火災保険の値上げは2024年10月か?! 都道府県別の上昇率はどのくらいかや、来年度の改定ポイントも解説!

2024年6月28日公開(2024年7月16日更新)
福崎剛:フリージャーナリスト,ダイヤモンド不動産研究所

2024年後半、火災保険料はさらに値上げされる見通しだ。さらに今回の改定では、「市区町村別に水災リスクを評価、リスクに応じた水災補償の保険料を算出する」という仕組みが追加される。この記事では、2024年の火災保険の値上げに関して参考純率や改定ポイントについて解説しよう。(フリージャーナリスト:福崎剛)

2024年、火災保険料が値上げされる見通し

 すでに新聞などでも報道されているが、またしても火災保険が改定となる。

 損害保険料率算出機構は、2023年6月に金融庁へ参考純率改定を届け出。火災保険料率に影響を与えている「参考準率」が、全国平均で13.0%引き上がることとなった。

 さらに、火災保険料の改定と同じタイミングで、「水災に関する保険料率を地域のリスクに応じて細分化」することが決定している。

 そこで、2024年に予定されている、火災保険の重要な改定ポイントについて説明しよう。

1. 火災保険料率の改定(全国平均13.0%上昇)

 2023年6月28日、損害保険各社でつくる団体「損害保険料算出機構」は、火災保険の保険料の目安となる「参考純率」を全国平均で10.9%引き上げることを発表した(出典:損害保険料算出機構「火災保険参考純率改定のご案内」)

 参考純率の発表から約1年〜2年後、各損保会社が、この参考純率の数値を基に、火災保険料の改定を行う。

 この引き上げ分が反映されるのが、2024年後半と予想されている。

参考準率はどのくらい上昇する? 

 では、参考準率はどのくらい上昇したのだろうか。損害保険料算出機構が発表した、各都道府県別・建物種類別の参考準率改定率の例を見てみよう。

【各都道府県別 参考準率改定率の例】
※保険金額:建物2000万円 家財1000万円 築10年以上の場合

都道府県

H構造
(木造などT、M構造以外の建物)

T構造
(鉄鋼造など耐火、準耐火の建物)

M構造

(マンションなど)

北海道 +10.1% +12.3% +12.2%
青森県 +9.5% +9.3% +15.6%
岩手県 +9.2% +13.9% +12.5%
宮城県 +7.2% +14.2% +11.0%
秋田県 +12.1% +11.2% +17.5%
山形県 +9.6% +9.2% +17.0%
福島県 +7.3% +14.6% +12.4%
茨城県 +8.8% +14.8% +14.1%
栃木県 +8.7% +16.2% +11.9%
群馬県 +18.1% +23.2% +14.6%
埼玉県 +9.2% +13.2% +13.3%
千葉県 +15.2% +20.9% +13.1%
東京都 +6.3% +13.3% +10.4%
神奈川県 +7.7% +13.6% +12.0%
新潟県 +9.8% +14.2% +12.8%
富山県 +14.0% +20.2% +12.6%
石川県 +7.9% +15.0% +11.8%
福井県 +10.6% +14.1% +12.8%
山梨県 +11.8% +10.9% +17.8%
長野県 +9.4% +13.7% +13.9%
岐阜県 +10.6% +14.1% +13.7%
静岡県 +9.1% +15.3% +12.2%
愛知県 +8.9% +14.8% +13.7%
三重県 +16.7% +22.1% +18.6%
滋賀県 +8.6% +14.4% +12.4%
京都府 +8.2% +15.0% +12.4%
大阪府 +17.3% +21.5% +16.9%
兵庫県 +8.2% +14.2% +11.1%
奈良県 +16.3% +21.9% +18.7%
和歌山県 +15.5% +20.8% +17.3%
鳥取県 +9.1% +13.6% +12.3%
島根県 +7.5% +14.8% +12.2%
岡山県 +7.4% +14.5% +12.8%
広島県 +8.5% +14.5% +12.5%
山口県 +16.4% +21.9% +18.5%
徳島県 +7.9% +14.6% +10.6%
香川県 +7.0% +14.4% +10.5%
愛媛県 +6.9% +14.4% +10.5%
高知県 +8.9% +15.6% +13.0%
福岡県 +16.5% +22.0% +18.5%
佐賀県 +16.9% +23.1% +18.0%
長崎県 +16.6% +23.0% +18.3%
熊本県 +20.5% +23.0% +23.8%
大分県 +16.3% +22.1% +18.3%
宮崎県 +20.5% +22.8% +23.9%
鹿児島県 +20.8% +23.1% +23.4%
沖縄県 +23.5% +24.1% +22.3%

