不動産売却で引き渡しまでの流れや必要書類は? 
購入希望者との条件交渉で注意すべき点も解説!シリーズ「不動産売却の秘訣」

2021年3月2日公開(2021年4月9日更新)
山本健司
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不動産の購入希望者が見つかり、いよいよ売買契約へ向けたラストスパート。ここで大きなミスを犯さないよう、細心の注意を払いながら契約を締結したいものです。売買交渉時の注意点や契約から引き渡しまでに必要な書類と手続きなどについて知っておきましょう。

不動産売却の条件交渉では、確定測量図などが必要になる場合も

不動産売買契約
出所:PIXTA

 不動産の購入希望者が見つかると売買条件の話し合いに入ります。

 土地の場合では、境界確定とそれについて隣接する土地の所有者の同意書が欲しいといった条件を、先方から出されることがあります。この条件をクリアする「確定測量図」がない売主さんは、早い段階で用意しておきましょう。土地や戸建てを売却するときは、この「確定測量図」が必要となる場合があります。土地家屋調査士に依頼後、作成に数カ月かかることもありますので、早めに準備すると慌てずにすみます。

 マンションや戸建てでは、「エアコン無しなら、少し価格を下げて」といった要望もよくあります。設備についてはあらかじめ、担当者が詳細な「設備表」を作成しており、エアコンの有無も明記されています。その条件で売りに出しているのですから、住み替え先に持っていく予定だったエアコンを残すなら、反対にその分を価格に上積みして交渉することもできます。

 雨漏り、腐敗箇所、シロアリ被害、火災や事件事故の有無まで細かく告知した「物件状況等報告書」も、売買契約書の一部として担当者が作成しているはずです。「物件状況等報告書」と「設備表」は、価格交渉や契約不適合(瑕疵担保)責任にも関わる大切な書類ですから、売買条件の交渉前に内容を把握しておきましょう

 ところで、購入申し込みを受けて、「今月中ならこの値段で買うと言っていますよ」、「タイミング的にうまく交渉できそうです」と、担当者がいつになく執拗に背中を押してくることがあります。今月の彼の営業成績と、月末や期末というタイミングからして、今月中の契約ならたいへん都合が良いのは、売主さんでも買主さんでもなく、担当者自身かもしれません。しっかりと内容を聞いておきましょう。

売買条件の交渉で重要な「売買契約の締結日」と「決済日(物件の引き渡し日)」

 売買条件の交渉の場では、価格も俎上(そじょう)に載せます。購入希望価格で値引きを求められることも多いので、防衛策として、「最低でもこの金額で売る」という最低ラインを決め、担当者と共有しておきましょう。タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)が現れても、最低ラインを死守すれば大きな損にはなりません。売主さんも買主さんも納得して売買契約が成立すると、その価格が成約価格になります。

 「売買契約の締結日」と「決済日(物件の引き渡し日)」も、重要な売買条件です。売買契約は、売買条件がまとまって5日〜1週間以内で締結するのが一般的です。買手の心変わりを避ける意味でも、契約締結日は先延ばしにしないほうがよいでしょう。

 決済日には、物件を引き渡して売却代金を受け取ります。そのお金で住み替え物件を購入する売主さんも多いと思いますので、新居確保の都合や引っ越し予定とすり合わせて検討し、買主さん側と相談してください。売買契約の1カ月〜3カ月後に、決済日を設定するのが一般的です。

「売買契約書」は事前に入手して、しっかりチェックを

 買主さんが決まり、売買の金額も条件もまとまって、正式に買主と売買契約を結ぶ日です。多くの場合、不動産会社のオフィスに集まって行います。「売買契約書」は、売主と買主の間で合意した内容をもとに、不動産会社が作成しますので、できれば契約日の前にコピーを送ってもらい、落ち着いた環境でじっくり目を通してください。

 契約書に書かれている物件情報は登記簿どおりか、売買価格と支払い日に間違いはないか、所有権の移転と物件の引き渡し日はどうか、ひとつひとつよく確認していきます。

 一方的に自分に不利な条項や曖昧な条項があれば、担当者に修正の相談をし、漏れている内容は、追加で契約書に盛り込んでもらいましょう。面倒かもしれませんが、行き違いを未然に防ぎ、後悔しないためのひと手間です。漏れや不利な記載はないか、売買契約書には必ず事前に目を通すようにします。

 また、以下の項目も重要ですので、必ず確認してください。

・手付金について

 売買契約書を交わす際に、買主さんから売主さんに払われる手付金には、「解約手付」という性質があります。買主は手付金を放棄し、売主は買主に手付金を倍返しすることで、契約解除ができるのです。これを悪用して、安い手付金で物件を押さえておき、別の物件と二股をかける買主さんもたまにいます。そう気楽に解約されても困りますから、手付金は少なくとも売買価格の5%〜10%になっていることを確認しましょう。

・土地、戸建ての土地面積について

 登記簿に記載された公簿面積で契約する場合と、測量した実測面積で契約する場合があります。契約日までに測量が間に合わないときは、後日、契約面積と実測面積との差に応じた代金精算を行います。

・売主の瑕疵担保や設備の修復義務について

 売却後に隠れた瑕疵が見つかった場合、売主が負う契約不適合(瑕疵担保)責任の期間を確認します。空調、水回り、給湯などの設備の不具合についても、修理義務の期間が書かれている場合があります。これらについては、「物件状況等報告書」と「設備表」を作成して添付します。物件や設備の状態を正確に書いて告知しておくことで、損害賠償責任や修補責任のリスクを軽減できるのです。

 なお、物件状況等報告書を確認のうえ買主が物件を購入した場合は、報告書で告知ずみの内容については、売主の瑕疵担保責任は免除されます。

【関連記事はこちら】>>不動産売買契約書でチェックすべきポイントを解説!
家やマンションの売却で起こるトラブルを回避しよう

売買契約から引き渡しまでの流れは?

