住みながらでもマンションは高く売れる? 売主の内覧対応のコツや注意点を実例とともに紹介

住みながらでもマンションは高く売れる? 売主の内覧対応のコツや注意点を実例とともに紹介<br /><br />
2025年2月7日公開(2025年2月12日更新)
杉山明熙:ライター

自宅を売却する際、住みながら売却活動を行うことも少なくないだろう。その中で「内覧対応のコツや好条件で売るためのポイントを知りたい」という売主も多いのではないだろうか。そこで今回は、住みながら自宅マンションを売却する際の内覧対応のコツや注意点を筆者の不動産営業マン時代の経験談とあわせて紹介する。住みながらでもなるべく好条件で自宅マンションを売却したいと考えている方は、この記事を参考にしてほしい。(ライター、宅地建物取引士:杉山明熙)

居住中マンションを売却するための内覧対応のコツ5選

 居住しているマンションを売却する際は、空家のときとは違うコツがある。ここでは、居住中のマンションを売る際のポイントについて解説していく。

1. 収納スペースの中も見てもらう

マンション内覧対応では、収納スペースを見せることが大事
収納スペースをチェックしたい買主は多い(出所:PIXTA)

 内覧対応での1つ目のコツは、内覧時に収納スペースの中まで見てもらうことだ。買主の中には、リビングなどの居住スペースだけでなく収納の中まで見たいという方が多い。しかし、「荷物を見られたくない」という意識から、収納スペースの中身を見せたがらない売主が多いのだ。

 収納の中まで見てもらうことで、買主は自分の荷物が収納内に収まるのかがイメージできる。これは、間取り図だけではわからないだろう。

 そのため、内覧時は収納の中を見てもらえるように、ある程度整理しておくことをおすすめする。しかし、あくまで「ある程度」で良い。最低限の整理さえしておけば、買主は実際に住んだときのリアルなイメージができるからである。

 実際、筆者が不動産営業マン時代は「収納の中も見たい」という内覧者がほとんどであった。購入を前向きに検討しているほどその傾向が強いため、内覧時はいつでも収納の中を見せられる準備をしておこう。

2. 水回りを優先的にきれいにする

 2つ目のポイントは、水回りを優先的に清掃しておくことだ。どれだけリビングや寝室をきれいに保っていたとしても、キッチンや浴室が汚れていると物件全体の印象が悪くなってしまうケースが多いからである。

マンション内覧対応、水回り
水回りは重要ポイント(出所:PIXTA)

 特に、築浅マンションを売却する際は、より一層気をつけてほしい。きれいな共用部分や設備と比較して水回りが汚いと、そのギャップによって購入意欲が失せてしまう。

 そのため、売却活動を始める前に水回りを優先して掃除しておこう。基本的には自分で掃除すれば問題ないが、あまりにも汚れが目立つ場合は清掃業者に依頼することも検討してみてほしい。

 プロに頼めば、1ヶ所につき3万円〜5万円程度できれいにしてくれるだろう。売却を依頼している不動産会社からも清掃業者を紹介してくれるので、迷った場合は相談してみることをおすすめする。

3. マンションのメリットやデメリット、売却理由を明確に伝える

 マンションに住んでいて良かった点や悪い点を内覧者に伝えられるようにしておくことも、好条件で売却するためのコツだ。

 買主は、物件の見た目や立地だけでなく、実際に快適に住めるかどうかも気にしている。その際に気に入っている点や懸念点を伝えると、より一層イメージしやすくなるのだ。

 注意点は良い点ばかりを伝えすぎないこと。細かいことでもいいので気になっている点も伝えると、説得力が増して信頼を得やすくなる。また、内覧者にガツガツコミュニケーションを取ろうとするのも避けたい。あくまで「聞かれたことに対して答える」スタンスで、補足情報としてその他のことを伝えると良いだろう。

 実際に経験したケースとして「マンション内のイベントが充実していて住民同士の交流が盛んである」と売主が説明したところ、その点を買主が気に入り購入に至ったということがあった。

 また、売却理由も明確に答えられるようにしておきたい。「手狭になったから買い替える」「もっと便利な場所に住み替える」「一戸建てを購入する」など、売却理由がはっきりしていれば内覧者も安心して購入に踏み込めるのだ。もし、離婚など深く踏み込まれたくない理由の場合は、あらかじめ不動産会社に伝えておいて対応してもらおう。

4. 内覧希望日時に対して柔軟に対応する

 好条件で売却するためには、買主が「内覧したい」という日時にできるだけ対応することも意識しよう。よほど魅力的な物件でない限り、買主は内覧の日時が合わないと熱が冷めてしまうことがほとんどだ。「見たい」と思ったときにアポが取れなければ、他の物件に目移りしてしまうことも考えられるだろう。

 もし内覧希望と予定がブッキングしてしまった場合は、自分のスケジュールをずらすか別の日程を売主側から提案してみてほしい。そうすることで買主の熱を冷まさず、なるべく多く人に内覧してもらえるだろう。

 営業マン時代の経験として、売主が忙しいため、なかなか内覧対応ができないマンションがあった。しかし、解決策として親や親戚が代わりに内覧対応することを提案した結果、内覧者が増えて無事売却に成功した事例がある。

 このように、売主が思っている以上に買主の熱は冷めやすいことを理解し、できるだけ買主ファーストで内覧対応することを意識してほしい。

5. 室内写真を充実させる

 インターネット広告の室内写真を充実させることも意識しよう。今はほとんどの買主がインターネット上の広告を見て内覧希望を出す時代である。マンションの内覧希望を増やすためには、少しでも室内の様子をインターネットに掲載して、買主に「室内を見てみたい」と思ってもらうべきなのである。

