火災保険料は2022年10月にも値上げへ! 契約期間も最長5年へ短縮される見込み! 保険料の値上げ前にチェックしておくべきこととは?

2022年1月17日公開(2022年1月17日更新)
福崎剛

2022年10月にも、火災保険料の改定がささやかれている。2021年6月16日、保険料の基準となる「参考純率」が引き上げられたことで、多くの地域で10~15%程度の値上げが確定的となった。沖縄、大阪の木造住宅は、なんと30%以上の値上げも予想される。さらに、長期契約期間も最長5年へと短縮する予定。そこで、現在の火災保険を見直しつつ、値上げに備える対策法を解説しよう。(フリージャーナリスト:福崎剛)

2022年10月、火災保険料は改定の予定
全国平均で約10%の値上げへ

 火災保険料は、2019年10月、2021年1月と、ここ数年で2度も料金が改定されている。一部地域を除いたほとんどの地域では、この改定時に保険料が値上がりしており、家計への負担が大きくなっている。

 そして2021年6月16日、損害保険各社でつくる団体「損害保険料算出機構」は、火災保険の保険料の目安となる「参考純率」を全国平均で10.9%引き上げることを発表した(出典:損害保険料算出機構「火災保険参考純率改定のご案内」)。これにより、2022年の火災保険料の値上げはほぼ確実になった。

 値上げの時期は、2022年10月ごろになると予想され、6~7月には損保各社から詳細が発表されるだろう。

火災保険料はどう決まる?

 そもそも、火災保険料の価格はどのように決まっているのだろうか。

 火災保険をはじめとした損害保険は、将来に起こりうるリスクに備える商品であるため、実際に事故などが起こるまで、保険金額がいくら支払われるのかは分からない。そのため、保険料を決めるにあたっては、「保険料率」という、保険料の目安となる数値を参考にして、損害保険会社各社がおのおの設定することになっている。

 この保険料率とは、支払い保険金の原資となる「純保険料率(参考純率)」と、損保会社の運営資金となる「付加保険料率」で構成されている。

・純保険料率(参考純率)…事故により損害が発生したときに、保険会社が支払う保険金に充てられる部分
・付加保険料率…損害保険会社が事業を行うために必要な経費の部分

 「純保険料率(参考純率)」は、自然災害のリスクや、社会状況を見据えながら適正な水準であるかを検証して、業界団体である損害保険料率算出機構が算出している。

 もしも適正な水準になければ、損害保険料算出機構が純保険料率(参考純率)を見直して、金融庁長官に変更届を提出。適合性審査結果通知を得て、公表する。

 純保険料率(参考純率)が引き上げられれば、それをもとにして損保各社は保険料の値上げを実施する。なお、必要経費などにあたる付加保険料率は、損保各社が試算して保険料に付加している。

 その純保険料率(参考純率)が2021年6月に改定となったため、それに合わせて2022年10月にも火災保険料が改定されるというわけだ。火災保険料は、建物の構造・築年数・建物の所在地によって異なるが、今回の参考純率改定では、全国平均で10.9%引き上げとなった。

火災保険の参考純率が改定され、値上げの方向kが決まった

  

   ちなみに、主に木造住宅が対象となるH構造(築10年以上、保険金額が建物2000万円、家財1000万円の場合)だと、参考純率が最も引き上げられたのが沖縄県の+36.6%で、大阪府も+30.9%と、大幅な値上げは避けられないだろう。東京都は+5.9%、愛知県は+7.6%だ。

 参考純率の改定率の全国平均は10.9%だが、地域によってはそれ以上の値上げとなる可能性があるので注意したい。

火災保険料の値上げが続く理由とは?

