不動産は今が売り時!? 高値でもすぐに売却できる絶好の市況だが、今後はどうなる?

2022年12月22日公開(2022年12月22日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

不動産市場は新築、中古ともに価格が上昇し、それでも売れ行きは衰えておらず、活況を呈している。しかし、諸物価の高騰、金利の上昇など不安要素も強まっており、この環境がいつまでも続くとは考えにくい。住宅の売買を行うタイミングをどうとらえるのがいいのか、非常に判断が難しい時期にさしかかっているようだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

中古マンションの売却期間は、約20日の短縮

 まずは、中古物件の売却期間について見てみよう。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)では、不動産流通市場で登録された物件が成約に至るまでの期間を調査しているが、それが2021年度には大幅に短縮された。

 具体的には、図表1にあるように、中古マンションの売却期間は2019年度と2020年度は90日近くかかっていたのが、2021年度には69.3日と、70日を切るまでに短くなっている。

図表1 住宅の登録から成約に至る日数の推移(単位:日)

中古マンションの登録から成約に至る日数
資料:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)

 中古戸建て住宅についても、2019年度と2020年度は売却まで100日以上かかっていたのが、2021年度には95.2日に短縮された。

 一般的に、中古住宅は売り出してから3カ月程度で契約が成立すればまずまず順調とされ、不動産仲介会社でも、売り出しの依頼を受けるときの媒介契約の期間を3カ月とすることが多い。

 売り主も、買い換え物件との関係で、3カ月以内に売れることを目標とする人が多いので、現在の環境は不動産仲介会社、売り主ともに安心して売り出せる環境にあるといっていいのではないだろうか。

新築マンションは人気エリアで即日完売する物件も

晴海フラッグ
平均倍率30倍以上となった新築マンションの「晴海フラッグ」(出所:PIXTA)

 これは、中古住宅に限らない。東日本レインズでは仲介市場で取引される新築戸建て住宅についても調査を行っているが、90日近くかかっていたものが、70日台と大幅に改善されている(図表1)。

 また、新築分譲マンションについては東日本レインズの調査はないが、不動産経済研究所によると、2021年度の月間平均契約率は73.3%で、前年に比べて7.3ポイントアップしている。

 その月に売り出された住戸のうち、7割以上がその月中に売れていることになり、多くの物件が、竣工までに完売しているのではないかと推測される。

 特に、都心やその周辺部では、新築マンション、新築戸建て住宅に適した用地の取得が極めて難しくなっており、希少性が高まっている。

 人気エリアでは即日完売物件も増えており、2020年度オリンピック・パラリンピック選手村跡地の「晴海フラッグ」は、2022年11月の販売においては、平均倍率30倍という高い競争率を記録した。

【関連記事はこちら】>>「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」は本当に買いなのかを徹底トーク!人気マンションブロガー座談会

中古物件の値引き幅が大幅に縮小している

 中古市場では、新規登録価格、つまり売り出し価格から一定の値引きを行った上で契約が成立するのが一般的で、時期によってその値引き幅が大きくなったり、小さくなったりする。

 当然のことながら、価格が上がり続け、成約までの期間が短くなっている現在のような環境では、値引き幅が小さくなる

 立地や維持管理の状態が良好な物件であれば、値引きなしの売り出し価格のままで契約成立するケースが少なくない。

 値引きが当たり前と価格交渉を行おうとすると、「ほかにも買いたいお客がたくさんいるので、そちらに買ってもらいます」と冷たくあしらわれ、気に入った物件であっても買えなくなってしまう。売り主の言い値で買うしかないわけだ。

 反対に、価格が下がり続けているような環境であれば、値引き交渉の余地が大きく、物件によっては数%から1割程度の値引きが可能になるケースもある。

中古マンションは短期間で高く売れるため、売り主にとって恵まれた環境

 その値引き率がどうなっているのか見てみよう。まず、東日本レインズのデータから、中古マンションの動向をみると図表2のようになっている。

図表2 中古マンションの成約価格と新規登録価格の推移(単位:万円/1㎡あたり)

中古マンションの制約価格と新規登録価格
資料:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)

 2021年度の新規登録価格、つまり売り出し価格の平均1㎡単価は66.93万円に対して成約価格の平均は61.36万円で、新規登録価格に対して、成約価格のほうが8.3%低くなっている。

 過去の経緯をみると、2016年度は新規登録価格が55.05万円に対して、成約価格が48.43万円で、両者の差は12.0%と10.0%を超えていた。

 数年前であれば、1割以上値引きしないと売りにくかったのが、2021年度には値引き幅が1割以下に縮小しているといっていいだろう。

 短期間で契約が成立し、売り出し価格に近い状態で契約が成立するため、売主にとってはたいへん恵まれた環境にあるといっていいだろう。

【関連記事はこちら】>>都市部(都会)で不動産を売却する時の注意点やポイントを解説! 都心なら買取業者に売るのもアリ!?

