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新型コロナウイルスによる「相続手続き」の特例的な措置には、どんなものがある?

2020年9月25日公開(2020年9月25日更新)
古井一匡

古井一匡(ふるい・かずただ)氏:1960年富山県生まれ。1983年京都大学文学部卒。編集プロダクションを経てフリーに。住宅・不動産を中心に投資、金融、経営などお金とビジネス系の書籍、雑誌記事、ネットコンテンツなどの企画・編集・ライティングを手がける。著書に『矛盾の経営』(英治出版)、『住宅脳クイズ100問』(共著、住宅新報社)、『地震に強い新・住宅の条件―阪神・淡路大震災からの教訓』(共著、メディアファクトリー)などがある。

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新型コロナウイルスによって、相続の手続きにはどのような影響があるのでしょうか。特例的な措置から、相続税の土地評価がどうなるかまで、整理したいと思います。(協力・監修:税理士法人 弓家田・富山事務所 弓家田良彦氏)

相続の承認・放棄の「熟慮期間」は、申し立てで延長可

 新型コロナウイルスの感染状況は、引き続き予断を許さない傾向が続いています。

 その影響は各方面に及んでおり、相続における手続きでも、いろいろ特例的な措置の適用を受けることができます。

 そのひとつが、相続人が相続放棄や限定承認をする「熟慮期間」の延長です。

 そもそも相続では基本的に、亡くなった人(被相続人)の財産や債務を全て相続人が引き継ぎます(「単純承認」)。亡くなった人が借金等の債務を負っていた場合、相続人はその債務を返済しなければなりません。

 相続人が亡くなった人の債務を引き継ぎたくなければ、「相続放棄」ができます。あるいは、相続人が得た財産の限度で亡くなった人の債務を引き継ぐ「限定承認」を選ぶこともできます。

 ただし、「相続放棄」や「限定承認」をするには原則として、自己のために相続の開始があったこと(親族が亡くなり、自分が相続人となったこと)を知ったときから3カ月以内に家庭裁判所にその旨を申し立てる必要があります。

 この3カ月を「熟慮期間」といいます。もし、熟慮期間のうちに申し立てをしなければ「単純承認」したものとして、亡くなった人の財産や債務をすべて相続人が引き継ぐことになります。

 しかし、3カ月の熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても、「単純承認」「相続放棄」「限定承認」のいずれにするか判断できないような場合、家庭裁判所に延長の申し立てを行うことができます。

 延長の理由、延長の期間は事情に応じて申立書に記載すればよく、最終的には家庭裁判所が判断します。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大も、延長の申し立ての理由に当たると考えられ、法務省ではその旨の告知を行っています。

 ただし、延長の申し立てそのものは相続の発生を知ってから3カ月以内であり、延長の申し立てをしないまま3カ月が過ぎると、原則通り「単純承認」となるので注意が必要です。

 申し立てをするのは相続開始地(亡くなった人の最後の住所地)の家庭裁判所ですが、現地に赴かなくても、収入印紙800円分(相続人1人につき)を貼った申立書の郵送で構いません。

図表 申し立ての記載例

家事審判申立書

 

事件名:相続の承認又は放棄の期間伸長

 

申立理由:

1 申立人は、被相続人の長男です。

 

2 被相続人は令和○○年○○月○○日死亡し、同日、申立人は、相続が開始したことを知りました。

 

3 申立人は、被相続人の相続財産を調査していますが、被相続人は、幅広く事業を行っていたことから、相続財産が各地に分散しているほか、債務も相当額あるようです。また、新型コロナウイルスの感染拡大によって調査に支障が生じています。

 

4 そのため、法定期間内に、相続を承認するか放棄するかの判断をすることが困難な状況にあります。

 

5 よって、この期間を○か月伸長していただきたく、申し立ての趣旨のとおりの審判を求めます。

※出典:最高裁判所

相続税の申告期限も延長可能

 相続税の申告納付の期限は、原則として相続の開始があったことを知ったときから10カ月以内です。
【関連記事はこちら】>>相続では「誰が」「どれくらい」もらえる? 相続の手続きの基本からスケジュールまで詳しく解説!

