知らないと損をする! 火災保険でよくある勘違いとは?「補償対象は“火災”だけ」「大災害の被災者になれば国が助けてくれる?」

2021年3月31日公開(2021年3月31日更新)
椎名前太

住宅を購入したら必ず加入しておきたい火災保険。ところが、契約内容をよく理解せず「火災保険は“火災”のみが対象と思っていた」など、勘違いをしている人も少なくない。そうなると、いざという時に保険金を請求しそびれるなど、損をすることも。そこで今回は、知っておきたい「火災保険でよくある勘違い」を紹介しよう。(住宅・不動産ライター 椎名前太)

火災保険の勘違い① 補償対象は“火災”だけ

 火災保険は、読んで字のごとく「火災」のみが補償の対象だと思っている人も多いが、そんなことはない。火災だけでなく、落雷や台風による被害、水害など、幅広い損害に対して補償が受けられる。


【火災保険の基本補償】

・火災:失火やもらい火、放火などによる火災の損害
(例:火災により住宅が燃えてしまった 等)

・落雷:落雷による損害
(例:雷が落ちて、家電製品が壊れた 等)

・破裂・爆発:ガス漏れなどによる破裂・爆発の損害
(例:漏れたガスに引火して住宅が燃えてしまった 等)

・風災、雹(ひょう)災・雪災:強風や雹、大雪による損害
(例:台風により住宅の屋根が破損した 等)

 保険会社や商品によって内容は異なるが、基本的に「火災」はもちろん、「落雷」「破裂・爆発」「風災・雹(ひょう)災・雪災」による被害に対しても補償できることが多い。これに加えて最近は、台風被害などの「水災」をセットにしている商品も多い。要するに、主な自然災害のほとんどをカバーしているのだ。


【火災保険の補償(オプション)】

・水濡れ:漏水などによる水濡れの損害
(例:マンションの上階から水が漏れて部屋が水浸しになった 等)

・水災:台風や集中豪雨による損害
(例:豪雨により床上浸水した 等)

・盗難:強盗や窃盗による損害
(例:泥棒に窓ガラスを破壊された、家財を盗まれた 等)

・建物外部からの物体の落下、飛来、衝突:建物外部からの物体による損害を補償
(例:家に車がぶつかってきた 等)

・騒擾(そうじょう)・集団行為等にともなう暴力行為騒擾や集団行為による暴力・破壊行為による損害
(例:労働争議などがあり自宅が破壊された 等)

 ただし、地震に対する補償だけは別だ。地震による被害は、きわめて広範囲で膨大な損害となる可能性が高い。さらに、地震は発生率の算出ができないため、保険商品として成り立ちにくいという特性がある。

 そこで、地震に対する補償は「地震保険」に加入する必要がある。地震保険は、民間保険会社が負う一定額以上の損害を、国が再保険する仕組みとなっている。地震保険に加入するには、必ず火災保険とセットでなければならない。保険金額は火災保険の30~50%の間で設定する。つまり、全壊しても建て直せるだけの保険金額は下りないので、注意しよう。

火災保険の勘違い② 自然災害後の生活再建資金は、国や自治体からの補助金で賄える

 日本は災害大国だ。阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)など大規模な地震が、世界各国と比較しても頻繁に起きている。さらに最近は、台風や集中豪雨による風水害も深刻だ。

 「このような大災害の被災者となれば、自力での生活再建は無理。だから、国や自治体が自宅の建て直しを含めて何とかしてくれるだろう」と考えていたら、大きな勘違いだ。

 結論からいうと、国や自治体は、食料や飲み物など生きるために最低限必要なものしか支給してくれない。

東日本大震災 2011
大震災に見舞われても、補助金は不十分。生活再建するには多額の自己資金が必要だ。

 住宅の建て直し費用に関する補助金制度も存在するが、その金額はわずかだ。大災害に遭った場合、「被災者生活再建支援制度」を利用することもできるが、この制度の対象となるのは、10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村など。

 支給額は自宅が中規模半壊なら100万円、全壊でも300万円だ。この金額だけではとてもではないが建て直しはできない。

 自己資金もない、補助金も足りない、となれば借りるしかない。このようなときに役立つのが、市町村が融資をしてくれる「災害援護資金制度。だが、この貸付限度額も350万円だ。しかも融資なので、当然ながら返済しなければならず、償還期間は10年(据置期間を含む)で利率は年3%と特別低いわけではない。