抵当権抹消登記申請書の見本
写真を拡大 抵当権抹消登記申請書の見本(出所:法務局「不動産登記の申請書様式について」から)

 売買契約を締結しても、物件を引き渡す決済日まで、売主さんがやることは山積みです。

 住宅ローンが残っている場合は、速やかに金融機関に決済日を伝えて、抵当権抹消の準備を始めましょう。決済日には物件の売買代金で住宅ローンを一括返済しますが、足りないときは不足分のお金も用意しなくてはなりません。建物が立っている土地を更地で引き渡す約束になっている場合は、建物の解体と廃棄物の撤去も、決済日までにすませます。

 引っ越し準備も待ったなしです。掃除については、中古不動産では買主さんがあとでリフォームをすることが多いので、毎年の大掃除レベルでよいと思います。電気関係や給湯など、付帯する設備が正常に作動するかを確認し、庭やベランダの掃除も忘れずに。

 引っ越し当日に手違いがあるといけませんので、決済日の前日までには家が空になるよう、余裕をみたスケジューリングが大事です。捨てるものは少しずつ捨て、引っ越し費用を抑えたいなら、不要になった家具なども、どんどん粗大ゴミに出してしまいましょう。

決済日に必要書類などを忘れると、引き渡しができない!

 不動産の決済では大きなお金が動くことから、買主が住宅ローンを組む金融機関の契約室がよく使われます。不動産会社の担当者、司法書士、売主さんが住宅ローンを組んでいた金融機関の担当者、買主が住宅ローンを組む金融機関の担当者が立ち会います。さまざまな書類が必要ですので、忘れものをしないよう気をつけましょう。権利証を忘れた、間違った印鑑を持ってきたということになると、所有権の移転ができず、物件の引き渡しもできません。

 ここで、決済日に必要な書類などを整理しておきましょう。

【決済日に必要な書類など】
① 本人確認書類
② 登記済権利証(登記識別情報通知)
③ 固定資産税等納付通知書
④ 抵当権抹消書類
⑤ 実印と印鑑証明書
⑥ 住民票または戸籍の附票
⑦ 分譲時のパンフレット、管理規約、備品や設備の説明書、 引き継ぎ可能なマンション分譲時の瑕疵保険の案内など
⑧ 通帳・銀行印
⑨ 売却物件の鍵

 引き渡しまでの流れですが、まず買主さんが住宅ローンの手続きをし、そのお金で売主さんへの支払いを完了します。また、売主さんが納めたその年の固定資産税のうち、決済日以降の分を買主負担として精算します。売主さんに住宅ローンが残っている場合、受け取ったお金で速やかに住宅ローンを完済すると、抵当権は抹消され、司法書士が所有権移転登記を完了させます。

 その後、不動産会社に仲介手数料を支払い、重要事項確認書や鍵を買主さんに渡します。ついでに、町内会長さんの連絡先やゴミ出しの場所、マンションなら郵便受けの番号などをメモ書きにして一緒に渡してあげると、喜んでもらえるでしょう。

 また、マンション分譲時にもらったパンフレット類には、設備や保安などに関する案内も載っているので、手元にある場合は新しい入居者に渡すと親切です。これで決済は終了です。

物件引き渡し後3カ月は、契約不適合(瑕疵担保)責任に注意する

 火災保険や地震保険は、フライングで解約すると、たとえ数日でも無保険状態になってしまいますので、決済直後に解約するのが賢明だと思います。

 また、一般的な不動産契約書の場合、売却物件の付帯設備の故障などについては、引き渡し7日以内に請求を受けたものに限って、売主の責任で修復することになります。同じく引き渡しから3カ月は、契約不適合(瑕疵担保)責任に関する請求を受ける可能性もあります。いきなり連絡がきても慌てないよう、心づもりはしておきましょう。

 それ以外で、たとえば電気がつかないとか、設備の使い方が分からないとか、仲介会社や買主さんから問い合わせがあったら、快く対応するようにしましょう。みんなが一斉に新しい生活を始める新築分譲と違って、買主さんは、すでにできあがっているコミュニティーに入っていくことになります。不安が減るよう少し協力するだけで、ずいぶん心証が良くなるでしょう。買主さんが喜んでくれるのは、売主さんにとってもよいことです。
【関連記事はこちら】>> 不動産一括査定サイト&仲介業者25社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう

まとめ

・売買交渉で重要なのは、「確定測量図」「設備表」「物件状況等報告書」

・条件が折り合ったら1週間以内に売買契約を

・「売買契約書」は事前にしっかりと確認

・決済日に必要な書類は早めに手配し、忘れず持参

・契約不適合(瑕疵担保)責任や設備修復義務の期間も重要

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