出所:損害保険料率算出機構「2023年6月届出 火災保険参考純率改定 都道府県別等地別の改定率の例

 構造別に、参考準率の上昇幅を見てみよう。

【各構造の全国平均値上げ率(築10年以上の場合)】

・H構造(木造など):+11.8% 
・T構造(耐火、準耐火建築物など):+16.7%
・M構造(マンションなど):+14.8%

 今回の改定では、いずれの構造においても、全国すべての都道府県で参考準率は上昇。参考準率を引き下げた都道府県はなかった(築10年の場合)。

 T構造(耐火・準耐火構造)については上昇率が高く、20%以上の上昇となった都道府県も多い。

 特に上昇率が高いのは九州で、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県のすべてで、全国平均を上回る上昇率となった。

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2.水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分に細分化

 火災保険の参考準率は、都道府県別に異なっている。ところが、火災保険の補償の一部である「水災補償」については、全国一律の料率がとられていた。

 それが次回の改定では、水災リスクを5段階に区分けし、リスクの高さに応じて保険料率を変更することになった。これによって、水災リスクが高い地域ほど水災補償の保険料が高くなり、水災リスクが低い地域では保険料も安くなる、というように変更される。

 水災リスクは市区町村単位で5つに区分され、保険料が最も安い地域が「1等地」、最も高い地域が「5等地」となる。5等地の保険料は、1等地の約1.2倍となる予定だ。

水災等地別に見ると、参考準率はどれぐらい変わる?

 では、水災等地別の参考準率改定率を見ていこう。

【各都道府県別 等地別水災補償料率改定の例(H構造)】

※H構造(木造など)
※保険金額:建物2000万円 家財1000万円 築10年以上の場合

続きを見る

参考準率全体の改定率 水災等地別の改定率
都道府県 改定率 改定率
1等地 2等地 3等地 4等地 5等地
北海道 +10.1% +3.2% +7.2% +11.5% +16.3% +21.7%
青森県 +9.5% +3.9% +7.1% +10.6% +14.5%
岩手県 +9.2% +2.0% +6.1% +10.6% +15.6%  
宮城県 +7.2% ▲0.8% +3.7% +8.7% +14.3% +20.6%
秋田県 +12.1% +6.5% +9.7% +13.2% +17.1% +21.5%
山形県 +9.6% +4.0% +7.1% +10.7% +14.7% +19.0%
福島県 +7.3% ▲0.6% +3.9% +9.0% +14.5% +20.7%
茨城県 +8.8% +2.0% +5.9% +10.2% +15.0% +20.3%
栃木県 +8.7% +1.2% +5.4% +10.2% +21.2%
群馬県 +18.1% +12.3% +15.6% +19.2% +23.2% +27.7%
埼玉県 +9.2% +2.2% +6.2% +10.6% +15.4% +20.8%
千葉県 +15.2% +8.3% +12.2% +16.6% +21.5%
東京都 +6.3% ▲1.3% +3.0% +7.7% +13.1% +19.0%
神奈川県 +7.7% +0.9% +4.8% +9.0% +13.8% +19.0%
新潟県 +9.8% +2.9% +6.8% +11.1% +16.0% +21.3%
富山県 +14.0% +6.3% +10.6% +15.6% +20.9% +26.9%
石川県 +7.9% +0.1% +4.6% +9.4%
福井県 +10.6% +4.4% +7.9% +11.8% +16.1% +21.0%
山梨県 +11.8% +6.2% +9.4% +12.9% +16.9% +21.2%
長野県 +9.4% +2.3% +6.3% +10.8% +15.7% +21.2%
岐阜県 +10.6% +4.3% +7.8% +11.8% +16.1% +20.9%
静岡県 +9.1% +2.1% +6.0% +10.5% +15.4% +20.8%
愛知県 +8.9% +1.9% +5.9% +10.3% +15.1% +20.6%
三重県 +16.7% +11.5% +14.4% +17.7% +21.4% +25.5%
滋賀県 +8.6% +1.6% +5.6% +10.0% +14.9%
京都府 +8.2% +1.1% +5.2% +9.7% +14.6%
大阪府 +17.3% +11.4% +14.8% +18.5% +22.6% +27.1%
兵庫県 +8.2% +1.1% +5.2% +9.6% +14.5% +20.0%
奈良県 +16.3% +10.5% +13.8% +17.5% +21.5% +26.0%
和歌山県 +15.5% +9.9% +13.1% +16.5% +20.5% +24.8%
鳥取県 +9.1% +6.0% +10.5% +15.5% +21.0%
島根県 +7.5% +4.0% +9.1% +14.6%
岡山県 +7.4% ▲0.6% +3.9% +8.9% +14.5% +20.7%
広島県 +8.5% +1.5% +5.5% +9.9% +14.8% +20.2%
山口県 +16.4% +13.9% +17.6% +21.6%
徳島県 +7.9% +4.9% +9.3% +14.2% +19.6%
香川県 +7.0% ▲1.0% +3.6% +8.6% +14.2% +20.5%
愛媛県 +6.9% ▲1.0% +3.5% +8.5% +13.9% +20.1%
高知県 +8.9% +1.9% +5.9% +10.3% +15.2% +20.7%
福岡県 +16.5% +10.8% +14.1% +17.6% +21.6% +26.0%
佐賀県 +16.9% +14.5% +17.9% +21.9% +26.2%
長崎県 +16.6% +14.2% +17.7%
熊本県 +20.5% +17.7% +19.3% +21.1% +23.1% +25.2%
大分県 +16.3% +13.9% +17.5% +21.5% +25.9%
宮崎県 +20.5% +17.7% +19.3% +21.1% +23.1% +25.3%
鹿児島県 +20.8% +17.9% +19.5% +21.3% +23.3%
沖縄県 +23.5% +20.8% +22.4% +24.1%

