2021年1月の火災保険値上げ率をチェック! 大手損保会社2社の内部資料から読み解く、来年の値上げ幅【東京海上日動火災保険、あいおいニッセイ同和損保】

2020年11月11日公開(2021年7月29日更新)
福崎剛

2021年1月、損害保険会社各社は、火災保険料を値上げする予定だ。値上げ率は全国平均で6〜8%になるのではという報道もあるが、実際の数値はまだ公表されていない。すでに損害保険会社内部では、新保険料の資料も出回っているという。そこで、入手した大手損保の資料の一部から、保険料の値上げ内容を見てみよう。(フリージャーナリスト:福崎剛)

2020年1月火災保険料値上げの背景とは

 2019年10月、消費税が上がったタイミングで、火災保険料も値上げになった。異常気象による大雨や、大型台風による自然災害の増加で、支払い保険金が膨らんでいるためだ。一般社団法人 日本損害保険協会によると、損害保険会社各社が支払った保険金は、2018年度には約1兆6000億円にまで達し、2019年度も1兆円を超えている。

▲グラフの中の支払い保険金は、火災保険のほか、新種、自動車、海上保険による支払いを含む数値であり、「日本の損害保険ファクトブック2019」 (一般社団法人 日本損害保険協会)による。

 異常気象が続き、自然災害が増えてきたことで、各損保会社が支払い保険金として積み立てている「異常危険準備金」が減ってきているのだ。最近のように、毎年1兆円を超えるような保険金の支払いが続けば、異常危険準備金が底をついてしまう可能性もある。そのため、元金となる火災保険料の値上げをするというわけだ。

保険料の基準となる「参考純率」は
全国平均4.9%アップ!

 損保会社は、非営利の民間法人 損害保険料率算出機構が発表する「参考純率」をもとに、保険料の改定を行う場合が多い。参考純率は、近年どのような災害があってどのくらいの保険金が支払われたか、といったデータをもとに算出されている。

 2019年10月、損害保険料率算出機構が、参考純率の引き上げを発表し、全国平均で4.9%の上昇となった。以下の表1は、東京都、大阪府、愛知県の三大都市圏と、改定幅が最大・最小となった都道府県の、参考純率改定率を示している。改定率は都道府県ごとによって異なっているのだが、細かく発表されているわけではない。

【表1】建物構造および都道府県別の改定率(例)

写真を拡大 出典:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内(建物構造および都道府県の別に、保険金額を建物 2,000万円、家財1,000万円とした場合の改定率)」
【建物構造について】M(マンション)構造:コンクリートなどで建築された共同住宅、T(耐火)構造:鉄構造など、戸建てで耐火建築物に該当する住宅、H(非耐火)構造:木造など、特に火災対策がされていない住宅

 火災保険料は、この参考純率をもとにしながら、各損保会社が常識の範囲内で独自に設定してよいことになっている。
【関連記事】火災保険料の相場は年間いくら? どうやって決まる?

築年数10年未満の物件は、
すべての構造で保険料が割安に

 先述の参考純率改定資料には、今回新たに「築年数によるリスク較差の反映」という項目が追加されていた。築10年未満の住宅に対して、保険料を割り引くというものだ(建物のみ)。

 築5年未満だと保険料が平均28%割引となり、築5年以上10年未満だと平均約20%割引される。

築年数によるリスク較差の反映  

築年数によるリスク較差の割引制度
出所:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率改定のご案内

 なぜこのような割引が設けられたのだろうか? 例えば「水濡れ損害」などは、築年数がたった住宅よりも、築浅住宅の方がリスクが低い。そのため、その分の保険料を割り引こうというものだ。

 割引率は、都道府県や構造等によっても異なっている。以下に、損害保険料率算出機構が提示した参考純率の改定率の例を記載したので、確認してほしい。

【表2】築浅住宅に対する割引が適用される築5年未満の契約の改定率

損害保険料率算出機構 2019年10月リリース
写真を拡大 出所:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率改定のご案内

 

【表3】割引が適用されない築10年以上の契約の改定率

損害保険料率算出機構 2019年10月リリース
写真を拡大 出所:損害保険料率算出機構「火災保険参考純率改定のご案内

 早い話が、新しい住宅は壊れにくく、築年数が増すと老朽化も進み、補償リスクが高くなるため、リスクの度合いに応じて保険料を算出するようにしているのである。参考純率(表3)だと、築10年以上の住宅は、三大都市圏のいずれの構造でも、改訂率がアップしている。最大の改定率となった熊本県では、M構造で30.3%、H構造では35%もアップしている。

 では、気になる新保険料は、どのくらいになるのだろうか。2020年11月時点では、各損保会社はまだ公表していない。保険代理店に尋ねても、「新保険料の保険料率が端末に入力されていないため、見積もりがまだ出せません」という回答だっだ。そのため、現在は、新聞などで報道されている「各社の平均6〜8%の値上げ」から、新保険料を推測するしか手立てがない。

東京海上日動火災保険の新保険料は?

