専門家が選ぶ、賃貸のおすすめ火災保険【2023年版】

2022年12月30日公開(2023年1月11日更新)
ダイヤモンド不動産研究所
監修者 平野雅章:横浜FP事務所 代表,葛石晋三:株式会社日本総険 専務取締役

【専門家が選ぶ、賃貸のおすすめ火災保険(2022年版)】一口に火災保険とはいっても、補償内容や保険料もさまざま。そこで、火災保険に詳しい2名の専門家が、大手損保会社をはじめとした主要な商品を比較! 賃貸住宅におすすめの火災保険を紹介します。

賃貸の火災保険を比較する際は、必ず複数社で見積もりを!

 賃貸住宅の契約を結んだ時には、火災保険への加入が必要になってきます。多くの人は、不動産会社で賃貸契約を結ぶ際に、同時に勧められた火災保険に加入しています。あまり知られていないのですが、実は、賃貸住宅の火災保険は自分で選んで契約することができます。

 火災保険は、自然災害や事故などによる住まいの損害(建物・家財)を補償する保険で、補償内容や保険の対象とする物件によって、保険料が大きく異なります。

火災保険 見積もり おすすめ
火災保険は、複数社から見積もりを取って、比較した上で契約しよう(画像:PIXTA)

 そのため、よりお得な商品を探すためにも、複数社から見積もりを取って、保険料と補償内容を比較することが重要になってきます。

 補償内容については、損保各社それぞれの商品に特徴があり、自分で詳しく見ていくことは困難な場合も。そうしたときには、専門家の意見が参考になります。

 そこで、この記事では、火災保険の専門家による、賃貸住宅の「おすすめの火災保険」の紹介と、商品の選定ポイントを紹介します。

専門家が選ぶ おすすめ火災保険【賃貸編】

今回教えてくれるのはこのお2人!

  • 平野雅章さん

    平野雅章氏

    横浜FP事務所代表、全国ファイナンシャルプランナー相談協会 代表理事。1級FP技能士・CFP(R)。住宅ローン、火災保険などを中心に累計3,500件を超える個人相談を行っている。

  • 葛石晋三さん

    葛石晋三氏

    株式会社日本総険 専務取締役。保険仲立人として、個人・法人向け損害保険の商品選定やリスクマネジメントのコンサルティングを行う。

  • その1

    損保ジャパン

    THE 家財の保険

    ロゴ

    賃貸用火災保険としてはプラン数が多く、ニーズに即した補償内容を選択しやすいのが特徴です。水災補償(床上浸水や土砂災害による損害の補償)、および地震保険の付帯も可能なので、1階に住んでいる人は水災補償の必要性を確認し付帯を検討するとよいでしょう。保険料は割安な水準です。ネット経由での申し込みができず、近くの代理店を探して相談する必要があります。(平野氏)

    • 新価
    • 水災補償対象外可
    • 風災等補償対象外不可
  • その2

    日新火災

    お部屋を借りるときの保険

    ロゴ

    地域・建物構造にかかわらず保険料が全国一律というシンプルな設計。火災保険に詳しくない人も、ネットで簡単に見積もり、契約をすることができます。保険料は割安な水準。被害事故法律相談費用も年30万円までカバーできます。水災補償はなく、地震保険の付帯もできない点には注意が必要でしょう。(平野氏)

    • 新価
    • 水災補償なし
    • 風災等補償対象外不可
  • その3

    チューリッヒ少額短期保険

    ミニケア賃貸保険

    ロゴ

    こちらも保険料は地域・建物構造にかかわらず全国一律。ネットで見積もり、申し込みができます。保険料は割安な水準で、被害事故法律相談費用も年30万円までカバーしています。ただ、個人賠償責任特約は上限1000万円と、自転車事故で加害者となった時などの保険としては厳しい条件です。水災補償(床上浸水や土砂災害による損害の補償)がなく、地震保険の付帯もできない点は注意が必要です。(平野氏)