 木造・築10年の場合、全体の参考準率はすべての都道府県で上昇しているが、等地別・水災補償の参考準率を見ると、一部、引き下げとなっている地域もある。宮城県、福島県、岡山県、香川県、愛媛県の5県では、水災リスクが最も低い「1等地」の水災補償料率が0.6%〜1.3%の引き下げとなっている。

 一方、水災リスクが最も高い5等地では、軒並み20%以上の上昇している。5等地の中でも最も上昇幅が大きかったのは群馬県で、27.7%の上昇となる。他にも、9つの都道府県で上昇率25%を超えている(※富山県、三重県、大阪府、奈良県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県)。

 水災等地別の、参考準率上昇率の全国平均は、以下の通りだ。

【水災補償の参考準率 全国平均値上げ率(木造築10年以上の場合)】

・1等地:+5.2%
・2等地:+9.0%
・3等地:+13.0%
・4等地:+17.3%
・5等地:+22.2%
(・参考準率全体:+11.8%)

 水災補償以外の補償も含めた、参考準率全体の平均上昇率が11.8%なので、それ以下の上昇幅である1等地(5.2%)と2等地(9.0%)の地域では、保険料の上昇率が他の地域よりも低くなる予定だ。

 なお、自分の住んでいる地域がどの等級にあたるかは、損害保険料算出機構のウェブサイトで簡単に確認できる。

水災等地検索

・損害保険料率算出機構 水災等地検索

参考純率とは、火災保険料の指標になる数値

 これまで、参考純率の上昇率について説明してきたが、「参考準率」とはなんだろうか。それについて説明するために、まずは、火災保険料がどのように決められているのかを説明しよう。

火災保険料はどう決まる?