 この申告納付の期限についても、新型コロナウイルスの影響を受けて個別延長の申し立てが可能です。国税庁のホームページによると、具体的には次のような扱いになっています。

●新型コロナウイルス感染症の影響により、相続人等が期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、個別に申請することで期限の個別延長が認められる。

●「やむを得ない理由」については、新型コロナウイルス感染症に感染した場合はもとより、新型コロナウイルス感染症の影響によって相続人等が次のような状況で申告が困難なケースなどが該当する。

 ◆体調不良により外出を控えている場合
 ◆平日の在宅勤務を要請している自治体に住んでいる場合
 ◆感染拡大により外出を控えている場合
 ◆その他、感染症の影響を受けて申告・納付期限までに申告・納付が困難な場合

●申告期限の延長に関する個別の申請は、別途、申請書等を作成して提出する必要はなく、申告書の提出の際、余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付 期限延長申請」といった文言を付記すればよい。e-Tax を利用する場合、「相続税の申告書等送信票(兼送付書)」の「特記事項」欄にその旨を入力すればよい。

相続税の申告期限も延長可能
申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載する

●申告期限および納付期限は原則として申告書の提出日となる。延長後の納付期限までに納付することが困難な場合は、納税猶予制度を適用できる場合がある。

相続税の土地評価では、調整率が導入される見込み

 新型コロナウイルスの影響のうち、相続税について特に気になるのが、土地の評価がどうなるかです。そもそも、相続税がかかる財産の中心は、土地などの不動産です。

 問題は、相続された土地の評価については、毎年7月に国税庁が発表する「相続税路線価」(その年の1月1日時点)等に基づいて計算する点にあります。「相続税路線価」は一般に、同じ年の3月に国土交通省が公表する「公示地価」(同年1月1日時点)の約8割が目安となっており、その年の1月1日から12月31日の間にあった相続や贈与において適用されます。しかし、今年の場合、新型コロナウイルスの発生によって、1年の途中で地価は大きく変化する可能性があるのです。
【関連記事はこちら】>>公示地価や相続税路線価ってどういうもの? 不動産取引で使う様々な「価格」について解説!

 実際、7月に発表された2020年分の路線価は前年と比べ、全国平均で1.6%上昇し、2019年の同1.3%から伸び率が拡大しています。前年比での上昇は5年連続です。沖縄などは前年8.3%の上昇だったものが、今年はさらに10.3%の上昇とペースがアップしています。

 しかし今後、市場での不動産取引が減少すれば、地価も下がる可能性が高いでしょう。今年(2020年)になって相続が発生し、土地を相続した場合、市場での実勢価格が路線価を下回るケースもないとはいえません。結果的に、土地にかかる相続税の負担が重くなってしまいます。

 さらに、相続税の支払いのために土地の一部を売ろうとしても、スムーズに売却できないことも十分考えられます。

 こうした状況に対応し、国税庁では今後、地価が下落して路線価を下回るような場合、地域を区切って調整率を定めることを検討しています。これは、路線価に対して0.9とか0.8といった数値(調整率)を掛け合わせることで、相続税の評価を減額するものです。

 2019年秋の台風19号による浸水被害が発生した地域でも、図表のような調整率が公表されました。今回も同じような形になると思われます。

令和元年台風第19号に係る調整率表の例
令和元年台風第19号に係る調整率表の例
※「比準」と記載がある場合は、該当する適用地域における「宅地」の調整率を乗じる。

 なお、新型コロナウイルスに係る調整率が公表されるのは、国土交通省が9月ごろに発表する都道府県地価(基準地価)や国税庁独自の調査などを踏まえ、10月以降になる予定といわれます。補正率が発表される前に相続税の申告納税を済ませてしまっていても、申告内容を修正する「相続税申告の更正請求」で対応できる見込みです。

 新型コロナウイルスの影響は相続にも及んでいます。手続きの面で特例的な措置をぜひ上手に活用してみてください。
【関連記事はこちら】>>「相続」で必要な書類、手続きのスケジュールを解説! 不動産を相続するときの基礎知識(1)

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サービス開始 2015年
運営会社 ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社)
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