物件の売却が決まり、不動産会社に宣伝をしてもらっているけれど、一向に売却先が決まらない…そんな悩みはありませんか? 問い合わせが入らない、または内覧に来ても契約に至らないというのなら、問題は何かを探る必要があります。あなたが買手だったら、という視点で見直してみましょう。
売り出した物件に問い合わせが入らないなら、 買手の視点を踏まえて原因を探そう

売り出した物件にいつ買手がつくか、確実なことは誰にも言えません。本当にすぐ購入希望者が見つかる場合もありますし、数カ月たっても見つからない場合もあります。販売活動に力を入れているのに、ひと月たっても問い合わせすら入らない、内覧に来る人はいるのに購入申し込みがないといった場合、どこかで何かが間違っているのかもしれません。
担当者から送られてくる販売活動報告も参考にして課題をあぶり出し、至急、対策を練る必要があります。 中古物件を探している人は多くの場合、築年数、価格、立地などを重視して検討します。
「通勤・通学の便や環境はどうか」
「あまり古い建物は避けたい」
「反対に、建物の状態さえよければ、築年数にはさほどこだわらない」
「同じような条件ならできるだけ安い物件を、価格が同じくらいなら、できるだけ条件のよい物件を選びたい」
など、お客さまの選択基準はさまざまですが、一方でとてもシビアで明快です。売手側としても、お客さまの厳しい視点から、販売戦略を見直してみることがまず必要です。
適切な売り出し価格を設定できているか?
売り出し価格を決める際、近隣地域の相場も確認しているはずですが、もしかしたら必要以上に強気の価格設定をしているのかもしれません。再度、自分の売り出し物件とよく似た条件の物件の取引価格を確かめてみましょう。
相場より高すぎた値段を引き下げるべきか、それとも設定した価格に見合う物件だとお客さまを説得できるような魅力を、もっと打ち出すべきか。その金額を算定した根拠もしっかり確認したうえで、担当者と打ち合わせて対策を講じていきましょう。
中古マンションの購入検討者は、売り出している部屋の価格だけでなく、管理費や修繕積立金にかかる費用も含めて、総合的に検討している可能性があります。そうした点も考慮して、価格が妥当か確認してください。ただし、一度下げた価格を元に戻すことは難しいので、値下げに関しては慎重に行う必要があります。
物件の魅力を伝えきれているか?

広告用写真が良くない、提供している情報が足りない、という問題はありませんか? どんより曇った空の下、ボサボサの庭木越しに立つ、色あせた戸建て住宅。どこかガランとわびしく見える、マンションのリビングルーム。そういう写真を見て、購買意欲をかきたてられる人はまずいません。
天気の良い日を選んで、明るく魅力的な写真を撮影し直すなど、担当者のお尻をたたいて、すぐに改善に取りかかりましょう。物件内のできるだけ多くの場所を写真で見られるほうが、内覧にもつながりやすくなります。
余裕があれば、「ホームステージング」を検討してみましょう。ホームステージングとは、売りに出すマンションや家に、おしゃれな家具や生活雑貨を設置してイメージアップを図る手法のこと。ホームステージングをした魅力的な写真などを、マイソク(販売図面)や広告に使うことで、ほかの物件と差別化を図ることができます。
【関連記事はこちら】>>マンションを売るのに「ホームステージング」は効果があるのか、編集部員が試した結果は?