 火災保険をはじめとした損害保険は、将来に起こりうるリスクに備える商品であるため、実際に事故などが起こるまで、保険金額がいくら支払われるのかは分からない。

 そのため、保険料を決めるにあたっては、「保険料率」という、保険料の目安となる数値を参考にして、損害保険会社各社がおのおの設定することになっている。

 この保険料率とは、支払い保険金の原資となる「純保険料率(参考純率)」と、損保会社の運営資金となる「付加保険料率」で構成されている。

・純保険料率(参考純率)
事故により損害が発生したときに、保険会社が支払う保険金に充てられる部分

・付加保険料率
損害保険会社が事業を行うために必要な経費の部分

 「純保険料率(参考純率)」は、自然災害のリスクや、社会状況を見据えながら適正な水準であるかを検証して、業界団体である損害保険料率算出機構が算出している。

 もしも適正な水準になければ、損害保険料算出機構が参考純率を見直して、金融庁長官に変更届を提出。適合性審査結果通知を得て、公表する。

 参考純率が引き上げられれば、それをもとに損保各社は保険料の値上げを実施する。値上げのタイミングや、どれぐらい値上げをするかは、損保各社に委ねられているが、横並びとなることが多い。

 2023年6月に発表された改定内容を反映して各社が値上げに動くのは、2024年後半、特に10月ごろではないかと予想されている。

参考純率が大幅アップしている理由

 火災保険の参考純率は、直近10年でみると5回の引き上げがあり、その平均は9.3%になる。

 さらに、2018年と2019年は連続で約5%。そして2021年と2023年でも引き上げられており、その割合はいずれも10%超えだ。

 では、なぜ最近は頻繁に引き上げられているのか?

火災保険参考純率の推移

年月
(金融庁長官への届出)
火災保険参考純率
2014年 6月 3.5%
2018年 5月 5.5%
2019年10月 4.9%
2021年 5月 10.9%
2023年 6月 13.0%

※出典:損害保険料算出機構「火災保険参考純率

 すでにご存知かもしれないが、保険金の支払いが多く発生した年が続くことで、支払財源に影響が出るため、適正な保険金を確保するうえでも参考純率を引き上げざるを得なくなるのだ。

 したがって、大規模な災害の発生が多ければ、その翌年、もしくは翌々年には参考純率の見直しが行われる傾向にあると考えていいだろう。

 参考純率の引き上げが定期的ではなく、この10年間で5回というのは大規模な被災がそれだけあったと解釈できる。

 その引き上げがどのように推移したのかが、以下の表になる。

主な風水災と支払い保険金(火災保険)の推移

年度 主な風水災 支払保険金
(火災保険)
2017年度 平成29年台風18号 300億円
  平成29年台風21号 1078億円
2018年度 平成30年7月豪雨(西日本豪雨) 1520億円
  平成30年台風21号 9202億円
  平成30年台風24号 2856億円
2019年度 令和元年台風15号(令和元年房総半島台風) 4244億円
  令和元年台風19号(令和元年東日本台風) 4751億円
  令和元年10月25日の大雨 155億円
2020年度 令和2年7月豪雨 848億円
  令和2年台風10号 932億円

※出典:一般社団法人日本損害保険協会調べ

 例えば、参考純率で全国平均10.9%引き上げになった2021年は、改定の主な背景として、「自然災害のリスクの増加」「リスク傾向の反映」が挙げられる。

 この表が2017年〜2020年度に発生した主な風水災による支払保険金調査結果となっている。

 なかでも、2018年度の西日本豪雨、台風21号と24号の被害は大きく、合計で1兆円を超える保険金支払いとなっている。

 さらに、2019年度でも台風15号と19号がそれぞれ4000億円を超える保険金支払いになっていることが分かる。

 1兆円前後の保険金支払いが発生したことで財源確保を考えなければならなず、しかも近年の異常気象を踏まえると、リスクそのものが予想できない状況になっている。そのため、参考純率が引き上げられているというわけだ。

 近年の異常気象から、大雨や台風による被害は広範囲におよび、保険金の支払額も増える傾向にある。

 したがって、前年度に大きな自然災害が起きている場合は、参考純率引き上げの可能性が大きく、引き上げとなれば火災保険料が値上げになると考えていいだろう。

 しかも、2024年10月には火災保険料の値上げすると報道されており、損保会社大手4社で全国平均10%前後の値上げが実施される見通しだ。

 なお、2022年10月の改定では、以下のような経緯となっていた。

2021年6月 参考純改定の発表
2022年10月 損保各社による保険料改定

 2021年6月に発表された参考準率改定では、全国平均で10%の上昇(木造・築10年以上の場合)だった。それを受けて、2022年10月、SBI損保では全国平均9%の値上げを実施している。