 ところが、すでにいくつかの損保会社では、新保険料に関する研修が行われているという。今回、「東京海上日動火災保険」と「あいおいニッセイ同和損保」の内部資料を一部入手できたので、新保険料がどの程度値上げになるのか見ていこう。

 まずは、東京海上日動火災保険の新保険料を確認しよう。

 東京海上日動火災保険では、三大都市圏(東京、大阪、福岡)の新保険料を入手できた。資料によると、参考純率が上がった地域(東京、大阪)は、新保険料もおおむね値上がり、参考純率が下がっていた福岡は値下げの傾向にある。まったく同じ数値ではないが、参考純率の改定率と、新保険料の増減率は、だいたい比例した結果となった。

【表4】東京海上日動火災保険の新保険料の例
(築10年以上)

東京海上日動火災保険の新料金例
東京海上日動火災保険の資料から一部抜粋 
【その他条件】家財破損限度額50万円、共通免責金額0円(破損のみ5千円)、築浅割引なし、臨時費用補償特約付き

 東京と大阪はすべての構造で値上げとなっており、福岡だけがT構造とH構造で値下げになる。​以下で、それぞれの地域について確認していこう。

<東京都:すべての構造でやや値上げの方針>

 東京都の場合、築10年以上の住宅における参考純率の改定率(表3)は、M構造で+6.3%、T構造で+9.6%、H構造で+1.9%だった。そして、東京海上日動火災保険の新保険料の値上げ率を見ると、M構造は+7.4%、T構造は+6.2%、H構造は+1.8%となっており、参考純率の改定率とほとんど同じような数値が並ぶ。

【新保険料の増減率(東京)】
 M構造+7.4%、T構造+6.2%、H構造+1.8%

【参考純率の改定率(東京)】
 M構造+6.3%、T構造+9.6%、H構造+1.9%

 金額ベースで見てみると、1年間当たり、M構造が390円、T構造が1880円、H構造が700円の値上がりとなる。

<大阪府:すべての構造で平均約17%の値上げ>

 大阪府の場合はどうだろうか。

【新保険料の増減率(大阪)】
 M構造+16.4%、T構造+17.9%、H構造+17.6%

【参考純率の改定率(大阪)】
 M構造+14.1%、T構造+21.7%、H構造+17.3%

 大阪府の新保険料は、どの建物構造でも値上げしていて、平均すると約17%の値上げ率となった。大阪府は、比較する3都市の中で一番値上げ幅が大きい。H構造では、年間6560円も保険料が上がっている。こちらも、参考純率の改定率と、新保険料の増減率がおおむね同じ幅になっているように見える。

<福岡県:木造戸建て、鉄骨戸建ては保険料値下げ>

 参考純率の改定率が最小だった福岡県の新保険料も見てみよう。福岡県では、T構造とH構造において、参考純率が引き下げることが分かっている。そのため新保険料でも値下げが予想されていた。

【新保険料の増減率(福岡)】
 M構造+10.4%、T構造▲3.2%、H構造▲13.6%

【参考純率の改定率(福岡)】
 M構造は不明、T構造▲0.8%、H構造▲13.9%

 福岡県については、M構造の参考純率は公開されていなかった。そして、実際のM構造の新保険料は、10.4%の増加であった。参考純率が下がっていたT構造とH構造では、新保険料も値下がりとなっている。

<補償タイプ別でも、新保険料の値上げ率が違う>

 地域だけではなく、補償タイプによっても新保険料の増減率に違いがある。

 東京海上日動火災保険では、基本的な補償タイプを、「充実タイプ」「スタンダードタイプ」「火風タイプ」と、いくつかのパターンに分けている。充実タイプが最も補償範囲が広く、スタンダードタイプはそこから破損等リスクを除いたもの、火風タイプは火災と風災に限定した補償となっている(破損、盗難、水濡れ、水災が除外)

 水災補償が入っている充実タイプとスタンダードタイプは、参考純率の改定率とほぼ同じ割合で、料金が改定されている。一方、水災補償が入ってない火風タイプでは、新保険料の値上がり率は低い。

東京海上日動火災保険プラン別新料金(東京
東京海上日動火災保険の資料から一部抜粋、編集部作成。試算条件については※参照

※【条件】保険期間:1年(一時払い)、建物の保険金額 M構造:1000万円、T構造:3000万円、H構造:2000万円、家財破損限度額50万円、共通免責金額0円(破損のみ5千円)、築浅割引なし、臨時費用補償特約付き

 ちなみに、大阪の場合は火風タイプのT構造で最も値上がり率が高かった。一方、福岡だと火風タイプは大幅な値下げとなっている。このように、実際の新保険料は地域や補償タイプによって大きく差があるので、実際に見積もりをしてみなければ、分からない。

あいおいニッセイ同和損保の新保険料は?