情報不足という点では、住んでいるからこそ分かる物件の良さを、もう一度担当者に伝えてください。そのうえで、具体的にどういう情報をプラスすれば物件の魅力が伝わるか、改めて担当者と相談します。
そもそも物件の存在を知られていない、という悲劇
不動産ポータルサイトで物件を探すお客さまは、そこに情報が出ていなければ、あなたの物件が売りに出されていること自体、知ることができません。問い合わせが来ないのも当たり前です。どうなっているのか、担当者に状況を確認してください。
媒介契約をしている不動産会社が囲い込みをやっていれば、コンピューターネットワークシステム「レインズ」上でも、情報の拡散が阻害されている可能性があります。レインズで自分の物件の「取引状況」を見てみましょう。
【関連記事はこちら】不動産売却、成約の秘訣は広告にあり! ポータルサイトやレインズなど、売主がチェックするポイントも解説
取引状況には、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3通りがあり、買いたい人を募集しているときは「公開中」となります。公開中なのに問い合わせが来ないとしたら、囲い込みの可能性があります。
また、取引状況が「購入申込みあり」になっているのに、営業担当者から何の報告もない場合、この“購入申込み”は他社を排除するためのウソです。ただちに担当者に説明を求め、是正してもらいましょう。不誠実な業者のためにチャンスを逃すようなことが、あってはなりません。合理的な説明や改善がない場合は、媒介契約の解除も検討すべきです。
内覧では部屋を広く、明るく、きれいに見せる

住まいの購入を検討する際、お客さまは必ず内覧を申し込んできます。内覧でお客さまに知ってもらうべきことは、あなたの物件に対する「幸せのイメージ」です。この物件に住んだら、きっとすてきな生活ができる、そう内覧者に思ってもらうことが目標です。
そのために、部屋から水回り、ベランダや庭まで、しっかりと掃除をします。クローゼットや押し入れも、すべて見せるのが内覧の原則です。余計なものは片付けて、窓ガラスを磨き、壁、天井、照明器具や網戸などのほこりや汚れも、きれいさっぱり落とします。これだけで、部屋は広く明るく見えるはずです。
引っ越し準備もかねて、少しずつ家財道具の整理や、掃除を進めると無理がありません。また、壁紙の破れや穴、床の傷、網戸やふすまの破れなど、簡単にできる修理はしておきましょう。すぐに直せない場合は、あとでトラブルにならないよう、内覧者に正直に話すことも大事です。
マンションの場合は、エントランスや共用部分も忘れずに点検を。散らかっていたり、照明が切れていたりしたら、管理会社に頼んで処理してもらいましょう。
内覧者に、分譲時のパンフレットを渡すと喜ばれる
内覧希望があると、不動産会社から売主さんに連絡が入ります。日時はできるだけ、相手の都合に合わせるようにしましょう。 当日の準備として、住宅展示場ほど凝った演出をする必要はありませんが、お客さまを歓迎する気持ちを込めて、花やグリーンを飾ってもよいですね。
昼間でも照明は全部つけて、できるだけ明るくし、換気と室温にも気をつけてください。住んでいる人が案外気づかないのが、住まいのにおい。においが付きやすい部分は消臭スプレーをすることも効果的です。玄関や排水溝は丁寧に掃除しておきましょう。
たいていの場合、不動産会社の担当者が内覧者をお連れして、家の中を案内しながら、室内を見せていきます。同席する場合は、売主さんも少し下がって歩き、いつでも質問に答えられるようにしておきましょう。
もし分譲時のパンフレットがあれば、内覧者に渡してください。事前に担当者に頼んでコピーを作っておくと便利です。パンフレットには物件の詳細情報が書かれていますから、その場では要点だけを話し、「物件のパンフレットのコピーを差し上げますので、後ほどゆっくりご覧ください」と言うと感じがよいですし、取引が成功する可能性も高くなります。
内覧はあるのに申し込みに至らないときは、後日、内覧者の反応や感想を営業担当者からよく聞いて、改善の余地があれば改善するようにしましょう。
【関連記事はこちら】不動産一括査定サイト&査定業者25社で比較! メリット・デメリット、掲載不動産会社、不動産の種類で評価しよう
まとめ
・価格設定、物件の見せ方は適切か、買主の視点になって見直す
・不動産会社に囲い込みをされていないか確認する
・内覧時は、物件の魅力が伝わるよう、掃除や換気は念入りに
・内覧者に求められたら隅々まですべて見せる
・分譲時のパンフレットがあれば、コピーをして渡す
◆ミライアスの売却査定(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地 | |
相談実績数 | 2万7411件 | ![]() |
サービス開始 | 2018年 | |
運営会社 | ミライアス株式会社(東京都渋谷区) | |
営業エリア | 東京都、神奈川、埼玉、千葉県 | |
【ポイント】平均成約日数33日のスピード成約を誇るだけでなく、売り出し価格と売却価格の乖離率も4.5%と低い(2020年3月実績)。売り手も買い手も喜ぶ、最大750万円の建物・設備補償は、大手に引けを取らない充実ぶり。 | ||
シリーズ「不動産売却の秘訣」
・不動産会社の選び方
・不動産売却の流れと費用
・売り時
・不動産の価格を調べる
・売り出し中の宣伝
・問い合わせが入らない
・購入希望者がみつかった後の手続き
・どの購入希望者にいくらで売るべきか
・物件タイプ別 売却時の注意点
・売れなさそうな物件、売主に事情がある物件
・譲渡所得が出た場合の確定申告
・売却時に活用したい控除
【注目の記事はこちら】 【査定】相場を知るのに便利な、一括査定サイト&業者"25社"を比較 【業者選び】売却のプロが教える、「不動産会社の選び方・7カ条」 【査定】不動産一括査定サイトのメリット・デメリットを紹介 【業界動向】大手不動産会社は両手取引が蔓延!? 「両手比率」を試算! 【ノウハウ】知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」 |
<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!