>>2022年10月の火災保険料値上げ情報はこちら

 参考純率の数値が、そのまま火災保険料の上昇に反映されるわけではないが、今回も近い数値で値上げされることが予想される。

火災保険の改定前は、契約を見直すいい機会

 火災保険料の値上げが続くことで、家計への負担が増すことは必至だ。保険料を少しでも節約するとすれば、現在加入している火災保険の契約内容を見直してみることをおすすめする。

 同じような補償内容で現在よりも安い保険を探したり、不要な補償を契約していないかチェックして、補償内容をスリム化することで、保険料を抑えることができる。

 火災保険料を抑えるためには以下の方法がある。

①保険契約の期間を最長の5年契約にする

 火災保険料は、補償内容によって損保各社で若干の差額があるが、それよりもポイントにすべきは割引きである。保険料の割引きには、損保各社で独自の割引きもあるが、共通する割引きは、まず複数年の契約期間による割引きになる。

 火災保険の契約期間は1年から最長5年契約まである(以前は、最大10年契約まで可能だったが、いまは5年契約が最長)が、以下のとおり、契約期間が長いと抑えることができる。

・契約期間が長ければ、1年単位で保険を契約するより割引きされる
・契約期間が長くなればなるほど、割引き率が大きくなる

 例えば2年契約の割引き率はおよそ8%ほどだが、3年契約では約10%になり、4年契約では12%ほどの割引き率だ。5年契約にすると約13%近い割引き率となる。損保各社で割引率は微妙に異なるが、最大5年で約13%の割引き率は大きい。

 では、試算例を見てみよう。都内の戸建て(築10年)を事例にして、基本的な補償内容で1年契約と5年契約で比較したのが下表になる。

火災保険試算事例(1年契約:5年契約)
※東京都、戸建て、H構造、築10年、火災保険:2000万円(建物)、1500万円(家財)で試算

保険契約期間 保険料(月額) 保険料(年計) 保険料5年総額
1年 841円 10092円 50460円
5年(月払) 784円 9408円 47040円
5年(年払) - 9002円 45010円

 保険料の5年総額を比べると、1年契約の場合は単純に5倍で5万460円になっているが、当初から5年契約にしているだけで4万7040円となり3000円以上割り引かれる。さらに年払いにしていれば、4万5010円となり、約5000円の割引きになる。

 上記の試算例は、基本的な補償内容のため、「水災」と「風災・雹災・雪災」と「水濡れ等」の補償は含まない。

 もし、補償内容を厚くすると保険料も加算されるため、契約期間が1年より5年のほうが割引き金額も大きくなる。

 つまり、補償内容が同じで数万円単位で割引きになるため、火災保険を節約したいなら、長期契約がおすすめだ。

②契約時に保険料は「一括払い」にする

 次に保険料の支払い方を見直してみるのがいいだろう。火災保険は毎月払い、年払い、契約時の一括払いがある。

 例えば、5年契約を1年毎に年払いすれば、割引きが大きくなることは先ほどの試算でおわかりいただけただろう。そこで、同じ条件の火災保険の内容で、5年一括払いするとさらに割引きされる

火災保険試算事例(1年契約:5年契約)
※上表と同じ補償内容で1年契約ごとに5年間契約した場合と、5年契約の場合の保険料を比較

保険契約期間 保険料(月額) 保険料(年計) 保険料5年総額
1年 841円 10092円 50460円
5年(年払)   9002円 45010円
5年(一括払)     42438円

 例えば、1年契約で5年間の保険料を月額で支払うと総額5万460円になるが、5年契約で年払いなら、1年毎に9002円の支払いで、5年間で総支払い額は4万5010円になる。約5000円の割引きだ。10%近い割引きは大きい。

 さらに、同じ補償内容で5年契約の一括払いにすれば、保険料の総支払額は4万2438円で、約8000円の割引だ。割引き率でみれば、15%近い。

 当然、補償内容を手厚くすれば保険料が高くなるため、割引される金額も増額になる。もしも契約を見直すのであれば、ぜひ長期契約5年で「一括払い」を選択したい。

③複数の損保会社から見積もりを取る

 火災保険は、住宅を購入したときに、金融機関や不動産会社からの紹介で契約を結ぶケースが多いだろう。実は、紹介された火災保険に入らなくてもいいというのは、あまり知られていない。

