関西最後の一等地と呼ばれるうめきたエリアでは、国際競争力を高める新たな都市拠点「うめきたプロジェクト」の開発が進められている。2027年に全体まちびらきの予定である。今回は、うめきたエリアの特長やプロジェクトの概要に触れながら、エリア周辺のマンションの資産価値を検証していく。
うめきたは大規模都市開発が進むターミナルエリア

うめきたは、鉄道4社、7駅が集結し1日あたり約240万人が行き交うターミナルエリアとして知られている。2031年予定のなにわ筋線開業されれば、梅田を西日本の主要な国際ゲートウェイとして位置づけ、エリア全体の経済圏を拡大することだろう。結果として、国際的なビジネス・観光拠点としての地位を確立することに繋がる。
この立地の強みを活かし、国際競争力を高める新たな都市拠点とするために、2002年に都市再生緊急整備地域の指定をうけ、うめきたプロジェクトが始動した。
うめきた2期区域のまちびらき状況

現在は2期のグラングリーン大阪(総面積約91,000㎡)の開発が進行中だ。「みどり」と「イノベーション」の融合をテーマに掲げ、2027年春の全体まちびらきを目指している。舞台は「大阪最後の一等地」と称される梅田貨物駅跡地だ。
うめきた公園をはじめ、新たなイノベーション創出をめざす中核施設 JAM BASEのコアとなる天井高15mの展示スタジオVS(ヴイエス)、ショッピングモールのうめきたグリーンプレイス、複合商業施設グラングリーン大阪(北館)が2024年に先行オープンしている。
2025年3月に開業したグラングリーン大阪南館には55店舗の商業施設に加え、ヒルトンの最高級ホテルブランドであるウォルドーフ・アストリア大阪、ホテル阪急グランレスパイア大阪、都市型スパなどが集積する。
また、グラングリーン大阪は大阪駅、グランフロント大阪、新梅田シティと歩行者デッキで結ぶ回遊動線が整備され、近隣エリアへのアクセスがスムーズになる。
今後の開発予定は以下を予定している。
●2025年12月 グラングリーン大阪 The North Residence完成
●2027年春 うめきた公園全体開園 全体まちびらき
●2028年7月 (仮称)グラングリーン大阪The South Residence完成
最終的な全体開業は2027年春頃を予定しており、プロジェクトの全貌が明らかになることで、その価値が市場に完全に織り込まれ価格上昇する可能性が高い。
グラングリーン大阪内の注目レジデンスの予想価格
グラングリーン大阪内は、グラングリーン大阪The North Residenceとグラングリーン大阪The South Residenceの2棟の分譲タワーマンションが並ぶことになる。周辺物件の価格にも影響を及ぼす各レジデンスの販売価格を見ておこう。
即完売したグラングリーン大阪The North Residence

2025年12月下旬に完成予定のグラングリーン大阪The North Residence(地上46階、総戸数484戸)は、2024年の販売開始で即完売となっている。
「王宮」をテーマに18世紀後半ヨーロッパで広まったネオ・クラシック様式を基調にしたデザインで、都市公園が眼前に広がるロケーション。
販売価格は1億円から25億円、各住戸で差が大きいが平均坪単価は900万円だ。
このレジデンスは、これまでのマンションにない特長を持っている。たとえば、愛車を専用のエレベーターで住戸まで運び込み、自宅のリビングで眺めることができるカーギャラリー付き住戸が用意されている。

全住戸に家庭用燃料電池エネファームtype Sを設置。非常用発電機と組み合わせた自立型エネルギーシステムを導入し、停電時も最大約72時間にわたって電力の供給が可能になる。
こうした希少性の高いタワーレジデンスは、一般的な不動産市場の影響を受けにくく、かぎられた層に支持され高値を維持しやすい。プレミアムを伴う価格上昇も期待できる。
2028年7月完成予定の(仮称)グラングリーン大阪The South Residence

