4000万円で買った家はいくらで売れる? 売却時の注意点や高く売る方法を解説!

2023年2月16日公開(2023年3月22日更新)
竹内英二:不動産鑑定士・宅地建物取引士

「4000万円で買った家はいくらで売れるのか?」 築20年程度で約3300万円など統計データから推測される売却金額は算出されていますが、実際には売却時に土地価格が変動するため、もっと高く売れるときもあれば、安くなってしまうこともあります。では、実際には4000万円で購入した家は一体いくらで売れるのでしょうか? さまざまなデータを用いながら解説していきましょう。

4000万円で買った家はいくらで売れる?

 まず、4000万円で買った家はいくらで売れるかについて、「理論」と「統計」の2つから導き出される価格を解説します。

計算から求める築年数別価格の目安

 戸建ての査定価格は、土地価格と建物価格の合計額から導き出されます。

 「土地価格」は、周辺の更地の取引事例を参考に求められることが一般的です。「建物価格」は、新築時の価格から減価修正という手続きを経て計算されることが多いといえます。このような戸建ての価格の査定方法を「原価法」と呼びます。

 原価法では、建物価格は築年数が経過すると下落するという考え方がベースです。図表1は、築年数の経過によって建物価格が下落するイメージになります。

図表1 中古住宅の築年数と建物価格の下落率の推移

グラフ:中古住宅流通、リフォーム市場の現状
画像出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状

 ただし、上図は昔に作成されたものであり、あたかも築20年で建物価値がなくなるようなグラフとなっています。

 インターネット上では、この図を用いて建物価格はいまだに築20年でゼロ円になると解説している記事も多いですが、あまり参考にはならないでしょう。

 確かに、今から20年近く前には、木造建物は築20年で価格がゼロ円になるという考え方はありました。しかしながら、建築技術の進んだ現在ではその考え方は古く、建物価格は「築30~35年」程度でゼロ円になるものとして計算されることが一般的です。

 建物価格がゼロ円になるまでの年数を30年と仮定した場合、戸建て住宅の価格の計算式は以下のようになります。

中古戸建ての価格 = 土地価格 + 新築価格 × (1 - 経過年数 ÷ 30年)

 ここで、4000万円(土地価格は2200万円、建物価格は1800万円)の家の理論的な価格を計算すると図表2の通りです。土地価格は一定であると仮定します。

図表2 4000万円で買った家の築年数ごとの下落率

築年数 土地価格 建物価格 戸建て価格 下落率
新築時 2200万円 1800万円 4000万円 0.0%
10年目 2200万円 1200万円 3400万円 ▲15.0%
20年目 2200万円 600万円 2800万円 ▲30.0%
30年目 2200万円 0万円 2200万円 ▲45.0%
40年目 2200万円 0万円 2200万円 ▲45.0%

 上表の数値は、「土地価格と建物価格の内訳」をいくらにするかでも結果が異なってきます。

実際の数値で見る築年数別価格の目安

 実際の市場における4000万円の家の下落率は前節で計算したものとは異なります。主な理由としては、築年数の浅い物件は需要が強く、価格は築年数とともに直線的には下がらないからです。

 ここで、4000万円の家がどのように下落しているのか、実際のデータを見てみましょう。図表3は、首都圏における新築戸建て住宅の平均価格です。平均からするとおおむね4000万円の家は「東京多摩地区」に存在することがわかります。

