2026年はタワマンから「低層マンション」人気の時代になるか?! 櫻井幸雄氏が注目物件を解説!

2026年2月4日公開(2026年2月3日更新)
櫻井幸雄:住宅評論家

新築マンション市場において今、タワーマンションの対極に位置する「低層マンション」が人気の兆しを見せている。独自調査では、東京23区内を中心に即日完売する超人気物件が続出。なぜ今、低層マンションが改めて選ばれているのか。最新の人気指数データから解説しよう。(住宅評論家・櫻井幸雄)

新築マンション人気物件に「低層マンション」が多くランクイン

 今、低層マンションの人気が高まっている。

 それは、筆者が定期的に行っている「マンション人気指数」調査で明らかになった興味深い事実だ。

 最新の「マンション人気指数」調査は、2025年7月1日から9月31日までの3カ月を調査期間とし、資料請求数と販売センターの来場者数から人気指数を算出したもの。人気指数が「1.0倍」以上を人気物件と認定している。

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 最新データでは、この人気物件に、低層マンションが全国で13物件も入っている。そのうち3物件の人気指数は、即日完売など短期間に売り切れる可能性が高い目安である「5.0倍」以上となった。

 今回の調査で人気物件と認定された低層マンションの多くは東京23区内で販売されたもの。意外なことに、都心部で低層マンションが増え、人気が高まっているのだ。

 低層マンションでもっとも人気指数が高かったのは、品川区の「ブランズ西小山」(人気指数7.6倍)。次いで、世田谷区の「サンウッド世田谷明大前」(同6.0倍)、杉並区の「サンウッド荻窪」(同5.8倍)。以上の3物件が人気指数「5.0倍」以上の超人気物件となる。

 さらに、「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」(同2.5倍)、「ルネグラン上石神井」(同2.3倍)、「クレヴィア等々力」(同2.3倍)、「クレヴィア世田谷砧THE COURT」(同2.3倍)、「イニシア祖師ヶ谷大蔵」(同1.0倍)の5物件も低層マンションとなる。

 5物件のうち、「ルネグラン上石神井」だけが練馬区で、残り4物件はすべて世田谷区に立地する。つまり、東京23区内の落ち着いた住宅エリアに建設されるマンションが多く、しかも個性派ぞろい。魅力は十分なのである。

即日完売も! 低層マンションで注目の3物件を解説

 人気の低層マンションとは、具体的にどんなマンションなのかを解説しよう。

ブランズ西小山

ブランズ西小山の外観イメージ
ブランズ西小山の外観イメージ(出典:ブランズ西小山公式サイト

 「ブランズ西小山」は、約60㎡から104㎡の2LDK〜3LDK。地上3階建て、全28戸の定期借地権方式のマンションだ。東急目黒線の西小山駅から徒歩7分で、価格は8190万円から2億1490万円。これには前払い賃料(地代)が1300万円から1980万円程度含まれる。

 定期借地権方式(借地期間約70年)のため、23区内の低層マンションとしては、価格が抑えられている。

ルネグラン上石神井

ルネグラン上石神井の外観イメージ
ルネグラン上石神井の外観イメージ(出所:ルネグラン上石神井公式サイト

 「ルネグラン上石神井」は、都内練馬区で西武新宿線の急行停車駅・上石神井駅から徒歩5分の住宅エリアに建設される全106戸、地上4階建ての低層マンションだ。急行停車駅から徒歩5分という立地条件は、低層マンションとしては希少。それだけでも注目要素といえるだろう。

 住戸は70㎡台の3LDKが中心で、80㎡台の4LDK、そして1LDK、2LDKも用意されている。住戸バリエーションが多く、1人暮らしから2人暮らしに向くことも、これまでの低層マンションにはなかった特徴だ。同マンションは、第1期販売で25戸が即日完売。抽選になった住戸もある。

プラウド美しが丘ヒルサイド

プラウド美しが丘ヒルサイドの外観イメージ(出所:プラウド美しが丘ヒルサイド公式サイト

 それ以外でも、「サンウッド世田谷明大前」や「ジオ深沢七丁目」など、首都圏で現在販売中の低層マンションは数が多い。

 取材時点では発売前となっていたが、野村不動産が横浜市で販売する「プラウド美しが丘ヒルサイド」も注目度が高い。建設地は東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩11分、地上4階建ての低層マンションである。