戸建て住宅も人気エリアならほとんど値引きなしで売却可能に

 戸建て住宅市場の動向を見ると、それがさらにハッキリする。

中古戸建ての値引き幅は5%ほど縮小

 図表3は、中古戸建て住宅の新規登録価格と成約価格の平均を比較したものだ。

図表3 中古戸建て住宅の成約価格と新規登録価格の推移 (単位:万円)

中古戸建ての成約価格と新規登録価格の推移
資料:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)

 2018年度には、新規登録価格が3876万円で、成約価格は3111万円だったから、成約価格は売り出し価格より19.7%も低くなっていた。

 それが、2021年度には新規登録価格が4127万円で、成約価格が3524万円だから両者の差は14.6%。つまり、数年前なら20%近く値引きしないと契約が成立しにくかったのが、15%ほどですむようになっている

 最寄り駅からの距離が近く、維持管理状態の良好な築浅物件なら、値引き率はもっと小さくてすむだろう。人気のエリアなら、売り出し価格のままでお客がつくケースがあるかもしれない。

新築戸建ての値引き幅は7.5%も縮小

 もっと明確なのが新築戸建て住宅だ。東日本レインズによると、図表4にあるように2020年度の新規登録価格は4067万円で、成約価格は3575万円だった。

図表4 新築戸建て住宅の成約価格と新規登録価格(単位:万円)

新築戸建ての成約価格と新規登録価格の推移
資料:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)

 成約価格のほうが12.1%低くなっていて、新築住宅といえども、平均すると1割以上値引きしないと契約が成立しにくい環境だったといっていいだろう。

 それが、2021年度は新規登録価格が4168万円で、成約価格は3977万円だったから、両者の差は4.6%。12.1%も安くせざるを得なかったのが、4.6%程度の値引きですむようになっている

 ここまで差が小さいと、売り出し価格のまま、値引きなしで契約が成立している物件がかなり多かったのではないかと推測される。

住宅価格はいつまで上がり続けるのか?

 このように、2021年度は新築、中古ともに活況を呈しており、2022年度もそんな環境が続くのではないかとみられていたが、環境は急速に変わりつつある。

 たとえば、不動産経済研究所の新築マンションに関するデータを見ると、首都圏の2022年度上半期の平均価格は6333万円で、前年同期比5.5%の下落となった。中古マンションや戸建住宅市場ではまだ上昇が続いているが、不安要素が強まりつつある

 世界的な政情不安、原料価格の高騰などで物価上昇率が高まるなか、賃金はなかなか上がらず、消費者の家計は厳しい環境に置かれており、そろそろ住宅購入どころではなくなる可能性がある。

 しかも、世界的に金利が上がり始め、わが国でも長期金利に連動する固定金利型の住宅ローン金利が上がり始めている。短期金利に連動する変動金利型はまだ低金利が続いているものの、2023年には上昇が始まるのではないかという観測もある。

【関連記事はこちら】>>住宅ローンの変動金利が上昇する時期を予測! 高い貸出金利の人が激減して、銀行が一斉に金利を引き上げるのは「2023年」!?

不動産は売買の判断が難しい時期にさしかかる

 そうなると、住宅購入余力が低下し、市場環境が激変する可能性もある。それだけに、自宅の売却を考えている人なら、それまでに売却を済ませるのが無難かもしれない。

 また、購入を考えている人は、この先価格低下があるとみれば、それまで待ったほうがいいかもしれない。住宅の売買においては、たいへん判断が難しい時期にさしかかっているといってよさそうだ。

【関連記事はこちら】>>新築・中古マンション市場動向は? 2022年のマンション市場の振り返りと2023年の注目ポイント

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