徹底的な情報収集と、理想の住まいを具体化すること!
連載『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』

【第9回】2023年8月18日公開(2023年9月20日更新)
ちきりん

リノベーションを成功させるために、まずはじめに取り組むべきは情報収集。次に、これからの暮らし方について考えをまとめていきましょう。具体的なプロセスに入るのはその後です!リノベ前の情報収集の具体的な方法、今後の暮らし方を考えることの大切さについて紹介します。 【ちきりん著:『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』(ダイヤモンド社)から転載】

徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと
自身のマンションリノベ経験をつづった書籍『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』著:ちきりん(ダイヤモンド社)

さあリノベーションを始めよう!

 ここまで読んでくださったみなさん、「我が家もリノベしたい!」と思っていただけたでしょうか? ここではそんな方向けに、まずはどこから始めればよいかを書いておきます。

 お勧めは「具体的なプロセスに入る前に、しっかりと時間をかけてリノベでなにを実現したいのか考える」+「個別相談に行き始めたら一気に進める」というメリハリのついたスケジュールです。

 最初は「いくらかかるのか」や「そんなことが可能なのか」などは気にせず、ただただ純粋に「何を変えたいのか」「どんな家にしたいのか」を考えましょう。なぜならそれこそが、もっとも大事なことだからです。

「理想の住まい」の具体化が、リノベの最初の一歩

 「どんな家にしたいのか」というイメージを膨らませるための作業は、隙間時間に手元でできる情報収集と、実際に外に出かけて見に行く方法に分かれます。

【手元で情報収集】
1)リノベ事例が紹介されている雑誌を読む
2)リノベ会社のサイトに載っている事例を見る
3)ピンタレスト(後述)に気に入った写真を集める

【足を運んで情報収集】
4)新築・中古マンションの内覧に行く
5)住宅設備や建材のショールームに行く
6)民泊物件やホテルで気になる設備を体験してみる

雑誌や写真・画像で、理想のイメージを掴んでおこう

ネットや雑誌で理想のリノベ事例を探しておこう
ネットや雑誌で理想のリノベ事例を探しておこう(出典:PIXTA)

 まずはリノベ事例満載の専門誌を読みまくりましょう。

 ここで役立つのがキンドルアンリミテッド(Kindle Unlimited)というアマゾンの電子書籍向けサービスです。月額980円で本や雑誌が読み放題になる定額サービスで、リノベ関係の雑誌もたくさん含まれています。

 これだとヒマな休日にソファに座ったまま「2時間で20冊くらいのリノベ雑誌をサクサク読む」ことができます。重い本を買いに行く必要もないし、リノベ後に本が残って場所をとることもありません。気に入った写真はスクリーンショットとしてスマホやタブレットに残せるので、あとからリノベ会社に希望するイメージを伝えるときにも役立ちます。

 私も「リノベーション」や「リフォーム」というキーワードで役立ちそうな本や雑誌を検索し、50冊くらい=合計数万円分の本を(980円で)読みました。

 もう1つ、圧倒的に便利なのがピンタレスト(Pinterest)というアプリです。このアプリは、1つの写真を選ぶと、それによく似た画像をネット上から大量に探してきてくれます。たとえば好みのバスルームの写真を1つ登録すると、同じテイストのバスルームの写真が(日本だけではなく世界中の雑誌やサイト、個人ブログなどから)集められ、一覧で見られるようになるのです。

 「こういうインテリアすてき!」とか「こんなアイデアもあったんだ!」と新鮮なアイデアが次々と得られるので、フォルダを作り、キッチン、バスルーム、ベッドルームなどカテゴリーごとに「自分好みの写真」をまとめておけば、言葉で説明するより圧倒的に正確に「自分が実現したいイメージ」をリノベ会社に伝えられます。

 最後にリノベ会社のサイトに載っている事例を見て具体的なイメージが固まってきたら、次は実際に物件を見に行きましょう。

物件の内覧やショールームに出かけよう

Panasonic ショウルーム
リノベ会社や住設メーカーが運営するショールームに行ってみよう(出典:panasonic

 本やネットから得られるのは平面的なイメージだけなので、生活感や空間感覚(広さなど)を伴ったイメージ作りには現地見学が不可欠です。都市部では新築や中古マンションのチラシがひっきりなしにポストに入っているし、リノベ物件を売っている不動産会社にメール登録しておくと、内覧できる物件情報が定期的に送られてきます。