 保険会社によって保険料も補償内容も千差万別。大手損害保険会社・ネット系損害保険会社のどちらも視野に入れ、複数社で見積もりをとってきちんと比較することが大切だ。

 1社ずつ見積もりを依頼するのが面倒という人には「火災保険の一括見積もりサイト」が役立つ。一括見積もりサイトを使えば、一度の入力で複数社から見積もりを取ることができる。

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 同じ条件でも、保険料は各社によって異なる。現在、自分の住宅においてどの保険が最もお得なのかは、実際に見積もりを取ってみないと分からないのだ。

 「火災保険なんて、どれも同じ」だと思っている場合は、この機会にぜひ、複数社で見積もりを取って比較し、なるべく安い保険を見つけるといいだろう。

④契約を見直して、不要な補償を外す

 この他、現在加入している保険の補償範囲を見直すのもいいだろう。例えば、今回の改定だと、水災リスクが低い地域に住んでいるなら、水災補償のオプションを思い切ってはずして見積もりを出すこともできる。

 自己責任になるが、補償の有無を見直すのは保険料の節約につながる。保険料を見直す場合には、あらかじめ自分の住む家屋がどういう立地条件にあるのか、確認しておきたい。

⑤現在の契約を途中解約しても問題はない!

 保険期間がまだ何年も残っているという人は、途中解約に抵抗があるかもしれない。だが、心配しないでほしい。

 火災保険には「解約返戻金」という制度があり、契約期間の途中で解約すると未経過分の期間の保険料が返ってくる。

 しかもこの返戻率は、損保各社で若干異なるが、未経過分の保険料のほとんどが戻ってくると思っていい。そのため、契約内容を見直しての保険の掛け替えは、積極的に行っても大きな問題はないのだ。

 まずは、解約による返戻金がいくらになるか、また長期契約の掛け替え保険料がいくらになるか。保険会社や代理店から見積もりを提示してもらおう。

まとめ

 火災保険契約は、一度契約してしまうと、その後ほとんど内容を見返さないという人が多い。そのため、実は不要な補償内容が付帯しているのに、数十年以上も見逃しているケースもある。

 こうしたタイミングで、自身の契約内容を見直すというのは、メンテナンスという意味でも非常に重要だ。その際には併せて、契約プラン、補償内容を見直したり、他の保険会社で見積もりをとってみたりして、比較検討してみることをおすすめする。

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取扱社数 最大15社 最大16社 最大6社

見積もり日数

最短即日

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電話番号入力 あり あり あり あり
運営会社

SBIホールディングス

(東証プライム上場)

株式会社A2Z 株式会社ウェブクルー 株式会社ユースラッシュ

見積書の数

3〜5社

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1〜3社

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1〜2社

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不明

 

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2022年10月の火災保険値上げ情報

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ポイント ・提携社数は6社最大26商品から見積もり可能
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賃貸物件、法人向けの火災保険の見積もりも可能(別サイト)
見積もり可能な損保会社 ・大手4社(東京海上日動火災、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)
・楽天損保
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運営会社 株式会社ウェブクルー
デメリット 提携先が6社しかないため、他のサイトに比べて見積もりをとれる社数が少ない。
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ポイント ・提携している損保会社は15社
・見積もり依頼から数日で、3〜5社分の見積もりが届く
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見積もり可能な損保会社 ・大手4社(東京海上日動火災、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)
・セコム損保
・セゾン自動車火災保険
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運営会社 SBIホールディングス(東証プライム上場)
デメリット SBI損保が提携対象外
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◆住宅本舗
ポイント ・提携している損保会社は16社
最短即日で見積もりが受け取れる
見積もり可能な損保会社 ・大手4社(東京海上日動火災、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)
・SBI損保
・日新火災
・共栄火災など
運営会社 株式会社A2Z
デメリット 見積もりは早いが、契約までに最短でも6日以上かかることも
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◆カンタン火災保険
ポイント ・提携社数は非公開。最大19商品から見積もり可能
・入力後、電話にて詳細確認後に見積もりをするため、ズレが少ない
最短即日で見積もりが受け取れる
見積もり可能な損保会社 ・大手4社(東京海上日動火災、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)
・楽天損保など
運営会社 株式会社ユースラッシュ
デメリット 情報入力後は、必ず電話にて対応が必要
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