 「被災者生活再建支援制度」と「災害援護資金制度」を合わせても650万円。やはり一般的な住宅を建てるには大幅に足りない。まして住宅ローンが残っていれば、さらに苦しい状況となる。住宅ローンの残債+建て直し費用の合計は、数千万円になるはずだ。この金額を、補助金と自己資金だけで用意できる人は少数派だろう。やはり、こういった事態に備えて火災保険への加入は必須なのだ。

火災保険の勘違い③途中解約や、補償内容の変更はできない

 火災保険の契約期間は1年から10年で、ほとんどが1年刻みで選べる(2015年10月以降の契約の場合)。契約期間が長ければ、1年当たりの保険料は割安になるので、長期契約を選ぶ人が多いだろうが、その際、途中解約や補償内容の見直しはできないと考える人もいるようだ。

 だが、火災保険の契約期間中に家を売却することになったり、保険を掛けている家財の価値が変化することも十分あり得る。そんな場合にも、火災保険の途中解約や補償内容の見直しをすることが可能だ。

 仮に10年契約で保険料を一括払いし、5年経過後に解約したとしよう。その場合、未経過期間5年分の保険料は返還される。また、契約当初は深く考えずに「家財は1000万円」としていたとしても、「数年後に計算したら700万円だった」といったときは、契約を見直すことでそれ以降の保険料が安くなるので、一括払いの場合は残存期間のうち、保険料が安くなった分が戻って来る。

 契約の見直しや、他に乗り換えたい火災保険商品があった場合には、解約することももちろん可能だ。保険料はほとんどそのまま戻ってくるので、見直しや解約をしたからといって、損をすることはない。
【関連記事】>>火災保険・地震保険は解約しても保険料が戻ってくる! 解約返戻金のしくみと解約手続きについて解説  

火災保険の勘違い④ 2つの火災保険に加入していれば、2倍の保険金が受け取れる

 たとえば、3000万円の保険金をかけた火災保険を、2つ契約していたとしよう。万が一、この状態で建物が全焼した場合、両社の火災保険から3000万円ずつ、合計6000万円を受け取れるかと言えばそうではない。

 火災保険で受け取れる保険金の上限額は、あくまで建物または家財の「再調達価額」だからだ。「再調達価額」とは、その建物を再度建て直すのに必要な金額という意味で、3000万円の評価だった建物であれば、3000万円が再調達価額となる。つまり、6000万円の保険金は、本来の建物の価値よりも高いということになる。

 仮に両方の保険会社へ保険金を申請して、両社から支払いがあったとしても、後から保険会社同士のネットワークで重複支払いだったということが判明し、過払い分は回収されることになる。したがって、過分に保険料を支払っても無駄になるわけだ。

 なお、2社に加入していた場合の保険金支払額は、保険金額に応じて按分(あんぶん)することになるので、この例では1対1の1500万円ずつとなる。また、火災保険に加入する際は、他の保険への加入状況を告知する必要があるので、告知義務違反をしたと判断された場合は契約解除もあり得るので、注意しよう。

火災保険の勘違い⑤ 不動産会社や銀行に勧められた火災保険に加入しなければいけない

 住宅を購入する際、住宅ローンの借入先である金融機関や住宅会社から、火災保険商品を勧められることがある。このとき、「この火災保険に加入することが契約の条件なのだろう」とか、「住宅ローン契約と同時に加入すれば、保険料が割安になるかも…」と考える人もいるかもしれない。しかし、そのようなことはない。

 また、火災保険と他の商品のセット販売は、保険業法で禁じられている。加入する火災保険は、どの家を買おうが、どの住宅ローンを利用しようが、自由に選択して構わない。

 家を買う際には、住宅ローンや税金のことなど調べることが多岐にわたり、火災保険のことまで手が回らないという人もいるだろう。その場合、ファイナンシャルプランナー(FP)に事前に相談するか、一括見積もりサイトなどで、火災保険の見積書を複数取り寄せておくことをおすすめする。
【関連記事】>>火災保険の一括見積もりサイト3社をレビュー!実際に見積書を取り寄せ、比較してみた

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