【2022年版】不動産売却で確定申告が必要な人は? 必要書類や課税の仕組みを解説!シリーズ「不動産売却の秘訣」

2021年3月29日公開(2022年2月21日更新)
山本健司:ミライアス株式会社 代表取締役

不動産を購入した価格よりも高い金額で売却して、譲渡所得(利益)が出た場合は税金がかかってきます。分離課税として給与所得などほかの所得とは分けて計算し、年度末には確定申告をする必要があります。専門家に相談する場合でも、課税の仕組みを理解しておくと話がスムーズになります。

不動産売却の確定申告とは

不動産売却で利益が出たら確定申告が必要(出所:PIXTA)

 不動産売却では、譲渡所得(利益)がなければ課税されないため確定申告は不要ですが、利益が出れば確定申告をしなければなりません。不動産売却後の税金や確定申告については、不動産仲介会社が詳しく説明してくれるとは限りませんし、正確な知識を持っていない営業担当者も多くいます。

 このため、売主さんが、確定申告を前にどうしたらよいのか分からず困るケースや、適用できる特例の存在を知らずに損をしてしまうケースが少なくありません。実際の確定申告では、税務署の相談窓口か税理士に相談することをおすすめしますが、その場合も基本的な課税の仕組みを理解しておくほうが、専門家の説明がよく分かり、申告手続きを円滑に進められます。

 不動産売却で譲渡所得があれば、その翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告をしなければなりません。

 なお、令和3年分の確定申告においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応として、申告・納付等の期限について個別延長等の措置がとられています。詳しくは「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取り扱いに関するFAQ」をご確認ください。

 確定申告は、①必要書類の準備(下表参照)、②譲渡所得税の計算、③確定申告書類の提出の流れで行います。

確定申告に必要な書類

書類名 用途 入手場所
確定申告書B様式 個人事業者や土地・建物を売った人などが使用する申告書類 税務署
分離課税用の申告書 土地・建物の譲渡などの給与所得とは分離して課税される場合に必要な申告書類 税務署
売買契約書のコピー 売却した不動産に関する情報(所在地、面積、売却金額等)などを記入する書類 不動産の売却時に締結したもの
建物・土地の登記事項証明書

購入金額と売却金額の証明として使用
(不動産を購入した際の不動産売買契約書のコピーと不動産を売却した際の不動産売買契約書のコピーが必要)

不動産が所在する管轄法務局
領収書 取得費用と譲渡費用の証明として使用 不動産の売却時に入手したもの

 ②譲渡所得税の計算については次で解説します。③確定申告書類の提出先は、不動産が所在する管轄の税務署です。提出方法は、持参、郵送、電子申告(e-Tax)があります。

譲渡所得税を計算する

 不動産を売却したら税金がかかるといっても、5千万円で売却したから、その5千万円に課税されるということではありません。税金がかかるのは、譲渡価額(売却価格)から、物件の取得費や譲渡で発生した費用と特別控除を控除した「課税譲渡所得」に対してです。課税譲渡所得は、以下の計算式で求められます。

課税譲渡所得 = 譲渡価額-(取得費 + 譲渡費用)

・取得費
 売った土地や建物を買い入れたときの購入代金、建物の建築代金(建物の購入代金・建築代金からは減価償却費相当額を差し引く)、土地の造成費用や測量費などの合計金額です。

 取得費等が大きければ大きいほど課税譲渡所得は小さくなりますから、税金を抑えるうえで有利になります。取得費を求めるには2つの方法がありますので、金額が大きくなるほうを選ぶようにしましょう。

 取得費を求める方法の一つは「実額法」で、不動産取得時の契約書や領収書などを根拠に、実際に支払った実額取得費を求めます。

 もう一つは「概算法」で、「譲渡収入金額×5%」を概算取得費とします。不動産取得時の書類がなくて実額取得費が不明な場合、または実額取得費より概算取得費のほうが大きい場合は、概算法を使用してください。今より貨幣価値が低かった時代に取得した不動産では、購入価格100万円などということもあります。そうしたケースでは概算取得費を用いるほうが有利です。

・譲渡費用
 仲介手数料、印紙税、貸家の売却に際して支払った立ち退き料、建物を取り壊して土地を売った際の取り壊し費用と、その建物の損失額などです。

不動産売却の特別控除

 譲渡価額から控除できる費用には、不動産の取得費や譲渡費用、特別控除などがあります。自分の住んでいる家屋と土地を売った場合は、最高3千万円を控除できます。ほかにも併用可能な特例等があれば活用しましょう。

税率は不動産の所有期間で変わるので注意!

