大阪の路線価は4年連続上昇! 関西エリアの地価の動向を最新データから解説

2025年8月21日公開(2025年8月25日更新)
神納まお:フリーライター

2025年(令和7年)1月1日時点の路線価が7月に発表され、大阪・関西エリアでは4年連続の上昇となった。関西エリアの地価動向の要因や今後の見通しはどうなるのか。本記事では、国税庁発表データをもとに、路線価の動向を解説する。

関西エリアの路線価は、大阪が4年連続上昇

関西エリアでもっとも路線価が高い地点は大阪市北区の阪急うめだ本店前
大阪市北区の阪急うめだ本店前(出所:PIXTA)

 関西エリアでもっとも路線価が高い地点は大阪市北区の阪急うめだ本店前(北区角田町 御堂筋)で、1㎡あたり2,088万円(前年比+3.2%)。大阪国税局管内の最高額地点であり、前年より64万円の上昇だ。

 京都市では、下京区四条通寺町東入2丁目御旅町四条通が1㎡あたり832万円(前年比+10.6%)神戸市では、中央区三宮町1丁目 三宮センター街が1㎡あたり584万円(前年比+9.8%)となっている。

関西エリアの路線価の前年比は?

大阪府:+4.4%(4年連続の上昇)
京都府:+3.7%
兵庫県:+2.0%
滋賀県:+0.5%
和歌山県:▲0.7%
奈良県:▲1.0%
※標準宅地とする

 大阪府が関西で最も高い上昇率を記録し、京都、兵庫がそれに続いている。奈良県・和歌山県では若干の下落となり、関西エリアは上昇と下落が明確に分かれる結果となった。

※路線価は、国税庁が毎年1月1日時点で算定する、主要な道路に面した土地の1㎡あたりの評価額。国土交通省が発表する公示価格や売買事例などを踏まえて算出。主に相続税や贈与税の計算基準として用いられる。2025年の対象は約31万8千地点。データは国税庁 「令和7年分都道府県庁所在都市の最高路線価」、「令和6年分都道府県庁所在都市の最高路線価」から。

大阪市内の開発エリアの地価が上昇

城東区の森ノ宮の路線価は、前年比で15%の上昇
Osaka Metro森ノ宮駅(出所:PIXTA)

 大阪市内では大規模開発エリアで地価上昇が顕著だ。とくに城東区の森之宮周辺は、前年の26位から6位に順位を上げ、前年比+15%という急上昇を示した。

 森ノ宮駅は、JR大阪環状線、Osaka Metro中央線・長堀鶴見緑地線が乗り入れており、大阪環状線で梅田エリアの大阪駅、中央線で万博会場の夢洲と直結している。

 駅周辺ではマンション建設も相次ぎ、2025年9月開校予定の大阪公立大学新キャンパス(森之宮キャンパス)に伴う学生需要の増加や、2028年開業予定のOsaka Metro新駅建設計画などが、地価を押し上げた要因だろう。

 梅田の北側(うめきた2期地区)でも2027年度全体開業予定の大型プロジェクトが進んでおり、現時点では一部が未完成だが、万博や新駅開発の相乗効果で将来の地価上昇が期待される。

【関連記事】>>うめきたエリアのマンションは買いか? 2027年の全体まちびらきに向けて資産価値を検証!

 夢洲(大阪湾上の万博会場)周辺でも、万博開催の影響を受けて地価が上昇傾向にある。

 近隣のベイエリア(弁天町〜住之江〜港区)では、調査地点全14カ所で上昇、最大+18.2%(弁天町中央大通沿い)、万博関連のインフラ整備および需要増が価格を押し上げていると考えられる。

関西エリアの路線価変動の主な要因

 関西エリアの路線価変動には、大阪の民泊特区や大阪・関西万博の開催など、5つの要因が挙げられる。それぞれ解説しよう。

1.全体のインバウンド回復および観光需要

 コロナ後の外国人旅行者の回復は商業地、観光地で需要を押し上げている。

 京都では、円安による訪日客の増加と商業用地需要の回復により、平均上昇率を3.7%(前年比)に拡大。大阪でも難波、新大阪、梅田の周辺で訪日客の需要が高まっており、難波駅周辺では前年比+17.9%の上昇率を記録。インバウンド需要は万博開催でさらに高まり、大阪府は2025年の訪日客について1,600万人を目標として掲げている。