2028年7月に完成予定の分譲タワーマンション(仮称)グラングリーン大阪The South Residenceに注目が集まっている。
<物件概要>
物件名称 | (仮称)グラングリーン大阪The South Residence |
---|---|
所在地 | 大阪市北区大深町1番39の一部(地番) |
敷地面積 | 5,174.47㎡ |
延床面積 | 87,685.20㎡ |
完成予定日 | 2028年7月 |
高さ・階数 | 184m・47階建て |
総戸数 | 569戸 |
アクセス | JR大阪駅から徒歩6~7分 |
事業主 | 三菱地所、大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、積水ハウス、竹中工務店、阪急電鉄、三菱地所レジデンス、うめきた開発特定目的会社などJV |
現時点では予定のプランや仕様も発表されていないが、グラングリーン大阪The North Residenceと売り主が同じため共用施設や設備仕様は大きく変更されないと考えられる。
販売時期は未定だが、2026年3月にグラングリーン大阪The North Residenceが引き渡し予定のため、その前後にエントリーの受け付けがスタートする可能性がある。
グラングリーン大阪The South Residenceは大阪駅まで徒歩6~7分とより駅に近くなり、眺望も期待できるため、価格が高くなるかもしれない。
普通に考えれば、坪単価は全体的に100万円程度値上げされる可能性があり、平均坪単価は1000万を超えることになる。その場合、低・中層階の価格帯は1LDKでも1億円台後半から2億円台、2LDKで2億円台後半から3億円台が中心になると予想される。最高価格は25億円を超える可能性も考えられるだろう。
ただ、これは通常の感覚での予想であり、マンションの価格の高騰要因である建築資材、人件費、外資流入、供給不足の継続に加え、うめきた開発プロジェクトの進行、まちびらきにより、さらなる値上げも考えられる。
また2026年3月に引渡しとなる 「グラングリーン大阪The North Residence」 が、新築分譲時の1.5倍以上(2億~30億以上)で売れるとなると、「グラングリーン大阪The South Residence」の価格設定は想像がつかない領域に入る可能性が出てくる。坪単価1,500万円を超えるという事態もないとはいえない。
【関連記事】>>グラングリーン大阪 THE SOUTH RESIDENCE」の価格は? うめきた2期開発でランドマークタワマンが誕生
うめきたエリアの地価およびマンション価格の現在
うめきたプロジェクトが進んでいることもあり、うめきたエリアの地価およびマンションの価格が高騰している。
大阪市都市調整局が公表している「令和6年地価公示結果について(大阪市)」によると前年平均変動率は住宅地で3.7%、商業地で9.4%上昇したことがわかった。梅田地区の商業地では、堅調なオフィス需要とうめきた2期開発への期待感から上昇率が顕著に拡大している。
不動産研究所にて麗澤大学の仙石裕明客員准教授の協力のもと、うめきたエリア中古マンションの価格推移を予想してみたが、中古マンション価格は現在4,707万円(222万円/坪)で、10年後はノーマルシナリオで5,533万円(261万円/坪、10年間で+17.6%)推移となる見込みとなっている。
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うめきたエリアの地価および不動産価格の現在
資産価値を検証する際は、外部要因も併せて検証することが必要だ。ここでは、外的要因も含めたうめきたエリアの将来性を考察していく。
●プラス要因
まず、国際競争力を高める新たな都市拠点となることでインバウンド需要が見込まれるだろう。地域の活性化で不動産の価値が上がることが予想できる。
JR大阪駅周辺ではJPタワー大阪(2024年3月)やイノゲート大阪(2024年7月)といった大型複合施設が相次いで開業。さらに阪急梅田駅周辺の再開発も計画されている。これら一連の開発で、エリア全体の不動産価値を強力に押し上げる相乗効果が生まれる。
また、エリア内のうめきた公園は、都心にありながら豊かな緑と水に囲まれた空間を提供し、居住者のQOL(生活の質)の向上に寄与する。
さらには、最新防災基準に基づくインフラの整備(避難所、防災公園など)や、洪水対策、最新の防災設備の導入などの防災対策が施されている。これらにより、居住の安全性と安心感が高まり、長期的な資産価値の維持につながることになる。
グラングリーン大阪The South Residenceの価格は、経済環境等に大きな変化がなければ、グラングリーン大阪The North Residenceよりも高額になりそうだ。また、2つのランドマーク物件は「価格リーダー」としての役割を果たし、周辺の高級マンションの価値も引き上げる良い意味での「ハロー効果」を生み出すことになりそうだ。
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●マイナス要因
いうまでもなく不動産市場は経済動向に大きく左右される。
金融政策の変更によっては金利変動が不動産市場に影響を与える可能性がある。とくに、高額なマンション購入においては、金利上昇がローン返済の負担を増加させ、需要を冷え込ませることを考慮すべき。
大阪市北区では、グラングリーン大阪の The North Residence、The South Residenceに加えて、レグナスタワー新梅田、(仮称)中之島5丁目計画、(仮称)グランドメゾン西天満四丁目タワーなど複数のタワーマンションの建設が計画されている。
これらの供給が集中することで、一時的にマンション市場が供給過多となり、価格競争や空室率の上昇に繋がる可能性もある。
また、万博終了後に需要が減退する万博後の需要減を懸念する声も存在する。
うめきたエリアの物件は「買い」か
グラングリーン大阪の全体完成を2027年度に控え、うめきたエリアのマンションは、その資産性において極めて高い評価を受けるだろう。
短期的には金利変動や周辺エリアの高級マンション供給増加といったリスクもあるものの、うめきたエリアのマンションは、これらのリスクを上回るほどの強力な資産価値を向させる独自の魅力を有しているといえる。
特に、長期的な視点での資産形成や、都心での質の高いライフスタイルを求める投資家にとって、グラングリーン大阪エリアのマンションは魅力的な「買い」の対象であると判断してよいだろう。
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