 なぜ、これほど頻繁に火災保険料は値上げになっているのだろうか? 値上げの最大の理由は、自然災害による保険金の支払い額が想定以上に膨らみ、このままでは保険金の支払いが厳しくなるからである。

 2年連続で保険金支払い額が1兆円を超えたのは、過去にも例がない。2020年度の保険金支払い額は2500億円ほどで、前年度よりも低くなったものの、今後も風水害は増大するとの予想もあり、保険金支払い額が膨らむのは必至だと損保業界では見ている。

 想定以上に保険金支払い額が増えてしまったために、損保会社の経営を圧迫しているというわけなのだ。

契約期間も短縮へ! 最大10年間から5年へと変更

 火災保険料の改定だけではなく、最長契約期間の短縮も予定されている。現在は、最長10年間の契約が可能だが、最長5年に短縮の見込み。そうなると、これも保険料の実質的な値上げに近い。

 契約期間が短縮されると、以下のようなデメリットがある。

長期割引の割引率が小さくなる

 火災保険には、「長期割引」という割引制度がある。これは、契約期間が長ければ長いほど、保険料が割り引かれるというもの。1年契約を10回更新した場合と、10年契約とでは、後者の方が保険料が18%割安になる。

 契約期間が短くなると、割引率も悪くなる。現在、5年長期割引の割引率は約14%なので、10年の長期契約をしている場合からすると、割引率がおよそ4%も下がるのだ。

保険料改定の影響を受けやすくなる

 実は、2015年までは、火災保険は最大35年間の契約ができた。過去に35年契約を結んだ人は、その間、保険料が変わることはない。

 しかし、自然災害の頻発により損保各社が長期的なリスクへの対応が難しくなり、2015年10月から「最長10年契約」に短縮されたのだ。それからわずか6年しかたっていないというのに、長期契約期間は10年から5年へと、さらに短縮されるというわけだ。

 契約期間が短くなると、更新時には新しい保険料で契約を結び直すことになる。そのため、改定された保険料が反映されやすくなるのだ。

過去、どれぐらい火災保険料は値上がりしたのか?

 大手損害保険会社4社は、ここ数年、火災保険料の値上げを繰り返している。

■損害保険会社大手4社の火災保険料値上げ率推移
・2015年10月 2~4%アップ
・2019年10月 6~7%アップ
・2021年1月  6~8%アップ

※(東京海上日動火災保険、損保ジャパン日本興亜、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)

 もちろん、参考純率がここ数年で引き上げされたことに伴った値上げだ。

 なお、都道府県ごとに値上がり・値下がり幅は異なっている。以下の図は、2021年1月の保険料見直し時の値上げ・値下げ状況だ。

火災保険料 改定率 2021年1月
写真を拡大  2021年1月の、大手損保会社の火災保険料改定率(築15年・木造住宅の場合)

※この改定幅はある大手損害保険の保障充実タイプを都道府県ごとに図解したものです。改定幅は保険会社や契約プランによって異なります。

 以下では、損保各社の内部資料から把握できる、各地域の詳細な値上がり・値下がり幅について紹介していこう。

2021年保険料改定の実情は?(東京海上日動火災保険)

  まずは、東京海上日動火災保険の保険料改定率(2021年)だ。

 三大都市圏(東京、大阪、福岡)の新保険料を記載した資料によると、東京、大阪では保険料が値上げに、福岡は値下げの傾向にあった。 「参考純率」の改定率と新保険料の増減率は、だいたい比例している。

表1:東京海上日動火災保険の新保険料の例(築10年以上)

東京海上日動火災保険の新料金例
東京海上日動火災保険の資料から一部抜粋 
【その他条件】家財破損限度額50万円、共通免責金額0円(破損のみ5千円)、築浅割引なし、臨時費用補償特約付き

 東京と大阪はすべての構造で値上げ、福岡だけがT構造(耐火構造、戸建てコンクリート造など)とH構造(非耐火構造、木造住宅など)で値下げだった。​以下で、それぞれの地域について確認していこう。