不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産仲介会社に査定をしてもらうのがいい。
そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を一度入力すれば、複数社から査定してもらうことができる。査定額を比較できるので、不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産仲介会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産仲介会社が増加している。
「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。
なので、一括査定で複数の不動産仲介会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。
以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。
【注目の記事はこちら】 【業者選び】売却のプロが教える、「不動産会社の選び方・7カ条」 【査定】相場を知るのに便利な、一括査定サイト&業者"主要25社"を比較 【査定】不動産一括査定サイトのメリット・デメリットを紹介 【業界動向】大手不動産会社は両手取引が蔓延!? 「両手比率」を試算! 【ノウハウ】知っておきたい「物件情報を拡散させる方法」 |
■相場を知るのに、おすすめの「不動産一括査定サイト」はこちら! |
◆SUUMO(スーモ)売却査定(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地 | |
掲載する不動産会社数 | 約2000店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2009年 | |
運営会社 | 株式会社リクルート住まいカンパニー(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 不動産サイトとして圧倒的な知名度を誇るSUUMO(スーモ)による、無料の一括査定サービス。主要大手不動産会社から、地元に強い不動産会社まで参加しており、査定額を比較できる。 | ||
◆HOME4U(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 1500社 | ![]() |
サービス開始 | 2001年 | |
運営会社 | NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。提携会社数は競合サイトと比較するとトップではないが、厳選されている。 | ||
◆イエウール(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1600社以上 | ![]() |
サービス開始 | 2014年 | |
運営会社 | Speee | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点。弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。 | ||
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件 | |
掲載する不動産会社数 | 2399社 | ![]() |
サービス開始 | 2008年 | |
運営会社 | LIFULL(東証一部) | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点。弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。 | ||
◆イエイ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 | |
掲載する不動産会社数 | 1700社 | ![]() |
サービス開始 | 2007年 | |
運営会社 | セカイエ | |
紹介会社数 | 最大6社 | |
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。 | ||
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション | |
掲載する不動産会社数 | 900社超、2500店舗 | ![]() |
サービス開始 | 2011年 | |
運営会社 | マンションリサーチ | |
紹介会社数 | 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社) | |
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定は3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取り扱い物件がマンションしかない点。 | ||
◆おうちダイレクト「プロフェッショナル売却」(不動産一括査定サイト) | ||
対応物件の種類 | マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟アパート、店舗、事務所 | |
掲載する不動産会社数 | 9社 | ![]() |
サービス開始 | 2015年 | |
運営会社 | ヤフー株式会社、SREホールディングス株式会社(ともに東証一部子会社) | |
紹介会社数 | 最大9社 | |
【ポイント】ヤフーとソニーグループが共同運営する一括査定サイト。不動産会社に売却を依頼後も、ヤフーとおうちダイレクトのネットワークを使い、購入希望者への周知をサポートしてくれる。 | ||