「遺産分割前の預貯金の引き出し」が、平成31年度の相続法(民法相続編)の改正によって、かなり柔軟に行えるようになった。改正するに至った経緯について詳しく振り返りながら、「遺産分割前の預貯金の引き出し」の条件について分かりやすく解説しよう!(取材協力・監修:法律事務所アルシエン 武内優宏弁護士)
(1) 「配偶者居住権」のメリット
(2) 「特別受益の持ち戻し免除の推定」とは
(3) 「自筆証書遺言」の要件緩和と、新たな保管方法
(4) 「遺産分割前の預貯金の引き出し」の柔軟化
(5) 「相続登記における対抗要件」の変更
(6) 「遺留分」制度の見直しの影響
2016年12月までは、実際は柔軟な対応がされてきた
「遺産分割前の預貯金の引き出し」

相続が発生した際、金融機関の窓口で亡くなった人(被相続人)の預貯金などを引き出すことは、2016年12月までは法的に可能だった。実務上、共同相続人全員の同意がなければ預貯金の払い戻しに応じないという金融機関も、実際は個別の事情に合わせて柔軟な対応を行ってきた。まずは2016年12月までの状況を詳しく見ていこう。
相続される財産(遺産)のうち、金融機関の預貯金は債権にあたる。債権には一般に「可分債権」と「不可分債権」があり、最高裁はこれまでの判例で「可分債権」は相続と同時に、法定相続分に従って相続人が引き継ぐとしてきた。
そのため従来、各相続人はそれぞれの法定相続分に応じた払い戻しを個別に請求することができた。
そして、金融機関ももちろん、亡くなった人(被相続人)の預貯金が可分債権であり、相続と同時に法定相続人に法定相続分で引き継がれることは分かっていた。
しかし、法定相続分に応じて預貯金の払い戻しを行ったつもりが、後から法定相続分が違っていたことが判明したり、法定相続分とは異なる内容の遺言が発見されたりすると、場合によっては再度、払い戻しに応じなければならなくなる。
そこで多くの金融機関は、共同相続人全員の同意がなければ、預貯金の払い戻しに応じないという実務上の対応を取っていたのである。
かねて言われてきた「口座凍結」とは、金融機関の窓口における実務上の対応にすぎない。それ故、個別の事情に応じて柔軟な対応も実際には行われてきた。
例えば、葬儀費用の支払いなどについて、葬儀の見積書などを提出することを条件に、一部の預金の払い戻しを認めたりしていた。
最高裁の判例変更で実務に混乱
ところが2016年12月の最高裁判決で、こうした状況が一変した。
亡くなった人(被相続人)の預貯金は「可分債権」ではなく「不可分債権」であると、判例が変更されたのだ。そして、遺産分割の対象とされたのである。
なぜこのような判例変更が行われたのか。
実は、このとき争われていたのが、特定の相続人が亡くなった人(被相続人)の生前に、多額の贈与(特別受益)を受けていたケースだった。
特定の相続人に特別受益がある場合、特別受益の分を相続財産に加えて各相続人の相続分を計算する。そして、特別受益を受けた相続人については、計算した相続分から特別受益の分を控除したものが、実際の相続分となる。
重要なことは、計算した相続分以上の特別受益があったとしても、相続分がゼロになるだけであるということだ。特別受益があったとしても、それが遺留分(最低限相続できる分のこと。詳細は第6回で解説予定)を侵害していない限り、返却をする必要はない。
ここに預貯金の扱いが絡む。多額の特別受益がある相続人も、相続の時点で亡くなった人(被相続人)の口座にあった預貯金が可分債権であれば、多額の特別受益を受けた上で、さらに預貯金についても法定相続分に応じた払い戻しを請求できてしまっていたのである。
こうした不公平をなくすため、2016年12月の最高裁判決では、亡くなった人(被相続人)の預貯金については「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である」とした。生前の特別受益と、相続発生時の預貯金を合わせて、遺産分割の対象にするべきというのである。
このように最高裁の判例変更は当該事件においては合理的といえるものだったが、実質的には亡くなった人(被相続人)の預貯金は「可分債権」ではなく「不可分債権」になることを意味し、実務面には大きな影響を与えた。
金融機関の窓口における柔軟な対応で一部払い戻しをしていたものが、亡くなった人(被相続人)の預貯金は可分債権ではないとされたため、当面の生活費、葬儀費用の支払い、亡くなった人(被相続人)の債務の支払い、相続税の支払いなど緊急性の高いケースでも、いっさい引き出すことができなくなった。
このため特に不利になったのが、資金力のない相続人である。亡くなった人(被相続人)の預貯金を相続できないと各種支払いができない場合など、遺産分割がもめて長引けば長引くほど不利益を被る。遺産分割協議において、不利な条件でも同意せざるを得なくなったりするのである。
2016年の最高裁判決ではこうした不都合な事態については、「家事事件手続法における仮分割の仮処分」という方法で対応すればいいという補足意見が付いた。
ただし、仮分割の仮処分には法文上、「急迫の危険の防止」が必要であり、当面の生活費や葬儀費用の支払いなどでは基本的に当てはまらず、使いにくいという問題があった。
今回の民法改正で「柔軟化」が明確に
こうした経緯を経て今回の相続法(民法相続編)改正では、遺産分割前の預貯金の引き出しについて、いくつかの手当てを行ったのである。
具体的なポイントは次の通りだ。
第一に、今回の改正においても、亡くなった人(被相続人)の預貯金については、最高裁判例のとおり実質的には不可分債権とされる。
第二に、とはいえ、相続開始時の預貯金のうち一定額については、遺産分割前でも引き出せるようにする。その額は原則として各預貯金口座残高の3分の1に権利行使者の法定相続分を掛けた額で、一金融機関あたり150万円が上限となる。
第三に、預貯金債権の額は相続開始の時点で固定し、開始後に増減しても影響しない。もし、他の相続人が先に無断で引き出していて残高がなければ引き出すことはできない。
第四に、施行日は2019年7月1日だが、それ以前に相続が発生していても、施行日以降は引き出せる。
第五に、仮分割仮処分についても一部、緩和する。これまで「急迫の危険を防止」が要件だったが、預貯金については遺産分割調停を申し立て、
- a. 相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁など遺産に属する預貯金債権を行使する必要があること
- b. 他の共同相続人の利益を侵害しないこと
という要件が認められれば仮分割の仮処分が可能となる。
以上のことから、遺産分割前の預貯金の引き出しは、かなり柔軟に行えるようになった。これまでの“常識”にとらわれず、相続人として自らの権利をきちんと行使することが大切である。
なお、今回の相続法(民法相続編)改正では、遺産分割前の使い込みについても、その扱いが見直された。
これまで遺産分割は、相続時に存在し、かつ分割時に現存している財産が対象であった。相続人の一人が預金凍結前にキャッシュカードで預金を引き出していた場合、分割時に現存していないので遺産分割の対象外となり、取り戻すには遺産分割とは別に訴訟提起する必要があった。
実務的には、全員の同意があれば遺産として存在していることにして分割対象にすることもできたが、使い込んだ相続人は同意しないケースも多々あった。
それに対し、2019年7月1日以降に発生した相続においては、使い込んだ相続人の同意がなくても、遺産として存在するものとみなすことができるようになった。ただし、誰が処分したか不明な場合は適用されない。
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