図表3 首都圏の2021年新築建売住宅の価格

エリア 価格
東京23区 5793万円
横浜・川崎 4437万円
東京多摩地区 4027万円
埼玉県 3217万円
千葉県 3164万円

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2021年・年度 表4戸建住宅(新築)」暦年成約価格

 次に、東京の23区と多摩地区の築年数別における価格の下落率(新築から5年目までを100%とした場合)を図表4に示します。

図表4 東京23区と多摩地区の築年数別の価格の下落率

出典:公益財団法人近畿圏不動産流通機構「2021年度年刊市況レポート 表13中古戸建
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2021年・年度 表16戸建住宅(中古)
地域 土地価格 ~築5年 築6~10年 築11~15年 築16~20年 築21~25年 築26~30年 築31年~
東京23区 価格(万円) 6625 6057 6634 6275 5765 6073 4610
建物面積(㎡) 91.48 92.96 101.29 103.05 106.75 123.50 94.75
建物単価(万円/㎡) 72.42 65.16 65.50 60.89 54.00 49.17 48.65
下落率(%) 0.0% ▲10.0% ▲9.6% ▲15.9% ▲25.4% ▲32.1% ▲32.8%
多摩地区 価格(万円) 4173 4070 3711 3645 3550 3022 2545
建物面積(㎡) 93.76 97.59 99.25 99.84 109.83 107.98 102.10
建物単価(万円/㎡) 44.51 41.71 37.39 36.51 32.32 27.99 24.93
下落率(%) 0.0% ▲6.3% ▲16.0% ▲18.0% ▲27.4% ▲37.1% ▲44.0%

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2021年・年度 表16戸建住宅(中古)

 東京23区と多摩地区で下落率が異なるのは、新築当時の土地価格と建物価格の割合が異なるからです。

 土地価格は多摩地区よりも23区の方が高くなります。一方で、建物価格は多摩地区も23区も同じです。そのため、土地価格が高い23区のほうが新築時の建物価格の割合が相対的に多摩地区よりも小さくなります。

 住宅の価格が下がる主な原因は、築年数の経過による建物価格の下落でした。建物価格の割合が小さい23区では下落対象も小さくなるため、下落率が多摩地区より小さくなるのです。

 新築当時の土地価格と建物価格の割合は地域によっても異なることから、住宅の下落率は地域によって異なるという点がポイントとなります。

 4000万円の家は東京の多摩地区に多いため、4000万円の家の下落率は多摩地区のものを用いることが合理的です。

 多摩地区の価格の下落率を用いて4000万円の家の築年数別の価格を計算すると図表5のようになります。

図表5 築年数ごとの4000万円の家の売却価格の目安

築年数 価格 下落率
~築5年 4000万円 0.0%
築6~10年 3748万円 ▲6.3%
築11~15年 3360万円 ▲16.0%
築16~20年 3280万円 ▲18.0%
築21~25年 2904万円 ▲27.4%
築26~30年 2516万円 ▲37.1%
築31年~ 2240万円 ▲44.0%

 上表の数値を用いると、4000万円で買った家の築年数別の売却概算額は以下のような水準になると推測されます。

4000万円で買った家の売却価格予測
・築10年程度 約3700万円(下落率約8%)
・築20年程度 約3300万円(下落率約18%)
・築30年程度 約2500万円(下落率約38%)

 統計上、築20年に至っても価格は2割弱しか下落していません。思ったよりも価格が下がらない理由は、以下の要因が挙げられます。

・土地価格の割合が高いから
・土地価格が高い地域は住宅需要も多いから

 1つ目の理由は、土地価格の割合が高いからです。例えば、埼玉県における戸建て住宅の下落率は築20年で約30%となります。多摩地区(築20年で約▲18%)のほうが下落率が低いのは、多摩地区が埼玉県よりも土地価格が高いことが理由です。

 2つ目の理由は、土地価格が高い地域は住宅需要も多いからという点が挙げられます。住宅需要が強いから土地価格も高いという見方もできますが、いずれにしても住宅需要が多いエリアは価格が下がりにくいです。

4000万円で買った家の売却価格が簡単にわからない理由

 家の価格は、買ったときから売るまでの「建物価格の下落」と「土地価格の上下変動」の2つの要因で決まります。4000万円で買った家の売却価格が簡単にわからないのは、土地価格の変動も加わることが理由です。

 図表6に首都圏における過去10年間の戸建てと土地の価格の推移を示します。

図表6 首都圏の戸建てと土地の価格推移

図表6 首都圏の戸建てと土地の価格推移
出典:土地価格:国土交通省「地価公示 東京圏」、建物価格:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)

 近年は、土地価格の上昇によって中古の戸建て価格も上昇しています。

 家の価格がいくらになるかは、買ったときから土地価格がどのように変化しているかも重要な要素です。土地価格が上昇しているときに売れば下落率は小さくなりますし、土地価格が下落しているときに売れば下落率は一層大きくなります。