    • 新価
    • 水災補償なし
    • 風災等補償対象外不可
  • その4

    エポス少額短期保険

    ROOM GUARD Be +家財破汚損追加補償特約

    ロゴ

    火災保険に詳しくなくても分かりやすい商品説明が好印象の賃貸むけ火災保険です。WEBサイトには事故事例なども紹介されており、見積もりから契約までネットで完結できます。少額短期保険には珍しく「駆けつけサービス」も付いています。水災補償(床上浸水)は自動付帯となっており、外すことはできません。敷地内の自転車盗難や、備え付け家具や設備への破損についても、保険の対象にしているのもいいですね。(葛石氏)

    • 新価
    • 水災補償対象外不可
    • 風災等補償対象外不可
  • その5

    東京海上ミレア少額短期保険

    お部屋の保険ワイドⅡ

    ロゴ

    こちらは高齢者の一人暮らしにおすすめの火災保険。万が一、独居死をした場合には遺品整理費用などが受け取れます。また、偶然、家財を壊した場合も補償対象となっており、幅広く補償がきく火災保険です(テレビ液晶単独損害は対象外)。敷地内駐輪場の自転車盗難も補償の対象になります。(葛石氏)

    • 新価
    • 水災補償対象外不可
    • 風災等補償対象外不可

 

賃貸の火災保険を選ぶポイント

・家財の保険金額が適切か?
・借家人賠償責任補償が十分か(通常は1000万円で充分)
・個人賠償責任補償が十分か(自転車事故を考慮すると最低1億円を確保したい)
・1階など部屋で水災補償が必要な場合、選択できるか

 賃貸住宅の場合、建物は大家の持ち物ですから、保険をかけるのは自分の持ち物、つまり「家財」がメインになります。家財の保険金額は、家族構成(大人と子どもの人数)と世帯主の年齢から、ある程度の目安が立てられます。

 賃貸住宅に住まう独身世帯であれば、年齢に関わらず、300万円と見積もっておけば十分でしょう。

【表】家財保険 保険金額の目安表

家財 保険金額 目安

  また、賃貸住宅の場合、家財の保険のほかに、借りている部屋に損害を与えてしまったときのための「借家人賠償責任保険」に加入します。加えて、日常生活のトラブルに対処する「個人賠償責任保険」がセットになった商品を選びましょう。

 借家人賠償責任補償の保険金額は、通常1000万円で十分です。個人賠償責任保険の保険金額は、1億円あると安心できます。

 なお、住居が1階の場合は浸水被害などを受ける可能性があるので、補償範囲に「水災」が含まれているかどうかをチェックすることも重要です。

賃貸の火災保険の相場はどれぐらい?

 賃貸の火災保険の保険料は、家財の保険金額、補償範囲などによって決まります。以下で、おおよその保険料の相場を示しましたので、参考にしてください。

【賃貸の火災保険料の相場】

年間約5,000円~8,000円
 

※2020年6月試算 ※水災、盗難といったオプションをすべて付けた場合

 ただし、安いからという理由だけで選ぶのはおすすめできません。保険金額と補償内容をしっかり確認し、複数の商品から比較して選ぶようにしましょう。

賃貸の火災保険の入り方

 賃貸住宅の火災保険の入り方について解説します。

1.補償内容を確認する

 賃貸住宅の火災保険は、基本的に3つの補償で構成されています。

・家財保険(入居者の家財一式に対する補償)
・借家人賠償責任保険(入居する部屋の、原状回復のための補償)
・個人賠償責任保険(日常生活のトラブルに対する補償)

「賃貸の火災保険」の一般的な内訳

保険 説明
①家財の保険

室内にある自分の持ち物(財産)に対してかける保険。

家具、家電製品、食器、日用品、衣服、日用品などが対象。

②借家人賠償責任保険

借りている部屋に損害を与えてしまった場合に備える保険。

偶然の事故や過失によって部屋が損害を受け、

現状回復が必要な場合に補償される。

③個人賠償責任保険

日常生活のさまざまなトラブルなどで相手に対して損害を与え、賠償金を支払う場合に備える保険。

 ①家財の保険では、火災だけではなく、落雷や爆発、風災、雹(ひょう)災、雪災、盗難などによる損害も補償範囲となっているのが一般的です。

 これら全てがセットになっている商品もあれば、補償内容をある程度自由にカスタマイズできる商品も存在します。高層階に住んでいて水災リスクが少ない賃貸住宅であれば、カスタマイズ性の高い商品を選び、水災補償を外して保険料を抑えるということも可能です。