 駅から歩いて10分を超えるのだが注目する人が多く、全37戸に対して700件を超える資料請求が来ている人気ぶりだ。

 都心のタワマンほどではないが、低層マンションの人気が上がっている。新築分譲マンションにおける、注目しておきたい動きというべきだろう。

低層マンションの定義とその魅力とは

 近年、これほど低層マンションが注目されたことはなかった。目立ちにくい小規模低層マンションより、華やかな大規模超高層マンションのほうが人気になっていたからだ。

 それが今、にわかに人気が上昇。低層マンションの魅力が改めて評価されはじめた結果だと考えられる。

 タワマンの呼び名が定着した超高層タワーマンションの対極に位置するのが、低層マンション。鉄筋コンクリート造で3階建て、4階建て。高さは10m、12mのマンションである。

 超高層マンションの基準が地上60メートル以上なので、階数にするとだいたい20階以上。今は50階以上の超高層マンションもあるので、地上高が100mを超える巨大マンションもある。

 10mまたは12mまでというのは、建築できる建物の高さ制限がもっとも厳しい第一種低層住居専用地域で許可される高さである。つまり、戸建て住宅が集まる住宅エリアでもギリギリ建設できるマンションが、低層マンションということになる。

 以上の理由から、真の低層マンションは3階建てと4階建てといえる。超高層タワーマンションが駅の近くや再開発エリアに立地するのに対し、低層マンションは駅から離れた住宅地内に建設されるのが普通だ。

 まれに、駅のすぐ近くから戸建て住宅地が広がる場所では駅から徒歩5分以内の低層マンションも出現するが、それはレアケースとなる。

 一般的に、低層マンションが出現するのは駅から徒歩7分以上の場所。便利さよりも、環境の良さが持ち味となり、超高層タワーマンションのように大規模ではなく、小規模が中心となる。

 その結果、環境が良い場所に立地し、建物に威圧感が少なく、穏やかな風情が低層マンションの魅力となる。

人気再燃の理由はタワマン疲れや駅近低層マンションの増加

 低層マンションは、昭和時代は分譲マンションのなかでもひときわ高い人気を誇っていたのだが、21世紀に入ったあたりから一気に数が減り始めた。その理由は、2つある。

 1つは、都心の超高層タワーマンションの人気が高まったこと。もう1つは、郊外では建売住宅の値段が下がったことだ。

 「将来、値上がりする」という資産性の面からいえば、低層マンションより都心のタワーマンションのほうに分がある。「買うなら都心のタワマン」という人が増え、準都心や郊外で環境の良さをウリにする低層マンションは、注目する人が減ってしまった。

 加えて、郊外では住宅価格全般が下がり、低層マンションと同じような価格帯で購入できる建売住宅が増えた。だったら、建売住宅のほうがよいと判定されるようになった。

タワマン疲れという現象

 その状況がここ数年で変化してきた。今、低層マンションに人気物件が続出している理由として考えられるのは、“タワマン疲れ”というべき現象が出てきたからではないか。

 タワーマンション自体が珍しくなくなってきたし、価格も上昇している。加えて、高額化するタワーマンションを投資目的の日本人や外国人が買いあさっていると報じられることが多く、それにウンザリしているマイホーム購入者も少なくない。

 自らが住む目的でマンションや戸建てを買う人にとって、タワーマンションよりも低層マンションが好ましく思える状況が生じてきたわけだ。

駅近の低層マンションが増えてきた

 また、タイミング良く駅近の低層マンションが増えてきた。それは、用地取得の問題による。

 近年、不動産会社はマンション用地を取得しにくくなっている。便利で、大きな面積の土地はホテル用地として高値で買い取られる。そもそも、土地の売り物自体が減っている。そこで、不動産会社は住宅地内で小さめの土地も積極的に購入するようになった。

 戸建て住宅に囲まれた場所では、超高層も大規模なものもつくれない。小規模で低層のマンションしかつくれず、それで低層マンションが増えたわけだ。

 戸建て住宅地内の小さな土地であれば、抑えた価格で取得できる。それなら、低層マンションを建てても、分譲価格を抑えることができる。それで、低層マンションが増えているわけだ。

2026年は低層マンションに注目!

 では現在、購入可能な低層マンションは、具体的にどのくらいの価格水準なのか。

 東京23区内で、山手線外側エリアで建設される低層マンションは3LDKが1億円前後で購入できる物件が多い。決して安いとはいえないが、タワーマンションよりは割安と判断する購入者が増えている。

 郊外立地であれば、さらに価格が抑えられる。その期待感から、販売前から関心を持つ人が増えていると考えられる。

 2026年は、タワマンの対極にある「低層マンション」が一気に増え、人気が集まる可能性がある。

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