 つぎに、あいおいニッセイ同和損保の新保険料を見てみよう。あいおいニッセイ同和損保の場合、最も補償範囲が広いフルサポートプランでも、大きく値上がりしていない。

【表5】あいおいニッセイ同和損保の新保険料の例
(フルサポートプランの場合)

あいおいニッセイ同和損保 新料金(東京・築15年)
あいおいニッセイ同和損保の新保険料の資料から一部抜粋、編集部作成。条件は以下※参照

 今回は、契約件数が多い東京にクローズアップしてみよう。

 東京都の参考純率の改定表(表3)によると、築10年以上の参考純率はすべての構造でアップしている。ところが、あいおいニッセイ同和損保では、M構造の料金は据え置き、T構造とH構造も、参考純率の改定率ほど上昇率は高くない。

【条件】フルサポートプラン(実損払)、保険期間1年(一時払い)、保険金額:M構造1000万円、T構造2500万円、H構造2000万円、家財保険金額500万円、免責金額なし(家財破汚損のみ3000円)、事故時諸費用20%・300万円限度、地震火災費用5%・300万円限度、災害緊急費用付帯、特別費用保険金特約付帯、防犯対策費用特約付帯、バルコニー等専用使用部分修繕費用特約・専有個室(建物あり契約)のみ付帯

 あいおいニッセイ同和損保の値上がり率が低かった理由はわからないものの、2019年10月に値上げしすぎたため、今回是正したとも推測できそうだ。

 東京海上日動火災が参考純率に準じた料金値上げだったのを考えると、会社によって値上げ幅は大きく違う。やはり、きちんと見積もりを取ってみないと、どれぐらい値上がりするか、はっきりしないようだ。

保険料が高くなる人は、2020年末までに
今の保険を解約、新たに長期契約しなおそう!

 2社の新保険料を確認してみると、参考純率を参照にしてはいるものの、損保会社によって、値上げ率はさまざまだ。ちなみに、保険料は各損保会社が独自に設定できるため、同じ補償やサービス内容によっても保険料は異なっており、単純に一律の値上げではない。地域や建物構造によっても、新保険料の増減幅は違ってくる。

 現状、新保険料がいくらになるのかを知るには、各自で保険会社から見積書を取り寄せるしかない。新料金の見積もりができるかどうかは、損保会社によって対応が違うが、「11月初旬には見積もりが取れるようになる(損保会社担当者)」という話もある。値上げの可能性がある人は、まずは加入している損保会社に確認してみよう。

複数社から見積もりを取る
画像:PIXTA

 見積もりをとってみて、新保険料が値上がりする場合は、いま契約している火災保険を一旦解約して、最長10年の契約で再加入すると、保険料が安くすむ。現在の保険料で契約ができるのは、2020年の年末まで。値上がりする可能性のある人は、すぐに動いた方がいいだろう。

 また、再契約の際には、保険期間を長めに設定しよう。そのとき、長期一括払いをすると、長期割引として18%近い割引を受けられる(損保によって割引率は異なる)

 また、新保険料の方が安くなる場合(築10年未満の住宅であるケースが多いだろう)は、現在の火災保険を解約して、2021年1月以降に改めて火災保険を契約しよう。そうすると、安くなった新料金で契約できる。また、この機会に補償内容に過不足がないかチェックするのもいいだろう。ただし、2021年1月の新保険料改定時には、地震保険も同時に料金が改定されるので、地震保険も含めて値上げになるかどうかをきちんと確認しておこう。
【関連記事】>>火災保険の一括見積もりサイト3社をレビュー!実際に見積書を取り寄せ、比較してみた
【関連記事】>>2021年には地震保険が最大14.7%の値上げ! 高額な地震保険は本当に必要なのか、お得な加入方法はないのかを検証!

  • RSS最新記事
◆保険の窓口インズウェブ (火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力すれば、数日中に、最大16社から見積もりをもらえる。

紹介する保険会社数 最大16社(セコム損保、セゾン自動車火災、SBI損保など)
運営会社 SBIホールディングス(東京都)
デメリット 希望とは異なる保険内容で見積もりが提供されることがある。
無料見積もりはこちら
◆住宅本舗 (火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力するだけで、最大16社から見積もりをもらえる。最短即日で、見積もりをもらうことができる。

紹介する保険会社数 最大16社(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上など)
運営会社 株式会社A2Z(東京都文京区)
デメリット 間に保険代理店が入っているため、契約までに最短でも6日以上かかることも。
無料見積もりはこちら
カンタン火災保険(火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力するだけで、最大19社から比較、そのうち複数社から見積もりが送付される。12時までに問い合わせをすれば、最短で当日に見積もりがもらえる。

紹介する保険会社数 最大19社(楽天損保、三井住友海上、東京海上日動火災など)
運営会社 株式会社ユースラッシュ(東京都渋谷区)
カンタン火災保険 一括見積もりサイト 株式会社ユースラッシュ
デメリット 運営会社が保険代理店なので対応が早い一方、契約後は電話などでのサポートが中心となる。
無料見積もりはこちら
保険スクエアbang!(火災保険一括見積もりサイト)
特徴

一度入力するだけで、最大6社から見積もりをもらえる。最短即日で、見積もりをもらうことができる。

紹介する保険会社数 最大6社(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動火災、AIG損保など)
運営会社 株式会社ウェブクルー(東京都世田谷区)
保険スクエアbang!トップページ
デメリット 提携先が6社しかないため、他のサイトに比べて見積もりをとれる社数が少ない。
無料は見積もりはこちら
 
TOP