2.家財の保険金額を決める

 家財保険にかける保険金額を決めましょう。保険金額は、家具や家電、衣服などを改めて買い直す場合にかかる金額を設定します(再調達価額)。

 なお、保険金額を高くすると保険料も高くなりますが、保険金の支払い時には、実際に家財を再購入するための費用が限度額になりますので、なるべく現実に近い額にするのが理想です。本当は300万円分の家財しかないのに、500万円の火災保険に加入した場合、事故時に500万円が支払われることはありません。 

3.保険期間を決める

 賃貸住宅の火災保険は、一般的に1年もしくは2年間の契約となっています。それよりも短い期間だけ居住する場合には、1年未満の契約も可能です。

【関連記事】>>賃貸住宅の火災保険とは? 加入が必要な理由と、お得な入り方を解説! 自分で選べば、保険料が年間半額程度になることも

賃貸住宅でも火災保険への加入が必要な理由

 住宅や家財の損害に対して備える火災保険ですが、「まれにしか起きないリスクのために加入する必要があるのか?」 と考える人もいるでしょう。しかし、以下のようなリスクに備えるためにも、火災保険は持ち家・賃貸にかかわらず、必ず加入しておきたい保険です。

隣家からもらい火を受けるリスク(失火責任法)

 民法には、通称「失火責任法」という法律があります。これは、「火元に重大な過失がない限り、延焼先への損害賠償責任を負わない」というもので、仮に隣家からのもらい火で自宅が全焼したとしても、失火者に対して損害賠償を求めることはできません。※失火者に重大な過失があった場合は除きます

そのため、自分の責任ではない火災によって自宅に損害を受けたとしても、自己負担で直さなくてはならないケースがあるというわけです。こんな時、火災保険に加入していれば、自宅と家財の損害分が補償されますから、経済的損失が少なくてすみます。

火災を発生させてしまった場合のリスク

 自宅から火災が発生した場合は、当然ながら、修理費用や再建費用は自己負担となります。先ほど説明した「失火責任法」があるので、隣家へ被害が及んだ場合でも失火者である自分が損害賠償責任を負う必要はありませんが、火災保険で「類焼損害補償」などに入っていれば、類焼で損害を受けた人が加入している火災保険でカバーしきれない損害に対して、失火者の保険で補償することが可能です。

自然災害が起きた場合のリスク

 近年は、台風や大雨といった自然災害が増えており、甚大な被害になることも多くなりました。こうした自然災害によって損害を受けた場合にも、火災保険で補償が受けられます。洪水による床上浸水などがこれにあたります。

 火災保険に加入していれば、こうした自然災害による被害にも備えられます。ただし、どこまでを補償範囲とするかは契約時に自分で選択する必要があります。

 火災保険の基本補償には、一般的に「火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹(ひょう)災・雪災」が含まれていることが多いですが、「水災」は補償範囲にされていないことがあります。大雨による洪水や土砂災害など、水災のリスクが高い地域に住んでいるのであれば、水災が補償範囲に含まれているかをチェックしたほうがいいでしょう。

 こうした理由から、賃貸住宅でも火災保険の加入は必須です。火災保険料をなるべく抑えたいという場合は、不動産会社に勧められた商品以外にも、一度自分で商品を探してみるといいでしょう。

※地震による被害は「地震保険」で対応する

 自然災害による損害は、基本的に火災保険で補償されますが、地震が原因となった損害については火災保険で対応できません。地震・津波・地震による火災に備えるには「地震保険」への加入が必要です。

 地震保険は、火災保険への加入が前提となっていて、単体で加入することができません。また、保険金額も、火災保険の保険金の30%~50%(上限:建物5000万円、家財1000万円)と定められています。

 火災保険よりも補償が薄いと感じるかもしれませんが、地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営しているもの。目的は「被災者の生活の安定に寄与すること」であり、損害を補償するものではありません。それでも、地震で被害を受けた場合には地震保険でしか保険金は受け取れないので、必ず加入しておきたい保険です。

 なお、地震保険はどこの保険会社で加入しても、保険料は変わりません。
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