■東京都:すべての構造でやや値上げ
 

【参考純率の改定率(東京)】
 M構造+6.3%、T構造+9.6%、H構造+1.9%

【新保険料の増減率(東京)】
 M構造+7.4%、T構造+6.2%、H構造+1.8%

■大阪府:すべての構造で平均約17%の値上げ
 

【参考純率の改定率(大阪)】
 M構造+14.1%、T構造+21.7%、H構造+17.3%

【新保険料の増減率(大阪)】
 M構造+16.4%、T構造+17.9%、H構造+17.6%

■福岡県:木造戸建て、鉄骨戸建ては保険料値下げ
 

【参考純率の改定率(福岡)】
 M構造は不明、T構造▲0.8%、H構造▲13.9%

【新保険料の増減率(福岡)】
 M構造+10.4%、T構造▲3.2%、H構造▲13.6%

 東京都、大阪府、福岡県のいずれにおいても、参考純率の改定率と、新保険料の値上げ・値下げ幅は、おおむね比例しているという結果になった。なお、福岡県のM構造(マンションなど)の参考純率は公開されていなかったので、比較できていないが、参考純率が下がっていたT構造とH構造では、新保険料も値下がりとなっている。

2021年保険料改定の実情は?(あいおいニッセイ同和損保)

 つぎに、あいおいニッセイ同和損保の新保険料を見てみよう。

表2:あいおいニッセイ同和損保の新保険料の例(築15年・フルサポートプランの場合)

あいおいニッセイ同和損保 新料金(東京・築15年)
あいおいニッセイ同和損保の新保険料の資料から一部抜粋、編集部作成。条件は以下※参照

 「東京都・築10年以上」の参考純率は、すべての構造でアップしていた。ところが、あいおいニッセイ同和損保では、M構造の料金は据え置き、T構造とH構造も、参考純率の改定率ほど上昇率は高くないという結果になった。

【新保険料の条件】フルサポートプラン(実損払)、保険期間1年(一時払い)、保険金額:M構造1000万円、T構造2500万円、H構造2000万円、家財保険金額500万円、免責金額なし(家財破汚損のみ3000円)、事故時諸費用20%・300万円限度、地震火災費用5%・300万円限度、災害緊急費用付帯、特別費用保険金特約付帯、防犯対策費用特約付帯、バルコニー等専用使用部分修繕費用特約・専有個室(建物あり契約)のみ付帯

 あいおいニッセイ同和損保の値上がり率が低かった理由は分からないものの、2019年10月に値上げしすぎたため、今回是正したとも推測できそうだ。

 東京海上日動火災が参考純率に準じた料金値上げだったのを考えると、社によって値上げ幅は大きく違うやはり、きちんと見積もりを取ってみないと、どれぐらい値上がりするか、はっきりしないようだ。

補償タイプ別でも、新保険料の値上げ率が違う

 地域だけではなく、補償タイプによっても新保険料の増減率に違いがある。

 東京海上日動火災保険では、基本的な補償タイプを、「充実タイプ」「スタンダードタイプ」「火風タイプ」と、いくつかのパターンに分けている。充実タイプが最も補償範囲が広く、スタンダードタイプはそこから破損等リスクを除いたもの、火風タイプは火災と風災に限定した補償となっている(破損、盗難、水濡れ、水災が除外)

 水災補償が入っている充実タイプとスタンダードタイプは、参考純率の改定率とほぼ同じ割合で、料金が改定されている。一方、水災補償が入ってない火風タイプでは、新保険料の値上がり率は低い。

東京海上日動火災保険プラン別新料金(東京
東京海上日動火災保険の資料から一部抜粋、編集部作成。試算条件については※参照

※【条件】保険期間:1年(一時払い)、建物の保険金額 M構造:1000万円、T構造:3000万円、H構造:2000万円、家財破損限度額50万円、共通免責金額0円(破損のみ5千円)、築浅割引なし、臨時費用補償特約付き