 もし「部屋が散らかっていて写真で公開するどころではない」という方は、少なくともリビングと水回り(浴室やトイレ)だけでも公開するべきだ。買主が購入時に気にするのは主にリビングと水回りのため、写真撮影のときだけでも荷物を片付けて写真撮影の協力をしてみてほしい。

 実際に、室内写真を多く公開している物件は内覧希望者が多い傾向にあった。同じ条件のマンションであれば、写真を掲載していないマンションより掲載しているマンションを優先的に見てみたいと思うのが買主心理なのである。

居住中のマンションを売却する際の注意点

 居住中のマンションを好条件で売るための注意点も、ここで理解しておこう。

ゆとりのあるスケジュールを組む

マンション内覧対応、スケジュール
余裕のあるスケジュールを組もう(出所:PIXTA)

 居住しながらマンションを売却する場合、ゆとりを持ったスケジュールを組むことが重要である。東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると、中古マンションが売れるまでの平均期間は約80日という結果が出ている。

 このことからも、好条件で購入してもらえる買主を見つけるためには、最低でも3カ月、できれば半年程度のゆとりをもってマンションを売り出すと良いだろう。

 営業マン時代も、担当している物件が売り出されてから早い段階で金額交渉付きの購入申込を受けることが多かった。しかし、過度な金額交渉には応じずに売却活動を続けた結果、適正な価格で売却できた物件が多かった。

 ただし、どんな物件でも時間が経てば売れるというわけではない。価格が相場より高い物件は金額交渉に応じなければならないケースがあるため、売主自身が適正価格を把握しておくことが大切だ。

自身でも市場を把握しておく

 売主自身がマンションの適正価格を知っておくためには、市場を把握する必要がある。市場を把握しマンションの相場を理解しておけば、物件価格を不動産会社任せにしなくて済むだろう。

 相場を知らずに価格設定を不動産会社に一任した場合、価格が高すぎると買主が他の物件へ流れてしまい、安すぎると手元に残る金額が減ってしまうことが考えれる。

 自身で市場を把握するためには、以下のサイトをチェックしてほしい。

・不動産情報ライブラリ
・レインズ・マーケット・インフォメーション
・不動産ポータルサイトや不動産会社のホームページ

 不動産情報ライブラリは国土交通省が運営するサイトで、不動産の取引情報や防災情報など不動産に関わる情報が掲載されている。また、レインズ・マーケット・インフォメーションは不動産流通機構が運営する、全国の物件情報や過去の成約事例が掲載されているレインズの情報をもとに、実際の成約価格や日時などの取引情報が掲載されているサイトである。

 物件価格は不動産会社の提案を鵜呑みにせず、自身でも相場を調べ尽くしたうえで決めることが重要だ。

税金や特別控除に関する知識を備えておく

 物件をできるだけ好条件で売却することは重要だが、売ったあとの手取り額を増やすことにも意識を向けなければいけない。手取り額を増やすために、税金の基礎知識や特別控除について知っておこう。不動産売却が初めての方は、売却後の税金にまで気が回らないことが多いからだ。

 知っておくべき特別控除のポイントとして、買い替えのために売却を行う場合、売却時の「3,000万円特別控除」と購入時の「住宅ローン控除」が併用できないことが挙げられる。

 3,000万円特別控除とは、売却により発生した譲渡所得(売却益)が3,000万円分控除される特例だ。一方、住宅ローン控除とは10年以上の住宅ローンで物件を購入した場合、一定条件を満たすと年末時点での住宅ローン残高の0.7%分を所得税から控除できる制度である。それぞれを利用した場合の節税効果を検証して、どちらを利用するべきかを判断してほしい。

 インターネット上の金融機関のサイトなどで、節税効果のシミュレーションができる。対面で具体的な説明が聞きたい方は、不動産会社の担当者やファイナンシャルプランナーに相談してみよう。

【関連記事】>>不動産売却時の「譲渡所得税」計算シミュレーション!特別控除や減価償却の考え方も解説

無理なリフォームを行わない

 室内の状況が良くないからといって、無理にリフォームをして売ることはおすすめできない。それは、リフォーム代を売却価格に転嫁することが難しいためである。

 たとえば、相場が3,000万円のマンションの場合、1,000万円のリフォームをしたとしても4,000万円での売却は難しいケースが多い。確かにリフォームを行ったほうが高く売れる可能性はあるが、それでもリフォーム代を全て回収することは難しいのだ。

 また、売主が行ったリフォームが買主の好みと合わない可能性も考えられる。デザインや機能性にはトレンドがあり、全ての買主の好みに合わせることは難しいだろう。

 不動産会社がリノベーション済みのマンションを販売できるのは、安い仕入れと単価を抑えた工事が実現できているためである。もし自宅の室内がきれいな状態ではない場合は、無理にリフォームするのではなく、不動産会社に相談してリフォーム以外の販売戦略を立てることをおすすめする。

まとめ

 居住中のマンションを好条件で売却したいという方は、ここで紹介したポイントを意識してみてほしい。自分1人で対策を練ることが難しい方は、不動産会社や一括査定サイトから相談してみるのもおすすめだ。ただし、不動産会社の言いなりにはならずに、自分でも情報収集することを忘れないようにしたい。

 ダイヤモンド不動産研究所では、不動産一括査定サイトや不動産仲介会社を徹底比較しているので、ぜひ参考にしてほしい。

【関連記事】>>不動産一括査定サイトおすすめは?ランキング、評判、特徴など19社を徹底比較!

【関連記事】>>不動産売却はどこがいい?判断ポイントや注意点、大手仲介会社の口コミ・評判を徹底解説!

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