4000万円で買った家がいくらで売れるかを知る方法

4000万円の家はいくらで売れるのか
売却価格を知るなら「不動産一括査定」が便利(出所:PIXTA)

 4000万円で買った家がいくらで売れるかは、不動産会社に査定を依頼することで知ることができます。不動産会社は下落した「建物価格」だけでなく今の相場の「土地価格」も加味して価格を査定するため、適切な価格を算出できます。

 査定には、大きく分けで「訪問査定」と「机上査定(簡易査定)」の2種類があります。訪問査定とは、不動産会社が現地を実際に見て行う査定です。机上査定とは、不動産会社が現地を見ずに行う査定となります。

 訪問査定も机上査定もいずれも無料です。不動産一括査定サイトを利用すれば、無料で複数の不動産会社に査定を依頼できるため便利といえます。

 価格の精度は訪問査定の方が高いです。よって、売却がすでに決まっている場合は、訪問査定を依頼することが望ましいでしょう。

 一方で、ある程度価格を知ってから売却するかどうかを決めたいという人であれば、机上査定で十分です。

4000万円で買った家を高く売る方法

 4000万円で買った家を高く売る方法について解説します。

一般媒介契約も検討してみる

 4000万円で買った家は、3000万円以上で売れることも多く、首都圏の中でも金額は高い部類といえます。

 そのため、一般媒介契約を使って複数の不動産会社に同時の売却を依頼してみるのも一つの方法です。

 一般媒介契約とは、同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約になります。売却価格が高いと仲介手数料も高くなるため、不動産会社は頑張って他社よりも高く売ろうとしてくれます。

 高額物件は不動産会社の間で競争原理が働きやすいことから、一般媒介で依頼すると早く高く売れる確率が高まるのです。

低金利の時に売る

 低金利のときは、住宅ローンが安くなるため、住宅の購入需要が高まり不動産価格が高くなります。そのため、低金利の時のほうが家は高く売りやすいです。

 昨今は日銀が低金利環境を継続していることから、売るには良い時期といえます。

4000万円で買った家を売るときの注意点

 最後に、4000万円で買った家を売るときの注意点について解説します。

焦って売らない

 家を売る際は、焦って売らないようにしましょう。金額が高い物件は売却までに時間がかかることが一般的です。

 中古でも3000万円を超えれば郊外の新築物件と同水準であることから、即決できる人は少ないです。焦って早く売ろうとすると安く売ることにつながりますので、売却スケジュールは余裕を持って組むことが適切といえます。

内覧前に家をきれいにする

 内覧前に家を綺麗にしておくようにしましょう。内覧とは購入希望者に対して家の中を見せる販売行為を指します。中古住宅でも3000万円を超える物件は、新築物件と天秤にかけながら比較している人も多いです。

 家の中が汚いと、新築物件と比べると相当に見劣りしてしまいます。郊外の新築物件に購入希望者を奪われないようにするためにも、内覧前はしっかりと掃除することが望ましいです。

まとめ

 以上、「4000万円で買った家はいくらで売れるのか?」について解説してきました。統計データから推測すると4000万円で買った家は以下のような価格で売れるものと思われます。

4000万円で買った家の売却価格予測
・築10年程度 約3700万円(下落率約8%)
・築20年程度 約3300万円(下落率約18%)
・築30年程度 約2500万円(下落率約38%)

 4000万円の家は土地価格の割合が比較的高いことから、価格は思ったほど下落しないのが特徴です。

 売却時は購入時から土地価格も変動しているため、4000万円で買った家がいくらで売れるかを知るには査定が必要となります。

 適切な価格の把握には、複数の不動産会社の査定額を比較することが重要です。「不動産一括査定サイト」なら、一度の依頼で最大6〜10社の査定額が分かり便利なので、活用してみるとよいでしょう

【関連記事はこちら】>>不動産一括査定サイト&査定業者33社を比較! おすすめ、メリット・デメリット、選び方などを徹底解説

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