 新築マンションでは最新設備が見学できるし、リノベ物件では(新築物件には見られない)動線や収納の工夫が見られます。詳しい説明もしていただけるので、あれこれ質問して勉強しましょう。

 なお、こういったところを訪ねると、アンケートと称していろいろな個人情報を求められます。住所を書いてDMが届くくらいはいいのですが、電話がかかってきたり、個人情報の流出が心配という人もいるでしょう。

 私の場合、こういう用途向けに固定電話を維持しており、電話番号は常にそちらしか記入しませんでした。年収や予算については記載しなくても問い詰められたりはしないので、いつも空欄のまま提出しています。

 都市部には住宅設備から輸入壁紙、床材、建具やタイル、照明器具にシステム家具までさまざまなショールームがあり、情報はリノベ雑誌に載っています。本書でも巻末資料2に、私が訪ねたショールームをまとめておきました。

 ただし!ショールームは「メーカーがもっとも売りたい高価格帯商品の展示場」なので、ここで商品を選ぶ必要はありません。

これからの暮らし方をじっくり考えよう

 いろいろな情報が集まったら、これからの暮らし方についてじっくり考えましょう。リノベを始めると、たとえ家族であっても意見の異なるコトがたくさん出てきます。特に内装にどこまでお金をかけるべきかなんて、価値観によってまったく違います。

 壁に本物のレンガを貼りたい人、偽物レンガでいいけれど、立体的なものを貼りたい人、さらにはレンガ模様の壁紙で十分と考える人……それぞれが30万円、10万円、3万円だとして「壁紙なんてありえない。本物のレンガじゃなくちゃ」と思う人もいれば、「ごく狭い範囲の壁に30万円も出すなんてありえない」と思う人もいます。

 足して2で割り10万円のコースを選ぶと、1人は「高すぎる。壁紙でよかったのに」と不満、もう1人も、「やっぱり本物とは質感がぜんぜん違う。がっかりだ」と不満が残ったりするのでやっかいです。

 最悪なのは、双方がリノベ会社の担当者を自分の味方につけて意見を通そうとし始めること。「絶対こっちのほうがいいですよね!」などと賛同を求められても、担当者も困ってしまいます(一方、このあたりをうまくさばいて話を進めるのが担当者の力量ともいえます)。

 大事なのは、リノベについて考えたり話しあったりすることで、これからの暮らし方に関する意識が共有できることです。本物のレンガかレンガ柄の壁紙かという意見の違いは、もしかすると何年そのマンションに住むつもりかなど、今後の働き方や子育て方針に関する見通しの違いから生まれているかもしれません。

理想の暮らしについて、家族の中でじっくり話し合おう
理想の暮らしについて、家族の中でじっくり話し合おう(出典:PIXTA)

 リノベは、生活環境が変わるタイミングでおこなわれることが多いものです。結婚して初めて一緒に住む部屋のリノベや、子供ができたことを機にしてのリノベ、子供の独立を機にして、定年を機にして、フリーランスになったことを機にしてなど、生活が大きく変わるタイミングでは、「これからどんな暮らしをしていきたいのか」というイメージが固まっていない場合も多いでしょう。

 そういったことを抽象的に考えるのは簡単ではありませんが、「どんな間取りにしたいか」を題材に考えれば、一気に思考が進みます。リノベは資金計画も含め、これからの生活についてじっくり考え、話し合うとてもよい機会なのです。

まとめ「理想の住まいを具体化するためのポイント」

なにより大事なのは「どんな家にしたいのか」をしっかり考えることです。そのため、最初の情報収集には十分な時間をかけ、希望イメージが固まったら一気に進めるというメリハリのついたスケジュールがお勧めです。

・ピンタレストとキンドルアンリミテッドはリノベ関連の情報を集めるのにものすごく役立ちます。

・理想の家や資金計画について考える(話し合う)ことは、今後の暮らし方をじっくり考えるよい機会になります。

徹底的に考えてリノベをしたら、
みんなに伝えたくなった50のこと

(ちきりん著・ダイヤモンド社)

 
徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと

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