 不動産の売却利益が出たとき、実際にかかってくる税金は、復興特別所得税を含む所得税(国税)と住民税(地方税)ですが、税率は売主さんがその不動産をどのくらいの期間所有していたかにより変わってきます。
※復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に必要な財源確保を目的に、2013(平成25)年に導入された税金のこと

 居住用住宅を例にとってみましょう。所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得に区分され、税率は39.63%。5年超なら長期譲渡所得となり、税率は20.315%です(いずれも所得税と住民税の合計)。

 また、所有期間が10年を超える居住用住宅では、課税譲渡所得6千万円以下の部分については軽減税率が設定されています。詳しくは下の譲渡所得税率表をご覧ください。

譲渡所得税率

区分 所有期間
長短区分 短期譲渡所得 長期譲渡所得
期間 5年以下 5年超 10年超所有軽減税率の特例
居住用 39.63%
・所得税30.63%
・住民税9%
20.315%
・所得税15.315%
・住民税5%
(1)課税譲渡所得
6千万円以下の部分
14.21%
・所得税10.21%
・住民税4%

(2)課税譲渡所得
6千万円超の部分
20.315%
・所得税15.315%
・住民税5%
非居住用 39.63%
・所得税30.63%
・住民税9%
20.315%
・所得税15.315%
・住民税5%

※所得税には復興特別所得税が含まれます

 ここで言う所有期間とは、「不動産取得の日から、譲渡日が属する年の1月1日まで」です。不動産取得の日から譲渡の日までではありませんので、注意してください。所有期間は、「不動産取得後、何回お正月を迎えたか」と考えると、分かりやすいでしょう。

 「長期」とは取得日から5年超はお正月を6回以上、10年超なら11回以上迎えていることになります。長期譲渡所得のほうが、短期譲渡所得より税率が低くなりますので、実際の所有期間が分岐点付近という方は特に、この判定を間違わないよう気をつけましょう。

 また、不動産の取得日と譲渡日は、契約日(売買契約を締結した日)か、物件(鍵)の引き渡し日かを選べます。所有期間が長くなるように選択してください。なお、税額計算には、物件取得時と譲渡時の契約書・領収書類が必要となります。何百万円と税額が変わることもあるので、相続不動産の書類もしっかり探しておきましょう。

建物の場合は「減価償却費」を差し引く

 3千万円で購入した木造のマイホームを所有している方が、10年後にその家を同じ3千万円で売却したとします。こういうケースでは、譲渡所得がないので非課税と思っている方が多いのですが、残念ながらその認識は間違いです。建物は10年間の間に一定の劣化をしており、建物の取得費は、その劣化分を差し引いた金額としなければなりません。この建物の劣化分に相当する金額を「減価償却費」といいます。

 建物の法定耐用年数は構造ごとに決まっており、減価償却費はこの法定耐用年数をもとに算出します。定額法では非事業用の建物の耐用年数は、事業用建物の1.5倍です。木造のマイホームやセカンドハウスなら、耐用年数は33年で、償却率は0.031。(鉄骨)鉄筋コンクリートであれば、耐用年数70年で償却率0.015などのように、減価償却率も決められています。

 住宅用建物の減価償却費の計算方法には、毎年同額を減価償却する前出の「定額法」と、毎年同率を減価償却する「定率法」の2種類の方法があります。年数により計算が複雑になりますので、必要に応じて税務署や税理士に相談し、正しい減価償却費、そして取得費を計算するようにしましょう。

【関連記事はこちら】>>マンションなど不動産売却にかかる「税金」を安くする方法は? 自宅、賃貸、相続した空き家などで異なる控除など節税方法や税金の計算式を解説

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<不動産売却の基礎知識>
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対応物件 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
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