 ちなみに、大阪の場合は火風タイプのT構造で最も値上がり率が高かった。一方、福岡だと火風タイプは大幅な値下げとなっている。

 このように、実際の新保険料は地域や補償タイプによって大きく差があるので、実際に見積もりをしてみなければ、分からない。

火災保険料の改定前に、確認しておくべきこととは

 火災保険料の値上げと契約期間の短縮で、消費者にとってはダブルパンチとなり、家計にもじわじわと響いてきそうだ。ただ、昨今の自然災害の発生状況を見る限り、火災保険料の値上げはやむなしという部分もあるだろう。

 2022年10月の保険料改定・契約期間の短縮に備えて、できることからやっていこう。

① 2022年10月までに、10年契約を結び直す

 すでに説明したように、火災保険には「長期割引」という制度があるため、契約期間が長いほど割引率が高くなる。10年契約であれば、単年契約を10回更新するよりも、保険料を約18%節約できるのだ。そのため、なるべく長期契約にして割引適用を受けるのがおとくだ。

 タイミングとしては、保険期間が短縮となる直前に、いまの火災保険を解約して10年の長期契約を結ぶと、長期契約の期間を最大限に延ばすことができる。

② 新保険料でどれぐらい値上がりをするのか、見積もりを取る

 火災保険料の改定率は、参考純率の増減率を参考にしているとはいっても、完全に比例しているわけではなく、各損保会社の判断にゆだねられている。実際にどれぐらい保険料が上がるのかは、見積もりを取ってみないと分からないのだ。

 そのため、改定時期が来る前に、「改定以前に契約した場合の見積もり」と「改定後に契約した場合の見積もり」を取っておくことが重要だ。値上げの1カ月~2カ月前になると、値上げ後の保険料を見積もりできるようになる。

 築10年以上の木造住宅に住んでいる人は、ほぼ確実に値上がりすることが分かっているが、地域や建物構造、築年数によっては、改定後に保険料が変わらない、もしくは、値下がりすることもある。

 自分の契約がどのケースにあたるのか、きちんと確認しておこう。

③ 契約内容を見直して、不要な補償は外す

 この他、現在加入している保険の補償範囲を見直すのもいいだろう。

 例えば、ハザードマップを参照して、水災のリスクが低い地域に住んでいる場合なら、水災補償のオプションを思い切ってはずして見積もりを出してもらうことだ。万一に備えての保険なので、補償範囲をどんどん切り詰めれば保険料は下がる。自己責任になるが、ハザードマップなどから災害リスクを考えながら補償の有無を見直すのは保険料の節約につながる。保険料を見直す場合には、あらかじめ自分の住む家屋がどういう立地条件にあるのか、確認しておきたい。

現在の契約を途中解約するとどうなる?

 保険期間がまだ何年も残っているという人は、途中解約に抵抗があるかもしれない。だが、心配しないでほしい。

 火災保険には「解約返戻金」という制度があり、契約期間の途中で解約すると未経過分の期間の保険料が返ってくる。

 しかもこの返戻率は、損保各社で若干異なるが、未経過分の保険料のほとんどが戻ってくると思っていい。つまり、契約期間の途中で解約したからといって、残りの未経過分の保険料を捨てるわけではないのである。そのため、契約内容を見直しての保険の掛け替えは、積極的に行っても問題はない。

 まずは、解約による返戻金がいくらになるか、また長期契約の掛け替え保険料がいくらになるか。保険会社または代理店から見積もりを提示してもらい、契約期間やタイミングを考えてみたい。

火災保険料の改定時期は、契約内容を見直すいい機会

 火災保険契約は、一度契約してしまうと、その後ほとんど内容を見返さないという人が多い。そのため、実は不要な補償内容が付帯しているのに、数十年以上も見逃しているケースもある。

 こうしたタイミングで、自身の契約内容を見直すというのは、メンテナンスという意味でも非常に重要だ。その際には併せて、契約プラン、補償内容を見直したり、他の保険会社で見積もりをとってみたりして、比較検討してみることをおすすめする。

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