2.大阪の「民泊特区」制度

 大阪市内でも、中国資本が不動産市場に大きな影響を与えている。

 国家戦略特区制度に基づく「特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)」は、マンションの空き室などを活用して旅行客を宿泊させることが可能で、国内の特区民泊の9割が大阪市に集中している。このうち、中国人や中国系法人が運営する施設は約4割を占めている。

 投資の形態としては、中古マンション一棟の購入や、老朽化した住宅を建て替えて民泊施設にするケースが多く見られる。

 今年(2025年)3月末時点で特区民泊施設が1,000件以上と、とくに多い浪速区では路線価が前年比17.9%上昇している。これは、特区民泊に転用が可能なマンションなどの売買が活発化したことによるものと考えられる。

3.大型イベントおよび大規模再開発事業

統合型リゾートIR
万博隣接地に建設予定のカジノを含む統合型リゾートIR(出典:統合型リゾート 大阪IR)

 2025年開催の大阪・関西万博は「インバウンド需要+都市再開発」の両面で路線価の上昇に影響を与えている。

 万博開催に伴うインフラ整備(新駅開業や道路整備)で地価が一段と上昇している。万博終了後には夢洲に統合型リゾート(IR)の建設も予定されており、長期的には地域開発需要として追い風となりそうだ。

 一方、万博終了直後は一時的に調整局面に入る可能性も指摘されているが、総じて大阪市中心部や再開発エリアの需要は高いと見られている。

【関連記事】>>大阪・関西万博で地価と不動産価格の上昇は続く? 過去事例と相関関係から今後を予測

4.大型商業施設・住宅開発

 大型商業施設の再開発によるホテルやビルの建設も路線価に影響する。並行して大阪や京都の住宅地でも、都心部ほどの急騰ではないものの路線価は堅調に推移している。

 大阪市内では、関西電力不動産開発などによる西区、福島区といった中心部の高層タワーマンション開発が複数進行しており、これらの周辺で路線価が高騰している。

 新大阪周辺では、交通インフラの整備(リニア中央新幹線構想、なにわ筋線、新大阪連絡線など)と再開発が進んでおり、交通アクセスの向上による地価上昇がみられる。

 また、京都市内でも、下京区や上京区を中心にマンションや戸建用地が着実に売れており、住宅地価格も緩やかに上昇している。

 公示地価(国交省調査)でも大阪府の住宅地は前年比2%超上昇、京都府で3%台の上昇となった(2025年公示地価)。

【関連記事】>>新大阪エリアのマンションは”買い”なのか?リニア駅新設で世界有数の広域交通ターミナルになる可能性も

5.外国人投資家による影響

 近年、海外資金の流入が関西エリアの不動産市場で注視されている。全国的な地価上昇の要因は、海外マネーの流入とインバウンド増加があると指摘されており、実際に大阪や神戸の中心部では、外国人投資家向けのリゾートホテルや高級マンション案件などが増加している。

 たとえば、大阪市内ではアジア系投資家による高級タワーマンションやホテルの共同開発事例が報じられており、外国人富裕層向け需要も全体を押し上げている。また、兵庫県豊岡市の城崎温泉でも、訪日客増加を追い風にした外国資本によるリゾート投資が活発化し、管轄税務署管内の最高上昇率(+24.2%)にもつながっている。

 外国人投資家の不動産参入は、主要商業地・観光地の地価押し上げに寄与している。

まとめ〜今後の大阪・関西エリアの地価の見通し

 大阪・関西エリアの地価は、短期的にも引き続き強含むと見られる。大阪万博開催中はインバウンド・開発効果で地価上昇に弾みがついており、万博終了後も大阪市中心部の上昇傾向が続くと予想する声がある。

 万博隣接地に2029〜2030年のカジノも含むIR開業が予定されており、長期的にはIR開業を織り込んで地価上昇が続く可能性が高いとされている。

 一方で、万博後の一時的調整も予想されており、短期ではイベント需要終了による反動下落リスクも無視できない。

 しかし、梅田・中之島の大規模開発や新線計画(なにわ筋線・リニア新幹線など)が数年間にわたり継続するため、結果的には大阪中心部や主要都市周辺の地価は堅調に推移すると見込まれる。

 とくに、うめきた再開発エリアやベイエリア(IR開業)、新大阪〜十三エリア(リニア・再開発関連)などは引き続き注目されるエリアだ。

 まとめると、インフレ・金利動向や経済情勢による影響はあるものの、大阪・関西では今後数年にわたり土地需要は堅調に続くだろう。
※編集部注:まとめの部分に一部間違いがあったため修正いたしました。

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